リリアン女学園付属図書館 「ワインレッド」

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ワインレッド

月城 玲



学園生活における年の差は大きい。
だから一学年下である彼女のことをよく知っているわけでもなかったけれど、情報だけはどこからか流れてきて私の元へもやってきた。
2年松組で、同学年の誰と仲がいい、だとか。テニス部だとか。風紀委員だとか。
一応、彼女のことは知っているつもりだったという、ただそれだけのことなのだけれど。

「ごきげんよう、黒薔薇様」
はじめて実際の彼女――二宮央嬢と会話したのは随分と昔のことだ。
すらすらと流れるように、礼儀正しい挨拶をした彼女。
(しっかりしていて、ほとんどのことをそつなくこなす、典型的なクラス委員タイプ)
私は彼女の目を見ながらそう思った。
その時点で彼女の成績や運動神経など知る由もなかったけれど、ただ、彼女の雰囲気的な問題なのか、そのイメージは私の頭の中に取り付いた。容姿も目立つ。人当たりも悪くない。礼儀正しく、しっかりしている。
このどこかに欠点などあるのだろうか―――私は思わず、あら探しのようなことを考えてしまった。
実際に彼女に欠点がないかは、私ではまだ判らない。
けれど一瞬頭を掠めたのは、例えそうでなくとも「しっかりした人」とイメージ付けられてしまう、彼女が少し自分に重なって見えた。

それは彼女に対して失礼だろうか。


それからしばらく、経って。
私は中庭に二つの人影を見つけた。
すらりとした影と小柄な影。
誰かと思えばそれは、二宮央嬢とその親友だという冬月明日香嬢だった。
二人はどこへ向かうのだろう、時折立ち止まっては楽しげに笑いあい、また歩き出す。
央嬢の幸せそうな後姿を見て、私はふっと微笑んだ。
涼やかな容貌は年頃の少女のそれにまぶしく微笑んでいる。
たとえ私がどのように心配しようとも、彼女はすでに幸せを手に入れている。
きらきらと二人へ降り注ぐ、祝福のような昼の日差しを見上げて、私はそう思った。


央嬢へ。



ごきげんよう、央嬢。
3年椿組の月城玲だ。
ようやくヴァレンタインイベントのときのリクエストを書き上げたのだが・・・いかがだっただろうか。
「私から見た央嬢」ということで、随分悩んだのだが結局こうなった。
楽しんでいただけたら幸いだ。
それでは。