リリアン女学園付属図書館 「フィオラノへ……」計画編

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フィオラノへ…… 計画編

正木 聖香



「フィオラノへ行ってみない?」
聖香のふとした、一言が現実になるとは思わなかった。
そう、ここは日本人でも誰でも知っている、F1チームでも有名な、あのイタリアの超のつく高級自動車メーカーの本拠地、
ミラノから列車で1時間ほどの所にある。

事の始まりは修学旅行のホームルームの時だった。
「今年の自由行動は、みなさんの自主性に重点をおきます、3人から5人のグループで企画を練ってください。承認がされれば学園としても最大限サポートしますので、皆さん頑張って。考えてみてください、ほかのクラスの人といっしょでもかまいません」
先生から衝撃の発表があった。
さっそく、同じクラスのかずらさんは、蒼さんやゆんさんたちとローマ観光の案を出し合っている。私がイタリアで、一番行きたいと思っていたのはミラノだった。小学生だったころに好きだったアニメの舞台でもあり、一度は訪ねてみたい場所である、
そんな事を考えながら薔薇の館のビスケット扉を開くと央さんが考え深げに座っていた。
「ごきげんよう、央さん」
「ごきげんよう、聖香さん。修学旅行の話聞いた?」
「うん、自由行動の事でしょ?私、ミラノにいってみたいと思っているのだけど企画がなかなか浮かばなくて…… 単に昔好きだったアニメの舞台だからだけだから
では絶対に認められないし。それに色々考えてるうちにみんなグループ決まっちゃって……」
「あら、私と栗実さんはミラノに行く予定なのよ、ちょうど一人足らなくて困っていたのよ、聖香さんも私たちと一緒に周らない?」私は、目を輝かせて「栗実さんとも、同じ写真部だし一緒に周りたいと思っていたの!」
「栗実さんね、ミラノはお菓子作りでも有名な街だから、ぜひ行ってみたいっておっしゃってね、私もイタリアは何度か旅行してるのだけど。ミラノはまだだからと思って。
さっそく、今日の放課後に企画を立ててみない?栗実さんも呼んで、放課後のミルクホールで待ってるわ」
そして、放課後
「聖香さん、ごきげんよう、こっちよ」
「ごきげんよう、聖香さん」
「ごきげんよう、お二人とも。誘ってくれて嬉しいわ」
央さんと栗実さんは、ミラノのガイドブックや旅行誌を持ち寄って、待っていてくれた。
「栗実さんとも、ご一緒できるなんて。嬉しい!写真もいっぱい撮って、つなみ先輩を驚かせてあげましょうよ!」
すると央さんが少し咳払いをして
「ロサ・ギガンティアはしゃぎすぎですよ、他の人がみています……」
「あら、央さん。薔薇の館以外ではロサ・ギガンティアはなしよ、ロ・サ・キ・ネ・ン・シ・ス」
いつも芽衣子と繰り広げてるような漫才を央さんと、
やってしまった聖香であった。
浮かれモードだった私も暖かい紅茶を飲んで落ち着きを取り戻し3人は、さっそく自由行動の企画を練り始める。
「やっぱり、サンピエトロ寺院やドゥモウははずせないわね」
「ここのお店のパテシェは、世界でも有名なのよ」
「煙突めぐりなんてどう?」
「煙突!?」聖香から、でた言葉に2人は目をぱちくりしていた。私は2人に昔好きだったアニメの事を話すと。
「いいんじゃない?おもしろうだし」「そうね、面白い写真も撮れそうね」
2人とも、笑顔で賛同してくれたので、聖香はほっとした。
「う~ん、でもなにかインパクトが少なくない?」
央さんが悩ましげに、テーブルに肘をつく。
「そうね、やっぱり。先生方に認めていただくのなら、社会見学のできるような場所にも行かないとダメかもしれないわね」
栗実さんも、ため息をもらしている。
「フィオラノへ行ってみない?」
聖香は思い出したように呟いた。
「フィオラノ?」央さんは、きょとんとした目をしていたが。
栗実さんは、興奮気味に
「ええ!!あのF1チームの本拠地?たしかに、ミラノからは近いけれど。絶対にいれてくれないんじゃない?」
聖香はひらめいたように
「栗実さんのお兄様は、スポーツカメラマンだったわよね?だったら、なんとか取り成してくれないかしら?」
栗実さんは、一瞬驚きを隠せないようだったが
「お兄様には聞いてはみるけれど、いまはプロ野球の方担当だから……あまり期待はしないでね」
央さんもスポーツファンなので、事情が飲み込めたようだ。
「うん、ダメもとで。お願いしてみたら?もし行けたらすごいわよね、ワールドチャンピオンの選手にも会えるのかしら?」
そして、聖香から驚きの一言が。
「ワールドチャンピオンってどの選手だったかしら?私、この間はじめてF1をTVで観戦して、あのスピードにはまったの
私たち、来年になったら免許も取れるようになるから、参考になったらなって思って。ここに行ってみたいのよ」
央と栗実は心の中で思った。
「聖香さん、絶対に車運転しちゃダメ……」

そんなこんなで自由行動の計画は、なんとかまとまった。なんとダメと思われていた「フォオラノ見学」のプランも栗実さんの
お兄様に女性モータースポーツジャーナリストの方を紹介していただき、なんとF1チームの取材に同行させて
いただくことになった。あとは先生方に許可をいただけるか、
結果を待つのみである。

数日後……
ミルクホールで栗実さんと旅行について話していると、いつも
冷静沈着な央さんが興奮気味に駆け寄ってきて
「聖香さん、栗実さん。認められたわ計画!私たちミラノを周れるのよ!」
「やったわね、聖香さん。いい写真がいっぱい撮ろうね」
「ええ、栗実さんの、お兄様にも感謝しなくちゃ!本物のF1が見られるのね」
3人は興奮して、抱き合って喜んでいた。もちろん、その場にいたシスターに厳しく注意されたのは言うまでもない。

さて、3人のミラノの道中はどうなりますことやら?