聖香お姉さまSS・選挙ポスター編1

聖香お姉さまSS・選挙ポスター編1

雪村 芽衣子



 ガラガラガラ……。
「……お姉さま? 聖香お姉さま!」
 美術室で興奮した様子で待つ雪村芽衣子のもとに姉の正木聖香がやってきた。
「芽衣子、用ってなんですの?選挙で忙しいのに」
「選挙だからおよびしたんですわ」
「あら、なんですの?」
「ほら、見てください、これ!」
 そう言いながら芽衣子は某都知事のポスターを広げて見せた。
「まあ、これは選挙のポスターじゃない?」
「おじさまが選挙管理委員をやってらしたときにくださったの」
「そうでしたわね、芽衣子の叔父様はたしか、都庁にお勤めなさってたわね。そうだ! 今度の選挙、このようなポスター書いてくれる方誰かいらしゃらないかしら?」
 芽衣子は聖香のことをじっと食い入るように見つめていた。
「そうそう、この間、芽衣子がわたくしを書いてくれた絵、学内でも評判ですのよ」
 嬉しそうに自分を指差す芽衣子。そのしぐさはなにかをうったえているようすであった。
「そうだわ!芽衣子、あなたわたくしの選挙ポスター書いてくれない?」
「やったああああああああ、やっと聖香お姉さまの許可がおりたわ!」
「まあ、芽衣子も、同じ事を考えていたのね」
 芽衣子のはしゃぐ様子を見て聖香はくすくすと笑った。しかし、次の瞬間……はっと以前に絵のモデルになった時のことを思い出したじろいだ。
「おねえさま~わかっておいでですわよ・ね?」
 思った通りであった。芽衣子は絵のことになるとたとえ姉でも容赦しないのである。
最終更新:2006年01月26日 23:16
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