「片足だけあげて 後編3」

片足だけあげて 後編3

正木 聖香



「本当にありがとうね、この写真。もし出来がよかったら、学園祭に展示していい?」
 私はダメもとでお願いしたのだが。
「はい、いいですよ!」
 予想外の答えが返ってきた。
「そう、ありがとうね。今日は本当にあなたと出会えてよかったわ、被写体としてだけではなくてね、お礼といってはなんだけど。学園祭のチケット、一枚あげるわ。もし都合がよくなったら、来てちょうだい」
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
 私は思わず、リリアンで当たり前の挨拶をすると彼女は、すんなりと返してくれた。少し不思議に思ったのだが、伯父さまから頼まれた用もあったので、その場を立ち去った。

 そして……学園祭当日

 学園祭も終盤に近づき「鼓動」という名で展示された、その写真を見ながら
「やっぱり、彼女は来なかったわね、せっかくこの写真見せたかったのに……」
 写真の前で私は深いため息をついていた。また、公園に行けばこの子に会えるのかしら?
「ごきげんよう」
 この聞き覚えのある声の主のほうを向くと、そう彼女、芽衣子が立っていたのだった。

                             終わり
最終更新:2006年01月26日 23:23
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