「華の松組応援団」

華の松組応援団

二宮 央



3年松組の教室に緑チームの主だったメンバーが集まっている。
「うちのチームは楽ね。毎年応援は同じで良いわけだし」
 そう言う京の台詞に皆頷く。今年も緑チームの応援は、学生服での応援団スタイルに決まっている。
「メインはわたしと華央梨、それに朋子ね」
 京は3年生3人の名前を上げる。央はそれを聞きながら3人の勇姿に思いをはせる。
「ところで央ちゃん」
 京が央の方を向いて話しかける。
「はい、なんでしょうか?」
「央ちゃんは、旗振りをお願いね」
「旗振りですか?」
「ええ、緑チームの団旗を振ってちょうだい」
「判りました、京さま」
 京はそのまま続けて
「慧理奈は太鼓をお願いね」
 京は慧理奈の方を向いて話す。
「判りましたわ、お姉さま」
 慧理奈は京にそう返事をする。
「それじゃぁ、皆さんしっかり応援しましょうね」
「はい」
 京の言葉に全員唱和した。

「フレー、フレー、み、ど、りっ!」
「フレッ、フレッ、緑!」
 京の先導の元、中庭で応援の練習が始まる。しかし、手で下がる小さな太鼓をたたく慧理奈はともかく、央は何も付いてない棒を振るだけで、央としては物足りない感じで。
「さぁ、休憩しましょう」
 京の台詞で、休憩する応援団。そこに緑チームのひとりがやってきて、
「京さま、荷物が着きましたよ」
「あ、こっちに持ってきて貰って」
 そして中庭にきたのは、
「お姉さま、どこから借り出してきましたの!?」
 慧理奈はやってきた物を見て驚きの声をあげる。それは、少なくとも直径1メートルはありそうな、おまけに旧字で「応援団」の文字が入った太鼓だった。
「花寺の応援団からお借りしたのよ」
「お姉さま……」
「ちょっとお願いしたら、あっさりお借りできたのよ」
 央は黄薔薇姉妹の会話を聞きつつ、ある意味納得していた。京は「リリアンの四剣士」と俗称される剣道部3年生のひとりで、その名は近隣の学園に鳴り響いてる。もちろん花寺にもその名は届いており、花寺の剣道部の中には一度竹刀を交えたいという部員が複数いるわけで。
「京さ泙世辰燭蕕佞燭鎚峪・世辰燭任靴腓Δ諭廖屬修Δ世辰燭錣諭
 央の台詞に首肯する京。続けて
「央ちゃんの旗も届いてるみたいね」そう言うと央の方を向いて「旗を用意するから旗竿を持って」
「はい」
 手渡された旗竿は明らかにさっきまで振っていた棒より大きくて……
「どう、央ちゃん。すごいでしょう?」
「……」
 それは畳2枚は確実な緑の旗。おまけに白抜きでリリアンの校章入り。
「ちゃんと、花寺から支え用の道具も借りてますからね。央ちゃんなら大丈夫でしょ」
 呆然としてる央には、京の言葉は聞こえてなかった。

 そして体育祭当日。応援合戦が始まる。央は旗を支える道具を学ランの上から付け、旗を持ち上げる。慧理奈も数人に手伝って貰い太鼓を設置する。その間に3年生3人が京を真ん中に横一線にに並ぶ。
「フレーッ、フレーッ」
 京はまず右手を、そして左手を上げる。
「み・ど・りっ!」
 かけ声に合わせ、央は旗を振り、慧理奈は太鼓を打ち鳴らす。一般の生徒も手拍子で盛り上げていく。
「フレッ、フレッ、緑!」
 盛り上がったところで、京は真ん中を華央梨と変わる。華央梨は緑の扇子を取り出し最初の一声を上げる。
「それでは、緑チームの勝利を祈願して三三七拍子。よぉーっ!」
最終更新:2006年01月27日 13:10
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