リリアン女学園付属図書館 「セント・メアリの鐘の音は 1話 最初のお客さん」

書棚


目録


図書日報


  • 新刊案内
  • 総利用者数 -
  • 今日の利用者 -
  • 昨日の利用者 -


管理用



※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

セント・メアリの鐘の音は 1話 最初のお客さん

中司 春菜



 お店の戸を開けて最初に入ってきたのは、
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「お、お嬢様!?」
 いきなりそんなことを言われ目を白黒している央だった。
「どうぞ、こちらの席へ。お嬢様」
「あ、はい」
 呆然としつつも、席に着く央。
「メニューをどうぞ、央さま」
「あ、春菜さん。これはいったい?」
 春菜につい尋ねてしまう央。
「えっと、古き良き大英帝国風が、何処か間違って展開されたみたいで……」
「そ、そうなの?」
「ええ、そうなんです。ところで何になさいますか?」
 春菜に促され、メニューを見る央。
「じゃあ、シュークリームとカフェラテをお願いしてもいいかしら?」
「はい、シュークリームはカスタードと生クリームがありますよ」
「ずいぶん拘ってるのね」
「その分、数が少ないんですよ。メインは紅茶とサンドイッチとかですので」
「じゃあ、カスタードでお願いね」
「はい、判りました」
 暫くして央のところに注文の品がやってきた。
「お待たせしました、お嬢様」
「えっと、何でお嬢様のなのかな?ちょっと落ち着かないんだけど」
「ああ、それはですね」
 春菜は解説を始める。
「ちょっと喫茶店とかを調べたときに、とあるサイトでメイド服のウェイトレスさんが『お帰りなさいませ旦那様』と挨拶するお店があると書いてあったので」
「それを真似たわけ?」
「ええ、でもここに来るのは、リリアンの生徒が中心ですから『お嬢様』と呼ぶことにしました」
「そうなの。それにしても美味しいわね」
「ありがとうございます」
 そんな会話をしているうちに、央の皿は空になり、
「それではごきげんよう。春菜さんにひめ乃さん。それに志保子さん。テニス部のレッスンにはおくれずに来てくださいね」
「はい、承りましたお嬢様。それでは、いってらっしゃいませ」
「だからお嬢様は止めてよ」
 最後までお嬢様扱いされた央でした。