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「彼方第一巻」(2008/03/17 (月) 21:02:01) の最新版変更点
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作者:京◆Kr6L6V3ak2
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「・・・琴様、今日は親族の来る日ですよ」
まだ10歳ぐらいの少女は、自分より少し大きな少女の部屋へと入る。
中に居る少女は、その長い髪をお気に入りの櫛ですいていた。
「へ?・・あぁ。そうやな。そろそろか」
櫛を引き出しへしまう。
「・・・じゃ、行こうか」
「はい。畏まりました・・。」
少女は少女らしくなく、丁寧な言葉でお辞儀をする。
すると大広間へと足を運ばせる。
「・・あ、おーい、にいさーん」
「・・・?」
初めて見る人に、少女は吃驚した。
「琴様・・?この方は・・?」
「あ、これは私の従兄。樹夜兄さん。」
「・・あ、どうも、私、琴様の使用人を務めさせて頂いています、忍者の夜音ですっ」
「・・こんにちは。」
優しく少女に笑いかける青年。
――これが、2人の出会いでした。
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「・・・」
ご馳走の前で、ぽけー、としている。
それは決して、ご馳走のあまりの美味しさに、ではなかった。
「・・・あの方・・・。どんな人なんだろう・・」
さっきの出会いを思い出す、と、顔が赤らめる。
それを何回も繰り返し、少女は正気に戻りにくかった。
「・・琴様っ」
少女は琴夜という少女の場所へ行くと、琴夜の隣に、そのお方が居るのに気づき、少し離れる。
「・・・どうしふぁん?」
口にフライドチキンを突っ込んで、もふぁもふぁと喋る琴夜。
そして、その口でその人と会話していた。
少女――・・。夜音は、その人・・樹夜の事が木になって仕方がなかった。
あぁ、その綺麗な顔で物を食べるのか。
そのような動作をするのか。
そのような笑みを作るのか・・。
樹夜の全ての行動が夜音の中に入り込み、溶かしてゆく。
苦しさと切なさを足して2で割ったみたいな感情に、夜音は吸い込まれていった。
「・・・あの、お肉ばかりもアレですから、サラダコーナーに行きましょう琴様っ」
「あ、じゃあ樹夜兄さんも・・」
「さぁ行きましょう!!」
琴夜をずるずると引きずり、無理にサラダコーナーで移動させる。
夜音には恋している人と共に居るのは辛くてたまらなかった。
だけれど、それが恋と自覚するのはまだまだだった。