さくら姉ちゃん 最終回 Aルート

Aルート最終回

そうだ…もうこれ以上悲しませちゃいけない…そのためなら私だけが悪者になる


……楽しかったよ

パシーン!!
「……え?」理解できないといった様子の大波君の姿を見ると心は痛む
ホンフーさんも驚いている
「お姉ちゃん?」それでもそろそろ駆け寄ってくる大波君を見ると
まだ戻れるんじゃないかと心が迷う
思い出が溢れてくるからだ
初めてあった時の事
世界大会の後のこと
いろんな思い出が頭のなかを駆け巡る
……でも立ち止まることはしなかった
そしてまた手を振りかざしたとき
ホンフーさんが間に入ってくれた
「……!」
「……あなたの決意を私はとがめません」私を見る目は悲しい目で、それでも何から何まで見通してくれているのがわかった
「……あなたの心に聞きましょう」
……ありがとうホンフーさん
……もう少しだったのになぁ…くやしいなあ…
これからもずっと居られると思ったんだけどなあ
あ、それでも大波君には………で
「それであなたがいいと言うのなら、私はなにも言いません……優しい人ですね」
そう言って私から離れると
すぐに大波君が取っつかんできて
「お姉ちゃん何て言ってたの?ねえ!聞こえたんでしょ!」ホンフーさんはあくまでにこやかに答えた
「ええ、聞こえましたよ、もう構わないでくれ…と」そう、それでいいんだ
「……嘘だ!そんなはずはない!」
「嘘なんかじゃありませんよ」
それでも大波君はこっちを訴えかけるかのように見つめてよりすがるかのような声を絞り出してくる
「……ねえお姉ちゃん、初めてあった時の事覚えてるでしょ?」覚えてるよ?忘れるわけない「……忘れたと」
これでいいんだ
「二人で一緒に魔球を完成させたことは?」「……忘れたと」嘘、ほんとは一番の思い出
「じゃああのときの約束は!?俺が宇宙に行くって言ったときの約束は!?」「……全部忘れたと」だんだんと必死な声になってくるのがはっきりとわかる
ぼやけた視界からでもぐじゅぐじゅになった顔が見える
ホンフーさん、どうもありがとう、こんな役をやってもらって
でも私が言ったら多分こらえきれなくなるから、これで良かったのかもしれない
そう思っていたとき、一瞬目があった
キッとこっちを睨んで大波君は叫んだ
「あっあの…あのどき…あの時…ずっと……ずーっといてくれるって言ったじゃないか!」
まだ期待してる大波君にくるりと背を向けて
私は家に引き返した
遠くホンフーさんが止めてくれているのがわかって
たまらず私はすぐに救急車を呼んで

泣いた
「(大波君…)」

…………
それから大波君は野球漬けになったと言う
時々くるホンフーさんから話を聞くと
「野球しかやることがなくなった」状態らしい
カズさんとは連絡がつかなくなったけど
ひとつの懸念であった山田さんたちとの仲も何だかんだ元の関係に戻っていけたと聞いたのが朗報だ
「……あなたは後悔してないんですか?今さらですが」
後悔かあ…まあでも
大波君は私の事を聞かれると「フラれちゃった」って軽く答えているらしいし
「若いと切り替えが早いです、私はこれでよかったと思います、みゃはは」
「そうですか…」「それに…戻れるわけがないじゃないですか」あの頃になんて、もう、戻れない



大波君には私のことを二度と思い出せないくらいに忘れてほしい、そして新しい環境や新しい人とふれあって
新しい恋に出会えるといいね
……私はまだこの夢に浸っていようと思う


さくらさん、あなたにはひとつ言わないでおいたことがありました
それを隠していることを許してくださいね
大波君は…強い子ですから
「山田さん、お久し振りです」「おや、ホンフーさん、どうもでやんす」「……それで、治りましたか?」
「いいや…もう治らないってまで言われたでやんす」

「大波は女性と関わりを持とうとはもうしないとの事でやんす」

Aエンド「不条理なこと」