さくら姉ちゃん 1話

第1話「出会いまっすん」

「彼氏ほし~よ~……」
私は才葉さくら、才葉グループで働いてる敏腕OL
「こないだまでピーピー言ってたのにぐはあ!」
……でこっちのはお兄ちゃん、一応メジャーで投手
今はシーズンオフとかでこっちに戻ってきてるらしい
なんか最近日本人投手がやたら増えてきたから
大変になったとかよく話すけど
私には関係ない
今の私に必要なのは…
「愛!愛!プリーズ!」「お前も落ち着くところに落ち着いてくれりゃなあ…」ぐっ…
「わ、私が求めているのはピュアなの!そうピュアなの!」「ピュア~?」
あながち間違いでもない
この年になると周りはみんな下世話な人間が増えてきて
こないだなんて真薄くんにまで「そろそろ身を固めなよ」って言われた
余計なお世話よ!
「それこそむだはどうしたんだ?」「むだくん?なんか他の人と幸せに暮らしてるらしーよ」
「……小波も結婚したし、お前だけか」
「むー、ビリ争いやってたのに…」
ビリ争い仲間だった小波君もつい最近南雲グループの代表さんと結婚しちゃってた
私はいつまで…
「むにゃー!外に出よう!外に!」
なにか出会いがあると願い私は扉から飛び出す
外に出てみると真っ青な空が私を出迎えてくれた
「ふぅ~!今日は気持ちがいい天気だねえ」
テクテクと歩いていく
風のせせらぎ、すれ違う自転車のベル
これだから外はたまんない
「ん~!こんないい日は河川敷で日向ぼっこでもしよう!」
思い立ったらなんとやら
私の足は近くの河川敷めがけて一直線に進み出す
「にょがにょらにゅれら~!!」
「……あれ、さくらちゃんだね」「かわんないでやんす…それより小波君はどこに?」「るりかのおつかい」
…………
「いい風だなあ…」
魔球が投げられなくなった俺はどうしようかと考えていた
ヒカルにも相談しづらいし阪奈は…うん
とりあえず一人で河川敷にボール持ってきてみたけど
何が浮かぶわけでもなくのんびり寝転がっているだけ
「…はあ」
河川敷についたら
なにやら見知らぬ少年が寝転がってた
帽子を見るに野球少年かな?
「そこの君!今日はこんないい日なのになにぼーっとしてるの?」
少年がビックリしながらこちらを向いた
新鮮な反応、可愛い
「お隣失礼するよ~っと♪」
なんとなく私はこの野球少年に興味を持った
「君君、帽子を見るに野球してるでしょ!」
少年は縦に首を降る、正解のようだ
「私もね……昔野球してたんだ!みゃはは」
「……おねえちゃんも?」
「おっ!?」お姉ちゃんだってえええ!?
この子とってもピュアで…
「うへへへ」おっとよだれが出てしまった
「そうだよ!ガンバーズってところにいたんだ!」
「ガンバーズ!?」ガンバーズっていったら少年の目が急にキラキラし始めた
そう言えばガンバーズで全国優勝したんだったっけ
そりゃあ有名だねえ~
「お姉ちゃんは全国優勝したときのガンバーズの三番バッターだったんだよ!」フフン!もっと驚くだろうなあ~
…………
突然現れたお姉さんは
見た感じ……大学生っぽいかな?
それはともかくとして
あのガンバーズの三番バッターだったと言う、もしかしたら…このお姉さんなら…
「お姉ちゃん!俺の手伝いをしてほしいんだ!お願い!」魔球をまた投げるようにしてくれるかも!
少年は驚いたかと思えば唐突に
「手伝いをしてほしいんだ!」っていってきた
今日は楽しい日になりそうだねえ、みゃは
「いいよ?」「ありがとう!えっとね…」
「……ふむふむ、なるほど、君が噂の子か、魔球ね~」「お姉ちゃんはそんなに驚かないんだね」
この年になると興味が色々となくなって…
「ま、まあ世間に流されない女なの!それよりどうする?」「う~ん、お姉ちゃんはどう思う?」
ええ~っと魔球か~魔球~
あ!そう言えば小波君がボールのお父さんを持ってたなあ
確か強い願いでそうなったんだって言ってた気がする
じゃあ魔球も?それなら!
「強くボールに魔球をイメージしながら投げてみるのはどうかな?」我ながらナイスアイデア!
少年もそれはいいなといった顔をしている
「それじゃあ橋の下の壁で練習だ!みゃは♪」
「うん!」
………
お姉さんが言うことは確かに一理あった
最初に魔球を投げたとき、俺はなにか打ち取れる球をを強くイメージしてたんだ
そのイメージでいけば…
「ふっ!」(バシーン!)…だめ
「どんまーい!次やろう!一回じゃわかんないよ!」
このお姉さんポジティブだなあ~
まあ駄目で元々…っ
「ふっ!」(バシーン!)「ふっ!」(バシーン!)
「ふっ!」(バシーン!)「ふっ!」(バシーン!)
練習は何十球も続いた
途中何度かお姉さんは
「肩は定期的に休ませないと駄目だぞ?」と差し入れをしてくれた
でも…
「…暗くなってきたよ、今日は帰ろうか」
「……うん」
少年は結局今日は魔球を投げることはできなかった
しかし諦めてはいないようで
「明日もこの時間やってるから来てよ!」と言われた
そんなこと言われちゃ断れないよねえ~
「よし!魔球が投げられるまでお姉ちゃん来てあげよう!」
また少年は目を輝かせた、辛抱たまらん可愛さだ
それから私と野球少年の特訓が始まることに
野球少年は名を「大波」と名乗った
大波君はひたすら球を投げる
私は冷やしタオルとジュースを用意してその場を見守る
時々なんか聞かれるから
野球してた頃言われてたことを思い出して話した
「それでさ監督がさ…」「わかるわかる~」時には少年の話を聞いたり
「休みも練習のうちだぞ!」「はい!」たまに練習を休ませて遊んだりしながら
そんな風にしながら数日が過ぎてった
…………
そしてとある日
お姉ちゃんと練習をやってから幾分か経った
お姉ちゃんは今日も相変わらずニコニコしていた
俺はお姉ちゃんのニコニコを見るのがだんだん好きになってて
そして俺は心にある誓いをたてた
「魔球が投げられたら告白する」と
お姉ちゃんのニコニコは太陽のようで
雨の日や曇りの日でも橋の下だけは明るかった
「(太陽…光り…お姉ちゃんの…笑顔っ!)」
ふとお姉ちゃんの笑顔を思いながら投げたその時だった
「ハッ!」(ギュルルルル!!ドゴーン!)
トグロを巻いて壁にめり込んだ、そのボールは以前投げたときとは違う色をした魔球だった
明るく光るボールだった
「…お姉ちゃん!見た!いまの!」
お姉ちゃんも嬉しそうに駆け寄ってきてくれた
まるで自分の事みたいに最高級の笑顔で
そして「よしよし!」と抱き締めて頭を撫でてくれて
するとなんだかとても懐かしい気持ちになり
「どったの?大波くん」涙が止まらなくなっていた
「なんでも…ない!」恥ずかしかったから勢いよくユニフォームで拭いて
自分との誓いを果たすことに
「…お、お姉ちゃん…」「なぁに?」
「お、俺は魔球を投げて、お姉ちゃんの事を守りたいんだ!付き合ってください!」
…………
大波くんから告白を受けたでござる…
キライじゃないし…でも年齢差が…
さて…どうするかな~…そうだ
「今度の世界大会、それで優勝したら、付き合ったげる!」これで大丈夫でしょ!
逆に優勝されたら腹をくくって付き合ってあげようじゃないか!
大波君も「わかった!迎えに来るから!」と納得したようだしね!