未必の恋

    

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触れ合った熱い指先が、これが現実だと告げている。
男の舌が歯列をなぞる。
少しだけ口を開けてそれを受け入れると、上顎を撫でられて体が跳ねた。
口角を変えて更に貪る間にも、性急に服を脱がしあう。
直に体温を感じたい。早く繋がって身も心も一つになりたい。
押し倒されたソファの上で、ただその欲求だけが脳を侵食していく。
唇が離れて、今度は首筋に息がかかる。それと同時に男の右手に脇腹を撫でられ、思わず小さく声が出た。
「御剣・・・」
男が呟く。
熱を孕んだ甘い声と雄の欲に潤んだ瞳。
そんな声で呼ばないでほしい。そんな目で見つめないでほしい。
欲情と、何故か切なさが体中に満ちて、堪らなくなって御剣は男の名を呼んだ。
「成・・・歩堂・・・」


夕方に届いた、今日これからの予定と明日の休日を確認するメール。
「二人でうちで飲もう」
誘ったのは成歩堂だった。その文面に期待したのは自分。
気持ちを確かめ合ったことは無い。
ただ互いに同じ想いで、互いにそれに気づいているという実感はあった。互いに胸の内を伝える気は無いということも。
「暗黙の了解」。
全てがこの言葉の元に始まって、この言葉の元に終わるだろう。
何気ない談笑のあとに、まるで磁石のように近づいて触れ合った唇。
求めたのはどちらだったか。


何度もキスをして、唾液を飲み交わす。透明な滴が口の端から溢れて顎を伝うのさえ御剣には刺激になった。
成歩堂は前から知っていたかのように御剣の感じる場所を的確に攻めた。
鎖骨をなぞり、乳首は舌で転がすようにして、脇腹を撫でる手はそのまま太腿の内側へ。
御剣は特に首筋を甘噛みされるのが気に入った。
吸血鬼の行為を連想させて、さながら成歩堂に食べられているかのような錯覚は御剣をどうしようもなく昂ぶらせた。
求めてやまない愛しい人物に全てを暴かれる感覚。
「ふ、あ・・・なるほ、ど・・・」
けれどまだ一箇所だけ、一番敏感な場所に成歩堂は触れていない。
「うん・・・気持ちいい?」
「っあ・・・ん・・・」
耳元で囁かれる声にすら反応してしまう。
「御剣・・・イキたい?」
御剣は限界に近かった。全身を愛撫され、中心からは止め処なく蜜が溢れ出している。
それは成歩堂も同じようで、発する声には余裕が無い。
「力、抜いてね」
「は・・・?・・・あ、んぁあ!」
成歩堂は言うと同時に自分の唾液で濡らした指を御剣の秘所にあてがい、ゆっくりと中へ進めた。快感に侵された脳の所為で一瞬、理解が遅れた御剣の体は、それだけに過敏に反応を示した。
「あぁ・・・あ、ああ、は・・・ん」
内壁を擦られ、痛みと異物感と快感が混ざった奇妙な感覚に理性を失いそうになり、知らず、成歩堂の背に回した手に力が入る。
「はぁ、あ、あ・・・な、る・・・ほ・・・も、やめ」
「ダメ」
突き放すように言うと成歩堂は御剣から指を引き抜き、代わりに自身を押し当てた。 
ゆっくり挿入されるそれは、しかし、先程までとは桁違いの熱と質量で、御剣の背が弓なりに反った。
成歩堂は声も無く耐えるその体を抱きしめ、更に深く腰を沈めていく。その時、意図せず御剣のある一点を擦りあげた。
「・・・ッあああ!」
嬌声をあげて御剣が達した。既に限界まで焦らされていた体には、その刺激だけで充分だった。
弛緩した御剣の、汗に濡れた前髪をそっとかき上げてやって成歩堂が口を開く。
「あは・・・そんなに良かった?」
囁かれて、意識の中に手放しかけた理性が戻る。
「あ・・・、は、放せ、成歩堂!」
「無茶言わないでよ。ぼくだって限界なんだから・・・」
逃げようと捩る体をそれ以上の力で拘束して、緩慢な速度で動き出した。
御剣のその場所が再び刺激されて、快感が全身を覆い始める。今しがた絶頂を迎えたばかりの中心に熱が集まってくるのを感じた。
「御剣・・・」
欲に濡れた声に応える。
「・・・成歩堂・・・」
自分でも信じられないような甘い声が出た。
「御剣、御剣、・・・みつるぎ・・・ッ!」
呼ばれる毎に深く穿たれ、その度に声をあげた。
「あ、あ、あ・・・は、あ、ん、なるほ、ど・・・」
「ん、あ・・・みつるぎ」
何度も名前を呼ばれ、同じだけ名前を呼んだ。
しかし、速度をあげる快感の中で、御剣はぼんやりと物足りなさを感じた。
二人とも絶頂が近づいて、互いを抱きしめる腕に力が入る。
「みつるぎ・・・」
囁きに次いで、首筋を甘噛みされた。
「あああああ・・・ッ!」
同時に体内に熱い迸りを受け、数瞬遅れて御剣も果てた。


目が覚めてから、ここが成歩堂の家であることを思い出すまでに少し間があった。家主はまだ寝ているようだ。起こさないようにそっとベッドから抜け出す。
あのあと寝室に場所を移して更に二回、事に及んだ。
最後の方の記憶が定かでないのには、どうやら気を失ったらしかった。
リビングに脱ぎっぱなしになっていた自分のスーツがハンガーにかけられて、半開きになったドアにぶら下がっている。
成歩堂は体も拭いてくれたらしい。ついでに下着も履かされていた。
少し気まずい思いをしながら服を着る。
眠っている男が起きる前に帰るつもりだ。
一度夜を共にしたくらいで御剣の心は変わらない。
互いの社会的な立場を考えれば当然のことだろう。無理がありすぎる。障害の多い関係を築きたいとは思わない。
だから彼も自分も絶対に口にはしなかった。
何度名前を呼んでも、何度名前を呼ばれても、そのあとに続くはずのたった一言だけは。
行為の途中に感じた物足りなさの正体。
否、そもそも足りなかったのではない。あってはならないものを排除しただけだ。多分、正しい判断だった。
だから胸がこんなに苦しくなるのはおかしい。
いい年をして、こんなことで泣きたくなるなんてどうかしている。
足早に成歩堂の家を後にして、駐車場の自分の車に乗り込む。
視界が滲んで、キーを差し込みたい手が震えた。
「成歩堂・・・」
言えなかった、たった一言が零れた。
「愛している」









初エロです。ちゃんとエロくなっているか不安・・・。ドキドキ。
書き始めたときのテーマは「切なくイチャこくナルミツ」だったんですが、いつのまにか「ところてん検事」に・・・(苦笑)。
タイトルの意味ですが・・・特にありません。ただ付けたかっただけです(最低)。
ラストの弁護士Ver.も一応書いてみました。→おまけ弁護士




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