甘くて、苦い。

    

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喧騒の中を電子音が響いて、別れの時が来た事を告げた。
「じゃあ、な。御剣・・・」
「ああ」
出発ロビーの入口の前で、残された僅かな時間を惜しむ。
成歩堂の左手が差し込まれたスーツのポケットが、物言いた気に小さな音をたてている。
「電話とかメールとかしろよ。お前すぐ忘れそうだけど」
「うム。・・・心がけよう」
御剣が海外へ行ってしまう。少なくとも一年は会えない。
「元気でやれよ」
「君も」
そう言った御剣の前に、先程までポケットの中にあった成歩堂の手が差し出された。飴の包みをのせて。薄いプラスチック製のそれは、彼の手の中で弄ばれていたらしく、既にヨレヨレになっている。
「何だそれは」
「餞別」
「子供じゃあるまいし・・・」
呆れ顔の御剣に強引に押し付けた。
「貰ってよ。食べてくれなくていいから」
小さな袋に、自分の心を託して。
「じゃあ、な・・・」
もう一度言って、
「ああ」
もう一度言った。
踵を返すのは二人同時。
一時の別れは引きずらない。次に会うときも対等でいるために。



シートベルト着用サインのランプが消えて、機内の雰囲気が和む。
御剣は窓側の席に座っていたが、夜の空はどこまでもただその闇を湛えているだけだった。
手持ち無沙汰の彼は、シャツのポケットから成歩堂に貰った包みを取り出した。
地上にあった時はくたびれていたそれは、気圧の変化で目いっぱい丸く膨らんでいる。
そっと開け、取り出し、口に放り込んだ甘い一粒は、けれど何故か苦い気がした。












思いついてから書き上げるまで30分のまさに突発ネタ。
しかし、こうして改めて見ると・・・・・・めめめ女々しい・・・!

まぁ、うちのナルミツは女々しくてなんぼ、ってことで。




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