エピローグ(エヴィル)

ヘサムの処刑を聞いたグリトラスは慟哭したという。死んだオットーの代わりに、彼に後を託そうと思っていたからだ。
やがてジムリアが31歳にしてブレーノフ帝国初代皇帝、アルブレヒト1世として即位する。
エヴィルはやがて始まるであろう迫害を恐れ、故地である北方に移動していった。
強大な権力を手に入れたジムリアは、ローフェン宰相の位を剥奪し、地方に左遷する。敵がいなくなった今、彼のように主君を売るような人間は不要である。
ローフェンはその翌月、失意のうちに自殺した。その月にジムリアはトゥブルクを左遷。彼が校長を務める軍学校の生徒たちは撤回を懇願したが、聞き入れられなかった。
5月、グリトラスの計画が露見し、グリトラスは粛清された。旧メーメッツ国家臣に衝撃が走った。
それから数ヶ月の間に、アットドルやニコラウスが相次いで反乱を起こし、ゲリクもそれに身を投じたが、いずれも鎮圧された。
勇敢にして誇り高き軍人ゲリクは、その死に場所を戦場に求めたのだった。
武将たちはそれぞれの生き様を貫き、あるいは死し、あるいは歴史の波にうずもれていった。

ここで、ヘサムの生まれたケスマルクの地のその後をたどってみることにしよう。
5世紀にジムリア王朝が崩壊すると、この地にケスマルク王国が成立する。
かつてエヴィル交易で繁栄したこの古い都は、再び一国の首都となり、昔日の面影を取り戻した。
やがて8世紀初頭、大陸は革命の嵐の真っ只中だった。各国で王制が打倒、乃至は弱体化され、共和政や立憲君主制が確立されていった。
ケスマルク王国とてその例外ではなかった。民衆の反乱により王は国外に追放され、736年、ついにケスマルク共和国政府が樹立された。
初代大統領、ルードウィヒ・クラムは自由と平等を唱え、エヴィルに大陸人と同等の権利を認めた。

革命から今年で300年、三度の世界大戦を経て荒廃したこの街も、今や着実に復興しつつある。
ケスマルクの国会議事堂前を訪れると、我々を長槍を携えて騎乗した兵士のブロンズ像が迎えることだろう。
我々は「名も無きエヴィル騎兵の像」と呼ばれるこの像を見て、ヘサムたちの勇姿に思いを馳せる。
そして思い出す。未だ達成されない真の平和に命をかけた熱き男たち、エヴィルの男たちのことを…。

(完)

ご意見・ご感想など

  • 2年動かして情勢が落ち着いてきたんでエピローグにしました。もし他にプレイレポートを書いてほしいシナリオとかがあればどうぞ。 -- 作者 (2008-06-16 10:38:57)
  • まあシナリオ1は結果はわかってましたからね。また書いてくださるなら未知のシナリオをやってみてほしかったり -- 名無しさん (2008-06-16 22:43:36)
  • 次は既存シナリオを改良してやってみようと思ってデータを弄ってます。具体的に言うと皇室の祖先データと分家データ、それから老将の子孫の追加です。 -- 作者 (2008-06-17 22:09:13)
  • ずっと読ませていただいていましたが、面白かったです。特に思い入れのあるシナリオ1だったので。ジムリアのキャラクターには、なるほどこういう解釈もあるのか~と思いました。ずっと気の良い裏のない人物というイメージしか抱けていませんでしたから。 -- ヤマアラシ (2008-06-19 18:36:50)
  • 実は私も最初はジムリアをそのように描こうとは思っていなくて、最初にローダン国の存在を忘れてメーメッツ国とジムリア国が隣接しているように書いてしまったために、それを埋め合わせるためにローダン軍を反乱軍として位置づけ、結果として彼をそのように描くことにしたのです。 -- 作者 (2008-06-19 19:09:00)
  • お返事ありがとうございます!なるほど。そういう経緯があったのですね。確かにローダンっていつも真っ先にジムリアに潰される運命ですからその設定でも十分納得がいきますし、何よりジムリアが裏のある人間に描かれていたことで物語が深くなってますね^^ところで、何回かシナリオ1をやりましたが、大体ローダン国は併合ではなく滅亡で潰れてしまっていました。なので、ローダンやローフェンという名前も、その先の歴史には登場しなかったのですが、この前は珍しく併合となり、ローダン家がその後栄えてて楽しかったです。この小説ではローフェンが宰相まで昇りつめましたね。結構意外でした。でも一番意外だったのはやっぱりジムローニの反乱でしたね。この前自分のところではシェルルッツが反乱しましたが、それ以上の驚きでした。この次は名無しさんの言うように、未知のシナリオもやってもらいたい気がします。また別の面白さがありそうなので。長文失礼しました。 -- ヤマアラシ (2008-06-21 17:00:00)
  • >物語が深くなってますね^^
    確かにだいぶ書きやすくなったところはあります。「征服者ジムリアvs阻止する群雄たち」という二極構造が使えますからね。
    >シェルルッツが反乱
    私の方ではシェルルッツは統一後、ジムリア皇帝に宰相任命→左遷をループされていましたwww
    >未知のシナリオ -- 作者 (2008-06-21 17:33:43)
  • 私は「皇帝の叔父が宰相」という状況が大好きなので、一度はじめからその状況で動かしてみたいと思って帝国の存在するシナリオを加工しています。
    元のシナリオ(シナリオナンバーは不明)は皇帝が厨性能なので、その能力を維持したまま帝国を不安定にしようと足掻いています。 -- 作者 (2008-06-21 17:40:18)
  • ちなみに昨日他のwikiで気づいたのですが、「&br()」を半角にしたものでコメントも改行できるようです。 -- 作者 (2008-06-21 17:42:44)
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最終更新:2008年06月21日 17:42
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