プレイレポート > エーインランス帝国正史 > 第9章

124年
2月
陛下の次男、フネスト・ミットダン親王がご成人。大将の位を拝命する。

3月
帝国領シュペバイドにツエマイヤー軍2万3千が侵攻。ランスワン皇太子率いる2万7千がこれを迎撃する。
ツエマイヤー軍を率いていたのはかつてツエマイヤー軍に降伏したハスリアであった。
川を挟んで睨み合っていた両軍だったが、敵軍に総勢5万の援軍が到着し、戦況は一変する。
ハスリアは帝国軍を誘き出すためにわざと自ら少ない兵力で布陣していたのだ。
帝国軍は兵力で圧倒され、もはや生還できないと悟ったランスワン皇太子は自害なさった。享年21歳という若さであった。
名声18

皇太子が亡くなったため、代わってフネスト親王が立太子される。
ツエマイヤー軍は同時にブルタンとアルフェルトを攻撃し、両都市は陥落した。

4月
この月、ついに帝都ブラウヒルトにツエマイヤー軍が侵攻を開始する。
篭城すべしとの声もあったが、陛下は堂々と野戦にて敵軍と勝敗を決する覚悟を固められ、
市民たちが志願した義勇軍を含む5万4千の兵を率いて出撃、敵将アイルランド・オービメッツ大将率いる敵軍4万7千と対峙する。
彼は猛狼クリスミズ・オービメッツの長男であり、父には劣りこそすれその名に恥じない能力を持っていた。

両軍が対陣するとアイルランドはラウジェン陛下に呼びかけた。
「ラウジェン・ミットダンよ。あなたは皇帝だ。しかし今その名が背負う帝国はわずかに辺境のこの都を残すのみ。その都も、今我が軍が滅ぼさんとしている。
たとえあなたがこの戦いに勝利したとしても、我々は再びこの都を攻めるだろう。すべての抵抗はいずれ無駄に終わるのだ。
ラウジェンよ、あなたも気づいているだろう。帝国の時代はもう終わったのだ。帝国は早晩滅びる運命にある。なぜ降伏しようとは考えないのか。
我が軍はあなたを高貴で尊厳ある人物としてお迎えする。これ以上戦いで血を流すことはやめようではないか。」

すると、陛下は驚くべき言葉でこれにお答えなさった。
「朕もこれ以上の流血は望まない。しかし、朕は降伏するわけにはいかない。なるほどあなた方の軍門に下れば臣民の命は救われるかもしれない。
だが朕の定めと父祖たちはそれを許さない。朕は皇帝になるべき身として生まれ、死ぬまで皇帝であるべきなのだ。朕は皇帝として死にたい。それも将兵を失うことなく、だ。
あなたに問おう。朕の最後の相手になる覚悟はあるか。朕が死ぬか、あなたが死ぬか。死ぬのは一人でたくさんだ。
諸君、心して聞け。朕と帝国のおそらく最後の詔勅だ。帝国軍のすべての将兵に第5代皇帝ラウジェン・ミットダンが命ずる。
決闘の間、すべての戦闘行為を禁ずる。もし天佑により朕が勝利を得れば再び朕の忠良なる手足として働くように。天命により朕が落命すればそのまま故郷に帰るように。
朕は昔から過去の英雄たちに憧れてきた。しかし朕がその中に名を連ねることはもはや叶うまい。
朕が求めるせめてもの名誉は、諸君とその子孫たちに朕の名前を記憶してもらうことだ。では諸君、さらばだ。」

陛下は輿から降りると、全軍の前に大剣を携えてお立ちになった。真紅の直垂に身を包んで立つそのお姿は、古代の英雄を髣髴とさせた。
アイルランドも馬を下りて前へ進み出た。両者は次第に距離を詰め、10万の兵が固唾を呑んでそれを見守った。
陛下は雄叫びとともにアイルランドに真っ向から斬りかかった。アイルランドはこれを受け流し、激しい剣戟が繰り広げられた。
二十合ばかり打ち合ったころ、アイルランドの剣が陛下の肩を傷つけた。陛下はひるまず剣を振るったが、アイルランドは腹部に突きを入れた。致命傷だった。
最後まで皇帝として戦い続けた陛下の体は帝国138年の歴史とともに崩折れた。享年36歳であった。
名声67

帝国軍の将兵は陛下の詔に従ってそのまま故郷へと帰り、ダンベスター宰相とフネスト皇太子は陛下のご遺体を輿に載せて私たち従者とともにエーインランスへ向かった。
ブラウヒルトの市民は占領軍に一切抵抗せずに喪に服しており、市内では一滴の血も流されなかった。
すべてが平穏のうちに行われた。燃え盛る炎のような戦乱の中から生まれた帝国の最後は、残雪が解けるように静かなものであった。
こうして、ミットダン王朝は滅亡した。

陛下のご遺体は皇太子らによってエーインランスの歴代皇帝の墓陵に埋葬され、先帝陛下のご遺体も現地の地方司令の許可を得てそちらへ改葬された。
皇族たちはエーインランス近郊の農村に移り住み、そこで暮らすこととなった。栄華を誇ったミットダン家は歴史の表舞台から身を引いたのだった。
最終更新:2009年02月22日 19:33
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