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本郷猛変身不可能!!」(2008/06/20 (金) 23:52:33) の最新版変更点

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*本郷猛変身不可能!! 仮面ライダー、本郷猛は改造人間である。 彼を改造したショッカーは、世界制服を企む悪の秘密結社である。 仮面ライダーは人間の自由の為に悪と戦うのだ。 しかし今の本郷は、仮面ライダーへ変身が出来ない。 参加者に課せられた、1度変身すれば2時間変身出来ない制限。 本郷はそれを知識としては知らないが、変身出来ない事実を体感で理解する。 つまり体力は著しく消耗し、変身も出来ない現状のままで 眼前の敵に対処しなければならない。   川原に立つ本郷の眼前に、東條悟と呼ばれた青年が対峙する。 今の東條は、銀色の鋭角を基調にした装甲に身を包んだ姿。 視覚にも重量感を伝える姿に、前頭部と左肩から伸びる角は威圧を引き立たせる。 神崎士郎が作ったカードデッキに拠って、変身した仮面ライダーガイ。 否、本郷は彼を仮面ライダーとは認めない。 眼前の男は、正義に背き卑劣な凶刃で一文字隼人の命を奪った怪人なのだ。 (一文字、俺は仮面ライダーだ。俺個人の復讐の為に、戦う事は出来ない。  だがお前の正義は、俺が引き継ごう。そして正義の為に、仮面ライダーを名乗る怪人を倒す!!)   本郷は東條に向きながら、じりじりと後退する。 人間には有り得ない脚力で地を蹴り、ガイは一瞬で本郷との間合いを詰めた。 その勢いに乗せ、右拳を本郷の顔面に打ち出す。 空気を裂く音が、発生したエネルギーの膨大さを示す。 右拳は本郷の左掌に横から払われ、勢い込んだガイの全身ごと横に流れていった。 今の太刀打ちで、本郷が理解した事は2つ。 1つはガイが、ショッカーの怪人に劣らぬ戦闘能力を持つ事。 先程ガイの一撃を避わせたのは、腕力で払い除けられたからではない。 ガイの勢いに逆らわず、受け流したに過ぎない。 もしまともに受ければ、恐らく一撃で死に到る。 もう1つはガイに、射撃等の遠隔攻撃手段が無い事。 (格闘戦のみで仕掛けてくるなら……戦いようは有る!) 間合いをはかりながら、ガイの戦力に思考を巡らす。 一撃でも貰えば死ぬ。その認識が本郷に最高の集中力を与えていた。   ガイは左肩アーマー前部の召喚機、メタルバイザーにアドベントカードを投げ入れる。 ――STRIKE VENT―― 電子音声が鳴り、メタルホーンがガイの右腕に装着。 メタルホーンで本郷の胸に向けて突く。 しかし、そこにはもう本郷は居ない。 ガイより一瞬早く踏み込んでその懐に入り、足をかけた。 転倒したガイはすぐに起き上がり、メタルホーンを振るう。 本郷はメタルホーンの軌道を見切り、最小限の動きで回避。 ガイは足を止め、メタルホーンによる連打。 それも最小限の見切りで間合いを離した本郷に、掠めた程度で終わる。 (…………おかしいな、スピードはこっちが勝ってる筈なのに……) 自分より速度で劣る標的を一向に捉えられない事実に、ガイは苛立つ。 本郷がガイの攻撃を回避可能なのは、予備動作から予測出来る為。 『技の一号』、それが本郷が変身する仮面ライダーに与えられた異名。 彼がそう呼ばれるのは何も豊富な技を持ち、それらの錬度精度に優れているだけではなく 豊富な戦闘経験に裏打ちされた洞察力と判断力で、自らの技量を生かす術にも長けているからこその尊称でも有る。 ガイの攻撃は尽く本郷に捌かれ、何度も体勢を崩す。 それは本郷にとって、反撃の好機である筈だ。 (…………全然攻撃が来ないね……) 何故、何時までも本郷からの反撃が無いのかとガイは考える。 (……やっぱりライダーには、効かないからかな?) 本郷は変身していない生身の状態。 如何に只の人間としては高い技術と鋭敏な感覚を併せ持っていても、ライダーに通用する威力は望めない。 (…………何だ、僕が焦る必要無かったかも…) 戦局は一見、攻めあぐねるガイの苦戦に思えるが 実際は何の危険も無く、一方的に攻め続けられる状況だ。 ならば本郷とて、1撃でも貰えば死に至る重圧の中で何時までも避わし続けるのは不可能な筈だ。 いずれ精神的に消耗して、不覚を取る。 それまで本郷に逃げる隙を与えない様に、攻め続ければいい。   戦局が膠着している内に、何時しか舞台は川原から民家の建ち並ぶ町並みに移っていた。 どうやら本郷によって、誘導されていたらしい。 本郷の底知れなさに、ガイは心底で不安を覚える。 ガイは両手を大きく広げ、直立のまま本郷に向い走り出す。 身体の何処かに当たれば、ダメージは免れない作戦だ。 回避は不可能と判断した本郷は両手をガイの肩に乗せ、足をガイの腹に掛け 全体重をガイに乗せた。 ガイは自分に急制動をかけ、本郷を挟む様に両手を振るう。 本郷は手を離し、慣性力のままにガイから飛び退いてそれを避わした。 間合いが遠退いた本郷へ、アスファルトを削りながらガイが蹴りを放つ。 大小無数のアスファルトの破片が、本郷の全身に降りかかり その一部が、視界を潰す。 (ライダー相手に良く頑張ったけど、最後はあっけなかったかも) 勝利を確信したガイは、仮面の下でほくそ笑みメタルホーンを振るう。 本郷の身体は、メタルホーンの軌道上から紙一重の差で外れた。 (避けた!? 見えない筈なのに……) ガイは高い運動能力で、本郷の背後に回り込みメタルホーンで突く。 本郷は振り向きざまに、掌で横からメタルホーンを打って軌道を逸らした。 (どうやら、こっちの動きは捉えれてるみたい…………) ガイは本郷の周りを周回する様に動き、散発的な攻撃を仕掛ける。 やはり全てを捌かれるが、本郷の反応から聴覚でガイの動きを察知していると分かった。 本郷を周回していたガイが、唐突なタイミングで跳躍。 (見えないなら、流石に空中の敵の動きは分からないよね?) 本郷の頭上を取ったガイは、無防備な頭に蹴りを放った。 その蹴り足が伸び切る直前、本郷の手がそれを掴み引っ張った。 「なっ!!?」 蹴り足が本郷の頭を逸れ、ガイは地面に倒れ落ちる。 改造人間である本郷の聴覚は、常人を遥かに凌ぐ鋭敏さを持つ。 ガイの身体が空気を切る音に意識を向ければ、動きを察知出来る。 本郷は目を擦って視力を回復し、民家へ後退しようとする。 ガイは慌てて起き上がり、回り込んで進路を阻んだ。 逃げられない本郷と、攻め切れないガイが睨みあう。 (しぶといね……どうせ勝てないんだから、さっさと諦めれば楽になれるのに)   改造人間としての超人的な身体能力。 仮面ライダー一号としての卓越した技量。 IQ600を誇る類稀な知性。 本郷猛を知る者は、彼のそれらの特徴に目を奪われる。 しかし他に特筆すべき長所として、不動不屈の精神力があった。 人ならざる身に改造され、巨大組織ショッカーに命を狙われた。 立花藤兵衛等の共に信頼し、支えてくれる人は居る。 だが真に同じ境遇に立ち、肩を並べて戦う事が出来る者は 一文字隼人が現れるまでは、存在しなかった。 望まぬ形で人間とは別種の生物に変えられ、社会の闇に潜む組織と戦わなければならない。 本郷の負う2重の孤独は、決して軽いものでは無い。 それでも本郷の信念が、挫ける事は無かった。 人の身に在らざるとも、保身ではなく人間の自由と平和の為に戦うと決意し ショッカーとの何時果てるとも知れない戦いでも、決して折れない強靭な意志。 その揺るがぬ強固な意思こそが、本郷猛を正義の戦士仮面ライダーたらしめたのだ。   ガイの攻めを、本郷が避わす膠着が続く。 どれ程の猛攻にさらされてもまるで揺るぎを見せない本郷に、ガイの苛立ちは募っていく。 「いい加減に観念したら? 幾ら足掻いても、勝ち目無いんだよ?」 メタルホーンを振るいながら、ガイが問い掛ける。 「お前こそ、何故こんな狂った戦いに乗る?」 「ライダーの戦いに勝ち残れば僕はもっと強くなって、英雄になれるから…………」 「人を踏み付けにして、何が英雄だ!!」 「君には理解出来ないだろうね、多くの為に一つを犠牲に出来る勇気も無さそうだし……。  理解して貰いたいとも思わないけど……」 ガイはメタルバイザーに、カードをベントインする。 「つまらないから、もう終わりにするね。君との議論も、戦いも」 ――ADVENT―― 本郷の背後の窓ガラスから銀色の犀お模したミラーモンスター、メタルゲラスが現れた。 ガラスを反対側から破るのではなく、ガラス面から空間に現出する。 「何っ!!?」 科学的に考えれば有り得ない奇襲に、本郷も意表を付かれる。 咄嗟に膝の力を抜き、転げ落ちながら予備動作の無い回避を行う。 「今のを避けるなんて、凄いね。……でも、こっちは避けれないよね?」 倒れ込んだ体勢の本郷に、ガイが走りこんで行く。 本郷は急いで回避の為、立ち上が――――――れない。 (間に合わん!!) 半身を起こした体勢の本郷に、ガイの蹴りが入った。 「…………やっと倒せた」 自分の蹴りを受けて独楽の如く地を転げていき倒れ伏した本郷を見て、ガイは一人ごちる。 「ちょっと、手こずったかも……………………っ!?」 仮面ライダーに蹴られた筈の本郷がゆっくりと、だが確実に立ち上がる。 ガイは追撃も忘れ目を見張る。 蹴りを受ける瞬間に本郷は、自分の身体を後ろに飛ばしていた。 同時に身体を捻り、衝撃を受け流していた。   ガイは獲物を狙う獣の如く、身を低くする。 「……君は本当に凄いよ。…………君みたいに凄い人を殺せたら、僕はもっと強くなれるかも」 ガイの狙いは、先程と同じくメタルゲラスとの時間差攻撃。 但し次はガイが先行して切り結び本郷の足を止め、その隙にメタルゲラスを向かわせる作戦。 「だから、今度こそ確実に…………死んで!」 本郷との間合いを詰めるべく、ガイが勢い良く地を蹴る。 ――――それより早く、本郷が駆け出していた。 先程までと全く違う速度の本郷に機先を制され、ガイは驚愕する。 本郷が先刻まで最小限の動きで、ガイの攻撃を避わし続けたのは 自分の体力を回復させ、敵の消耗と油断を誘う為。 ある程度回復すれば改造人間たる本郷は、変身せずとも超人的な身体能力を発揮出来る。 本郷がガイの顔面目掛け、ソフトボール大の黒い物体を放る。 それが自分が蹴飛ばしたアスファルトの破片だと、ガイが認識した刹那 本郷はアスファルトの破片を蹴りで、ガイの顔面に叩き付けた。 自分の勢いがカウンターとなり、ガイの強固な装甲を通す程の衝撃が生まれる。 思わず顔を抑えて蹲るガイ。 「っく! …………行け、メタルゲラス!!」 本郷は向かってくるメタルゲラスから、逃げる様に走り出した。 そして電柱をに背を預ける形で、立ち止まる。 メタルゲラスを充分に引き付け、紙一重で横に転がって避ける。 電柱はメタルゲラスの一撃で、飴細工の様に容易く折れた。 本郷が電柱に渾身の蹴りを打つ。 電柱は勢い良く倒れ、隣の電柱に渡っていた電線が切断。 倒れた電柱に引かれた電線は、本郷の狙い通り蹲っているガイに巻き付き切断面が接触。   「うわぁぁぁああああああああああああっ!!!!」 ガイの重装甲でも、電線に流れる高圧電流は防ぎ切れない。 ガイは必死に、自分の身体に巻き付いた電線を解く。 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」 息も絶え絶え、足下も覚束無い様子で自分の装甲が粒子化していくのを確認しながら ガイはアドベントカードをベントインした。 ――FINAL VENT―― ガイを肩に乗せ、メタルゲラスが突進していく。 本郷が居る位置とは反対方向へと。 ガイのファイナルベント、ヘビープレッシャーは高速移動手段にもなる。 変身の制限時間が近いと判断したガイは、それを戦線からの離脱に使った。 「……………………逃げたか…………」 走り去るガイを見送り、本郷はようやく一息付く事が出来た。    ◇  ◆  ◇   静謐に満たされた川原。 そこに横たわる一文字隼人の亡骸に、本郷は歩み寄る。 本郷は一文字の首下で光る首輪に手を掛け、何かを躊躇する様子を見せ やがて首輪を力付くで引っ張った。   ――――首輪の外壁にひびが入ると、一文字の身体は灰と化していった――――   「…………すまんな一文字」   ――――やがてその灰は風に運ばれ――――   本郷はそれきり一言も発さず空を仰ぐ。   ――――仮面ライダー二号は天へ還っていった――――   ややあって本郷はゆっくりと歩き出す。 (一文字、この戦いが終わればお前を必ず弔ってやる。だから今は、俺と共に戦ってくれ!!) 首輪は解体等をする際の、貴重なサンプルとしてデイパックに仕舞う。 近くに有った一文字のデイパックも拾い、地図を取り出し見始めた。 (おやっさん捜すにも、そっちは目処が無い。先に研究所へ行って、首輪の解析をするか) 研究所を目的地に定め、本郷は出発する。 その足取りに迷いは無い。 本郷猛は例え1人でも、信念を曲げない男だ。 そして今の本郷は1人ではない。 本郷の魂には、今や正義を共にする戦友が居るのだ。 【東條悟@仮面ライダー龍騎】 【1日目 早朝】 【現在地:G-3】 【時間軸:44話終了後】 【状態:疲労極大。1時間変身不能(タイガ)、仮面ライダーガイに変身中。】 【装備:タイガのデッキ、ガイのデッキ】 【道具:基本支給品×2、特殊支給品(未確認)、サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎、芝浦の首輪】 【思考・状況】 基本行動方針:全員殺して勝ち残り、名実共に英雄となる 1:『ある程度の力を持つ参加者を一人でも多く間引く』。 2:できれば最後の仕上げは先生(香川)にしたい 3:殺した奴の首輪をコレクションするのも面白い 備考 ※東條はまだ芝浦の特殊支給品(サバイブ烈火)を確認していません 【本郷猛@仮面ライダー】 【1日目 早朝】 【現在地:G-3 北部】 【時間軸:ガラガランダ戦後。ショッカー首領からショッカーの壊滅を聞いた後】 【状態:疲労極大。2時間変身不可(一号)】 【装備:無し 】 【道具:基本支給品×2、ラウズアブゾーバー、V3ホッパー、一文字の首輪(ひび有り)】 【思考・状況】 基本行動方針:この狂った戦いを止めさせる。 1:研究所へ行き、首輪を解析する 2:おやっさんの捜索 備考 ※本郷は参加者達(少なくとも自分達)は違う時間軸から集められたことに気付きました。 ※ライダーダブルキックの轟音が周囲エリアに響き渡りました。 |035:[[全ては思いのままに]]|投下順|037:[[渦]]| |035:[[全ては思いのままに]]|時系列順|037:[[渦]]| |028:[[それぞれの場合/NEXT STAGE]]|[[東條悟]]|049:[[すべてのうつくしいものから]]| |028:[[それぞれの場合/NEXT STAGE]]|[[本郷猛]]|052:[[イプソ・ファクト]]|
*本郷猛変身不可能!! 仮面ライダー、本郷猛は改造人間である。 彼を改造したショッカーは、世界制服を企む悪の秘密結社である。 仮面ライダーは人間の自由の為に悪と戦うのだ。 しかし今の本郷は、仮面ライダーへ変身が出来ない。 参加者に課せられた、1度変身すれば2時間変身出来ない制限。 本郷はそれを知識としては知らないが、変身出来ない事実を体感で理解する。 つまり体力は著しく消耗し、変身も出来ない現状のままで 眼前の敵に対処しなければならない。   川原に立つ本郷の眼前に、東條悟と呼ばれた青年が対峙する。 今の東條は、銀色の鋭角を基調にした装甲に身を包んだ姿。 視覚にも重量感を伝える姿に、前頭部と左肩から伸びる角は威圧を引き立たせる。 神崎士郎が作ったカードデッキに拠って、変身した仮面ライダーガイ。 否、本郷は彼を仮面ライダーとは認めない。 眼前の男は、正義に背き卑劣な凶刃で一文字隼人の命を奪った怪人なのだ。 (一文字、俺は仮面ライダーだ。俺個人の復讐の為に、戦う事は出来ない。  だがお前の正義は、俺が引き継ごう。そして正義の為に、仮面ライダーを名乗る怪人を倒す!!)   本郷は東條に向きながら、じりじりと後退する。 人間には有り得ない脚力で地を蹴り、ガイは一瞬で本郷との間合いを詰めた。 その勢いに乗せ、右拳を本郷の顔面に打ち出す。 空気を裂く音が、発生したエネルギーの膨大さを示す。 右拳は本郷の左掌に横から払われ、勢い込んだガイの全身ごと横に流れていった。 今の太刀打ちで、本郷が理解した事は2つ。 1つはガイが、ショッカーの怪人に劣らぬ戦闘能力を持つ事。 先程ガイの一撃を避わせたのは、腕力で払い除けられたからではない。 ガイの勢いに逆らわず、受け流したに過ぎない。 もしまともに受ければ、恐らく一撃で死に到る。 もう1つはガイに、射撃等の遠隔攻撃手段が無い事。 (格闘戦のみで仕掛けてくるなら……戦いようは有る!) 間合いをはかりながら、ガイの戦力に思考を巡らす。 一撃でも貰えば死ぬ。その認識が本郷に最高の集中力を与えていた。   ガイは左肩アーマー前部の召喚機、メタルバイザーにアドベントカードを投げ入れる。 ――STRIKE VENT―― 電子音声が鳴り、メタルホーンがガイの右腕に装着。 メタルホーンで本郷の胸に向けて突く。 しかし、そこにはもう本郷は居ない。 ガイより一瞬早く踏み込んでその懐に入り、足をかけた。 転倒したガイはすぐに起き上がり、メタルホーンを振るう。 本郷はメタルホーンの軌道を見切り、最小限の動きで回避。 ガイは足を止め、メタルホーンによる連打。 それも最小限の見切りで間合いを離した本郷に、掠めた程度で終わる。 (…………おかしいな、スピードはこっちが勝ってる筈なのに……) 自分より速度で劣る標的を一向に捉えられない事実に、ガイは苛立つ。 本郷がガイの攻撃を回避可能なのは、予備動作から予測出来る為。 『技の一号』、それが本郷が変身する仮面ライダーに与えられた異名。 彼がそう呼ばれるのは何も豊富な技を持ち、それらの錬度精度に優れているだけではなく 豊富な戦闘経験に裏打ちされた洞察力と判断力で、自らの技量を生かす術にも長けているからこその尊称でも有る。 ガイの攻撃は尽く本郷に捌かれ、何度も体勢を崩す。 それは本郷にとって、反撃の好機である筈だ。 (…………全然攻撃が来ないね……) 何故、何時までも本郷からの反撃が無いのかとガイは考える。 (……やっぱりライダーには、効かないからかな?) 本郷は変身していない生身の状態。 如何に只の人間としては高い技術と鋭敏な感覚を併せ持っていても、ライダーに通用する威力は望めない。 (…………何だ、僕が焦る必要無かったかも…) 戦局は一見、攻めあぐねるガイの苦戦に思えるが 実際は何の危険も無く、一方的に攻め続けられる状況だ。 ならば本郷とて、1撃でも貰えば死に至る重圧の中で何時までも避わし続けるのは不可能な筈だ。 いずれ精神的に消耗して、不覚を取る。 それまで本郷に逃げる隙を与えない様に、攻め続ければいい。   戦局が膠着している内に、何時しか舞台は川原から民家の建ち並ぶ町並みに移っていた。 どうやら本郷によって、誘導されていたらしい。 本郷の底知れなさに、ガイは心底で不安を覚える。 ガイは両手を大きく広げ、直立のまま本郷に向い走り出す。 身体の何処かに当たれば、ダメージは免れない作戦だ。 回避は不可能と判断した本郷は両手をガイの肩に乗せ、足をガイの腹に掛け 全体重をガイに乗せた。 ガイは自分に急制動をかけ、本郷を挟む様に両手を振るう。 本郷は手を離し、慣性力のままにガイから飛び退いてそれを避わした。 間合いが遠退いた本郷へ、アスファルトを削りながらガイが蹴りを放つ。 大小無数のアスファルトの破片が、本郷の全身に降りかかり その一部が、視界を潰す。 (ライダー相手に良く頑張ったけど、最後はあっけなかったかも) 勝利を確信したガイは、仮面の下でほくそ笑みメタルホーンを振るう。 本郷の身体は、メタルホーンの軌道上から紙一重の差で外れた。 (避けた!? 見えない筈なのに……) ガイは高い運動能力で、本郷の背後に回り込みメタルホーンで突く。 本郷は振り向きざまに、掌で横からメタルホーンを打って軌道を逸らした。 (どうやら、こっちの動きは捉えれてるみたい…………) ガイは本郷の周りを周回する様に動き、散発的な攻撃を仕掛ける。 やはり全てを捌かれるが、本郷の反応から聴覚でガイの動きを察知していると分かった。 本郷を周回していたガイが、唐突なタイミングで跳躍。 (見えないなら、流石に空中の敵の動きは分からないよね?) 本郷の頭上を取ったガイは、無防備な頭に蹴りを放った。 その蹴り足が伸び切る直前、本郷の手がそれを掴み引っ張った。 「なっ!!?」 蹴り足が本郷の頭を逸れ、ガイは地面に倒れ落ちる。 改造人間である本郷の聴覚は、常人を遥かに凌ぐ鋭敏さを持つ。 ガイの身体が空気を切る音に意識を向ければ、動きを察知出来る。 本郷は目を擦って視力を回復し、民家へ後退しようとする。 ガイは慌てて起き上がり、回り込んで進路を阻んだ。 逃げられない本郷と、攻め切れないガイが睨みあう。 (しぶといね……どうせ勝てないんだから、さっさと諦めれば楽になれるのに)   改造人間としての超人的な身体能力。 仮面ライダー一号としての卓越した技量。 IQ600を誇る類稀な知性。 本郷猛を知る者は、彼のそれらの特徴に目を奪われる。 しかし他に特筆すべき長所として、不動不屈の精神力があった。 人ならざる身に改造され、巨大組織ショッカーに命を狙われた。 立花藤兵衛等の共に信頼し、支えてくれる人は居る。 だが真に同じ境遇に立ち、肩を並べて戦う事が出来る者は 一文字隼人が現れるまでは、存在しなかった。 望まぬ形で人間とは別種の生物に変えられ、社会の闇に潜む組織と戦わなければならない。 本郷の負う2重の孤独は、決して軽いものでは無い。 それでも本郷の信念が、挫ける事は無かった。 人の身に在らざるとも、保身ではなく人間の自由と平和の為に戦うと決意し ショッカーとの何時果てるとも知れない戦いでも、決して折れない強靭な意志。 その揺るがぬ強固な意思こそが、本郷猛を正義の戦士仮面ライダーたらしめたのだ。   ガイの攻めを、本郷が避わす膠着が続く。 どれ程の猛攻にさらされてもまるで揺るぎを見せない本郷に、ガイの苛立ちは募っていく。 「いい加減に観念したら? 幾ら足掻いても、勝ち目無いんだよ?」 メタルホーンを振るいながら、ガイが問い掛ける。 「お前こそ、何故こんな狂った戦いに乗る?」 「ライダーの戦いに勝ち残れば僕はもっと強くなって、英雄になれるから…………」 「人を踏み付けにして、何が英雄だ!!」 「君には理解出来ないだろうね、多くの為に一つを犠牲に出来る勇気も無さそうだし……。  理解して貰いたいとも思わないけど……」 ガイはメタルバイザーに、カードをベントインする。 「つまらないから、もう終わりにするね。君との議論も、戦いも」 ――ADVENT―― 本郷の背後の窓ガラスから銀色の犀お模したミラーモンスター、メタルゲラスが現れた。 ガラスを反対側から破るのではなく、ガラス面から空間に現出する。 「何っ!!?」 科学的に考えれば有り得ない奇襲に、本郷も意表を付かれる。 咄嗟に膝の力を抜き、転げ落ちながら予備動作の無い回避を行う。 「今のを避けるなんて、凄いね。……でも、こっちは避けれないよね?」 倒れ込んだ体勢の本郷に、ガイが走りこんで行く。 本郷は急いで回避の為、立ち上が――――――れない。 (間に合わん!!) 半身を起こした体勢の本郷に、ガイの蹴りが入った。 「…………やっと倒せた」 自分の蹴りを受けて独楽の如く地を転げていき倒れ伏した本郷を見て、ガイは一人ごちる。 「ちょっと、手こずったかも……………………っ!?」 仮面ライダーに蹴られた筈の本郷がゆっくりと、だが確実に立ち上がる。 ガイは追撃も忘れ目を見張る。 蹴りを受ける瞬間に本郷は、自分の身体を後ろに飛ばしていた。 同時に身体を捻り、衝撃を受け流していた。   ガイは獲物を狙う獣の如く、身を低くする。 「……君は本当に凄いよ。…………君みたいに凄い人を殺せたら、僕はもっと強くなれるかも」 ガイの狙いは、先程と同じくメタルゲラスとの時間差攻撃。 但し次はガイが先行して切り結び本郷の足を止め、その隙にメタルゲラスを向かわせる作戦。 「だから、今度こそ確実に…………死んで!」 本郷との間合いを詰めるべく、ガイが勢い良く地を蹴る。 ――――それより早く、本郷が駆け出していた。 先程までと全く違う速度の本郷に機先を制され、ガイは驚愕する。 本郷が先刻まで最小限の動きで、ガイの攻撃を避わし続けたのは 自分の体力を回復させ、敵の消耗と油断を誘う為。 ある程度回復すれば改造人間たる本郷は、変身せずとも超人的な身体能力を発揮出来る。 本郷がガイの顔面目掛け、ソフトボール大の黒い物体を放る。 それが自分が蹴飛ばしたアスファルトの破片だと、ガイが認識した刹那 本郷はアスファルトの破片を蹴りで、ガイの顔面に叩き付けた。 自分の勢いがカウンターとなり、ガイの強固な装甲を通す程の衝撃が生まれる。 思わず顔を抑えて蹲るガイ。 「っく! …………行け、メタルゲラス!!」 本郷は向かってくるメタルゲラスから、逃げる様に走り出した。 そして電柱をに背を預ける形で、立ち止まる。 メタルゲラスを充分に引き付け、紙一重で横に転がって避ける。 電柱はメタルゲラスの一撃で、飴細工の様に容易く折れた。 本郷が電柱に渾身の蹴りを打つ。 電柱は勢い良く倒れ、隣の電柱に渡っていた電線が切断。 倒れた電柱に引かれた電線は、本郷の狙い通り蹲っているガイに巻き付き切断面が接触。   「うわぁぁぁああああああああああああっ!!!!」 ガイの重装甲でも、電線に流れる高圧電流は防ぎ切れない。 ガイは必死に、自分の身体に巻き付いた電線を解く。 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」 息も絶え絶え、足下も覚束無い様子で自分の装甲が粒子化していくのを確認しながら ガイはアドベントカードをベントインした。 ――FINAL VENT―― ガイを肩に乗せ、メタルゲラスが突進していく。 本郷が居る位置とは反対方向へと。 ガイのファイナルベント、ヘビープレッシャーは高速移動手段にもなる。 変身の制限時間が近いと判断したガイは、それを戦線からの離脱に使った。 「……………………逃げたか…………」 走り去るガイを見送り、本郷はようやく一息付く事が出来た。    ◇  ◆  ◇   静謐に満たされた川原。 そこに横たわる一文字隼人の亡骸に、本郷は歩み寄る。 本郷は一文字の首下で光る首輪に手を掛け、何かを躊躇する様子を見せ やがて首輪を力付くで引っ張った。   ――――首輪の外壁にひびが入ると、一文字の身体は灰と化していった――――   「…………すまんな一文字」   ――――やがてその灰は風に運ばれ――――   本郷はそれきり一言も発さず空を仰ぐ。   ――――仮面ライダー二号は天へ還っていった――――   ややあって本郷はゆっくりと歩き出す。 (一文字、この戦いが終わればお前を必ず弔ってやる。だから今は、俺と共に戦ってくれ!!) 首輪は解体等をする際の、貴重なサンプルとしてデイパックに仕舞う。 近くに有った一文字のデイパックも拾い、地図を取り出し見始めた。 (おやっさん捜すにも、そっちは目処が無い。先に研究所へ行って、首輪の解析をするか) 研究所を目的地に定め、本郷は出発する。 その足取りに迷いは無い。 本郷猛は例え1人でも、信念を曲げない男だ。 そして今の本郷は1人ではない。 本郷の魂には、今や正義を共にする戦友が居るのだ。 【東條悟@仮面ライダー龍騎】 【1日目 早朝】 【現在地:G-3】 【時間軸:44話終了後】 【状態:疲労極大。1時間変身不能(タイガ)、仮面ライダーガイに変身中。】 【装備:タイガのデッキ、ガイのデッキ】 【道具:基本支給品×2、特殊支給品(未確認)、サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎、芝浦の首輪】 【思考・状況】 基本行動方針:全員殺して勝ち残り、名実共に英雄となる 1:『ある程度の力を持つ参加者を一人でも多く間引く』。 2:できれば最後の仕上げは先生(香川)にしたい 3:殺した奴の首輪をコレクションするのも面白い 備考 ※東條はまだ芝浦の特殊支給品(サバイブ烈火)を確認していません 【本郷猛@仮面ライダー】 【1日目 早朝】 【現在地:G-3 北部】 【時間軸:ガラガランダ戦後。ショッカー首領からショッカーの壊滅を聞いた後】 【状態:疲労極大。2時間変身不可(一号)】 【装備:無し 】 【道具:基本支給品×2、ラウズアブゾーバー、V3ホッパー、一文字の首輪(ひび有り)】 【思考・状況】 基本行動方針:この狂った戦いを止めさせる。 1:研究所へ行き、首輪を解析する 2:おやっさんの捜索 備考 ※本郷は参加者達(少なくとも自分達)は違う時間軸から集められたことに気付きました。 ※ライダーダブルキックの轟音が周囲エリアに響き渡りました。 |035:[[全ては思いのままに]]|投下順|037:[[渦]]| |035:[[全ては思いのままに]]|時系列順|037:[[渦]]| |028:[[それぞれの場合/NEXT STAGE]]|[[東條悟]]|049:[[すべてのうつくしいものから]]| |028:[[それぞれの場合/NEXT STAGE]]|[[本郷猛]]|052:[[イプソ・ファクト(前編)]]|

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