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全てを喰らう牙」(2014/05/21 (水) 14:06:38) の最新版変更点

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*全てを喰らう牙  清々しいはずの朝の空気も今の彼らにとっては重苦しく感じられた。血腥い戦場にそのような安らぎなどは存在しないのだろうか。  ひたすらに歩み続ける一組の男女。"一文字隼人"、"ハナ"。バトルロワイヤルからの脱出を試みる彼らは共に闘う仲間を求め、進路を南に探索を続けていた。  長い道中、彼らはこれまでのことを少しずつだが語り合った。 「…本郷に注意しろだと? 馬鹿な…」 「でも確かにあすかさんはそう言って…」 「彼女がそんなことを…?」 一文字には理解出来なかった。彼女が何故そのような発言をしたのか。 「…一文字さん?」 困惑した表情を気にしたハナは一文字に優しく問い掛ける。 「…本郷のことは気にするな。さっきバイクで走っていった男が…といってもお前はそのとき寝ていたか。とにかく、本郷は敵じゃない。俺が保証する」 いつになく真剣に語る一文字の姿からはとてもその話が嘘だとは思えない。かといって、あすかさんが嘘をついていたとも思えなかった。  常日頃、時の列車に巣くう青い嘘つきなイマジンの話を聞かされているハナは人よりも嘘を見破るのが得意なはずだった。だからこそあすかも、一文字もどちらも嘘をついているとは思えなかった。 「橘! ぼやぼやするな!」 軍服に身を包んだ男"ゾル大佐"は激を飛ばす。その後ろに続くのはスーツ姿の男"橘朔也"。 「何をしている! 急がんか!」 変身制限がかけられた今、敵に襲われる危険は計り知れない。落ち着ける場所を見つけるまでは歩みを止めるわけにはいかない。痛みをこらえて歩き続けるゾル大佐は苛立ちを隠せなかった。  一方、橘も考えていた。先程の戦闘の疲労は相当なもの。それにも関わらず平然と振る舞い続ける目の前の男に確信を深めた。ゾル大佐はやはり主催者との内通者であり、自分の監視役であると。 「…待て」 どこからともなく聞こえてきた声に2人はとっさに身を潜めた。 「隠れても無駄だ…全部まとめて…喰ってやる!」 男の手から零れ落ちたマスターパスは宙を舞い、腰に巻かれたベルトにセタッチする。 「変身!」 「Gaoh form」 鳴り響く荘厳な音楽と共に男"牙王"はベルトから放出される粒子によって闘いの鎧をその身に纏った。  ゾル大佐は木陰に身を潜めながら様子を窺っていた。恐れていた最悪の事態。だから急げと言ったのに。だがいまさらそんなことを言っても始まらない。この危機を乗り越えるには……  橘も近くの木を盾にし、考えを巡らせた。目の前の男は現実の存在か、はたまた内通者が呼び寄せた作為的なマーダーか。どちらにせよ変身出来ぬ今、選択肢は一つ。如何にしてこの危機から逃れるか。 「…いつまで隠れてるつもりだ!?」 「Full charge」 ガオウは光り輝く剣を大きく振るった。 「…もうだいぶ歩いてきたみたいね」 そう言いながらハナは時計と地図を確認する。響鬼達と別れてからまもなく一時間が経過しようとしていた。 「もうこんな時間か…お前と一緒にいると時間の経つのが早い……」 さり気なく肩へ回してきた一文字の腕をハナは華麗に避け、何事もなかったかのように会話を続ける。 「往復のことを考えたら、そろそろ引き返しましょうか」 「そうだな……伏せろ!」 一文字がハナを庇うように倒れ込むと彼らの頭上をドリル状の光の刃が駆け巡り、辺りの木々を薙ぎ倒した。 「……4人か」 ガオウは隠れる場所を失った獲物をじっくりと見定める。どうせ喰らうならなるべく強い方がいい.  先程も会った男にデンライナーに乗っていた女。この2人はどちらも大したことはない。1人は闘いから逃げ、もう1人は変身出来ないただの女。だが、残りの2人も逃げ場を失って尚変身しないところを見ればたかが知れている。 「さあ…誰から俺に喰われたい? それともみんなまとめて喰ってやろうか?」 一文字はそっとハナの前に立つ。 「下がってろ…俺がやる」 「そんな! 私も…」 いきり立つハナの口を手袋に覆われた一文字の手が優しく塞ぐ。 「本郷との約束なんでね…」 "彼らを頼む。"あまり認めたくはないが唯一の"親友"の頼み。無碍に断るわけにはいかない。一文字はマスクを持ち、ベルトに手をかける。 「そこの大喰らい…俺が相手になってやる」 ベルトの起動と共に緑の戦士、ホッパー2号が飛び上がった。 「何!? 何故仮面ライダーが…」 ゾル大佐は驚きを隠せない。一号や二号に酷使した戦士の姿に。本郷と一文字以外にもショッカーの手によって作られたライダーがいたというのか?  少し考えてすぐに結論が出た。他にライダーがいても不思議ではない。参加者は別々の時間軸からつれて来られている。ならばあれはきっと自分が知っているよりも未来のショッカーが作った新たなライダー。 「…橘。今のうちにいくぞ」 ショッカーのライダーならば援軍に等しい。彼が戦闘しているうちに逃げて体制を立て直す。ゾル大佐はそう判断した。 「分かった…」 一方、橘も考える。突如現れた男は恐らく先程自分達と闘った敵と同じ存在。そしてそばにいる2人組のうち、どちらかが現実の人間。またどちらかが奴を呼び寄せた主催者との内通者だろう。そしてゾル大佐の反応からすれば… (緑色の仮面ライダーとやらに監視されている女性が現実世界からつれて来られた人間か。今は無理だが…いつか必ず助ける。だから…許してくれ)  橘とゾル大佐は急いでその場を後にした。 **状態表 【橘朔也@仮面ライダー剣】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後) 【状態】:全身に疲労。 ギャレンに2時間変身不能。 【装備】:ギャレンバックル 【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1~6、9)、レトルトカレー、特殊支給品×? 【思考・状況】 基本行動方針:仮想現実から本当の現実に帰還し、主催者を打倒する為、勝ち残る。 1:とりあえず市街地からは離れる。 2:ゾル大佐と行動を共にし、利用する。 3:仮想現実とは言え本当に非情になり切れるか不安。 備考 ※今の自分は仮想現実の中に居ると確信しています。 ※自分以外にも現実世界から連れて来られた人物はいると考えてはいます。 ※ゾル大佐は主催者との内通者であり、自分の監視役と確信しています。 ※例え脱出の手がかり等があったとしてもそれらは全て仮想現実上の物であり、真に脱出する事は不可能と確信しています。 ※ハナを現実世界から連れて来られた人物、一文字を主催者との内通者であり、ハナの監視役、牙王を一文字が呼び寄せた作為的なマーダーと判断しました。 【ゾル大佐@仮面ライダー(初代)】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 【時間軸】:三十九話開始直後 【状態】:全身に疲労。胸に砲撃によるダメージ。黄金狼男に2時間変身不能。 【装備】:なし 【道具】:基本支給品一式、特殊支給品×? 【思考・状況】 基本行動方針:生き残ってショッカーを再興させる 1:とりあえず市街地から離れる。 2:橘の態度に不信感。 2:後ほど一文字と本郷を倒しに行く。 備考 ※基本支給品の携帯電話の使用方法を知りました。 ※参加者が別々の時間軸からつれて来られている事に気付きました。 ※変身制限に気付きました。 ※剣世界について大まかな知識を得ました。 ※死亡した一文字は同姓同名の別人と考えています。 ※一文字(R)のことを未来のショッカーが新たに作ったライダーだと思っています。  その頃、ガオウとホッパーの闘いは激しさを増していた。  力だけでいけばガオウの方が明らかに優勢だった。ガオウガッシャーの一太刀一太刀が重く、力強く、辺りに空気を切り裂く鈍い音が響いていた。  しかしホッパーはその剣筋を見定め、どんなに体制が崩れようと一つ一つ確実に回避していく。そしてどのような体制からでもまるで舞うように軽やかに振る舞い、正確に蹴り込んでいく。その華麗な足技はまさに技の2号の名に相応しいものだった。  蹴りの一撃一撃の威力は微々たるものだが度重なることで確実にガオウにはダメージが蓄積されていく。 「こざかしい!」 ガオウが袈裟掛けに振り下ろしたガオウガッシャーをホッパーは一歩下がって避けようとする――が、何度も同じ手を喰らう相手ではなかった。ガオウは斬り込みながらも強引に前進し、ホッパーの胸を力ずくで切り裂いた。  まともに一撃を浴び、ホッパーが多少怯んだ隙をつき、ガオウはがむしゃらに切りかかる。何度も振り下ろされる刀に合わせ、火花が周囲に飛び散る。 「この程度か…」 「Full charge」 再び鳴り響く電子音声。ガオウガッシャーの刃先に光が宿っていく。 「一文字さん!」 思わず駆け寄ろうとするハナをホッパーは手を広げて制した。 「女に心配してもらうほど…俺は柔じゃない…」 そしてホッパーは勢いをつけ、空高く飛び上がった。  ホッパーはガオウに強烈な一撃を叩き込むために右足を向ける。  だがガオウも黙っていない。光迸るガオウガッシャーを振り上げる。  回転しながら宙を舞うドリル状のオーラソードの軌道にホッパーのキックが重なる。  力比べで分が悪いことを一文字は重々承知していた。それでも止まらずに迎え撃つ。光の刃と逞しき脚が空中でぶつかり合う。  信頼する友のためか、惚れた女のためか。何にせよ一文字はまだこんなところで死ぬわけにはいかなかった。 「…何!」 ガオウは驚きを隠せない。力比べで自分が負けるとは考えられなかった。 「うおぉぉぉぉぉぉ!!」 ひたすらに突き進む緑の矢が光の刃を跳ね飛ばし、ガオウの体を捉えた。  轟音と共に激しい土煙が舞い上がる。たなびく煙の中から現れたのは――マスクを外した緑の戦士。 「一文字さん!」 思わず喜びの声を上げるハナ。 「…さて、そろそろあいつらが待ってる頃だろ…帰るか」 フラフラと歩き、ハナに近づく一文字。 「STRIKE VENT」 土煙を掻き分けやって来た炎の竜が一文字の背中に激突すると、一文字はそのまま力無く吹き飛んだ。 「前菜は終わった…メインディッシュの始まりだ!」 ようやく消え行く土煙の中から現れたのは竜の牙を持つ王"仮面ライダーリュウガ"。 「…しぶとい…やろうだ…」 リジェクションによる負荷と激戦の痛みが全身を襲い、一文字は気を失ってしまった。 「一文字さん!」 「眠るにはまだ早いんだがな…」 じりじりと近寄るリュウガの姿にハナは決断し、デッキを構える。 「ほお…少しは楽しませてくれそうだな…」 「変身!」 花の騎士と竜の牙を持つ王。漆黒の鎧を纏った戦士同士が対峙した。 「NASTY VENT」 不可思議な超音波がリュウガを不意に襲った。 「…く!」 「ADVENT」 たじろいだ一瞬の隙をつき、ナイトは即座に次のカードを読み込む。ペットボトルから飛び出してきたコウモリがリュウガの視界を覆い、気がついたときには既にナイトと一文字の姿はなかった。 「逃がしたか…」 後には変身を解除したガオウが1人残った。  一文字を抱え、コウモリに捕まりながら空を飛ぶハナ。気絶した一文字を庇いながらの闘いを不利と考えての判断だった。  気絶した一文字を気遣いながらハナは目的地へと急ぐ。響鬼達との合流を信じて。 【牙王@仮面ライダー電王】 【1日目 現時刻: 朝】 【現在地:F-4エリア北部】 【時間軸】:最終決戦前。 【状態】:全身にキックによるダメージ、ガオウに2時間変身不可。 リュウガに2時間変身不可。 【装備】:ガオウベルト 【道具】:マスターパス、基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)、リュウガのデッキ、コンビニから持ってきた大量の飲食料 【思考・状況】 基本行動方針:全て喰らい尽くした上で優勝 1:適当に歩き回り、参加者を喰らう。最終的にゴルゴス、死神、影山も喰う。 2:一文字、ハナ、加賀美新、風間大介、天道総司を倒したと思われる参加者を喰らう 3:機会があれば煩わしい首輪を外す。 4:ガオウライナーを取り戻して村上も喰う。 ※会場のどこかに時の列車(予想ではガオウライナー)が隠されていると推測しています。 ※何処へ向かうかは次の人にお任せします。 ※木場の生存には未だ気づいていません 【一文字隼人@仮面ライダーTHE FIRST】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 [時間軸]:FIRST終了後。 [状態]:全身に強い衝撃、リジェクションによる負荷と苦しみ、気絶中、ホッパーに2時間変身不可 [装備]:特殊マスク [道具]:基本支給品 【思考・状況】 基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出 1:頑張れよ、本郷。 2:出来る限り、戦闘は避け状況を把握する。 3:後ほど本郷、及びあすかとの合流。 4:俺や本郷と同じ名前……偽者か、それとも? 5:余裕があれば首輪を回収に行く。 6:ハナに興味。風間、ハナと行動する。後ほどヒビキたちと合流。 [備考] ※死神博士の事を自分を改造した老紳士だと思っています。 ※FIRST終了後の参戦のため、風見志郎の存在を知りません。 ※変身解除の原因が、自身のリジェクション(改造手術による後遺症)によるものだと考えています。 ※首輪について:  金属製のフレームに吸音用の穴と紅いダイオードが一つ。詳細不明。  さほど重くなく、表面にはスマートブレインのロゴがプリントされている。   無理に外そうとしたり禁止エリアに入ると起動、装着者は灰になる。 ※自分が戦った高笑いの男(志村)は戦いに乗っている、また策謀を巡らせている可能性を考えています。 【ハナ@仮面ライダー電王】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 [時間軸]:劇場版・千姫と入れ替わっている時 [状態]:疲労ある程度回復、悲しみと強い決意、ナイトに2時間変身不可 [装備]:冥府の斧@仮面ライダーアギト、カードデッキ(ナイト) [道具]:支給品一式、洗濯ばさみ、紙でっぽう、戦国時代の衣装、ミニカー7台 【思考・状況】 基本行動方針:脱出する 1:一文字と行動。後ほどヒビキたちと合流。 2:仲間を探して一緒に脱出する 3:イマジンに対する自分の感情が理解出来ない 4:牙王、影山瞬、死神博士、ゴルゴス、仮面ライダーグレイブ(志村の名前は知りません)に気をつける 5:モモタロスの分まで戦う 6:本郷猛は敵? 味方? |058:[[混沌]]|投下順|060:[[僅かばかりの不信]]| |058:[[混沌]]|時系列|060:[[僅かばかりの不信]]| |051:[[戦いの決断]]|[[橘朔也]]|075:[[牙と軍人と輝く青年]]| |051:[[戦いの決断]]|[[ゾル大佐]]|075:[[牙と軍人と輝く青年]]| |046:[[かげやまのなく頃に~仕切り直し編~]]|[[牙王]]|000:[[牙と軍人と輝く青年]]| |048:[[傷付いてもいい、強く立ち上がれ]]|[[一文字隼人]]|081:[[継ぐのは魂]]| |048:[[傷付いてもいい、強く立ち上がれ]]|[[ハナ]]|081:[[継ぐのは魂]]|
*全てを喰らう牙  清々しいはずの朝の空気も今の彼らにとっては重苦しく感じられた。血腥い戦場にそのような安らぎなどは存在しないのだろうか。  ひたすらに歩み続ける一組の男女。"一文字隼人"、"ハナ"。バトルロワイヤルからの脱出を試みる彼らは共に闘う仲間を求め、進路を南に探索を続けていた。  長い道中、彼らはこれまでのことを少しずつだが語り合った。 「…本郷に注意しろだと? 馬鹿な…」 「でも確かにあすかさんはそう言って…」 「彼女がそんなことを…?」 一文字には理解出来なかった。彼女が何故そのような発言をしたのか。 「…一文字さん?」 困惑した表情を気にしたハナは一文字に優しく問い掛ける。 「…本郷のことは気にするな。さっきバイクで走っていった男が…といってもお前はそのとき寝ていたか。とにかく、本郷は敵じゃない。俺が保証する」 いつになく真剣に語る一文字の姿からはとてもその話が嘘だとは思えない。かといって、あすかさんが嘘をついていたとも思えなかった。  常日頃、時の列車に巣くう青い嘘つきなイマジンの話を聞かされているハナは人よりも嘘を見破るのが得意なはずだった。だからこそあすかも、一文字もどちらも嘘をついているとは思えなかった。 「橘! ぼやぼやするな!」 軍服に身を包んだ男"ゾル大佐"は激を飛ばす。その後ろに続くのはスーツ姿の男"橘朔也"。 「何をしている! 急がんか!」 変身制限がかけられた今、敵に襲われる危険は計り知れない。落ち着ける場所を見つけるまでは歩みを止めるわけにはいかない。痛みをこらえて歩き続けるゾル大佐は苛立ちを隠せなかった。  一方、橘も考えていた。先程の戦闘の疲労は相当なもの。それにも関わらず平然と振る舞い続ける目の前の男に確信を深めた。ゾル大佐はやはり主催者との内通者であり、自分の監視役であると。 「…待て」 どこからともなく聞こえてきた声に2人はとっさに身を潜めた。 「隠れても無駄だ…全部まとめて…喰ってやる!」 男の手から零れ落ちたマスターパスは宙を舞い、腰に巻かれたベルトにセタッチする。 「変身!」 「Gaoh form」 鳴り響く荘厳な音楽と共に男"牙王"はベルトから放出される粒子によって闘いの鎧をその身に纏った。  ゾル大佐は木陰に身を潜めながら様子を窺っていた。恐れていた最悪の事態。だから急げと言ったのに。だがいまさらそんなことを言っても始まらない。この危機を乗り越えるには……  橘も近くの木を盾にし、考えを巡らせた。目の前の男は現実の存在か、はたまた内通者が呼び寄せた作為的なマーダーか。どちらにせよ変身出来ぬ今、選択肢は一つ。如何にしてこの危機から逃れるか。 「…いつまで隠れてるつもりだ!?」 「Full charge」 ガオウは光り輝く剣を大きく振るった。 「…もうだいぶ歩いてきたみたいね」 そう言いながらハナは時計と地図を確認する。響鬼達と別れてからまもなく一時間が経過しようとしていた。 「もうこんな時間か…お前と一緒にいると時間の経つのが早い……」 さり気なく肩へ回してきた一文字の腕をハナは華麗に避け、何事もなかったかのように会話を続ける。 「往復のことを考えたら、そろそろ引き返しましょうか」 「そうだな……伏せろ!」 一文字がハナを庇うように倒れ込むと彼らの頭上をドリル状の光の刃が駆け巡り、辺りの木々を薙ぎ倒した。 「……4人か」 ガオウは隠れる場所を失った獲物をじっくりと見定める。どうせ喰らうならなるべく強い方がいい.  先程も会った男にデンライナーに乗っていた女。この2人はどちらも大したことはない。1人は闘いから逃げ、もう1人は変身出来ないただの女。だが、残りの2人も逃げ場を失って尚変身しないところを見ればたかが知れている。 「さあ…誰から俺に喰われたい? それともみんなまとめて喰ってやろうか?」 一文字はそっとハナの前に立つ。 「下がってろ…俺がやる」 「そんな! 私も…」 いきり立つハナの口を手袋に覆われた一文字の手が優しく塞ぐ。 「本郷との約束なんでね…」 "彼らを頼む。"あまり認めたくはないが唯一の"親友"の頼み。無碍に断るわけにはいかない。一文字はマスクを持ち、ベルトに手をかける。 「そこの大喰らい…俺が相手になってやる」 ベルトの起動と共に緑の戦士、ホッパー2号が飛び上がった。 「何!? 何故仮面ライダーが…」 ゾル大佐は驚きを隠せない。一号や二号に酷使した戦士の姿に。本郷と一文字以外にもショッカーの手によって作られたライダーがいたというのか?  少し考えてすぐに結論が出た。他にライダーがいても不思議ではない。参加者は別々の時間軸からつれて来られている。ならばあれはきっと自分が知っているよりも未来のショッカーが作った新たなライダー。 「…橘。今のうちにいくぞ」 ショッカーのライダーならば援軍に等しい。彼が戦闘しているうちに逃げて体制を立て直す。ゾル大佐はそう判断した。 「分かった…」 一方、橘も考える。突如現れた男は恐らく先程自分達と闘った敵と同じ存在。そしてそばにいる2人組のうち、どちらかが現実の人間。またどちらかが奴を呼び寄せた主催者との内通者だろう。そしてゾル大佐の反応からすれば… (緑色の仮面ライダーとやらに監視されている女性が現実世界からつれて来られた人間か。今は無理だが…いつか必ず助ける。だから…許してくれ)  橘とゾル大佐は急いでその場を後にした。 **状態表 【橘朔也@仮面ライダー剣】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 【時間軸】:Missing Ace世界(スパイダーUD封印直後) 【状態】:全身に疲労。 ギャレンに2時間変身不能。 【装備】:ギャレンバックル 【道具】:基本支給品一式、ラウズカード(スペードJ、ダイヤ1~6、9)、レトルトカレー、特殊支給品×? 【思考・状況】 基本行動方針:仮想現実から本当の現実に帰還し、主催者を打倒する為、勝ち残る。 1:とりあえず市街地からは離れる。 2:ゾル大佐と行動を共にし、利用する。 3:仮想現実とは言え本当に非情になり切れるか不安。 備考 ※今の自分は仮想現実の中に居ると確信しています。 ※自分以外にも現実世界から連れて来られた人物はいると考えてはいます。 ※ゾル大佐は主催者との内通者であり、自分の監視役と確信しています。 ※例え脱出の手がかり等があったとしてもそれらは全て仮想現実上の物であり、真に脱出する事は不可能と確信しています。 ※ハナを現実世界から連れて来られた人物、一文字を主催者との内通者であり、ハナの監視役、牙王を一文字が呼び寄せた作為的なマーダーと判断しました。 【ゾル大佐@仮面ライダー(初代)】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 【時間軸】:三十九話開始直後 【状態】:全身に疲労。胸に砲撃によるダメージ。黄金狼男に2時間変身不能。 【装備】:なし 【道具】:基本支給品一式、特殊支給品×? 【思考・状況】 基本行動方針:生き残ってショッカーを再興させる 1:とりあえず市街地から離れる。 2:橘の態度に不信感。 2:後ほど一文字と本郷を倒しに行く。 備考 ※基本支給品の携帯電話の使用方法を知りました。 ※参加者が別々の時間軸からつれて来られている事に気付きました。 ※変身制限に気付きました。 ※剣世界について大まかな知識を得ました。 ※死亡した一文字は同姓同名の別人と考えています。 ※一文字(R)のことを未来のショッカーが新たに作ったライダーだと思っています。  その頃、ガオウとホッパーの闘いは激しさを増していた。  力だけでいけばガオウの方が明らかに優勢だった。ガオウガッシャーの一太刀一太刀が重く、力強く、辺りに空気を切り裂く鈍い音が響いていた。  しかしホッパーはその剣筋を見定め、どんなに体制が崩れようと一つ一つ確実に回避していく。そしてどのような体制からでもまるで舞うように軽やかに振る舞い、正確に蹴り込んでいく。その華麗な足技はまさに技の2号の名に相応しいものだった。  蹴りの一撃一撃の威力は微々たるものだが度重なることで確実にガオウにはダメージが蓄積されていく。 「こざかしい!」 ガオウが袈裟掛けに振り下ろしたガオウガッシャーをホッパーは一歩下がって避けようとする――が、何度も同じ手を喰らう相手ではなかった。ガオウは斬り込みながらも強引に前進し、ホッパーの胸を力ずくで切り裂いた。  まともに一撃を浴び、ホッパーが多少怯んだ隙をつき、ガオウはがむしゃらに切りかかる。何度も振り下ろされる刀に合わせ、火花が周囲に飛び散る。 「この程度か…」 「Full charge」 再び鳴り響く電子音声。ガオウガッシャーの刃先に光が宿っていく。 「一文字さん!」 思わず駆け寄ろうとするハナをホッパーは手を広げて制した。 「女に心配してもらうほど…俺は柔じゃない…」 そしてホッパーは勢いをつけ、空高く飛び上がった。  ホッパーはガオウに強烈な一撃を叩き込むために右足を向ける。  だがガオウも黙っていない。光迸るガオウガッシャーを振り上げる。  回転しながら宙を舞うドリル状のオーラソードの軌道にホッパーのキックが重なる。  力比べで分が悪いことを一文字は重々承知していた。それでも止まらずに迎え撃つ。光の刃と逞しき脚が空中でぶつかり合う。  信頼する友のためか、惚れた女のためか。何にせよ一文字はまだこんなところで死ぬわけにはいかなかった。 「…何!」 ガオウは驚きを隠せない。力比べで自分が負けるとは考えられなかった。 「うおぉぉぉぉぉぉ!!」 ひたすらに突き進む緑の矢が光の刃を跳ね飛ばし、ガオウの体を捉えた。  轟音と共に激しい土煙が舞い上がる。たなびく煙の中から現れたのは――マスクを外した緑の戦士。 「一文字さん!」 思わず喜びの声を上げるハナ。 「…さて、そろそろあいつらが待ってる頃だろ…帰るか」 フラフラと歩き、ハナに近づく一文字。 「STRIKE VENT」 土煙を掻き分けやって来た炎の竜が一文字の背中に激突すると、一文字はそのまま力無く吹き飛んだ。 「前菜は終わった…メインディッシュの始まりだ!」 ようやく消え行く土煙の中から現れたのは竜の牙を持つ王"仮面ライダーリュウガ"。 「…しぶとい…やろうだ…」 リジェクションによる負荷と激戦の痛みが全身を襲い、一文字は気を失ってしまった。 「一文字さん!」 「眠るにはまだ早いんだがな…」 じりじりと近寄るリュウガの姿にハナは決断し、デッキを構える。 「ほお…少しは楽しませてくれそうだな…」 「変身!」 花の騎士と竜の牙を持つ王。漆黒の鎧を纏った戦士同士が対峙した。 「NASTY VENT」 不可思議な超音波がリュウガを不意に襲った。 「…く!」 「ADVENT」 たじろいだ一瞬の隙をつき、ナイトは即座に次のカードを読み込む。ペットボトルから飛び出してきたコウモリがリュウガの視界を覆い、気がついたときには既にナイトと一文字の姿はなかった。 「逃がしたか…」 後には変身を解除したガオウが1人残った。  一文字を抱え、コウモリに捕まりながら空を飛ぶハナ。気絶した一文字を庇いながらの闘いを不利と考えての判断だった。  気絶した一文字を気遣いながらハナは目的地へと急ぐ。響鬼達との合流を信じて。 【牙王@仮面ライダー電王】 【1日目 現時刻: 朝】 【現在地:F-4エリア北部】 【時間軸】:最終決戦前。 【状態】:全身にキックによるダメージ、ガオウに2時間変身不可。 リュウガに2時間変身不可。 【装備】:ガオウベルト 【道具】:マスターパス、基本支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)、リュウガのデッキ、コンビニから持ってきた大量の飲食料 【思考・状況】 基本行動方針:全て喰らい尽くした上で優勝 1:適当に歩き回り、参加者を喰らう。最終的にゴルゴス、死神、影山も喰う。 2:一文字、ハナ、加賀美新、風間大介、天道総司を倒したと思われる参加者を喰らう 3:機会があれば煩わしい首輪を外す。 4:ガオウライナーを取り戻して村上も喰う。 ※会場のどこかに時の列車(予想ではガオウライナー)が隠されていると推測しています。 ※何処へ向かうかは次の人にお任せします。 ※木場の生存には未だ気づいていません 【一文字隼人@仮面ライダーTHE FIRST】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 [時間軸]:FIRST終了後。 [状態]:全身に強い衝撃、リジェクションによる負荷と苦しみ、気絶中、ホッパーに2時間変身不可 [装備]:特殊マスク [道具]:基本支給品 【思考・状況】 基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出 1:頑張れよ、本郷。 2:出来る限り、戦闘は避け状況を把握する。 3:後ほど本郷、及びあすかとの合流。 4:俺や本郷と同じ名前……偽者か、それとも? 5:余裕があれば首輪を回収に行く。 6:ハナに興味。風間、ハナと行動する。後ほどヒビキたちと合流。 [備考] ※死神博士の事を自分を改造した老紳士だと思っています。 ※FIRST終了後の参戦のため、風見志郎の存在を知りません。 ※変身解除の原因が、自身のリジェクション(改造手術による後遺症)によるものだと考えています。 ※首輪について:  金属製のフレームに吸音用の穴と紅いダイオードが一つ。詳細不明。  さほど重くなく、表面にはスマートブレインのロゴがプリントされている。   無理に外そうとしたり禁止エリアに入ると起動、装着者は灰になる。 ※自分が戦った高笑いの男(志村)は戦いに乗っている、また策謀を巡らせている可能性を考えています。 【ハナ@仮面ライダー電王】 【1日目 現時刻:朝】 【現在地:F-4エリア北部から移動中】 [時間軸]:劇場版・千姫と入れ替わっている時 [状態]:疲労ある程度回復、悲しみと強い決意、ナイトに2時間変身不可 [装備]:冥府の斧@仮面ライダーアギト、カードデッキ(ナイト) [道具]:支給品一式、洗濯ばさみ、紙でっぽう、戦国時代の衣装、ミニカー7台 【思考・状況】 基本行動方針:脱出する 1:一文字と行動。後ほどヒビキたちと合流。 2:仲間を探して一緒に脱出する 3:イマジンに対する自分の感情が理解出来ない 4:牙王、影山瞬、死神博士、ゴルゴス、仮面ライダーグレイブ(志村の名前は知りません)に気をつける 5:モモタロスの分まで戦う 6:本郷猛は敵? 味方? |058:[[混沌]]|投下順|060:[[僅かばかりの不信]]| |058:[[混沌]]|時系列|062:[[泣く少年]]| |051:[[戦いの決断]]|[[橘朔也]]|075:[[牙と軍人と輝く青年]]| |051:[[戦いの決断]]|[[ゾル大佐]]|075:[[牙と軍人と輝く青年]]| |046:[[かげやまのなく頃に~仕切り直し編~]]|[[牙王]]|000:[[牙と軍人と輝く青年]]| |048:[[傷付いてもいい、強く立ち上がれ]]|[[一文字隼人]]|081:[[継ぐのは魂]]| |048:[[傷付いてもいい、強く立ち上がれ]]|[[ハナ]]|081:[[継ぐのは魂]]|

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