「龍は更なる力を手に入れる」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

龍は更なる力を手に入れる」(2010/08/01 (日) 09:25:50) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*龍は更なる力を手に入れる 太陽が沈み始めたことにより、空は輝きを失いつつあった。 時間の流れと比例するかのように周囲は暗闇に染まっていき、辺りの温度は徐々に下がっていく。 より冷たさを増しつつある大気の中をエンジン音と共に、一台のバイクが颯爽と道を駆け抜けていた。 巨大な一つ目のような銀色のライトから放たれる一筋の光が道を照らし、二輪のタイヤが道路を容赦なく抉っていく。 夜の闇を照らす輝きを放つ竜巻の名前が付けられたバイクに、一人の少年が跨りながらハンドルを動かしていた。 黒い髪は一切の手入れが施されていないかのように乱れており、長身痩躯の体は襟が大きく開いたロングTシャツで包まれている。 運転手の正体は、このバトルロワイヤルを開催したスマートブレインが保有する上位の実力を持つオルフェノクの集団、ラッキークローバーの一角。 その名は北崎。 彼は今、柔和な笑みを浮かべていた。何も知らぬ者がそれを見れば、警戒を抱かないかもしれない。 しかしそれは温厚な人間が浮かべるような物ではなく、むしろ殺戮を自らの快楽とするような狂人が作るそれに近かった。 北崎は数時間前に戦った『仮面ライダー』達の事を考えていた。 裏切り者の木場勇治、二度に渡って自分に抗ってきた桜井と香川、スマートブレインの生み出したデルタのベルトを用いながら鬼に似た姿を持つヒビキと呼ばれた男、本気を出した自分の早さに桜井と共に追いついた葦原という男―― どれも皆、自分を歓喜させるほどの強さを持っていた。 欲を言うならば、ヒビキと同じように鬼を思わせる姿の『仮面ライダー』になれる歌舞鬼や、歌舞鬼と抗戦していたカイザとも戦ってみたかったが、途中で逃げられてしまったから仕方がない。 だがそれが気にならないほど愉快な出来事が次の瞬間に起こった。 あれはオーガに変身し、木場勇治と葦原の隙をついて無防備な人間達に攻撃を浴びせようとしたときのことだ。 重厚な鎧に包まれた『仮面ライダー』が自らの身を省みずに自分の一撃から弱者を庇い、命を落とした―― 思い出すだけで笑いが止まらない、名前は確か手塚と言っただろうか。あれがきっかけとなって彼の仲間達が激昂し、自分に刃向かった。 そこから桜井と葦原はそれぞれ蠍と飛蝗を模した『仮面ライダー』に姿を変え、龍人態のスピードについてきたことが唯一の誤算だったが、あの集団相手に最後に勝ち残るのは自分であることに変わりはない。 いや、そういえば一人だけ例外がいた。桜井と似たような容姿をしておきながら、中身は月とすっぽんと言っても良い少年、桐谷京介。 他の男達が『仮面ライダー』に変身して自分に闘志を向けていたのに対し、彼だけが腰を抜かしながら恐怖に震えたような表情を浮かべていた。 あの態度は見ていて三田村を思い出させるようで、とても愉快に感じる。 もし『仮面ライダー』達を全員殺したら、桐谷を自分の家来にするのも面白いかもしれない。 「そろそろかな……」 身を切るような冷たい風を全身に受けながら、北崎はぽつりと呟く。 もうすぐ、先程の戦いによって自分に架せられた制限も切れるはずだ。それに休んでいた御陰で痛みと疲労も戦いに支障がない程度までに回復した。 これでようやく桜井を初めとする『仮面ライダー』達と戦うことが出来る。 今度はどんな玩具を使って獲物を嬲ろう、どうやって獲物を嬲ろう。 そして、どうやって『仮面ライダー』達を殺そう―― 北崎は流れるように変わりゆく景色を視界に納めながら、笑顔を浮かべていた。 周辺に見えるのは微かに生い茂った林と穏やかに流れる川だけで、彼の興味に惹かれるような物は無い。 彼はこのまま竜巻の勢いに任せて、道を走ろうとした。 しかしその瞬間、彼の意識が別の場所に向けられていく。 ――ガサリ 竜巻のエンジン音にかき消されてしまいそうなその微かな音は、人間の進化系であるオルフェノクの優れた聴覚を持つ北崎だからこそ聞き取ることが出来た。 ふと、何処からともなく草をかき分けるような音が聞こえる。耳に納めた途端、北崎はブレーキをかけてバイクの走りを止めた。 彼は音が聞こえた方面を振り向く。耳を澄ませると、地面を踏むかのような靴の音も混ざっているように聞こえる。 それはまるで徐々にこちらへ近づいてくるようだった。 音からして一人に思える。もしや、この近くに参加者がいるのだろうか。 考えに至った途端、北崎の感情が高ぶっていく。もしもやって来るのが『仮面ライダー』あるいは自分を満足できる強者ならば十分に遊んだ末に殺せばいいし、そうでない弱者ならば手下にすればいい。 北崎は竜巻のハンドルに手をかけ、獲物の正体を確かめるためにエンジンを動かした。 ※ 「ん………」 人肌程度の暖かさを後頭部に感じながら、澤田亜希は深い眠りから目覚める。 呻き声を漏らしながら瞼を開けると、その先には視界全てを覆うほどの漆黒が存在していた。 一体これは何なのだろうと、彼の中で疑問が生まれる。しかし数秒も経たない内に澤田の中でそれは解消された。 これは眠りにつく前に光を遮るため、自分がアイマスク代わりに使ったキャップ帽だ。 その事実を思い出すと、澤田は眼界を遮断する帽子を右手に取り、体を起こす。 「澤田くん……?」 聞き覚えのある声が聞こえ、澤田はその方向を振り向く。 首を動かした先には、彼がこの会場で行動を共にしている少女、風谷真魚の顔があった。 不安げな表情でこちらを見つめる彼女に対し、澤田は優しげに微笑む。 「おはよう、真魚ちゃん」 「もう、起きても大丈夫……?」 「うん、もう大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」 真魚の心配に答えるように、澤田は笑顔で言う。 まるで心の底から彼女の事を慕っているかのように。 澤田には少なくとも真魚にそう思わせる必要があった。理由はただ一つ、自分が完全たるオルフェノクである事であることを世界に証明するために。 その為にこの会場で既に二つの命を奪った。感情などという下らない物を持っていないことを知らしめるには最高の手段だ。 真魚はその最後の仕上げ。現に彼女はそれが偽りの物とも知らずに、優しさの込められた言葉をほんのちょっと投げただけで笑顔を浮かべている。 もし、自分のことを信じ切っている真魚がこの真意に気づいたら、一体どんな表情を見せてくれるだろう。 悲哀だろうか、絶望だろうか、それとも言葉では表せないほどの物だろうか―― 考えただけでも爽快な気分になるが、それを表に出すことは決してしない。 今だけはこの身に代えても真魚の為に戦う自分を彼女に見せつける必要があった。 澤田はふとスマートブレインから支給された携帯電話を開き、時計を確認する。 そこに書かれた時間を見る限り、既に夕方の時刻にまで達していた。どうやら自分の持つ全ての力を使うことが出来るようだ。 それに気がつくと、澤田は再び真魚に声をかける。 「そういえば真魚ちゃん、俺が寝ている間に何か変わったことでもあった?」 「ううん、特に何も……」 「それは良かった、真魚ちゃんに危ないことが何も起こらなくて」 真魚の心配に答えるように、澤田は笑顔で言う。 まるで心の底から彼女の事を慕っているかのように。 澤田には少なくとも真魚にそう思わせる必要があった。理由はただ一つ、自分が完全たるオルフェノクである事であることを世界に証明するために。 その為にこの会場で既に二つの命を奪った。感情などという下らない物を持っていないことを知らしめるには最高の手段だ。 真魚はその最後の仕上げ。現に彼女はそれが偽りの物とも知らずに、優しさの込められた言葉をほんのちょっと投げただけで笑顔を浮かべている。 もし、自分のことを信じ切っている真魚がこの真意に気づいたら、一体どんな表情を見せてくれるだろう。 悲哀だろうか、絶望だろうか、それとも言葉では表せないほどの物だろうか―― 考えただけでも爽快な気分になるが、それを表に出すことは決してしない。 今だけはこの身に代えても真魚の為に戦う自分を彼女に見せつける必要があった。 澤田はふとスマートブレインから支給された携帯電話を開き、時計を確認する。 そこに書かれた時間を見る限り、既に夕方の時刻にまで達していた。どうやら自分の持つ全ての力を使うことが出来るようだ。 それに気がつくと、澤田は真魚の背後から見える外に視線を移す。 空は既に明るさを失い初めており、夕方であることを知ることが出来る。 もう近くには誰もいないだろうと、澤田が思ったその瞬間だった。 風の音と虫の鳴き声に混じって、何処からともなく鈍い音が聞こえてくる。瞬時に澤田はその方向を振り向いた。 それはバイクがエンジンを吹かし、タイヤが道路を削るような音だった。それは徐々にこちらに近づいてくる。 どうやら、この近くに参加者がいるようだ。しかも、バイクに乗っているときた。上手くいけば不意打ちを食らわせることも出来るだろう。 ただ、先程戦った鬼のように失敗しないよう、細心の注意を払わなければならない。 「澤田くん……どうかした?」 真魚の声が聞こえ、澤田は我に返る。 「真魚ちゃん、変な音が外から聞こえたからちょっとここで待ってて」 「もう動いても大丈夫?」 「大丈夫、すぐに戻ってくるから」 怪訝な表情を浮かべる真魚に対し、澤田はあっさりと答えながら立ち上がる。 彼は全ての装備が入ったデイバッグを肩にかけ、廃屋から外へと向かう。 真魚はその背中を、ただ見つめているだけだった。 ※ 体を休めていた廃墟から、徐々に距離が空いていることは彼は意識していない。 道を阻む草をかき分け、樹木の根を踏みしめながら澤田は音の聞こえた方向へ進んでいく。 時間帯からか、辺りの暗闇は徐々に深くなっていき、風の冷たさも増している。 耳を澄ませると、エンジン音はいつの間にか消えていた。どうやら運転手はバイクを止めたようだ。 なぜ止めたのかは、彼には判断が付かない。戦闘が始まったわけではなさそうだし、誰かと会話してるようでもない。 だからといって逃がすつもりはなかった。恐らく、共闘をしている他の参加者と落ち合う場所に着いたという可能性もある。 そうなる前に、自分が殺してしまえばいい。 考えながら澤田がもう一歩踏み出そうとした、その瞬間だった。 「へぇ、ここにいたの君だったんだ」 突如、背後より涼しい声が聞こえる。 思わず足を止めてしまい、澤田は振り向く。その途端、驚愕によって彼の両目が一気に開かれていく。 そこには、細身の長身をTシャツで包み、癖の強い髪型の青年が笑顔を浮かべながらこちらを見つめている。 青年の正体を彼は知っていた。 「北崎……!?」 思わず、澤田は名前を呼んでしまう。 それはラッキークローバーの中でも一番と言っていいほどの実力を誇り、龍の力を持つオルフェノクの北崎。 「君も僕と一緒に遊ぼうよ……?」 微笑みながら北崎は呟き、一歩一歩とこちらに足を進める。 その言葉の意味を澤田は瞬時に理解した。北崎は自分を標的に狙っている。 よりにもよって一番会いたくない相手と再び出会ってしまった。北崎は元々の実力さえも自分を上回り、更に変身システムを二つも所有している。 北崎は同じラッキークローバーの一員である琢磨逸郎ですらも、自分の快楽のために平然と暴力を加えている男だ。こんな場所で出会ってしまっては、同族たる自分ですらも命を奪われかねない。 ここで殺されては全てが水の泡だ。澤田は笑いながら近づいてくる北崎を尻目にデイバッグから銀色に輝く金属質のベルトを取り出し、腰に巻いた。 次の瞬間、漆黒の輝きを放つカブト虫を模した形状を持つ機械、ダークカブトゼクターが彼の手元へと飛んでくる。 澤田がそれを掴むのと同時に、北崎は足を止めた。 「それって……?」 北崎には目の前の光景にデジャビュを感じる。 あの昆虫は、数時間前に戦った桜井、手塚、葦原という三人の男が、自分と戦う為に使った『仮面ライダー』に姿を変える道具に似ていた。 「変身」 『HENSIN』 澤田がダークカブトゼクターをベルトのバックルに装着しながら静かに呟く。 その途端、電子音声がベルトから復唱され、腰に巻いたライダーベルトからタキオン粒子が吹き出し、六角形の金属片を形作る。 そこから続くように腰から脚部へ、胴体から両肩に、両腕から手に、首から頭部を金属片が包んでいった。 それは銀色と漆黒の重厚な装甲へと形を変え、最後に澤田の顔面が単眼の仮面で覆われていく。 全ての課程が終わるのと同時に、人工的に作られた瞳は金色の輝きを放つ。 「やっぱり……!」 澤田が仮面ライダーダークカブト マスクドフォームへと姿を変えるのと同時に、北崎は笑みを強める。 彼の感情が徐々に高まっていき、心臓の鼓動が早まっていく。 恐らくあの『仮面ライダー』は先程自分が戦った、龍人態に追いつけるほどの高速移動が可能なタイプと同じ物だろう。 予想が正しければ、あの重量感溢れる鎧の下にまだ別の姿があり、それはかなりのスピードを持っているはずだ。 『CAST OFF』 北崎が思考を巡らせている間、ダークカブトは自らのゼクターの角を百八十度の角度で倒す。 それと同時にダークカブトゼクターから人工音が鳴り響く。そこから全身の鎧に電流が伝わっていき、純銀に輝く鎧が弾き飛ばされていった。 ダークカブトの装甲が北崎の脇を高速の勢いで通り過ぎると、顎から漆黒の角がせり上がっていき、金の単眼が複眼へと変わっていく。 『CHANGE BEETLE』 人造音声と共に現れたのは、辺りの闇と同調するかのように全身が黒く煌めくカブト虫を思わせる戦士。 ライダーフォームの名を持つ形態にダークカブトが姿を変えるのと同時に、北崎の全身が龍を思わせるような漆黒の紋章が浮かび上がっていく。 そこから続くかのように、北崎の体が徐々に歪み始める。瞬き一つを許さない程の時間が経過すると、その体は大きく変質していた。 龍を思わせるような醜悪な顔面、天に向かって大きく伸びた二本の角、異様なまでに筋肉の発達した灰色に染まる全身、両腕に左右対称に生えた鋭い輝きを放つ龍の顔が刻まれているかぎ爪。 ドラゴンオルフェノクの名を持つ異形へと北崎が姿を変えるのと同時に、ダークカブトはベルトの脇に備え付けられたスイッチを右手で叩いた。 『CLOCK UP』 無機質な電子音が鳴った途端、ダークカブトの周囲を覆う時間の流れが一気に遅くなる。 地面に落ちていく木の葉の動きすらもスローモーションに映る中、ダークカブトはドラゴンオルフェノクから逃げるように勢いよく踵を返す。 澤田自身、北崎のような狂人と戦うつもりなど毛頭なかった。 いくら高速移動の能力を持っていたからと言って、それは十秒にも満たないほんの僅かな時間だ。それだけであれを相手に勝てるとは思えない。 恐らく北崎自身も先程の戦いによる時間制限が解除されているはず。 認めたくはないが、あれ程の化け物と真っ向から相手にしたところで返り討ちに合うのが落ちだ。 北崎に関しては他の参加者と戦って潰れるのを待てばいいだけだろう。 思考と共に木々の間を音速すら上回る速度でダークカブトは駆け抜けていたが、その足がこれ以上進むことはなかった。 「ガアッ……!」 走っている最中、突如として背中に激痛が走り、そのまま俯せの体制で地面に倒れてしまう。その衝撃で肩にかけていたデイバッグを放り落としてしまった。 澤田の呻き声と共にダークカブトの仮面の下で顎の拘束が緩んでいく。 一体何が起こったのか。 痛みから併発される熱に襲われながらも起き上がろうとするが、途端にその背筋が発達した異形の足によって踏みにじられた。 「何処に行くの?」 無邪気な、それでいて怒りの込められた声がダークカブトの頭上から聞こえる。 その正体は言うまでもなく北崎のそれだった。 ダークカブトは驚愕しながらも、首を背後に動かす。見ると、そこには先程の龍に酷似したのとはまた違う姿のオルフェノクが立っていた。 頭部に生えた左右に向かって伸びる二本の角、額で水晶の如く煌めく漆黒の球体、灰色を基調とした細身の肉体に所々突き出した棘。 その正体をダークカブトは知っていた。先程の『魔人態』とは異なり、防御力を捨てる変わりに凄まじい敏捷性を得られる『龍人態』の名を持つドラゴンオルフェノクのもう一つの姿。 『CLOCK OVER』 クロックアップの状態が終了することを知らせる電子音が鳴るのと同時に、ダークカブトの速度は元の状態へと戻る。 それを合図にするかのように、ドラゴンオルフェノクは右足を振り上げ、勢いよくダークカブトの背中へと叩き込んだ。 そこから二度三度と繰り返されるようにドラゴンオルフェノクの踏みつけが襲いかかり、鎧に黄色い火花が飛び散るのと同時にダークカブトは呻き声を漏らす。 攻撃力と防御力を犠牲にした形態なのに、まるで全ての体組織がそのまま押し潰されてしまいそうな程にその一撃は重かった。 それでも、ダークカブトは背部に力を込めて意識を保っている。 やがて何度目かになるか分からない打撃の後、ドラゴンオルフェノクは攻撃の目標を脇腹へと定め、そのまま勢いよく蹴りつけた。 ボールが飛び跳ねるかのようにダークカブトの体が地面を数回転がってしまう。 全身が鈍い痛みに襲われ、視界がぼやけていくが、ダークカブトはドラゴンオルフェノクに目を向ける。 「ねぇ、どうして逃げるの?」 ドラゴンオルフェノクはそう呟きながら、ゆっくりと歩みを進める。 失敗だった。 龍人態が圧倒的な瞬発力を持っていたと言うことは聞いていたが、まさかここまでだったとは。 キャストオフをした瞬間そのまま逃げるのではなく、クナイガンを用いて視界を奪うことをするべきだった。 そうすれば、逃走の確率が上がっただろうに。 ダークカブトは自分の認識の甘さを呪いながら立ち上がるが、その途端にドラゴンオルフェノクは腹部を目掛けて拳を打ち出してくる。 それをまともに浴びた彼は再度吹き飛ばされてしまい、そのまま背中から地面に叩きつけられてしまう。 「せっかくだからもっと遊ぼうよ」 微かな呟きと同時に、ドラゴンオルフェノクの姿はかき消えていく。 その刹那、ダークカブトの体は宙に浮かび上がり、痛みと共に脇腹から血飛沫が吹き出すかのように火花が飛び散る。 そこから続くかのように四肢の全てを使った無数の打撃が嵐のように襲いかかり、視界が反転していく。 ダークカブトの体が地面に落ちようとした瞬間、ドラゴンオルフェノクの拳がその背中を捉える。 まるで金属バットで殴られたかのような痛みを感じる度に、ダークカブトは周囲を駆け抜けている灰色の影を視界に捉えているが、絶え間ない攻撃と激痛によって体がついて行くことが出来ない。 もはやこれは戦いと呼べるような代物ではなく、一方的な嬲り殺しに等しかった。 「グッ……! ウオォォォアァァァッ!!」 ドラゴンオルフェノクの重い打撃によるダメージが徐々に蓄積され、ダークカブトは悲鳴にも聞こえるような絶叫を上げる。 クロックアップを使用する暇すらも与えてもらえず、ただ宙を漂うことしかできない。 やがて何度目になるのか分からない攻撃の後、ダークカブトは勢いよく地面に転がっていく。それと同時にドラゴンオルフェノクの早さも通常の状態へと戻る。 圧倒的な実力の差を再度認識され、ダークカブトの腸は煮えくり返っていた。だが悔やんだところで、事態が変わるわけではない。 ダークカブトはよろよろと起きあがりながら、銃を持つような形でゼクトクナイガンを構え、光弾を放とうとした。 しかし引き金を引こうとしたその瞬間、ドラゴンオルフェノクが姿勢を低くしながら懐に入り込み、右手で握り拳を作る。 そして顎に狙いを定めて勢いよくアッパーの要領で叩き込んだ。 「ガハッ……!」 ドラゴンオルフェノクの拳を受けたダークカブトは呻き声を漏らし、その体が吹き飛ばされていく。 数トンの重さに対抗することは出来ず、宙を舞う彼の体は重力によって自然に地面へと叩きつけられていった。 それが引き金となったのか、これまで蓄積されたダメージがついに限界を迎え、ダークカブトゼクターがベルトから離れていき、ダークカブトの鎧を構成しているヒヒイロカネが崩壊し、澤田は元の姿に戻ってしまう。 激痛で表情を歪ませる澤田を見た途端、ドラゴンオルフェノクの全身がボコボコと音を立てながら盛り上がり、表面が歪んでいく。 瞬間、その体は一気に変化を果たす。 見る物全てを震え上がらせるような顔面、太さを増した二本の角、筋肉の発達した胸板、両腕に付けられた龍の顔を思わせる模様の爪、大木のような太さを持つ両足。 数秒もの時間が経たない内に、魔人態の名を持つ形態へとドラゴンオルフェノクは姿を変えた。 「君、とっても弱いね。それでも『仮面ライダー』なの?」 ドラゴンオルフェノクは愉快そうに、そして冷たく言い放つ。 『仮面ライダー』―― その言葉は澤田にも覚えのある物だった。 この殺し合いの主催者たる村上峡児が口にした言葉で、それはスマートブレインが生み出したベルトの戦士と同じように、強大な戦闘力を持つ存在らしい。 だがそれは今の澤田にとってどうでもいい事だった。今必要なことはこの事態から脱出する方法のみ。唯一の手段がたった今費えてしまった。 たとえオルフェノクの力を発揮して戦った所で、返り討ちに遭うのが関の山。カイザギアが入っているデイバッグは数メートル先に置いてあるが、あの北崎が取らせる暇など与えるわけがない。 絶体絶命とも呼べるような状況に追い込まれた途端、ドラゴンオルフェノクの体が突然ドロドロと音を立てながら形を変えていく。 一呼吸を果たせるくらいに一瞬の時が流れた後、その体は北崎の物へと戻っていった。 「あれ、もう終わり?」 時間制限によって能力の発揮を強制的に解除された北崎は、怪訝な表情を浮かべながら呟く。 その様子を見た澤田の行動は早かった。全身に異常なまでの負荷が掛かり、満足に動かすことが出来ないにも関わらずに体を持ち上げる。 直後、澤田の全身が形を変えていく。一瞬の間で彼の姿は蜘蛛を思わせる風貌をした灰色の異形、スパイダーオルフェノクへの変貌を果たした。 真魚が近くにいないことを祈りながら、スパイダーオルフェノクはその右手で自ら作り出した八方手裏剣を握り、構えを取る。 「だあぁぁぁぁぁぁっっっ!」 スパイダーオルフェノクは八方手裏剣を北崎に目掛けて、渾身の力で投げ出す。 対する北崎は驚愕の表情を浮かべながら地面を転がるようにして、高速の勢いで迫りくるそれを避けた。目標を失った手裏剣はブーメランの如く回転しながら、スパイダーオルフェノクの手元に戻ってくる。 スパイダーオルフェノクはチャンスが出来たと確信し、落ちたデイバッグを拾いながら全力で駆け抜けた。 首輪の制限によって体に異常を感じながらも、彼はひたすら森の奥へ走る。北崎に僅かながら隙が出来たが、疲労困憊の状態で戦っても勝てるわけがない。 故に、こうする意外に方法がなかった。 「あ~あ、逃げちゃった」 木々の中へと消えていくスパイダーオルフェノクの背中を見つめながら、北崎は残念そうに口を漏らす。 彼はゆっくりと起きあがると、地面に目を向ける。 「あれ……?」 直後、すぐ側に落ちていた物を見つけて北崎は呟く。 そこには青と黒に彩られた無機質なベルトと、Xの模様が描かれた携帯電話、そして一枚の紙が落ちていた。 「これって……もしかして三本のベルト?」 その機械の正体を彼は知っていた。 スマートブレインがオルフェノクの王を守護するために生み出したと言われる三本のベルトの一本、カイザギア。 これを操る男の名前は草加雅人と言っただろうか。何度か戦ったことがあるが、その度に自分が簡単に白星を納めた。 何故それがここにあるのか。答えは簡単だ、先程自分と遊んだ澤田が逃げる途中、無意識の内に落としたのだ。 そうなると、先程の戦いで逃してしまったカイザに変身していたのは澤田と言うことになる。 「面白そうじゃない……!」 北崎は一瞬で答えを導きながら呟くと、カイザギアを拾い上げた。 ※ 「ハァッ……ハッ………ッハッ!」 自分を標的にした最大の驚異から全力で逃げ出したスパイダーオルフェノクは、木に背中を預けながら腰を下ろしている。 それでも変身を解くことはしなかった。もし油断して北崎以外の参加者に襲われてしまっては、笑い話にもならない。 彼の心臓は張り裂けそうな程に激しく悲鳴を上げ、呼吸も凄まじいほど荒くなっている。 分かり切ったことだが、強敵だった。今こうして生きていることが奇跡と思えるくらいに。 しかしこのまま休むわけにもいかない。今のところその気配はないが、自分を待っている真魚がいる廃墟で異常事態が起こる可能性がある。 気がつくと休んでいる間に呼吸も少しは落ち着き、痛みも和らいでいた。それを感じたスパイダーオルフェノクはライダーベルトをデイバッグにしまい、ゆっくりと立ち上がる。 不意に、彼は以前この状態で生身の北崎相手に挑んだ時のことを思い返す。あの時はしつこく絡む北崎に嫌悪感を覚え、そのまま殺そうとしたが簡単に叩きのめされた。 その後奴は自分に対して愚か者を見るような笑みを向けながらあっさりと去っていったが。 逃げる選択しかできない自分と北崎を相手に怒りを覚え、スパイダーオルフェノクは唇を強く噛んでしまう。 体が糸の切れた凧のふらつきながらも歩いていたが、それ以上足が進むことはなかった。 『Exceed Charge』 突如、何処からともなく電子音声が響く。 次の瞬間、スパイダーオルフェノクの全身に金色に輝く鎖のような光が巻き付き、動きを強制的に止められてしまう。 「な、何……!?」 それは彼がよく知るものだった。 スマートブレインによって支給されたカイザの切り札であるゴルドスラッシュに繋ぐために、カイザブレイガンから放たれる拘束具。 しかしカイザになるための変身ギアは、自分の手元にあるはずだ。 それなのに、何故――? 「君だったんだね、さっき戦ってたカイザの正体は」 頭の中で疑問が駆けめぐっていると、聞き覚えのある声が聞こえる。 鋼のように体を縛り付ける黄金の縄によって、半端な体制で四肢の動きを阻まれている中、スパイダーオルフェノクは声の正体を一瞬で察知した。 それはつい先程、自分を散々痛めつけた北崎のそれだった。 このことによって示される事実はただ一つ、現在カイザの力を使っているのは他ならぬ北崎であること。しかし何故だ、カイザギアは自分のデイバッグに入っていたはず。 考えに至った途端、スパイダーオルフェノクは一つの可能性を導く。 (まさか、逃げる最中に誤って道に落としてしまった――!?) 「バイバイ」 スパイダーオルフェノクはすぐに気づいたものの、それでも遅すぎた。 北崎の呟きと同時に、彼の脇には黄金色の輝きを放つエネルギーが、Xの形を作りながら浮かび上がっていく。 閃光へと姿を変えながらカイザブレイガンを手に持ち、駆け抜けるカイザによってスパイダーオルフェノクの体が貫かれていくのに、それほどの時間は必要なかった。 ※ 全てが終わった林の中で、澤田はたった一人俯せの体制で倒れていた。 唇からはひゅうひゅうと音を立てながら短い息が漏れていき、その度に彼の命が削り取られていく。 自分は完全たるオルフェノクになるためにこのゲームに参加し、カイザのベルトを手に入れた。 だが手段であるはずのカイザによって命を奪われるとは、滑稽にも程がある。 澤田は芋虫のように地面を這い蹲りながらも、ゆっくりと進んでいた。 まだ真魚をこの手で殺していない、完全なオルフェノクであることを証明するその時まで死ぬわけにはいかない。たかが出来損ないの人間一人、この手で捻り潰せるはず。 悪鬼のように表情を歪ませながらも前に進んでいたが、やがて動かなくなる。 「クッ………まだ、俺は…………」 澤田は自らに言い聞かせるかのように呟くが、もはや体の自由は効かなかった。 そのまま瞳が閉じられようとしたその時だった。 「俺は………!」 『澤田くん』 不意に、澤田の耳に声が響く。 それに気づいた彼は顔を上げると、表情が驚愕で染まる。 見ると、目の前には自分がこの手で殺したはずの少女、園田真理が満面の笑みを浮かべながら自分に手を差しのばしていた。 だが、澤田が見ているのはただの幻覚に過ぎない。しかし彼がその事実に気づくことがないまま、真理は口を開く。 「ま、真理……!?」 『澤田くんは人間だよ、昔の優しかった澤田くんのままだよ!』 真理は太陽のように優しく微笑んでいる。それはまるで命を奪った自分に向ける物とは思えないくらいに、輝いていた。 それを聞いた澤田は無意識のうちに、真理の掌を掴むように腕を伸ばす。 その途端、走馬燈のように彼女との思い出が蘇っていく。 流星塾で初めて出会った人間だったあの頃―― 一緒に笑顔を浮かべながら、クレヨンで絵を描いていた日々―― 悪戯をして泣かせてしまった真理を慰めるために、赤い折り紙で動物を作ってそれを渡した日―― 真理と共に育ち、共に泣き、共に喧嘩し、共に笑い合った流星塾の毎日―― オルフェノクとなってしまった今となっては、どれも遠い日の異物に過ぎなかった。 それにも関わらずして澤田は、最後の力を振り絞って真理の手を掴もうとする。 何故そうするのかは彼自身分からない。けれども澤田は必死に手を伸ばしている。 しかし、彼が真理の手を握ることはなかった。彼女の指に触れようとしたその瞬間、澤田の体が青い炎に飲み込まれてしまう。 これが意味することはただ一つ、澤田の命が尽きていくまでのカウントダウンだった。彼に残された時間はもう十秒も無い。 限界に達した澤田の体は徐々に色を失い、凍り付いていく。 それと同時に、彼は自らの体が軽くなることを感じた。ふわりと全身が浮かび上がるような感覚と共に、その瞳が閉じられる。 意識を手放すのを合図とするように、澤田の身体は音も立てずに崩壊していく。 最後に残ったのは、澤田亜希という存在を証明する灰の山とそれに埋もれた冷たい首輪だけだった。 &color(red){【澤田亜希@仮面ライダー555 死亡 】} &color(red){【 残り28人 】} ※澤田亜希の遺体は灰化しました。 主の身体が崩れていく様子を見届けながら、ダークカブトゼクターは宙を漂っている。 本来のパートナーと瓜二つの容姿を持ち、絶対なる強さを持つ自分の兄弟が認めたあの男の命を奪ったことから、彼に力を貸した。 だが結果がこんな末路だったとは。もっとも、クロックアップに匹敵するほどの高速移動を使える上に、かなりの手練れが相手では仕方がないかもしれない。 運が悪かったと諦めるしかないだろう。主に付き添っているあの少女に関してはこれから生きようが死のうが、自分の知ったことではない。 それよりも、今やるべき事は次の主を捜すことだ。 主の命を奪った龍の力を持つあの男は、ベルトを手に持って移動している。 あれについて行けば、自分に相応しい者と巡り会えるだろうか。 ダークカブトゼクターは太陽が沈み始めた夜空の中で、たった一人羽ばたいた。 ※ 竜巻に跨り、ハンドルを動かしながら北崎は笑みを浮かべている。 彼の中では、一つの自信が出来上がっていた。 あの桜井達が変身した高速移動を使う『仮面ライダー』に難なく勝つことが出来た。攻撃を殆ど許さずにこうも圧倒的に。 これならば、勝利の余韻に浸っているあの『仮面ライダー』達を叩き潰せる。 もしも、それが出来たら愚かな彼らはどんな表情を浮かべるだろう、どれくらいの絶望を自分に見せてくれるだろう。 くつくつと喉を鳴らし、狂喜に満ちた笑顔を浮かべながら、肩にかけたデイバッグに目を移す。 この中にはカイザのベルトと、先程澤田が変身した黒い『仮面ライダー』に変身するための道具が入っている。 これだけの装備さえあれば、自分の勝利は揺るぎない物だ――! 「さあ、待っていてよ『仮面ライダー』達……!」 次なる参加者を求めるように、北崎は高らかに笑いながら進む。 その勢いを止めることの出来る者はいなかった。 ※ 「澤田くん……」 真魚は自分の膝の上に乗せた澤田のキャップ帽を見つめながら、一人で呟く。 彼が再び出てから、大分時間が経った。 時折、何処からともなく何かが壊れるような音が聞こえ、その度に彼女の不安は強くなっていく。 様子を見ようと思ったが、澤田からはここで待つように言われた。 故にここから動くことが出来ずに、彼の帰りを待つしか彼女は出来ない。 もうすぐ、三度目になる悪魔の呼び声が聞こえる。 そこで呼ばれる澤田亜希の名前を聞いた彼女が一体どうなるのかは、まだ誰にも分からない。 真魚はまだ、残酷な真実を知らない。澤田が二度と帰ってこないことを知らない。自分が一人になってしまったことを知らない。 【1日目 現時刻:夕方】 【北崎@仮面ライダー555】 【現在地:F-6】 [時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。 [状態]:全身に中程度の疲労、小程度のダメージ。ドラゴンオルフェノク・カイザに変身不可(2時間)。 [装備]:カイザギア(全装備付属)、オーガギア、シザースのデッキ、スパイダーオルフェノクの八方手裏剣 [道具]:竜巻、ディパック(三田村、澤田、天道、基本支給品×3) 澤田のデイバッグ(不明支給品×3(まだ確認していない)、通話発信可能な携帯電話、ライダーベルト(カブト)、ディスクアニマル(アカネタカ)、iPod(動画再生機能付き)、ファイズアクセル) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。 1:侑斗達とは今度は本気で戦う。クロックアップだけは警戒する。 2:三田村のような人間をまた探して手下にするのも面白いかも。 3:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。 4:カイザギア、ダークカブトを使って遊ぶ。 5:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。 6:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。 7:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。歌舞鬼はいつか倒す。 8:海堂はカブキが殺したと考えているが、あまり興味はない。 ※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。 ※E-6、侑斗らがいる地点から少し南の路上に凱火を放置しています。 ※D-6、澤田の首輪が放置されています。 ※デイバッグの中身はカイザギアとライダーベルト意外の物を確認していません。 ※ダークカブトゼクターがこれからどこに向かうかは次の書き手の方にお任せします。 【風谷真魚@仮面ライダーアギト】 【一日目 現時刻:夕方】 【現在地 E-6 家の廃墟】 [時間軸]:31話・サイコキネシス発現後 [状態]:健康。動揺。強い自己嫌悪。 [装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾) [道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)     ライダーパス、首輪(天道)     特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、     ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5) 、澤田のキャップ帽 [思考・状況] 1:澤田についていく。離れたくない。 2:人殺しをした自分が憎い。 3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。 4:能力の事を澤田に知られたくない。 5:澤田と一緒なら、元の世界に戻れる…? 6:自分をナオミと呼んだ青年にもう一度会って謝りたい。 7:澤田の帰りを待つ。 [備考] ※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。  現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。 ※以下のように事実を誤解しています。 サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。 灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。 青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。 加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。 自分をナオミと呼んだ男(侑斗)と黒い異型(デネブ)は親友。 ※決心が付いたら澤田の帽子に触れてイメージを見てみる。 ※青いバラに触れた女性が灰化するビジョンを見ました。 |113:[[Crisis(後編)]]|投下順|115:[[『いつか』が終わる日]]| |113:[[Crisis(後編)]]|時系列順|115:[[『いつか』が終わる日]]| |109:[[Traffics(終編)]]|[[風谷真魚]]|000:[[後の作品]]| |109:[[Traffics(終編)]]|[[北崎]]|000:[[後の作品]]| |109:[[Traffics(終編)]]|&color(red){澤田亜希}|---|
*龍は更なる力を手に入れる 太陽が沈み始めたことにより、空は輝きを失いつつあった。 時間の流れと比例するかのように周囲は暗闇に染まっていき、辺りの温度は徐々に下がっていく。 より冷たさを増しつつある大気の中をエンジン音と共に、一台のバイクが颯爽と道を駆け抜けていた。 巨大な一つ目のような銀色のライトから放たれる一筋の光が道を照らし、二輪のタイヤが道路を容赦なく抉っていく。 夜の闇を照らす輝きを放つ竜巻の名前が付けられたバイクに、一人の少年が跨りながらハンドルを動かしていた。 黒い髪は一切の手入れが施されていないかのように乱れており、長身痩躯の体は襟が大きく開いたロングTシャツで包まれている。 運転手の正体は、このバトルロワイヤルを開催したスマートブレインが保有する上位の実力を持つオルフェノクの集団、ラッキークローバーの一角。 その名は北崎。 彼は今、柔和な笑みを浮かべていた。何も知らぬ者がそれを見れば、警戒を抱かないかもしれない。 しかしそれは温厚な人間が浮かべるような物ではなく、むしろ殺戮を自らの快楽とするような狂人が作るそれに近かった。 北崎は数時間前に戦った『仮面ライダー』達の事を考えていた。 裏切り者の木場勇治、二度に渡って自分に抗ってきた桜井と香川、スマートブレインの生み出したデルタのベルトを用いながら鬼に似た姿を持つヒビキと呼ばれた男、本気を出した自分の早さに桜井と共に追いついた葦原という男―― どれも皆、自分を歓喜させるほどの強さを持っていた。 欲を言うならば、ヒビキと同じように鬼を思わせる姿の『仮面ライダー』になれる歌舞鬼や、歌舞鬼と抗戦していたカイザとも戦ってみたかったが、途中で逃げられてしまったから仕方がない。 だがそれが気にならないほど愉快な出来事が次の瞬間に起こった。 あれはオーガに変身し、木場勇治と葦原の隙をついて無防備な人間達に攻撃を浴びせようとしたときのことだ。 重厚な鎧に包まれた『仮面ライダー』が自らの身を省みずに自分の一撃から弱者を庇い、命を落とした―― 思い出すだけで笑いが止まらない、名前は確か手塚と言っただろうか。あれがきっかけとなって彼の仲間達が激昂し、自分に刃向かった。 そこから桜井と葦原はそれぞれ蠍と飛蝗を模した『仮面ライダー』に姿を変え、龍人態のスピードについてきたことが唯一の誤算だったが、あの集団相手に最後に勝ち残るのは自分であることに変わりはない。 いや、そういえば一人だけ例外がいた。桜井と似たような容姿をしておきながら、中身は月とすっぽんと言っても良い少年、桐谷京介。 他の男達が『仮面ライダー』に変身して自分に闘志を向けていたのに対し、彼だけが腰を抜かしながら恐怖に震えたような表情を浮かべていた。 あの態度は見ていて三田村を思い出させるようで、とても愉快に感じる。 もし『仮面ライダー』達を全員殺したら、桐谷を自分の家来にするのも面白いかもしれない。 「そろそろかな……」 身を切るような冷たい風を全身に受けながら、北崎はぽつりと呟く。 もうすぐ、先程の戦いによって自分に架せられた制限も切れるはずだ。それに休んでいた御陰で痛みと疲労も戦いに支障がない程度までに回復した。 これでようやく桜井を初めとする『仮面ライダー』達と戦うことが出来る。 今度はどんな玩具を使って獲物を嬲ろう、どうやって獲物を嬲ろう。 そして、どうやって『仮面ライダー』達を殺そう―― 北崎は流れるように変わりゆく景色を視界に納めながら、笑顔を浮かべていた。 周辺に見えるのは微かに生い茂った林と穏やかに流れる川だけで、彼の興味に惹かれるような物は無い。 彼はこのまま竜巻の勢いに任せて、道を走ろうとした。 しかしその瞬間、彼の意識が別の場所に向けられていく。 ――ガサリ 竜巻のエンジン音にかき消されてしまいそうなその微かな音は、人間の進化系であるオルフェノクの優れた聴覚を持つ北崎だからこそ聞き取ることが出来た。 ふと、何処からともなく草をかき分けるような音が聞こえる。耳に納めた途端、北崎はブレーキをかけてバイクの走りを止めた。 彼は音が聞こえた方面を振り向く。耳を澄ませると、地面を踏むかのような靴の音も混ざっているように聞こえる。 それはまるで徐々にこちらへ近づいてくるようだった。 音からして一人に思える。もしや、この近くに参加者がいるのだろうか。 考えに至った途端、北崎の感情が高ぶっていく。もしもやって来るのが『仮面ライダー』あるいは自分を満足できる強者ならば十分に遊んだ末に殺せばいいし、そうでない弱者ならば手下にすればいい。 北崎は竜巻のハンドルに手をかけ、獲物の正体を確かめるためにエンジンを動かした。 ※ 「ん………」 人肌程度の暖かさを後頭部に感じながら、澤田亜希は深い眠りから目覚める。 呻き声を漏らしながら瞼を開けると、その先には視界全てを覆うほどの漆黒が存在していた。 一体これは何なのだろうと、彼の中で疑問が生まれる。しかし数秒も経たない内に澤田の中でそれは解消された。 これは眠りにつく前に光を遮るため、自分がアイマスク代わりに使ったキャップ帽だ。 その事実を思い出すと、澤田は眼界を遮断する帽子を右手に取り、体を起こす。 「澤田くん……?」 聞き覚えのある声が聞こえ、澤田はその方向を振り向く。 首を動かした先には、彼がこの会場で行動を共にしている少女、風谷真魚の顔があった。 不安げな表情でこちらを見つめる彼女に対し、澤田は優しげに微笑む。 「おはよう、真魚ちゃん」 「もう、起きても大丈夫……?」 「うん、もう大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」 真魚の心配に答えるように、澤田は笑顔で言う。 まるで心の底から彼女の事を慕っているかのように。 澤田には少なくとも真魚にそう思わせる必要があった。理由はただ一つ、自分が完全たるオルフェノクである事であることを世界に証明するために。 その為にこの会場で既に二つの命を奪った。感情などという下らない物を持っていないことを知らしめるには最高の手段だ。 真魚はその最後の仕上げ。現に彼女はそれが偽りの物とも知らずに、優しさの込められた言葉をほんのちょっと投げただけで笑顔を浮かべている。 もし、自分のことを信じ切っている真魚がこの真意に気づいたら、一体どんな表情を見せてくれるだろう。 悲哀だろうか、絶望だろうか、それとも言葉では表せないほどの物だろうか―― 考えただけでも爽快な気分になるが、それを表に出すことは決してしない。 今だけはこの身に代えても真魚の為に戦う自分を彼女に見せつける必要があった。 澤田はふとスマートブレインから支給された携帯電話を開き、時計を確認する。 そこに書かれた時間を見る限り、既に夕方の時刻にまで達していた。どうやら自分の持つ全ての力を使うことが出来るようだ。 それに気がつくと、澤田は再び真魚に声をかける。 「そういえば真魚ちゃん、俺が寝ている間に何か変わったことでもあった?」 「ううん、特に何も……」 「それは良かった、真魚ちゃんに危ないことが何も起こらなくて」 真魚の心配に答えるように、澤田は笑顔で言う。 まるで心の底から彼女の事を慕っているかのように。 澤田には少なくとも真魚にそう思わせる必要があった。理由はただ一つ、自分が完全たるオルフェノクである事であることを世界に証明するために。 その為にこの会場で既に二つの命を奪った。感情などという下らない物を持っていないことを知らしめるには最高の手段だ。 真魚はその最後の仕上げ。現に彼女はそれが偽りの物とも知らずに、優しさの込められた言葉をほんのちょっと投げただけで笑顔を浮かべている。 もし、自分のことを信じ切っている真魚がこの真意に気づいたら、一体どんな表情を見せてくれるだろう。 悲哀だろうか、絶望だろうか、それとも言葉では表せないほどの物だろうか―― 考えただけでも爽快な気分になるが、それを表に出すことは決してしない。 今だけはこの身に代えても真魚の為に戦う自分を彼女に見せつける必要があった。 澤田はふとスマートブレインから支給された携帯電話を開き、時計を確認する。 そこに書かれた時間を見る限り、既に夕方の時刻にまで達していた。どうやら自分の持つ全ての力を使うことが出来るようだ。 それに気がつくと、澤田は真魚の背後から見える外に視線を移す。 空は既に明るさを失い初めており、夕方であることを知ることが出来る。 もう近くには誰もいないだろうと、澤田が思ったその瞬間だった。 風の音と虫の鳴き声に混じって、何処からともなく鈍い音が聞こえてくる。瞬時に澤田はその方向を振り向いた。 それはバイクがエンジンを吹かし、タイヤが道路を削るような音だった。それは徐々にこちらに近づいてくる。 どうやら、この近くに参加者がいるようだ。しかも、バイクに乗っているときた。上手くいけば不意打ちを食らわせることも出来るだろう。 ただ、先程戦った鬼のように失敗しないよう、細心の注意を払わなければならない。 「澤田くん……どうかした?」 真魚の声が聞こえ、澤田は我に返る。 「真魚ちゃん、変な音が外から聞こえたからちょっとここで待ってて」 「もう動いても大丈夫?」 「大丈夫、すぐに戻ってくるから」 怪訝な表情を浮かべる真魚に対し、澤田はあっさりと答えながら立ち上がる。 彼は全ての装備が入ったデイバッグを肩にかけ、廃屋から外へと向かう。 真魚はその背中を、ただ見つめているだけだった。 ※ 体を休めていた廃墟から、徐々に距離が空いていることは彼は意識していない。 道を阻む草をかき分け、樹木の根を踏みしめながら澤田は音の聞こえた方向へ進んでいく。 時間帯からか、辺りの暗闇は徐々に深くなっていき、風の冷たさも増している。 耳を澄ませると、エンジン音はいつの間にか消えていた。どうやら運転手はバイクを止めたようだ。 なぜ止めたのかは、彼には判断が付かない。戦闘が始まったわけではなさそうだし、誰かと会話してるようでもない。 だからといって逃がすつもりはなかった。恐らく、共闘をしている他の参加者と落ち合う場所に着いたという可能性もある。 そうなる前に、自分が殺してしまえばいい。 考えながら澤田がもう一歩踏み出そうとした、その瞬間だった。 「へぇ、ここにいたの君だったんだ」 突如、背後より涼しい声が聞こえる。 思わず足を止めてしまい、澤田は振り向く。その途端、驚愕によって彼の両目が一気に開かれていく。 そこには、細身の長身をTシャツで包み、癖の強い髪型の青年が笑顔を浮かべながらこちらを見つめている。 青年の正体を彼は知っていた。 「北崎……!?」 思わず、澤田は名前を呼んでしまう。 それはラッキークローバーの中でも一番と言っていいほどの実力を誇り、龍の力を持つオルフェノクの北崎。 「君も僕と一緒に遊ぼうよ……?」 微笑みながら北崎は呟き、一歩一歩とこちらに足を進める。 その言葉の意味を澤田は瞬時に理解した。北崎は自分を標的に狙っている。 よりにもよって一番会いたくない相手と再び出会ってしまった。北崎は元々の実力さえも自分を上回り、更に変身システムを二つも所有している。 北崎は同じラッキークローバーの一員である琢磨逸郎ですらも、自分の快楽のために平然と暴力を加えている男だ。こんな場所で出会ってしまっては、同族たる自分ですらも命を奪われかねない。 ここで殺されては全てが水の泡だ。澤田は笑いながら近づいてくる北崎を尻目にデイバッグから銀色に輝く金属質のベルトを取り出し、腰に巻いた。 次の瞬間、漆黒の輝きを放つカブト虫を模した形状を持つ機械、ダークカブトゼクターが彼の手元へと飛んでくる。 澤田がそれを掴むのと同時に、北崎は足を止めた。 「それって……?」 北崎には目の前の光景にデジャビュを感じる。 あの昆虫は、数時間前に戦った桜井、手塚、葦原という三人の男が、自分と戦う為に使った『仮面ライダー』に姿を変える道具に似ていた。 「変身」 『HENSIN』 澤田がダークカブトゼクターをベルトのバックルに装着しながら静かに呟く。 その途端、電子音声がベルトから復唱され、腰に巻いたライダーベルトからタキオン粒子が吹き出し、六角形の金属片を形作る。 そこから続くように腰から脚部へ、胴体から両肩に、両腕から手に、首から頭部を金属片が包んでいった。 それは銀色と漆黒の重厚な装甲へと形を変え、最後に澤田の顔面が単眼の仮面で覆われていく。 全ての課程が終わるのと同時に、人工的に作られた瞳は金色の輝きを放つ。 「やっぱり……!」 澤田が仮面ライダーダークカブト マスクドフォームへと姿を変えるのと同時に、北崎は笑みを強める。 彼の感情が徐々に高まっていき、心臓の鼓動が早まっていく。 恐らくあの『仮面ライダー』は先程自分が戦った、龍人態に追いつけるほどの高速移動が可能なタイプと同じ物だろう。 予想が正しければ、あの重量感溢れる鎧の下にまだ別の姿があり、それはかなりのスピードを持っているはずだ。 『CAST OFF』 北崎が思考を巡らせている間、ダークカブトは自らのゼクターの角を百八十度の角度で倒す。 それと同時にダークカブトゼクターから人工音が鳴り響く。そこから全身の鎧に電流が伝わっていき、純銀に輝く鎧が弾き飛ばされていった。 ダークカブトの装甲が北崎の脇を高速の勢いで通り過ぎると、顎から漆黒の角がせり上がっていき、金の単眼が複眼へと変わっていく。 『CHANGE BEETLE』 人造音声と共に現れたのは、辺りの闇と同調するかのように全身が黒く煌めくカブト虫を思わせる戦士。 ライダーフォームの名を持つ形態にダークカブトが姿を変えるのと同時に、北崎の全身が龍を思わせるような漆黒の紋章が浮かび上がっていく。 そこから続くかのように、北崎の体が徐々に歪み始める。瞬き一つを許さない程の時間が経過すると、その体は大きく変質していた。 龍を思わせるような醜悪な顔面、天に向かって大きく伸びた二本の角、異様なまでに筋肉の発達した灰色に染まる全身、両腕に左右対称に生えた鋭い輝きを放つ龍の顔が刻まれているかぎ爪。 ドラゴンオルフェノクの名を持つ異形へと北崎が姿を変えるのと同時に、ダークカブトはベルトの脇に備え付けられたスイッチを右手で叩いた。 『CLOCK UP』 無機質な電子音が鳴った途端、ダークカブトの周囲を覆う時間の流れが一気に遅くなる。 地面に落ちていく木の葉の動きすらもスローモーションに映る中、ダークカブトはドラゴンオルフェノクから逃げるように勢いよく踵を返す。 澤田自身、北崎のような狂人と戦うつもりなど毛頭なかった。 いくら高速移動の能力を持っていたからと言って、それは十秒にも満たないほんの僅かな時間だ。それだけであれを相手に勝てるとは思えない。 恐らく北崎自身も先程の戦いによる時間制限が解除されているはず。 認めたくはないが、あれ程の化け物と真っ向から相手にしたところで返り討ちに合うのが落ちだ。 北崎に関しては他の参加者と戦って潰れるのを待てばいいだけだろう。 思考と共に木々の間を音速すら上回る速度でダークカブトは駆け抜けていたが、その足がこれ以上進むことはなかった。 「ガアッ……!」 走っている最中、突如として背中に激痛が走り、そのまま俯せの体制で地面に倒れてしまう。その衝撃で肩にかけていたデイバッグを放り落としてしまった。 澤田の呻き声と共にダークカブトの仮面の下で顎の拘束が緩んでいく。 一体何が起こったのか。 痛みから併発される熱に襲われながらも起き上がろうとするが、途端にその背筋が発達した異形の足によって踏みにじられた。 「何処に行くの?」 無邪気な、それでいて怒りの込められた声がダークカブトの頭上から聞こえる。 その正体は言うまでもなく北崎のそれだった。 ダークカブトは驚愕しながらも、首を背後に動かす。見ると、そこには先程の龍に酷似したのとはまた違う姿のオルフェノクが立っていた。 頭部に生えた左右に向かって伸びる二本の角、額で水晶の如く煌めく漆黒の球体、灰色を基調とした細身の肉体に所々突き出した棘。 その正体をダークカブトは知っていた。先程の『魔人態』とは異なり、防御力を捨てる変わりに凄まじい敏捷性を得られる『龍人態』の名を持つドラゴンオルフェノクのもう一つの姿。 『CLOCK OVER』 クロックアップの状態が終了することを知らせる電子音が鳴るのと同時に、ダークカブトの速度は元の状態へと戻る。 それを合図にするかのように、ドラゴンオルフェノクは右足を振り上げ、勢いよくダークカブトの背中へと叩き込んだ。 そこから二度三度と繰り返されるようにドラゴンオルフェノクの踏みつけが襲いかかり、鎧に黄色い火花が飛び散るのと同時にダークカブトは呻き声を漏らす。 攻撃力と防御力を犠牲にした形態なのに、まるで全ての体組織がそのまま押し潰されてしまいそうな程にその一撃は重かった。 それでも、ダークカブトは背部に力を込めて意識を保っている。 やがて何度目かになるか分からない打撃の後、ドラゴンオルフェノクは攻撃の目標を脇腹へと定め、そのまま勢いよく蹴りつけた。 ボールが飛び跳ねるかのようにダークカブトの体が地面を数回転がってしまう。 全身が鈍い痛みに襲われ、視界がぼやけていくが、ダークカブトはドラゴンオルフェノクに目を向ける。 「ねぇ、どうして逃げるの?」 ドラゴンオルフェノクはそう呟きながら、ゆっくりと歩みを進める。 失敗だった。 龍人態が圧倒的な瞬発力を持っていたと言うことは聞いていたが、まさかここまでだったとは。 キャストオフをした瞬間そのまま逃げるのではなく、クナイガンを用いて視界を奪うことをするべきだった。 そうすれば、逃走の確率が上がっただろうに。 ダークカブトは自分の認識の甘さを呪いながら立ち上がるが、その途端にドラゴンオルフェノクは腹部を目掛けて拳を打ち出してくる。 それをまともに浴びた彼は再度吹き飛ばされてしまい、そのまま背中から地面に叩きつけられてしまう。 「せっかくだからもっと遊ぼうよ」 微かな呟きと同時に、ドラゴンオルフェノクの姿はかき消えていく。 その刹那、ダークカブトの体は宙に浮かび上がり、痛みと共に脇腹から血飛沫が吹き出すかのように火花が飛び散る。 そこから続くかのように四肢の全てを使った無数の打撃が嵐のように襲いかかり、視界が反転していく。 ダークカブトの体が地面に落ちようとした瞬間、ドラゴンオルフェノクの拳がその背中を捉える。 まるで金属バットで殴られたかのような痛みを感じる度に、ダークカブトは周囲を駆け抜けている灰色の影を視界に捉えているが、絶え間ない攻撃と激痛によって体がついて行くことが出来ない。 もはやこれは戦いと呼べるような代物ではなく、一方的な嬲り殺しに等しかった。 「グッ……! ウオォォォアァァァッ!!」 ドラゴンオルフェノクの重い打撃によるダメージが徐々に蓄積され、ダークカブトは悲鳴にも聞こえるような絶叫を上げる。 クロックアップを使用する暇すらも与えてもらえず、ただ宙を漂うことしかできない。 やがて何度目になるのか分からない攻撃の後、ダークカブトは勢いよく地面に転がっていく。それと同時にドラゴンオルフェノクの早さも通常の状態へと戻る。 圧倒的な実力の差を再度認識され、ダークカブトの腸は煮えくり返っていた。だが悔やんだところで、事態が変わるわけではない。 ダークカブトはよろよろと起きあがりながら、銃を持つような形でゼクトクナイガンを構え、光弾を放とうとした。 しかし引き金を引こうとしたその瞬間、ドラゴンオルフェノクが姿勢を低くしながら懐に入り込み、右手で握り拳を作る。 そして顎に狙いを定めて勢いよくアッパーの要領で叩き込んだ。 「ガハッ……!」 ドラゴンオルフェノクの拳を受けたダークカブトは呻き声を漏らし、その体が吹き飛ばされていく。 数トンの重さに対抗することは出来ず、宙を舞う彼の体は重力によって自然に地面へと叩きつけられていった。 それが引き金となったのか、これまで蓄積されたダメージがついに限界を迎え、ダークカブトゼクターがベルトから離れていき、ダークカブトの鎧を構成しているヒヒイロカネが崩壊し、澤田は元の姿に戻ってしまう。 激痛で表情を歪ませる澤田を見た途端、ドラゴンオルフェノクの全身がボコボコと音を立てながら盛り上がり、表面が歪んでいく。 瞬間、その体は一気に変化を果たす。 見る物全てを震え上がらせるような顔面、太さを増した二本の角、筋肉の発達した胸板、両腕に付けられた龍の顔を思わせる模様の爪、大木のような太さを持つ両足。 数秒もの時間が経たない内に、魔人態の名を持つ形態へとドラゴンオルフェノクは姿を変えた。 「君、とっても弱いね。それでも『仮面ライダー』なの?」 ドラゴンオルフェノクは愉快そうに、そして冷たく言い放つ。 『仮面ライダー』―― その言葉は澤田にも覚えのある物だった。 この殺し合いの主催者たる村上峡児が口にした言葉で、それはスマートブレインが生み出したベルトの戦士と同じように、強大な戦闘力を持つ存在らしい。 だがそれは今の澤田にとってどうでもいい事だった。今必要なことはこの事態から脱出する方法のみ。唯一の手段がたった今費えてしまった。 たとえオルフェノクの力を発揮して戦った所で、返り討ちに遭うのが関の山。カイザギアが入っているデイバッグは数メートル先に置いてあるが、あの北崎が取らせる暇など与えるわけがない。 絶体絶命とも呼べるような状況に追い込まれた途端、ドラゴンオルフェノクの体が突然ドロドロと音を立てながら形を変えていく。 一呼吸を果たせるくらいに一瞬の時が流れた後、その体は北崎の物へと戻っていった。 「あれ、もう終わり?」 時間制限によって能力の発揮を強制的に解除された北崎は、怪訝な表情を浮かべながら呟く。 その様子を見た澤田の行動は早かった。全身に異常なまでの負荷が掛かり、満足に動かすことが出来ないにも関わらずに体を持ち上げる。 直後、澤田の全身が形を変えていく。一瞬の間で彼の姿は蜘蛛を思わせる風貌をした灰色の異形、スパイダーオルフェノクへの変貌を果たした。 真魚が近くにいないことを祈りながら、スパイダーオルフェノクはその右手で自ら作り出した八方手裏剣を握り、構えを取る。 「だあぁぁぁぁぁぁっっっ!」 スパイダーオルフェノクは八方手裏剣を北崎に目掛けて、渾身の力で投げ出す。 対する北崎は驚愕の表情を浮かべながら地面を転がるようにして、高速の勢いで迫りくるそれを避けた。目標を失った手裏剣はブーメランの如く回転しながら、スパイダーオルフェノクの手元に戻ってくる。 スパイダーオルフェノクはチャンスが出来たと確信し、落ちたデイバッグを拾いながら全力で駆け抜けた。 首輪の制限によって体に異常を感じながらも、彼はひたすら森の奥へ走る。北崎に僅かながら隙が出来たが、疲労困憊の状態で戦っても勝てるわけがない。 故に、こうする意外に方法がなかった。 「あ~あ、逃げちゃった」 木々の中へと消えていくスパイダーオルフェノクの背中を見つめながら、北崎は残念そうに口を漏らす。 彼はゆっくりと起きあがると、地面に目を向ける。 「あれ……?」 直後、すぐ側に落ちていた物を見つけて北崎は呟く。 そこには青と黒に彩られた無機質なベルトと、Xの模様が描かれた携帯電話、そして一枚の紙が落ちていた。 「これって……もしかして三本のベルト?」 その機械の正体を彼は知っていた。 スマートブレインがオルフェノクの王を守護するために生み出したと言われる三本のベルトの一本、カイザギア。 これを操る男の名前は草加雅人と言っただろうか。何度か戦ったことがあるが、その度に自分が簡単に白星を納めた。 何故それがここにあるのか。答えは簡単だ、先程自分と遊んだ澤田が逃げる途中、無意識の内に落としたのだ。 そうなると、先程の戦いで逃してしまったカイザに変身していたのは澤田と言うことになる。 「面白そうじゃない……!」 北崎は一瞬で答えを導きながら呟くと、カイザギアを拾い上げた。 ※ 「ハァッ……ハッ………ッハッ!」 自分を標的にした最大の驚異から全力で逃げ出したスパイダーオルフェノクは、木に背中を預けながら腰を下ろしている。 それでも変身を解くことはしなかった。もし油断して北崎以外の参加者に襲われてしまっては、笑い話にもならない。 彼の心臓は張り裂けそうな程に激しく悲鳴を上げ、呼吸も凄まじいほど荒くなっている。 分かり切ったことだが、強敵だった。今こうして生きていることが奇跡と思えるくらいに。 しかしこのまま休むわけにもいかない。今のところその気配はないが、自分を待っている真魚がいる廃墟で異常事態が起こる可能性がある。 気がつくと休んでいる間に呼吸も少しは落ち着き、痛みも和らいでいた。それを感じたスパイダーオルフェノクはライダーベルトをデイバッグにしまい、ゆっくりと立ち上がる。 不意に、彼は以前この状態で生身の北崎相手に挑んだ時のことを思い返す。あの時はしつこく絡む北崎に嫌悪感を覚え、そのまま殺そうとしたが簡単に叩きのめされた。 その後奴は自分に対して愚か者を見るような笑みを向けながらあっさりと去っていったが。 逃げる選択しかできない自分と北崎を相手に怒りを覚え、スパイダーオルフェノクは唇を強く噛んでしまう。 体が糸の切れた凧のふらつきながらも歩いていたが、それ以上足が進むことはなかった。 『Exceed Charge』 突如、何処からともなく電子音声が響く。 次の瞬間、スパイダーオルフェノクの全身に金色に輝く鎖のような光が巻き付き、動きを強制的に止められてしまう。 「な、何……!?」 それは彼がよく知るものだった。 スマートブレインによって支給されたカイザの切り札であるゴルドスラッシュに繋ぐために、カイザブレイガンから放たれる拘束具。 しかしカイザになるための変身ギアは、自分の手元にあるはずだ。 それなのに、何故――? 「君だったんだね、さっき戦ってたカイザの正体は」 頭の中で疑問が駆けめぐっていると、聞き覚えのある声が聞こえる。 鋼のように体を縛り付ける黄金の縄によって、半端な体制で四肢の動きを阻まれている中、スパイダーオルフェノクは声の正体を一瞬で察知した。 それはつい先程、自分を散々痛めつけた北崎のそれだった。 このことによって示される事実はただ一つ、現在カイザの力を使っているのは他ならぬ北崎であること。しかし何故だ、カイザギアは自分のデイバッグに入っていたはず。 考えに至った途端、スパイダーオルフェノクは一つの可能性を導く。 (まさか、逃げる最中に誤って道に落としてしまった――!?) 「バイバイ」 スパイダーオルフェノクはすぐに気づいたものの、それでも遅すぎた。 北崎の呟きと同時に、彼の脇には黄金色の輝きを放つエネルギーが、Xの形を作りながら浮かび上がっていく。 閃光へと姿を変えながらカイザブレイガンを手に持ち、駆け抜けるカイザによってスパイダーオルフェノクの体が貫かれていくのに、それほどの時間は必要なかった。 ※ 全てが終わった林の中で、澤田はたった一人俯せの体制で倒れていた。 唇からはひゅうひゅうと音を立てながら短い息が漏れていき、その度に彼の命が削り取られていく。 自分は完全たるオルフェノクになるためにこのゲームに参加し、カイザのベルトを手に入れた。 だが手段であるはずのカイザによって命を奪われるとは、滑稽にも程がある。 澤田は芋虫のように地面を這い蹲りながらも、ゆっくりと進んでいた。 まだ真魚をこの手で殺していない、完全なオルフェノクであることを証明するその時まで死ぬわけにはいかない。たかが出来損ないの人間一人、この手で捻り潰せるはず。 悪鬼のように表情を歪ませながらも前に進んでいたが、やがて動かなくなる。 「クッ………まだ、俺は…………」 澤田は自らに言い聞かせるかのように呟くが、もはや体の自由は効かなかった。 そのまま瞳が閉じられようとしたその時だった。 「俺は………!」 『澤田くん』 不意に、澤田の耳に声が響く。 それに気づいた彼は顔を上げると、表情が驚愕で染まる。 見ると、目の前には自分がこの手で殺したはずの少女、園田真理が満面の笑みを浮かべながら自分に手を差しのばしていた。 だが、澤田が見ているのはただの幻覚に過ぎない。しかし彼がその事実に気づくことがないまま、真理は口を開く。 「ま、真理……!?」 『澤田くんは人間だよ、昔の優しかった澤田くんのままだよ!』 真理は太陽のように優しく微笑んでいる。それはまるで命を奪った自分に向ける物とは思えないくらいに、輝いていた。 それを聞いた澤田は無意識のうちに、真理の掌を掴むように腕を伸ばす。 その途端、走馬燈のように彼女との思い出が蘇っていく。 流星塾で初めて出会った人間だったあの頃―― 一緒に笑顔を浮かべながら、クレヨンで絵を描いていた日々―― 悪戯をして泣かせてしまった真理を慰めるために、赤い折り紙で動物を作ってそれを渡した日―― 真理と共に育ち、共に泣き、共に喧嘩し、共に笑い合った流星塾の毎日―― オルフェノクとなってしまった今となっては、どれも遠い日の異物に過ぎなかった。 それにも関わらずして澤田は、最後の力を振り絞って真理の手を掴もうとする。 何故そうするのかは彼自身分からない。けれども澤田は必死に手を伸ばしている。 しかし、彼が真理の手を握ることはなかった。彼女の指に触れようとしたその瞬間、澤田の体が青い炎に飲み込まれてしまう。 これが意味することはただ一つ、澤田の命が尽きていくまでのカウントダウンだった。彼に残された時間はもう十秒も無い。 限界に達した澤田の体は徐々に色を失い、凍り付いていく。 それと同時に、彼は自らの体が軽くなることを感じた。ふわりと全身が浮かび上がるような感覚と共に、その瞳が閉じられる。 意識を手放すのを合図とするように、澤田の身体は音も立てずに崩壊していく。 最後に残ったのは、澤田亜希という存在を証明する灰の山とそれに埋もれた冷たい首輪だけだった。 &color(red){【澤田亜希@仮面ライダー555 死亡 】} &color(red){【 残り28人 】} ※澤田亜希の遺体は灰化しました。 主の身体が崩れていく様子を見届けながら、ダークカブトゼクターは宙を漂っている。 本来のパートナーと瓜二つの容姿を持ち、絶対なる強さを持つ自分の兄弟が認めたあの男の命を奪ったことから、彼に力を貸した。 だが結果がこんな末路だったとは。もっとも、クロックアップに匹敵するほどの高速移動を使える上に、かなりの手練れが相手では仕方がないかもしれない。 運が悪かったと諦めるしかないだろう。主に付き添っているあの少女に関してはこれから生きようが死のうが、自分の知ったことではない。 それよりも、今やるべき事は次の主を捜すことだ。 主の命を奪った龍の力を持つあの男は、ベルトを手に持って移動している。 あれについて行けば、自分に相応しい者と巡り会えるだろうか。 ダークカブトゼクターは太陽が沈み始めた夜空の中で、たった一人羽ばたいた。 ※ 竜巻に跨り、ハンドルを動かしながら北崎は笑みを浮かべている。 彼の中では、一つの自信が出来上がっていた。 あの桜井達が変身した高速移動を使う『仮面ライダー』に難なく勝つことが出来た。攻撃を殆ど許さずにこうも圧倒的に。 これならば、勝利の余韻に浸っているあの『仮面ライダー』達を叩き潰せる。 もしも、それが出来たら愚かな彼らはどんな表情を浮かべるだろう、どれくらいの絶望を自分に見せてくれるだろう。 くつくつと喉を鳴らし、狂喜に満ちた笑顔を浮かべながら、肩にかけたデイバッグに目を移す。 この中にはカイザのベルトと、先程澤田が変身した黒い『仮面ライダー』に変身するための道具が入っている。 これだけの装備さえあれば、自分の勝利は揺るぎない物だ――! 「さあ、待っていてよ『仮面ライダー』達……!」 次なる参加者を求めるように、北崎は高らかに笑いながら進む。 その勢いを止めることの出来る者はいなかった。 ※ 「澤田くん……」 真魚は自分の膝の上に乗せた澤田のキャップ帽を見つめながら、一人で呟く。 彼が再び出てから、大分時間が経った。 時折、何処からともなく何かが壊れるような音が聞こえ、その度に彼女の不安は強くなっていく。 様子を見ようと思ったが、澤田からはここで待つように言われた。 故にここから動くことが出来ずに、彼の帰りを待つしか彼女は出来ない。 もうすぐ、三度目になる悪魔の呼び声が聞こえる。 そこで呼ばれる澤田亜希の名前を聞いた彼女が一体どうなるのかは、まだ誰にも分からない。 真魚はまだ、残酷な真実を知らない。澤田が二度と帰ってこないことを知らない。自分が一人になってしまったことを知らない。 【1日目 現時刻:夕方】 【北崎@仮面ライダー555】 【現在地:F-6】 [時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。 [状態]:全身に中程度の疲労、小程度のダメージ。ドラゴンオルフェノク・カイザに変身不可(2時間)。 [装備]:カイザギア(全装備付属)、オーガギア、シザースのデッキ、スパイダーオルフェノクの八方手裏剣 [道具]:竜巻、ディパック(三田村、澤田、天道、基本支給品×3) 澤田のデイバッグ(不明支給品×3(まだ確認していない)、通話発信可能な携帯電話、ライダーベルト(カブト)、ディスクアニマル(アカネタカ)、iPod(動画再生機能付き)、ファイズアクセル) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。 1:侑斗達とは今度は本気で戦う。クロックアップだけは警戒する。 2:三田村のような人間をまた探して手下にするのも面白いかも。 3:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。 4:カイザギア、ダークカブトを使って遊ぶ。 5:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。 6:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。 7:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。歌舞鬼はいつか倒す。 8:海堂はカブキが殺したと考えているが、あまり興味はない。 ※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。 ※E-6、侑斗らがいる地点から少し南の路上に凱火を放置しています。 ※D-6、澤田の首輪が放置されています。 ※デイバッグの中身はカイザギアとライダーベルト意外の物を確認していません。 ※ダークカブトゼクターがこれからどこに向かうかは次の書き手の方にお任せします。 【風谷真魚@仮面ライダーアギト】 【一日目 現時刻:夕方】 【現在地 E-6 家の廃墟】 [時間軸]:31話・サイコキネシス発現後 [状態]:健康。動揺。強い自己嫌悪。 [装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾) [道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)     ライダーパス、首輪(天道)     特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、     ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5) 、澤田のキャップ帽 [思考・状況] 1:澤田についていく。離れたくない。 2:人殺しをした自分が憎い。 3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。 4:能力の事を澤田に知られたくない。 5:澤田と一緒なら、元の世界に戻れる…? 6:自分をナオミと呼んだ青年にもう一度会って謝りたい。 7:澤田の帰りを待つ。 [備考] ※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。  現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。 ※以下のように事実を誤解しています。 サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。 灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。 青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。 加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。 自分をナオミと呼んだ男(侑斗)と黒い異型(デネブ)は親友。 ※決心が付いたら澤田の帽子に触れてイメージを見てみる。 ※青いバラに触れた女性が灰化するビジョンを見ました。 |113:[[Crisis(後編)]]|投下順|115:[[『いつか』が終わる日]]| |113:[[Crisis(後編)]]|時系列順|115:[[『いつか』が終わる日]]| |109:[[Traffics(終編)]]|[[風谷真魚]]|119:[[サウンド・オヴ・サイレンス]]| |109:[[Traffics(終編)]]|[[北崎]]|000:[[後の作品]]| |109:[[Traffics(終編)]]|&color(red){澤田亜希}|---|

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
人気記事ランキング
目安箱バナー