傷付いてもいい、強く立ち上がれ

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nagasare

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傷付いてもいい、強く立ち上がれ


――朝日が昇り、静寂を破るように放送が始まった。まるで殺戮を、死を愉しむかのような女の声。死者がカウントされ、名前を呼ばれる。まるで、命が消え行くことが
幸福であるかのように。

「天道総司?…そ、そんな馬鹿な!!」
1人の死者の名を聞き愕然とする男、風間大介。
まさか、彼がこの戦いでこんなに簡単にも死ぬとは。
あの男は、確かに鼻につくところもあったが実力だけは確かだった。
間違いなく、自分やあの影山という男よりも強かったはずだ。
それ程の男が、こうも簡単に死ぬという現実。
風間は、この戦いから生き残ることが如何に難しいかを知る事となった。

「芝浦?あいつ、死んじゃったのかよ。確かに、あいつ嫌な奴で最低だったけど
……でも、こんな事で誰かが死んでいくなんて。」
死亡者の1人、芝浦淳の名を聞き城戸真司もまた動揺していた。
ライダーバトルに参加していた、あの生意気な青年の顔を思い出す。
自信満々で、ライダーバトルを「ゲーム」と呼んでいた戦士・仮面ライダーガイ。
そんな彼も、この戦いでまた命を落とした。何度”こんなこと”が繰り返されるのか?
彼の死が、城戸の心を締め付ける。

――その一方でまた、死者の名に聞き覚えのある名前を見つける者が1人。

「モモ……何でよ。何で……何でモモが死んじゃうのよ!!
嘘でしょ……嘘って言ってよ……馬鹿モモ!!」
参加者の1人、先ほどのまで戦闘で気絶していたハナは朝日の眩しさに目を覚ますと同時に、信じられない現実を知った。
モモタロスという名前を聞き、溢れ出す感情を抑えれずにいる。
本当は、大嫌いな存在だったイマジン。モモタロスもそのイマジンの1人だったはずだ。
だが、モモタロスたちと旅をしていくにつれ自分でも知らぬ内に仲間としての「情」のようなものが生まれていくのを感じていた。
自分で、必死にその感情を抑えようとしていた為に表に出ることはなかったが。
「モモ、あんたが死んだら……私、誰と喧嘩すればいいのよ!?あんたは馬鹿だけど、
すごく馬鹿だけど……でも!!」
溢れ出す涙。信じたくない思いと、現実の狭間でハナの心は大きく揺れていた。

「大好き……だったんだよな、ハナ。」
その様子を見ていた青年よりいくらか上の年代の男が1人。
ハナの肩に、そっと手を当てる。
「泣きたいだけ泣けばいい。」
男の名前は、ヒビキ。この戦いを止める為に、戦う決意をした参加者の1人である。
ヒビキは、昇り行く朝日に向け無言で手を合わせる。

「一体、何やってんのさ?ヒビキさん。」
ヒビキの様子を、不思議そうに城戸が見つめる。
ヒビキは合掌を解き、それまでの神妙な面持ちを崩して笑顔を見せた。
「死んでいった人達に、ちゃんと挨拶しとこうと思ってさ。」
それを聞き、城戸もまたヒビキと同じように手を合わせ始める。
(俺、あんた達の分も絶対に戦いを止めてみせます…!!絶対に!!)
城戸の姿を見て、ヒビキもまた少し頬を緩めた。安堵したのかもしれない。
自分だけではない、人の為に戦う戦士はまだ此処にいるのだと。

地面に膝を下ろすハナを見て、軟派そうな男が1人近付く。
先ほどのヒビキとは違い、ハナの肩を抱くようにして顔を近づけてみせる。
「どうした?哀しいなら、俺の胸で……泣けばいい。さぁ、遠慮はいらないぜ?」
軟派男の名は、一文字隼人。先ほどの放送で呼ばれた男と同じ名前を持つ者。
そんな一文字の姿を見て、対抗心を燃やしながらハナに近付く風間。
一文字の手を払うと、ハナを自分の手に抱き寄せゆっくりと微笑む。
「貴方はまるで女性の扱いがなってませんねぇ……もっと花を扱うように。
そう、ゆっくりと優しく……!?」
――「あんた達 い い 加 減 に!!」――
全てを言い終える間もなく、風間の顔面をストレートの一撃が襲った。
吹っ飛ばされた風間は、鼻血を垂らしながら気絶してしまった。
「……あ、やり過ぎちゃった。ごめんなさい!!」
その様子を見ていた一文字が、ハナを見てニヤリと笑う。
こういう女性も悪くないと。
(殴られた風間は災難だが、俺はこういう攻撃的な女も好きだぜ……)
新たな「獲物」を見定めた男は、この戦いでもう少し生きてみようと心に決めた。

3人のやり取りに気付き、ヒビキと城戸もその輪に加わる。
まず、ここでやるべき事はお互いの持つ情報の交換。
「まずは……お互いが知ってることの整理だな。
一文字っていうんだろ?さっきの放送と同じ名前だろ?」
「あぁ、俺は一文字隼人だ。だが、さっきの奴とは名前だけが同じなだけで
まったくの別人だ。まぁ、俺が死んだと思う奴がいればそれも利用出来るかもしれないがな。情報交換には賛成だ。俺も生き残る為に、出来るだけ情報は欲しい。」
ヒビキの提案に一文字も賛同した。一文字の説明が始まる。
要注意人物のことを。一文字が出会った老紳士、牙王、赤い巨大な怪物たち。
「まずは、骨付き肉を食ってた男に、イカの怪物に変わった奴。それに赤い岩みたいな化けモンだ。」
この3つが少なくとも殺戮に加担する側の参加者であるという情報。
「牙王……たぶん、そいつは牙王ね。やっぱりあいつ、このゲームに乗るつもりなんだわ。」
一文字が話した1人の男。牙王と呼ばれる参加者の姿にハナが反応する。
城戸、ヒビキは一文字の話に聞き入っている。
「で……最後に出会った茶髪の男だ。奴は高笑いで、何かを喜んでいるようだった。
まるで、策略でも張り巡らせれているようにな。そいつは、カードを使って”変身”した。」
一文字は地面に落ちていた木の枝で、その男の似顔絵を描いてみせる。
それなりに、男の特徴を捉えた絵だ。
変身、という言葉にヒビキたち3人が顔を見合わせる。
一文字が描いた絵。城戸の中で、志村の顔が不意に浮かぶ。
志村さんことを話そうか?――だが、その考えはすぐに打ち消された。
(そんなわけないだろ。志村さんは……絶対に、そんなことはしない!!)
城戸のお人好しぶりが、今のところは志村の策謀を守ったことになる。
だが、一度生まれた「疑念」がそう容易く消えることもないのもまた確かなことだった。


「そいつは、おそらく戦いを遠くから傍観してるだけの奴だろう。
勝手に参加者の数が減るのを様子見て、自分が最後の参加者を殺す。
その筈が、俺が奴の姿を見ちまったもんだから消しにかかったってところだろう。」
一文字は自分の推論を3人に話すとため息をついて空を見上げた。
まだ、自分が受けた傷は癒えていない。だが、ここで止まるつもりもなかった。
どんなに悪辣な相手でいても、自分は自分の守るべきものを守る。
その意思だけは止まるつもりはなかった。
城戸やハナの顔も曇る。少なくとも、2人いる可能性が一文字の情報から見て
予測は出来る。戦いに乗った参加者の中には、自ら「正義」の仮面を
被った悪魔もいる。
考えただけで恐ろしい。そんな中で1人、それでも平然とした顔で一文字の話を聞き終えたヒビキが立ち上がる。
「よし、情報はある程度聞けたな。少し休んだら、行こうか。」
城戸が立ち上がり平然としているヒビキに言葉を返す。
「ヒビキさん!!行こうって一体何処に?もう少し、作戦を練るとか……
もしかしたら、仲間の振りをして俺たちを殺そうとするかもしれないし。」
ヒビキは一瞬だけ、厳しい表情を見せる。だが、すぐにそれさえも仕舞い込み
城戸の肩をポン、と叩くとゆっくりと歩き出した。
「悪意ってのは、絶えないよな。でも、そんな中でも本当に助けを求めてる人だっている筈だろ?
どんな事があっても、人助けをする。それが、俺の信念ってところかな?
だから、……鍛えて、戦う。まずは、この辺りにいる仲間を探す。
それが先決だろ?」
その言葉を聞き、ハナも立ち上がる。先ほどまでの涙は、当に乾いていた。
「私も、戦います。モモの分まで……」
今でも、イマジンに対する……いや、モモタロスに対する自分の気持ちに整理が付かない。
でも、1つだけ分かった事がある。自分は、モモタロスの死が悲しかった。
だから、モモタロスの為にも生きて戦う。それが戦いが好きだった
彼への弔いになるのではないか、ただそんな気がしていた。

立ち上があった2人を茶化すように手を叩く一文字。
「いい話だ……涙が出てくるぜ。」
ヒビキがその姿を見て、呼びかける。
「一文字、一緒に行動しよう。仲間は多い方がいい……そうだろ?」
一文字は、他人と馴れ合うつもりなど毛頭無い。
だが、本郷が自分に託した言葉――「仲間を、お前に任せる」
一文字は懐に忍ばせていた鈍ら刀を取り出すと、ヒビキに投げてよこした。
「本郷の頼みだ……少しくらいは付いていってやる。
それに、こいつは俺にとっちゃいらないモンだ。料理に使うくらないなら出来るかもな?」
ヒビキは一文字が渡してきた謎の短剣を見て、妙に懐かしい感覚に捕らわれた。
「この名前は……!?」
短剣に刻まれた名前「響鬼」。自分と同じ名前が刻まれた意味。
それが何を示すのか。今はまだ分からないまま。

――――1時間後

「2つに分かれて仲間を探そう。仲間が集まり次第、もう1回合流。
それでいいか?」
ヒビキの提案に、一文字は文句も無い様子で首を縦に振る。
「いいだろう、だが1つ。条件がある――」
一文字の出した条件は1つ。ハナと自分だけのチームを組ませること。
「まぁ、別にいいとは思うけど……」
城戸は特に反論する様子もないが、逆にハナは不満そうに一文字を見る。
「まぁまぁ。2人とも仲良くやろうぜ?それに、一文字だって口は悪いかもしれないが
きっとハナを守ってくれると思う。俺はそう信じてる。」
ヒビキが2人の間に割って入り、一文字に笑顔を向けた。
――この男には、ハナに対する自分の考えが見透かされている?――
飄々として、どこか抜けた様子すらあるこの男だがそれでいて
油断すればこちらの全てを見透かすような落ち着いた物腰。
ヒビキという戦士が、どれだけの男か。一文字にはまだ理解出来なかった。

ヒビキと城戸、風間。ハナと一文字。
2時間後、ここに戻り再び合流すること。
そして、それまではお互いが仲間になれそうな参加者を探し出すこと。
「お互い、頑張ろうぜ。」
ヒビキが一文字達にいつものポーズで見栄を切る。
「あんたも、な。」
それを片手を上げてあしらいながら、歩き出す一文字。
ぶっきらぼうな態度ながらも、ヒビキは一文字の中に確かに「魂」を感じた。
愛する者の自由と希望を守る――猛る士の魂を。

「ちょ、ちょっと!!待って下さい!!なんて扱いだ……まったく!!
まぁ、いいでしょう。今回ばかりは出番を譲り……あの。
もっとゆっくり歩きましょうよ!!」
気絶から目覚めた風間がヒビキと城戸を追いかけていく。
まだ朝は始まったばかりだ。命を削り、何を残すのか。
何の為に生きるのか?

――今はただ、”明日”へ走れ。


状態表



【日高仁志(響鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:D-5エリア】
[時間軸]:最終回前
[状態]:疲労回復、顔面に傷
[装備]:変身音叉・音角、音撃棒・烈火
[道具]:基本支給品一式(着替え2着と元の服を含む)、野点篭(きびだんご1箱つき)、釘数本、ハイパーゼクター、不明支給品x1、猛士の刀
【思考・状況】
基本行動方針:出来るだけ多くの仲間を守って脱出
1:この刀(猛士の剣)に付いているのは自分の名前だが……?
2:何で鬼になれない?
3:もっと仲間を捜す。金色のライダーに変身する男(志村)に気を付ける。
4:あすか、どうしたのかな。
5:2チームに分かれて仲間を探す。後ほど一文字たちと合流。
※猛士の剣は現在切れ味の悪いただの剣ですが、ある条件を満たすと……?
※一文字の話から、茶髪の男―仮面ライダーグレイブが戦いに乗っていることを知りました。
知りました。

【風間大介@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:D-5エリア】
[時間軸]:ゴンと別れた後
[状態]:鼻血(ハナに殴られた鼻から)
[装備]:ドレイクグリップ、ドレイクゼクター
[道具]:支給品一式、オロナミンC2本(ぬるめ)
【思考・状況】
基本行動方針:戦いはなるべく回避し、できるだけ早く脱出する。
1:今回ばかりは出番を譲りましょうか。
2:何故変身出来ない?
3:移動車両を探す。
4:脱出派と合流。
5:影山瞬に気をつける
※気絶していた為、一文字からの情報をまだ知りません

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:D-5エリア】
[時間軸]:劇場版、レイドラグーンへの特攻直前
[状態]:全身に激しい痛み、芝浦の死に悲しみ
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:支給品一式
【思考・状況】
1:戦いを止める。絶対に。
2:スマートブレインに対する強い怒り。
3:大介たちとの情報交換、ヒビキ、風間と行動する。
4:志村の後を追い、長田結花との合流を目指すついでに話を紐解く。
5:手塚に似てるなぁー。
6:金色の仮面ライダー(グレイブ)に注意する。茶髪の男?まさか…?
[備考]
※志村を信用しています。彼から『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』という話を聞きました。
 白い怪物はダグバのことだと思っています。
※名簿に手塚、芝浦、東條、香川の名前がある事、連続変身出来なかった事に疑問を感じています。
(チーム:ヒビキ、風間、城戸)
次にどこへ行くかは書き手さんにお任せします。


【一文字隼人@仮面ライダーTHE FIRST】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:D-5エリア】
[時間軸]:FIRST終了後。
[状態]:左腕に強い衝撃、リジェクションによる負荷と苦しみ
[装備]:特殊マスク
[道具]:基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出
1:頑張れよ、本郷。
2:出来る限り、戦闘は避け状況を把握する。
3:後ほど本郷、及びあすかとの合流。
4:俺や本郷と同じ名前……偽者か、それとも?
5:余裕があれば首輪を回収に行く。
6:ハナに興味。風間、ハナと行動する。後ほどヒビキたちと合流。
[備考]
※死神博士の事を自分を改造した老紳士だと思っています。
※FIRST終了後の参戦のため、風見志郎の存在を知りません。
※変身解除の原因が、自身のリジェクション(改造手術による後遺症)によるものだと考えています。
※首輪について:
 金属製のフレームに吸音用の穴と紅いダイオードが一つ。詳細不明。
 さほど重くなく、表面にはスマートブレインのロゴがプリントされている。 
 無理に外そうとしたり禁止エリアに入ると起動、装着者は灰になる。
※自分が戦った高笑いの男(志村)は戦いに乗っている、また策謀を巡らせている可能性を考えています。

【ハナ@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:D-5エリア】
[時間軸]:劇場版・千姫と入れ替わっている時
[状態]:疲労ある程度回復、悲しみと強い決意
[装備]:冥府の斧@仮面ライダーアギト、カードデッキ(ナイト)
[道具]:支給品一式、洗濯ばさみ、紙でっぽう、戦国時代の衣装、ミニカー7台
【思考・状況】
基本行動方針:脱出する
1:一文字と行動。後ほどヒビキたちと合流。
2:仲間を探して一緒に脱出する
3:イマジンに対する自分の感情が理解出来ない
4:本郷猛、牙王、影山瞬、死神博士、ゴルゴス、仮面ライダーグレイブ(志村の名前は知りません)に気をつける
5:モモタロスの分まで戦う

(チーム:一文字(R)&ハナ)次にどこへ行くかは書き手さんにお任せします。


047:キョクギンサギザザ(脅威のライダー) 投下順 049:すべてのうつくしいものから
047:キョクギンサギザザ(脅威のライダー) 時系列順 049:すべてのうつくしいものから
040:Riders Fight!(後編) 一文字隼人(リメイク) 059:全てを喰らう牙
040:Riders Fight!(後編) 日高仁志 060:僅かばかりの不信
040:Riders Fight!(後編) 風間大介 060:僅かばかりの不信
040:Riders Fight!(後編) ハナ 059:全てを喰らう牙
040:Riders Fight!(後編) 城戸真司 060:僅かばかりの不信

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