The flames of destiny/炎の果てに(前編)

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The flames of destiny/炎の果てに(前編)


「……ッ! 俺は……」

朝日がさんさんと差し込む大地。
エリアD-7の一角で仰向けに倒れていた一人の青年が苦しそうに声を上げる。
真っ黒でつやがある短髪を生やし、今まで気絶していた青年――
本郷猛が深く沈んでいた意識を再び取り戻す。
未だ足取りはおぼつかないが、両脚で地を踏みしめ、本郷は上空に昇る太陽の陽気に少し両目を眩ませる。
普通の人間とは違い、改造手術を受けているため本郷は身体の丈夫さには自信があった。
だが、そんな事実とは裏腹に本郷の全身には所々負傷が見られ、彼の呼吸の荒さから疲労感も垣間見える。
その負傷と疲労には数時間前、ハナと共にン・ダグバ・ゼバや仮面ライダーライアと闘った事が関係しているのはいうまでもない。
しかし、直接的な原因には先程、本郷を襲った出来事が関係していた。

「あの男は一体……それに何故、彼女が俺を……?」

先程、本郷に対し、明確な殺意を突きつけてきた緑川あすか。
そんなあすかを庇うように出てきた金髪の青年、葦原涼――
進化した人間の一種、ギルスへと姿を変えた男と本郷は闘い、そして敗れた。
どうやら命は見逃してくれたらしいが、手段カブトエクステンダーは奪われている。
また、最後まで自分の話を聞いてくれなかった葦原も気になるが、本郷は彼よりもあすかの方が気になり、同時にある疑問を抱いていた。
そう。あすかが恋人の仇と称し、自分を執拗に狙い続ける事について。
確かに、以前本郷はショッカーの支配下にあり、あすかの恋人の死には自分が関わった。そして、その罪は完全に償えたと本郷は未だに思ってはいない。
だが、本郷は約二年前、あすかとは和解しているので、何故あすかがあれ程までにも自分を憎むのかは本郷にとって不可解な事だった。
まるで、二年前のあすかがいいようのない狂気に取り付かれていたような感じさえ、本郷には感じる事が出来た。
そして、本郷は徐に携帯を操作し、口を開く。

「兎に角、大分時間も使ってしまった……一旦、一文字達の所へ戻って、その後あすかさん達を追おう。
今度こそ、俺の話を聞いてもらわないと……!」

どうやら自分は二時間程、気を失っていたらしい。
携帯に表示される時刻を確認し、直ぐにデイバックに仕舞い、本郷は前方を見据えた。
大分気分は良くなり、頭も軽くなったような気分さえある。
キザでどことなく皮肉屋な一面はあるが自分の無二の親友――
一文字隼人と一時合流した後、本郷はあすかと葦原を追う事に決めた。
自分とあすかの問題ともいえるため、出来ればこのまま直ぐに彼らを追いかけたい気持ちもある。
だが、カブトエクステンダーに乗っていると思われる二人の速さには追いつけそうにはなく、彼らが何処へ向かったのかもわからない。
そのため一時、一文字達と合流してから、彼らを追跡する手段を話し合っても悪い考えではないハズ。
そう考え、本郷は一文字達の元へ戻るために歩き出した。

暫く歩き続け、本郷は川の辺まで辿り着く。
携帯の地図の画面を開き、順調に一文字達が居ると思われる場所に近づいている事を確かめる。
この調子で歩き続けようと、本郷は更に足を踏み込もうとするが――

「やぁ、また会ったね」

思わず立ち止まり、声のする方へ本郷は振り返る。
其処には真っ白な衣服を着た青年が微笑を浮かべながら立っていた。
やがて青年は、先程本郷と拳を交えた青年は姿を変え――
“究極の闇”を齎す存在、ン・ダグバ・ゼバが本郷を見ていた。
鍬形虫を模した黄金の四本の角が生えた、見るものに恐怖を与える顔。
白色の身体中に己の強さを誇示するかのようにこれまた黄金の装飾品が彩る。
ダグバがじりじりと本郷へ近づく。

「ッ! どうやらそうみたいだな……!」
「そういえば名前を聞いてなかったね。僕は……ダグバでいいや。
そう呼んでよ。君の名は?」
「本郷……猛だ……!」
「なるほど、本郷……ね」

咄嗟に身構え、本郷はデイバックを投げるように降ろす。
勿論、変身を行うために必要なマスクは既に右手で握り締めながら本郷は鋭い目つきでダグバを睨む。
既にダグバの危険性、そして強大な力を知っている。
自分とハナという少女二人掛かりでも仕留められなかった程にダグバは強い。
だが、本郷にはダグバを前にして、逃げるような選択は出来ない。

(こいつはショッカーと同じだ……人の命をなんとも思わない。
逃がすわけにはいかない、なんとしても!)

恐怖を打ち消すほどの決意を燃やし、本郷は構えを取る。
右腕に掴んだマスクを顔の方へ持っていく。

「その姿はもう見たけど……まぁ、いいか」」

カシャン、と機械の音が鳴り、本郷の身体を強化スーツが覆い、マスクが装着。
緑色の仮面とクラッシャーを備え、赤いマフラーを風に揺らし、ダグバに対し構えを取る。
現れた者は美しきもののために、秘密結社ショッカーと闘い続けた異形の戦士。
白き魔人、ダグバは両腕を互いに絡ませながら、尚も近づく。

「今度こそ、お前を倒してみせる、ダグバ!」
「ハハ、やってみせてよ……緑のリントの戦士」

そう。いうまでもなく、ダグバの目の前に現れた一人の戦士。
本郷はホッパー1号へ変身を完了し、ダグバとの二度目の闘いに身を委ね始めた。

◇  ◆  ◇

時間は数時間程遡る。
ダグバは本郷とハナ――仮面ライダー龍騎と仮面ライダーナイトに変身した彼らと闘った。
その戦闘を一時離脱したダグバは次に、川に流されていく手塚海之を見つける事になる。
どうやら気絶しているらしく、手塚はどんどんと下流へ流れていく。
別にダグバにとってリントが一人死んでいく事になんの興味はなく、感想は湧かない。
しかし、手塚が自分を楽しませてくれるような――
『仮面ライダー』という存在であるならば多少の興味があった。
そう。ダグバに最後まで抵抗してくれた剣崎一真こと仮面ライダーブレイド。
そして、五代雄介こと仮面ライダークウガのように。
そのために、ダグバはわざわざ川に足を踏み込み、手塚を回収した。
たとえ、能力を発揮できずともダグバは人外の存在。
手塚を担ぎ、川から引き上げる事は造作もない事だった。

「……よく寝てるね。
それにあまりおもしろくなさそうだな……」

手塚の身体を乱暴に地に落とし、ダグバは暫く観察してから、少し不機嫌そうに言葉を漏らす。
手荒に扱ったのは手塚の眼が覚める事も期待した上での事。
まぁ、そもそもリント如きの身体を案じるダグバではないのだが。
そして、未だ眼も覚まさず、一向に起きようとはしない手塚にダグバは内心失望した。
川に流されている時はよくわからなかったが、手塚の全身には生傷が癒えず、闘っても面白くなさそうに見えた。
闘うのならもっと強い存在がいい――
だって自分は最強の存在なのだから。
そんな事を思いながら、ダグバは手塚の持ち物も碌に確認せずに、その場を立ち去った。
その行動には、自分の期待に応えられなかった手塚などの身体を、わざわざ確認するのが億劫だとダグバが感じたせいかもしれない。

「さて……こっちに行ってみようかな?」

先程戦闘を行った本郷達ともう一度闘う為に、元来た道を戻るのも良いかもしれない。
しかし、どうせ闘うのならばまた違った相手を選べば新鮮味もある事は事実。
ダグバは暫し考えてから、結局後者を取った。
そう。中心部ではなく、東側の方へゆっくりと。
何処に転がっているかもわからない獲物を見逃さないようにゆっくりと進んだ。
色々と周囲を観察しながら、回り道を経て、ダグバは川の近くまで辿り着く。
そんな時だ。

「……ん、あれは……へぇ、奇遇だな」

何処かへ歩き続けている一人の青年がダグバの視界に映る。
その青年はダグバにとって見覚えがある人物。
そう。その青年は本郷猛であり、彼はダグバに見られている事に未だ気づいていない。
一度闘った事もあり、本郷は仲間と共に仕掛けてきたにも関わらずダグバを倒せなかった。
正直、本郷に自分が求める強さを要求するのは酷な話かもしれない。
そのため、一瞬、ダグバは本郷を無視し、別の獲物を狙おうとするが――
気が変わった。

「見覚えのある眼をしている……クウガやあの青い仮面ライダーみたいな眼だね」

本郷の両眼の輝きがどうにもダグバの興味を惹いた。
何かを決意したような瞳、自分には到底理解できない馬鹿げた意思。
そして、思わず口に出したようにクウガとブレイドと同種とも思える本郷。
どうせ、時間制限など何もなく、少し遊ぶくらいならいいかもしれない――
そう思い、ダグバは本郷に気づかれぬように後から近寄り、言葉を掛けた。

「やぁ、また会ったね」

とても優しげな声、同じく優しげな笑顔を浮かべ、ダグバは本郷を再び選択した。
自分と遊んでくれる戦士の役目を。
非情にも、ダグバは本郷に押し付ける。
無邪気さを孕んだ、狂気を全身から滲ませ――
“究極の闇”と称される身体へと姿を変えた。

◇  ◆  ◇

「くっ!」

己の正体と感情を仮面に隠した存在、本郷が変身したホッパー1号が横へ飛びのく。
バッタの能力を付加された事によって得た、超人的な跳躍力。
まるでバネのように身体を飛ばしたホッパー1号が居た場所に、赤々と燃える炎が出現。
何も発火物はなく、急に出現した炎にホッパー1号は冷静に回避する。
通常では有り得ない超常現象をその眼で見ても、ホッパー1号は驚く事も竦む事もなかった。
何故なら、ホッパー1号はその炎の正体を――
原理は全く不明だが、どこから放たれたかを知っているから。
倒れかける身体を引き戻し、体勢を整える。
休む事なく、ホッパー1号は前方へ身体を傾け、再び地を蹴り飛ばす。

「へぇ、流石に慣れたのかな?」

だが、ホッパー1号は前方へ飛ぶ事はなく、再び出現した炎を横っ飛びに避けた。
炎が発生した直線状には白色の異形の者が一人。
ダグバはホッパー1号が居た場所へ手を向けながら、どこか感心したように口を開く。
そう。先程から炎を、“自然発火能力”と呼ばれる力を行使していたダグバは数時間前、ホッパー1号に対しこの力を使った事があった。
その時の経験からホッパー1号は少なからず、ダグバの炎を避ける事に慣れたのだろう。
ホッパー1号の身体にダグバの能力による負傷は一切見られない。

(兎に角だ、立ち止まるわけにはいかない……!)

そんな時、十メートル程の距離を置いて、ダグバの周囲をホッパー1号は駆け巡り始める。
幾ら制限を受けているといえども、脚を止めていれば炎の餌食となるのは明確。
視線を動かし、ホッパー1号の動きをダグバは片腕を構えながら追いかける。
どんどんと加速していくホッパー1号の走行にダグバは少し表情を濁す。
その表情には無駄な事をよくもやるものだという見下した感情がはっきりと映っている。
しかし、ホッパー1号はダグバの事など知ったことかと示すように、更に加速を掛けた。
やがて、狙いをつける事が億劫だとダグバが感じ始めた瞬間。
ホッパー1号は狙い済ましたように地を蹴り、跳躍した。

「やぁぁぁぁっ!」

飛ぶように宙へ浮いたホッパー1号が叫ぶ。
右肩を後ろへ引き、眼があったダグバに対し、狙いを研ぎ澄ませる。
キックよりも素早く行える、右拳によるパンチを選択。
ショッカーにより強化されたホッパー1号のパンチの威力は強大。
まともに喰らえば、幾ら人外の者でも負傷は免れないだろう。
ようやく自分の方へ顔を向けてきたダグバに対し、ホッパー1号は引いていた右腕を突き出した。
固く握り締められたホッパー1号の右拳がダグバの顔面に捻りを帯びながら迫る。

「ふん」

だが、ダグバは右腕でホッパー1号の右腕を器用に逸らす。
一切の焦りはなく、只、自分に向かってきた虫を振り払うかの如くの落ち着き様。
ダグバにより捌かれたホッパー1号の右腕は予定していた軌道から外れ、彼の顔面から遠のく。
後はこちらの反撃を行うのみ。
余裕綽々に視線をホッパー1号から放す。
己の左腕に視線を落とし、更にその左腕を返し、握り拳を作り、力を収束させる。
超古代の戦闘種族であるグロンギの長であるダグバの力はホッパー1号のそれと比べ物にならない。
一撃一撃が規格外の衝撃を打撃を打ち付ける代物。
そして、ホッパー1号の身体へ拳を叩き上げるべく腰を落とし、ダグバは構えを取った。

「まだ、終わってない!」

そんな時、まるで予想していたかのようにホッパー1号は叫ぶ。
その言葉にダグバは一瞬、ピクンと反応し視線を上げる。
そこには、訝しげに見上げるダグバに再びホッパー1号の拳が迫っていた。
只、先程の右拳とはなく、今度は左拳であるという違いはあったが。
ダグバによって逸らされた右腕を、腰を回しながら直ぐさま引き抜き、ホッパー1号は左腕を突き出す。
同時に、回転を加えた腰の動きに更に逆の勢いをつけて回転。
その腰の動きを伝達し、充分に勢いが乗った左腕が風を切って、ダグバを襲う。
再び、ダグバは不機嫌そうに視線を動かす。
面倒だが、急遽左腕に力を抜き、ホッパー1号の腕を先程と同じように適当に捌こうと腕を動かした。

「おぉぉぉぉっ!」
「……なかなか速いね」

しかし、ホッパー1号の予想以上の拳の速さにダグバは捌く事に失敗した。
仕方なしに左腕でホッパー1号の左拳を掴み、受け止める。
途端にダグバの左腕に襲い掛かるホッパー1号のパンチによる衝撃。
“ライダーパンチ”と称されるに相応しい威力に、ダグバはほんの少し唇を噛む。
本来ならば圧倒的な力、生命力を誇るダグバだがこの殺し合いでは特に能力が制限されているらしい。
再びその事実を認識させられたダグバは忌々しげに主催者への怒りを燃やす。
だが、それでもダグバの力がホッパー1号に劣っている筈もない。
力比べで自分に挑むとはなんとも愚かな事だろうか。
そんな事を思いながら、ホッパー1号の左拳を握り潰そうと力を込めようとする。

「やらせるかッ!」

しかし、ダグバの拘束が強まるより早く、ホッパー1号は空いた右足でダグバの胸板を蹴りつけた。
ホッパー1号の蹴りを受け、ほんの数歩後ずさるダグバ。
勢いは乗っていなくとも、ホッパー1号の蹴りもまた強力なものだが、ダグバにさしたるダメージはなかった。
元々、ダグバの能力が飛び抜けて高く、制限を受けようとこれくらいは問題にならない。

しかし、ホッパー1号もダグバと闘うのは初めてではなく、彼の強大さは身を持って知っている。
そして、ホッパー1号は考えなしに闘う人間ではない。
そう。ホッパー1号はダグバに負傷を与えるために蹴りを放ったわけではなかった。
拘束が緩んだ左腕を引き抜き、ダグバを蹴り飛ばした衝撃でホッパー1号は後返りを行いながら、大きく宙へ飛び――
右足をダグバに向け、ホッパー1号の身体は彼に向かって落ちるように向かった。

(重力の力も利用すれば……いけるはずだッ!)

相手の身体を蹴り飛ばす衝撃を利用した、俗に言う反転蹴り。
反転キックというに相応しい蹴りをホッパー1号は行う
重力に引かれ、ホッパー1号の身体は加速しながらダグバの元へ殺到する。
速度は速い。先程の蹴りよりも充分に勢いは乗っている。
上方から蹴りを行える自分の方が向うよりも蹴りに勢いは乗せやすく、状況は有利。
自分の真下に立ち尽くすダグバに蹴りを叩き込もうと、ホッパー1号は更に力を込めた。
この距離では炎は使えず、避けるのも容易ではない。

「なっ!?」

だが、その瞬間、ホッパー1号の全身をいいようのないプレッシャーが襲う。
強化マスクに隠れた本郷の顔から思わず、冷たい汗が流れ始める。
思わず体勢が崩れ始めるホッパー1号の身体。一体何が起こったのだろうか。
自分の急激な変化に驚いたホッパーは思わず視線を飛ばす。
そして、ホッパー1号はその眼で確認した。
そう。ホッパー1号に強大なプレッシャーを与えた存在は不敵に笑っていた事を。

「調子に乗らないでくれるかな?」

以前、ダグバは数百メートルも離れた位置からクウガを見つめ、その威圧感でグローイングフォームまで追い込んだ事がある。
圧倒的な暴力と残虐性を兼ね備え、対峙する者に強大な威圧感を与える事が出来る存在にしか出来ない行為。
勿論、ダグバにそれが出来ない事はなかった。
それほどまでにも強烈なダグバのプレッシャーをまともに受け、ホッパー1号は思わず体勢を狂わせていた。
そんなホッパー1号を迎撃するかのようにダグバが右足を振り上げる。
碌に腰も回さず、只足を振り上げただけにしか過ぎないダグバのハイキック――
だが、足を振り上げた時の勢いで周囲に風圧が起きた事がその威力の大きさを物語っていた。
体勢を崩しながらも、必死に体勢を戻し、左脚を向けるホッパー1号。
その蹴りにダグバの右足が咆哮を上げる猛獣のように迫り――

「ぐはぁッ!」

ホッパー1号の身体を左脚ごと蹴り飛ばす。
左脚に痛みを示す電気信号が駆け巡り、生じた痛みの感覚がホッパー1号を襲う。
思わず、苦しみに塗れた声を漏らすホッパー1号。
ダグバの蹴りの衝撃で宙へ弧を描くように飛んでいくホッパー1号は宙で一回転を行い、地に降り立つ。
頭や背中から落ちる事は避けたため、着地に際には特に気になるダメージはない。
だが、蹴りの衝撃は完全には消え去ったわけでなく、思わず片膝をついてしまう。

「ほらほら、休まない」

そして、その隙を逃す程ダグバはお人好しではない。
左腕をホッパー1号へ向け、力を込める。
数秒もしない内に出現した炎がホッパー1号を襲うが、前転を行い、なんとか避ける事に成功する。
だが、体勢が崩れていた事もあり、そのタイミングはかなり危うい。
背中にほんの少し炎が掠ってしまい、スーツが焦げる匂いが周囲に漂う。
しかし、そんな事を気にしている暇もない。前転を終え、直ぐにホッパー1号は立ち上がる。
恐らく、もう一度放ってくるだろうと思われるダグバの炎を見極めようとホッパー1号は視線を彼の方へ飛ばす。

「残念、考えが外れたね」

ふいにホッパー1号の顔に衝撃が走り、彼は自分の脳が大きく揺れたような心地を覚えた。
その原因はいたって単純。
前転を行い、炎から逃れたホッパー1号の元へダグバが一瞬の内に近づき、彼に拳を叩き込んでいたから。
横殴りに打ち出した拳がホッパー1号の左頬を抉るように突き刺す。
強大な衝撃により手放しそうになる意識を必死に繋ぎとめ、ホッパー1号は反撃の拳を返そうと、左腕を引いた。
距離は近く、直ぐにでも拳は届く。
口の中に広がる血の苦味を意識の片隅に置き、ホッパー1号は拳を突き出そうと前方へ踏み込む。

「これならッ!」

ホッパー1号が固く握り締めた右の拳を、弾丸のように撃ち飛ばす。
“力の1号”と称されるホッパー1号の剛拳が唸りを上げ、一閃の軌道を描いた。
不敵に笑うダグバの胸部に向かって、一直線にホッパー1号の拳が進んでいく。

「ハハ、よくやるよ」

しかし、ダグバの不敵な笑みは止まない。
迫り来るホッパー1号の拳に合わせる様にダグバは左腕を引き、突き出す。
やがて、ぶつかりあうホッパー1号とダグバの拳。
肉と骨が互いにぶつかり、耳障りな音が周囲に響く。
拳から伝わる痛みにホッパー1号はほんの少し、腰を落としながら苦痛に身を震わせる。
一方のダグバはというと――
無常にも、さしたる痛みを感じているようには見えない。

「ふん!」
「がっ……うおぉぉぉぉぉっ!」

左腕を引き、今度は右腕を振るい、ダグバは肘鉄をホッパー1号の胸部へ打ち込む。
伊達に究極の闇は名乗っておらず、ダグバのスペックは全ての面で異常な水準を維持している。
強烈な衝撃と痛みに耐え切れず、ホッパー1号は思わず後方へよろめく。
だが、ホッパー1号は直ぐに下げていた頭を上げ、前方へ踏み込み、踏み足とは逆の――
左脚を振り上げ、ダグバに中断蹴りを仕掛ける。
斜め上を蹴り上げるようにホッパー1号の強化された左脚が弧を描くように、文字通りダグバの脇腹に向かって飛び込む。
左脚が振りぬく速さは充分に速い。
体勢が崩れながら放ったのにも関わらず、タイミングもいい線をいっている。
やがて、ダグバの脇腹に捻じ込むようにホッパー1号の蹴りが決まった。
手ごたえを感じ、ホッパー1号は仮面に隠された表情に僅かな安堵の色を浮かべるが――

(なっ…………に?)

直ぐにその色は消え失せ、ホッパー1号は己の眼を疑う。
完全に勢いは乗っていないため、これでダグバが仕留められるとホッパー1号は思っていなかった。
しかし、それでも多少の効果はあったに違いない。
そう。たとえば後ろへよろめくといったような動作を起こす筈、とホッパー1号は確信していた。
足の裏からジンジンと感じる感触はホッパー1号の、その自信を裏付けるためには充分過ぎる。

「……そろそろ、つまらなくなってきたね」

だが、ダグバは一歩もたじろぐ事なく、その場で立ち尽している。
依然、ホッパー1号に余裕有りげな微笑を浮かべながら――
右肘を真下に下ろし、自分の脇腹にめり込んでいるホッパー1号の左脚を叩き落す。
脛の辺りに響いた、電撃のような痛みに耐えかね、ホッパー1号は直ぐに決断を下した。
左脚を自分の方へ思いっきり引き戻し、ダグバの攻撃から逃れる。
ほんの少し、後へ体勢を傾けながら、ホッパー1号は再び左肩を引き、左腕を振りかぶる。しかし、ホッパー1号のその動作は遅かった。

「――ッ!」
「疲れてきたのかな……?」

ホッパー1号の拳が繰り出される前にダグバが右の鉄拳を叩き込む。
咄嗟に両腕を前方にクロスさせ、ホッパー1号はその衝撃を受け止める。
ミシミシとホッパー1号の腕の骨が軋む音が響き、彼は後方へ吹っ飛びまいとその場で耐え切る。
そんなホッパー1号の様子に少し、嬉しそうな表情を浮かべ、ダグバが更に腕を振るった。
二撃目はホッパー1号の左腕よりの箇所を叩きつける。
間髪を入れずに打ち出された三撃目はホッパー1号の右腕よりの箇所へ。
グラっと、右の方へ少し身体を傾けるホッパー1号をダグバは少し感心したような表情を浮かべた。
かと思いきや、今度は四撃目の拳を下方から掬い上げるように打ち出す。
辛うじて反応したホッパー1号は再び、両腕でその暴力的な拳を受け止める。
ここ一番の大きな、聞くに苦しい音が響き、ホッパー1号は両腕に積もりきったダメージにより、気を失いそうになる心地さえした。

(強い……、だが、ここで負けるわけには……!)

だが、決してそのホッパー1号の身体が地へ崩れ落ちる事はなかった。
決して引けぬ思いを抱き、寸前の所で消え行く意識を手放しはしない。
今度こそ、ダグバの猛攻よりも素早く、拳を叩き込む。
そう思い、ホッパー1号は今一度、ダグバの懐に飛び込んだ。
バッタの跳躍力をバネにし、己の身体を一陣の突風に換える勢いで――
ホッパー1号は大きく、右腕を振りかぶる。

「ああ、わかったよ……」

しかし、非情にもホッパー1号の拳が届くよりも速く、ダグバの拳が突き刺さった。
己の攻撃のために防御を捨てていたホッパー1号の鳩尾に衝撃が走り――
彼の身体がいとも容易く後方へ吹き飛ぶ。

「どうやら君は、僕を笑顔には出来ないってコトがね」

みるみる内に自分から離れていくホッパー1号にダグバは小さく呟く。
今まで遊んでいたおもちゃが壊れてしまい、急に興味を失くした子どものような表情を浮べながら。
ダグバは右腕をホッパー1号の方へゆっくりと向け始めた。

◇  ◆  ◇

「さて……どうしようかな?」

ダグバは右腕を向けながら、考える。
直ぐに倒れては面白くないため手加減を行っていたダグバ。
だが、幾ら手加減を行っていたといえどもダグバの連打を受けてはホッパー1号も只ではすまない。
後方へ吹っ飛ばされ、ピクリとも動かず沈黙を保っているホッパー1号をダグバはチラリと見やる。
このまま、炎を放てば簡単にホッパー1号の命を消す事は出来るだろう。
ホッパー1号の不甲斐無さに、ダグバは思わず小さなため息を漏らす。
所詮、複数で闘っても自分に勝てなかったホッパー1号にここまで期待するのは無謀だったのかもしれないが。
そんな時、ダグバにある考えが閃く。

「そうだ、これは放っておいて違う所へ行こうか?
僕を笑顔にさせてくれる……『仮面ライダー』に会いにね」

もしかすればホッパー1号を一度、此処で逃せばまた自分に会いに来てくれるかもしれない。
今度は自分をもっと楽しませてくれる、笑顔にしてくれるほどの強さを得て。
そんな事を考えれば自然とダグバは不思議な高揚感に襲われる。
そうだ。それがいい。それなら自分も満足だ。
その間、自分は別の相手――
出来れば『仮面ライダー』なる者と遊べばいい。
そう考え、ダグバはホッパー1号に向けていた腕を下ろし、踵を返す。
最早、脆弱なお前にはなんら興味はない。
変身は解かず、背中からそう語り掛ける様にダグバはその場を立ち去ろうとする。

「へぇ、驚いたな」

そんな時、ダグバは振り向きをせずに立ち止まる。
漏らす言葉は少し驚いたような声。
その言葉には少し、嬉しそうな様子さえ垣間見えた。

「今度こそ、僕を楽しませてもらえるのかな……君は?」

ゆっくりと立ち上がった男に対し、ダグバは同じようにゆっくりと振り向き、問いかける。
そう。再び立ち上がった男――
ホッパー1号こと本郷猛に対して。

◇  ◆  ◇

ダグバの拳を受け、ホッパー1号は辛うじて意識を保っていた。
それはダグバが出来るだけ長く闘おうと手加減した事が関係していたかもしれない。
兎に角、変身が解除されなかった事も考え、ホッパー1号はかなり幸運であったといえる。
だが、それでもホッパー1号が受けたダメージは甚大なもの。
ダグバの強烈な拳を何度も受け、最早使い物になるかすらもわからない。
最後に貰った鳩尾への手痛い一撃が引き起こす痛みにより、ホッパー1号はなかなか起き上がる事は出来なかった。
しかし、ホッパー1号は今、現に立ち上がった。
ボロボロな身体で、両腕から大量の血液を流し続けるホッパー1号はダグバを見据える。

「お前も知ってるのか……? 城戸さんが言っていた仮面ライダーという人達を…………」

ポツリポツリとホッパー1号は疑問の言葉を口にする。
『仮面ライダー』――
城戸真司がホッパー1号こと本郷猛に言った言葉。
ミラーワールドに飛び込み、ミラーモンスターを倒し、自分の望みのために闘うしかない存在。
城戸はそんな悲しい仮面ライダーの闘いを止めるべく闘っていたらしい。
仮面ライダーという存在が本当に正しい存在なのかはホッパー1号にはわからない。
先程、自分達を襲ってきた赤紫色の参加者も恐らく仮面ライダーの一人なのだろうから。
だが、ホッパー1号は信じた。
たとえ、仮面ライダーの全員がホッパー1号の想像する人柄ではなかったとしても――
ホッパー1号の仲間、城戸真司は紛れもなく信頼できる人間だから。
ホッパー1号は『仮面ライダー』という存在を信じる事に決めた。

「知っているさ。クウガともう一人の青い仮面ライダー……二人ともそれなりに面白かったよ。
まぁ……片方は死んじゃって、クウガは泣いちゃったけどね」

口を開き、ダグバはホッパー1号の元へ歩を進める。
最早、何もしなくても勝手に倒れ、死んで行ってってしまいそうなホッパー1号。
わざわざ、自然発火能力を使う必要もないだろう。
当然、ホッパー1号の話が終わるまで律儀に待つ必要もなく、ダグバとホッパー1号の距離は縮んでいく。
だが、何故かホッパー1号はダグバの接近に興味はなく、何かに対し驚いたような表情を浮べていた。
ダグバが口にした言葉を聞いた事によって。

「ふん!」

ホッパー1号のそれ以上の言葉を聞くことなく、ダグバが右腕を横なぎに払う。
既に距離は十分に詰めきっており、ホッパー1号の身体は横へ吹き飛ぶ。
度重なる負傷によりホッパー1号は抵抗する事も出来ず、彼の身体は勢い良く地面を転がっていく。
何度目かの回転を経て、ようやくホッパー1号は川沿いの場所で止まる。
それは奇しくも、ホッパー1号が最初にデイバックを投げ捨てた場所と同じ。
また、力なくうつ伏せに倒れたままでホッパー1号の身体はぴくりと動かない。
最早、傷だらけの身体に疲労と負傷は限界。
ホッパー1号の身体はそれ以上、立ち上がる事はなかった。

「…………だったら、未だ倒れるわけにはいかない……」

いや、それは間違いだった。
ピクリと地を掴む腕を動かし、ホッパー1号は全身に力を込めた。
もう一度立ち上がる。
揺ぎ無いホッパー1号の意思は未だ消えていない。
ゆっくりと立ち上がり、両膝を叩き、少し驚いたようすを見せるダグバを睨む。
『意思』という二文字に燃え滾る瞳を、マスクの下に潜ませながら。

「……結構丈夫だね」
「ああ、負けられない理由が増えたからな……!」

ホッパー1号の鋭い視線を受け、ダグバが再度口を開く。
その様子には全くの動揺は見られない――
というわけではなかった。
ダグバはこれほどまでにもホッパー1号がしぶといとは思ってもいなく、正直憎憎しい気持ちがあった。
自分の攻撃を貰い、これほどまでに存命している事実ははっきりいって気に入らない。
そのため、ようやく少し本気を出そうとダグバは語気を強める。
だが、ホッパー1号に一向に竦む様子はなかった。

「俺には一文字や風見、城戸さんや志村さん達が……仲間が居る。
それに……大切な人、あすかさんが居る限り……俺は生きるコトを諦めない!
そして……お前を逃がすつもりもないんだッ!」

立ち止まり、こちらを不敵に眺めてくるダグバへホッパー1号は声高らかに宣言する。
この殺し合いに呼ばれる前に出来た掛け替えのない仲間達。
この殺し合いで知り合った、大切な仲間達。
そして、今は居ない、ホッパー1号が愛すべき人――
緑川あすかの笑顔を浮べながらホッパー1号は両の拳を握り締める。
その姿には後退の意思は、撤退の意思などない。
只、ダグバに対し、ありったけの闘志をぶつける事しかない

「お前と闘った彼らのためにも俺は負けられない……。
全てを壊しつくすお前に……これ以上何も壊させない!
美しいものは何一つもッ!!」

ホッパー1号が吼える。
その咆哮が指し示す内容はダグバをなんとしても打倒する事。
一度も会った事はなく、ホッパー1号にとって、彼らの本当の名前がどんな名前からも知らないブレイドとクウガ。
だが、ホッパー1号はそんな彼らの二人の意志を受け継ぐ決心をする。
ホッパー1号には彼ら二人を信用出来る理由が十分にあったから。
そう。自分と同じようにダグバと闘ったから、信頼できる。
それ以上に――

「だから、俺は彼らの……『仮面ライダー』の意思を貫く!
きっと皆を……守りたいものを守るために闘った彼らのように……。
そうだ、俺は…………!」

彼らは『仮面ライダー』だったからホッパー1号には信じられる。
ダグバと闘い、命を散らしたブレイド、そして悲しみに沈んだクウガの意思を無駄にしない。
自分の先輩ともいうべき存在達の意思を此処で消させるわけにはいかなかった。


そして、ホッパー1号は無意識的に構える。
両の足を軽く開き、腰を少し落とす。
その構えはいつでもダグバに対し、攻撃を仕掛ける意思を示す。
そして、ホッパー1号はありったけの大声で叫ぶ。
自分の意思を証明するための――
宣言ともいうべき言葉を。


「俺は、仮面ライダーホッパー!
美しいものを……人間の命を守るために闘う!
そこに……俺の命を掛ける価値は充分にあるから!!」


『仮面ライダー』の名前を借り、一人のライダーとして闘う事を決意するホッパー1号――
いや、仮面ライダーホッパーがダグバを鋭い眼光で射抜く。
瞬間。
ホッパーは地を疾走した。
その速さはまさに一陣の風というに相応しい速度。
最早、満身創痍な身であるにも関わらずにホッパーは駆けた。
ホッパーとダグバの距離は三十メートル程離れているため、直ぐには距離は縮まない。
ダグバは少し表情を曇らせたが、ゆっくりと右腕を翳す。
右腕がホッパーに向けられ、自然発火能力を行使し、ホッパーの身体が紅蓮の炎に包まれる。
既にボロボロなホッパーの身体を炎が燃やし、外部装甲の一部を黒い消炭に変えていく。
装甲の成れの果てが次々に漕げ落ち、節々から生身の部分が痛々しく露出し始めた。

「な……に?」

だが、何故か、ホッパーは初めから避けようとはせず、炎に包まれながら走り続ける。。
その事に驚き、ダグバは言葉を漏らす。
ホッパーが何故自分の炎を避けなかったにも多少の驚きはあった。
だが、それよりもダグバは目の前の光景に思わず眼を疑う。
既にボロボロの身であるホッパーには炎一発で楽に命を奪える。
ダグバはそう思っていたのだが――
依然、ホッパーは立ち止まることなく、走り続けていた。


「う……うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!」


吼えるホッパーが大地を蹴り飛ばし、宙へ大きく跳躍する。
その時、今もホッパーの身体を無常にも燃やし続ける炎がゆらゆらとゆれた。
再びホッパーの身体から新たな消炭が落ち、彼の強化スーツの損傷度が進んでいく事を示す。
遂にマスクの一部分すらにも炎が侵食を始めた。

(まだだ……持ってくれよ、俺の身体……まだ、終わっていないんだからな……!)

だが、ホッパーは気にしない。終われない。諦めきれない。
それよりも大事な事に――
ダグバを倒すために意識を傾ける。
ホッパーは気にすることなく右足を伸ばし、右の蹴りをダグバに向けた。

「――ッ!」

少し焦りのような、苛立ちのような感情を含ませながらダグバが右腕を向ける。
第二撃目の炎が撃ち出され、ホッパーの身体を更なる炎が襲う。
肉が焦げる匂いが一段と強くなり、ホッパーの周囲におびただしい炎が纏わり付く。
噎せ返る匂いで、呼吸をする事すら億劫になってくる。
しかし、マスクの下に隠れた本郷の表情には曇りはない。只、一点を凝視し続けていた。
その瞳に諦めや後悔といった感情はなかった。

(…………ッ! もう少し…………もう少しだッ!!)

ホッパーの勢いは止まらない。止まれない。止める事など誰にも出来やしない。
ホッパーの意思は――
『正義』は壊すための炎では燃え尽きらせる事は出来ない。


「ライダアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッッッッッ――」


ふいに、ホッパー1号は叫んでいた。
今まで技を繰り出す事はこんな事を叫んだ事はなかった。
だが、何故か根拠はなく、不思議な事だが叫ばなければならない様な気がしていたから。
そのため、ホッパーは叫ぶ。
燃え盛る炎の勢いに負けないように、強大な意思を伴いながら。
今も炎が波のようにつたう、伸ばしきった右足をダグバへ向け、ホッパーが咆哮を上げる。



「キイイイイイイイイィィィィィィィッッッッッックッッッッッッッッ!!」



真っ赤な炎に包まれながらキックを――
『ライダーキック』をホッパーは繰り出す。
――その姿はまるで炎に包まれながら、ちはるに向け、ライダーパンチを放ったV3のように。
――その姿はまるでファイナルベントを使い、ドラゴンライダーキックを放つ仮面ライダー龍騎のように。
――その姿はまるで、封印エネルギーを足に溜め込み、マイティキックをダグバに放った仮面ライダークウガのように。
そして――
その姿はまるで、全てのものを守るために、ダグバにライト二ングソニックを放った仮面ライダーブレイドに似ていた。
弾丸の如くホッパーは――
『仮面ライダーホッパー』が神速の勢いでダグバへ突撃する。

「ぐぁっ!」

胸部に――
奇しくも、ブレイドがライトニングソニックを蹴りこんだ箇所に、ライダーキックを受け、ダグバの身体が後方へ吹っ飛ぶ。
ライダーキックを受けた箇所に鋭い、痛みが走り、思わず歯軋りをする。
今までホッパーの攻撃に対し、碌な反応を見せなかったダグバ。
だが、予想以上の動きを行ったホッパー1号に驚き、ライダーキックをまともに受け、したたかに大地に背中から落ちていく。

無様にも一撃を貰ってしまった自分。
幾ら制限で力が劣っているといえども、こんな事は有り得ない。
ホッパーの強さに嬉しい気持ちもあったが同時に疎ましく思う感情もある。
自分をそんな状況に追い込んだホッパーはとても気に障る存在だ。
今度こそ、直ぐにホッパーの息の根を止めようとダグバは立ち上がる。
立ち上がった時に胸部に鋭い痛みが生じたが、そんな傷は直ぐに癒えてくれるだろう。
気にせずに、ダグバはホッパーの方を見る。

「…………くっ……」

しかし、ホッパーはダグバが何もしない内に急に足取りがふらつき始める。
当然消す暇も手段もないため、ホッパーの身体を燃やす炎は健在。
確実にホッパーの体力を蝕み続け、既に立っている事も限界なのだろう。
必死に立ち続けようとするが、それも叶わずにホッパーの身体はフラフラと傍の川へ近づく。

「……く…………そッ……」

ホッパーが川に向かって崩れるように倒れこむ。
だが、川の中へ倒れこむ瞬間。
ホッパーは身を強引に逸らし、傍に放置していた自分のデイバックを引ったくった。
やがてデイバックを抱えたままホッパーの身体は川に流され、ダグバの元を去っていく。
どうやら気を失ったらしく、変身も解け、本郷猛の姿に戻っていた。
そんな本郷をダグバは暫く眺め続けるが、やがて彼から眼を離す。
何か紫色の変な物体も続けて川に飛び込んだような気もしたが、直ぐにダグバの関心は消えていった。

◇  ◆  ◇

053:知略と決意のとき 投下順 055:The flames of destiny/炎の果てに(後編)
062:泣く少年 時系列順 055:The flames of destiny/炎の果てに(後編)
045:狂気と侠気 本郷猛(リメイク) 055:The flames of destiny/炎の果てに(後編)
040:Riders Fight!(後編) ン・ダグバ・ゼバ 055:The flames of destiny/炎の果てに(後編)
040:Riders Fight!(後編) 手塚海之 055:The flames of destiny/炎の果てに(後編)
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