枯れぬ策謀

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枯れぬ策謀

 日がだいぶ高く上った頃、その光の眩しさに志村はようやく長い眠りから目を覚ました。日の高さからすればもう10時頃。束の間の休息としてはあまりに長すぎた。
「大丈夫か?」
思わぬ程の時間の経過に少なからず焦りを覚える志村にかけられる優しい言葉。彼の目には言葉をかけた主、"あの忌々しき男"の姿が映った。

『闘ってく…………れ……仮面……ライダー……として……人間のため……に………俺の分も……頼……………む………』
手塚は本郷の言葉を胸にひたすらに歩き続けていた。修羅の道を歩むことを決め、城戸の仲間を襲ってしまった自分にはもはや持つことなど許されぬはずの気持ち。どう言い表していいかもよく分からぬ気持ちを胸に抱き始めていた。
 この気持ちのやり場に困った手塚はただひたすらに歩き続けた。その後ろを小さな蠍がついてきていることにも気づかずに。
 休むことなく歩き続けた手塚の視野に見慣れぬ存在が飛び込んできた。
 体中を人外の証である緑色の血で染め上げ、深い眠りについている男。明らかに人外の存在に手塚は警戒する。
 だが彼が城戸の協力者でないとは言い切れない。仮に敵ならば目を覚ました後に闘えばいい。まずは城戸の協力者である可能性を優先すべきだ。同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
「今度こそ変えてみせる…死の運命を……」

 志村が目を覚ましたのは手塚の懸命な治療によって傷が癒えてきた頃のことだった。
 志村にとっては恩人であるはずが彼が手塚に送る視線は敵対心を剥き出しにしている。
「貴様…何のつもりだ? 何故とどめをささなかった?」
「何のことだ……?」
「とぼけるのもいい加減に……」
そう言いかけたところで志村は目の前にいる男の様子に違和感を覚えた。嘘を言い慣れているからこそ気が付いたのだが、この男は嘘をついていない。
「本当に…別人なのか?」
「ああ…他の奴にも言われたよ。よっぽど俺は一文字とやらに似ているらしいな…」
「一文字…」
まさかこれほど似通った赤の他人がこの閉鎖的な環境に集められているとは志村も手塚も考えもしなかった。
 ただの偶然か、それともこれもスマートブレイン社の狙いなのか。どちらにせよこの奇妙な状態は志村に新たな策謀を抱かせた。
「実は…君に実に良く似た男がいたんです…」
手塚は志村の言葉に真剣に耳を傾ける。
「そして、彼は闘っていました…僕に瓜二つな相手と…」
「お前にも似ている相手がいるのか!?」
普段ならばこの程度の嘘で人など欺けはしない。だが手塚は度々一文字と間違われている。人は自らが体験した事実には共感したがるものだ。
「僕の偽物は君の偽物…恐らく一文字という人と闘っていました。僕はどちらの味方をしていいものか迷っていましたが、やがて僕の偽物は敗走を始めました。そこを僕と出くわして……僕はあなたに治療してもらうことになったというわけです」
「そうか…ところで、俺は手塚という。あなたの名前は?」
「…志村といいます」
「志村!?」
その名は手塚の頭にまだ残っている。本郷が言い残した大切な名前。
「じゃあ…あなたは城戸の仲間なのか!?」
「ええ…彼ら、城戸さんと本郷さんは僕を庇って白い怪物と闘ってくれた…あなたも城戸さんのお知り合いですか?」
「俺は…何があっても守らなければならない……城戸のことを!」
ただならぬ決意に志村は思わずその身を震わせた。この純粋なまでに強い思いは利用する価値がある。
「それでは…一緒に城戸さんと合流しませんか? 個人で動くにはこの闘いは厳し過ぎる…」
差し伸べられた志村の手を手塚は取ることが出来ない。
「俺には…そんな資格は……」
「何があったか知りませんが…あなたの城戸さんを守りたいという言葉、思い。それだけであなたが悪い人物でないことは分かります…何かあったら僕が力になります……一緒に行きましょう!」
「…はい!」
差し伸べられた手を取る手塚。その姿に志村は心の中でほくそ笑んだ。
 これだけ信頼していれば大丈夫。彼は誰に対しても自信を持って語ってくれるに違いない。一文字がどんな敵と闘っていたのかを、"自分から聞いた通りに"。
 普通ならば自分の偽物が襲っていたなどという話を一文字が信用するとは思えない。だが、もし一文字が自分と瓜二つな人間の存在を目の当たりにしたら…? 志村は危機を1つ乗り越えたことを確信した。

ステータス表


【手塚海之@仮面ライダー龍騎】
【一日目 現時刻:午前】
【現在地:C-5エリア】
[時間軸]:死亡直後
[状態]:全身打撲。
[装備]:カードデッキ(ライア)
[道具]:基本支給品、マシンガンブレード@仮面ライダーカブト、救急箱、サソードヤイバー @仮面ライダーカブト、強化マスク
【思考・状況】
基本行動方針:運命を変えないように何としても城戸を守り抜く。
1:志村の力を借りて城戸の協力者のグループに参入し城戸の力となる。
2:自分にそっくりな男、一文字(R)への興味。出来れば本郷(R)の死を伝える。
[備考]
※城戸が自分と同じ時間軸から連れてこられたと思っています。
※その為、城戸が死ぬ事は運命を変えられなかったことに相当すると考えています。
※川は下流に向かって流れていきます。
※サソードゼクターが手塚に興味を持っています。
※本郷の言葉から一文字隼人、風見志郎、ハナ、志村純一、クウガ、ダグバの事を知りました。
※放送を聞き逃したため、スマートレディの言った参加者の蘇生に関しては知りません。
※携帯にデータがのこっていたため、死亡者と禁止エリアについては知っています。
※志村から一文字(R)と志村に瓜二つな敵が闘っていたという話を聞き、信じています。

【志村純一@仮面ライダー剣・Missing Ace】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:C-5エリア】
[時間軸]剣崎たちに出会う前
[状態]全身に軽い痛み
[装備]グレイブバックル@仮面ライダー剣・Missing Ace
[道具]支給品一式、ラウズカード(クラブのK)@仮面ライダー剣、蓮華のワイヤー内蔵型指輪@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:人間を装い優勝する。
1:移動して集団に紛れ込む。(市街地に拘らない)
2:橘チーフに合流。
3:『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』という情報を流す。
4:誰にも悟られず、かつ安全な状況でならジョーカー化して参加者を殺害。
5:他の参加者の戦力を見極めて利用する。自分の身が危なくなれば彼らを見捨てる。
6:『14』の力復活のために、カテゴリーKのラウズカードを集める。
[備考]
※デネブの放送について(長田が聞いた範囲で)知りました。 また桜井侑斗は危険人物(?)、デネブは生きていると考えています。
※志村は橘から『仮面ライダーブレイド』の存在は聞いていますが、ライダーシステム資格者が『剣崎一真』という事は知りません。
ですが、志村は此処に連れてこられる前に独自に調査を行い、剣崎一真がブレイドであるいう事、彼の顔なども知っています。
※城戸、本郷(R)に『白い怪物と剣崎一真は共に殺し合いに乗り、尚且つ組んでいる』『桜井侑斗は危険人物』と話しました。
※『自分の協力者、長田結花が東方の人間に協力を求めるために行った』と城戸と本郷に話してあります。
※長田結花は市街地の方へ向かったと思っています。
※手塚に一文字(R)と闘っていたのは自分ではなく自分に瓜二つな男だと話しました。

055:The flames of destiny/炎の果てに(後編) 投下順 057:闇の中では
055:The flames of destiny/炎の果てに(後編) 時系列順 060:僅かばかりの不信
040:Riders Fight!(後編) 志村純一 071:希望と絶望と偽りの顔(前編)
055:The flames of destiny/炎の果てに(後編) 手塚海之 071:希望と絶望と偽りの顔(前編)

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