継ぐのは魂

このページを編集する    

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

継ぐのは魂


「ふー……結構時間経ったわね」

依然、太陽が我が物顔に昇り続ける大地。
太陽の少し厳しい日光が一人の少女の真っ白な肌を照らす。
少女の名はハナ。苗字はない……いや彼女は知らないと言った方が正しいのだろう。
只、ハナという二文字が彼女の存在を指し示す言葉であり、それ以外の意味はない。
また彼女自身もその事を特に気にしてはいない。
なんせ、もう慣れきってしまった事なのだから。そんな事は。
やがて、ハナはその小さな手に握り締めたものをポケットに仕舞い込む。
それは支給された携帯電話。
シャープなデザインであり、見るからに最新機種のものであると察しがつく。
まあ、この場では特に意味はなく、そもそもハナ自身も携帯の機種に対して特に興味は持ち合わせていないが。
ポケットの中に納まった携帯がハナに知らせた情報。
ハナの言葉が示すようにそれは現在の時刻について。
数時間前に別れた仲間達――日高仁志、城戸真司、風間大介の三人とハナは再び合流する約束をしている。
約束の時間は二時間後。勿論、それは彼ら三人と別れてからという事。
その時間はとっくに過ぎており、ハナは今も動こうとはしなかった。
只、座り込み、目の前をどこか呆れたような表情で見つめている。
数時間前、自分と共に――いや、自分の分も合わせて牙王と闘った男。
その男こそハナの同行者であり、名を一文字隼人という。

「そろそろ起きても良さそうだけど……」

ハナは心なしか不安げに一文字を見やる。
その場に横になり、深い眠りに落ちている一文字と視線が合う筈もない。
先程の牙王との闘いで一文字は気を失ってしまったのだから。
ダークウイングを使い、気絶した一文字を取り敢えず寝かせてハナは彼の気がつくのを待っていた。
途中で仮面ライダーナイトへの変身が解けてしまい、合流地点には未だ遠く、近くに施設もないため、地べたに寝てもらっている一文字に対し、ハナは申し訳なく思う。
ならば、せめて一文字が完全に意識を取り戻すまではしっかりと休んで貰おうと思い、ハナは待っていた。
一文字が無事に目を覚ましてくれる事を願いながらハナは。

◇  ◆  ◇

此処は何処だ。
初めに抱いた感想はそれだ。
特に注目する事はない、至って何処にでもあるような場所だが心当たりもない。
俺の周りに広がるのは砂浜。目の前に移るものは真っ青な海。
気が遠くなるような青……といえば少し詩人臭い言い回しになるのかもしれない。
まあ、生憎俺は詩人のような柄じゃないけどな。
自嘲気味に少し笑い、俺は立ち上がろうとする。
ぼんやりとした記憶だが俺は確かに陸の孤島で、殺し合いとやらに巻き込まれた筈。
こんな所でボヤボヤと無駄に時間を潰す理由もない――そう思って顔を上げた時だ。

驚いた。
いつの間にか俺の目の前に立っていた男。
その男に見覚えがあったから。
そいつを知った日は大分前の事じゃない。割と最近……この殺し合いとやらでも出会った。
相変わらずどこか頼りなさそうな、だが頑固な意地も感じさせてくれる面構え。

「また会ったな、一文字……」

そう。本郷猛が俺の名前を呼んでいた。
いつもと変わらないはにかんだ笑顔に……俺は少し眩しく感じた。
上手くは言えない。
本郷の底知れぬお人良しさがその笑顔にも滲み出ていて、俺には不慣れなものだったかもしれない。
まあ、以前よりは……ショッカーのホッパーとして生きていた時よりは慣れていたつもりだったが。
こいつのお陰。この本郷のお陰でな。

やがて俺は段々と我を取り戻し、口を開く。
何故お前が居るのか? 此処は何処だ?
俺達はスマートブレインとやらの計画に巻き込まれたのではないのか?
次々と降りかかる俺の質問に、本郷は少し困ったような表情を見せる。
いつもそうだ。あまり口数は多くなく、少しマイペース気味に会話を進める。
そんな事をふと思いながら、俺が口を開き終わるのを見計らって本郷が口を開いた。

「それよりも……しっかりと決着がついてないよな? 俺達の決着は……」

一瞬、俺は柄にもなく驚きのあまり唖然とした。
何を言っている……と俺は叫びそうになった程だ。
いや、俺が驚いたのは今聞いた言葉を本郷が言ったという事も関係しているのだろう。
他の奴ならいざ知らず、本郷がこんな事を言うとは妙だ。
本郷の性格からして喧嘩を好んでやるような奴じゃないのは当然の事。
直ぐに理由を聞き出すためにも俺は口を開こうとする。
だが、俺はふと言葉を詰まらせる。
目の前に立つ本郷が浮かべる表情に見覚えがあったから。
いつか、あすかがショッカーに攫われた時に見たあの顔が……馬鹿みたいに力強い意思を感じさせる本郷の顔が其処にはあったからな。
こうなってはどうしようもない。
てこでも動かせないだろう、こいつの考えは。
俺は両手を挙げ、他人から見れば首をだるそうに左右に振った。
まあ、実際にあまり気乗りはしないのだからな……そして俺は口を開いた。

「ありがとう、一文字」

へえへえ、どういたしまして……と、軽く皮肉めいた言葉を吐き捨て、俺は本郷を先導するように歩いた。
有耶無耶に終わった俺達の決着をつける為に。
俺は暫し本郷の頼みを受け入れる事を決めたわけだ。

砂浜を歩き進め、適当な位置で俺は脚を止めた。
右手に握るのは赤い複眼、緑の仮面。
俺を人間ではないものに……そう、いうなれば化け物の一種に変えてくれるもの。
まあ、今更過ぎてその事について特に感想といったようなものは出てこないが。
振り返れば本郷もいつの間にか俺と同じように仮面をその手に握っている。
そういえば俺の仮面も何処から出したっけか……何故か直ぐに思い出せない。
気がつけば握っていたような気もするが、まあ良いとする。
そんな些細な事は気にせずに……俺は本郷との決着に集中したい。
何故なら、今となっては俺も結構気乗りしていたからだ。
あすかの事は既に諦めはついている。彼女は本郷を選び、また本郷も彼女に惚れている。
自分が出てくる幕はもうないのだともわかっている。
だが、俺と本郷のどちらが本当に強いか、それは確かに俺もハッキリさせたい気持ちがなかったわけじゃない。
男としてのプライドとまではいかないかもしれない。
只、小さな餓鬼が抱くような単純に相手より自分の方が強いという証明を手に入れたい欲求という方が似合っている気がする。
取るに足らない理由だが、俺は無下には出来なかった。
何故なら俺は本郷と共にショッカーを叩く事を決めたが……きっと心の奥底でこう思っていたんだろう。

――本郷にはこれ以上負けたくはない。

みっともない事だと思う。
まるでけつの青い餓鬼がいつまでも未練がましく、一方的にライバル視した喧嘩相手に確執しているような感じだ。
自分が好きな女の子とその相手が両思い出あれば尚更しっくりくる。
だが、生憎自分の気持ちに嘘は付けそうにはない。この感情だけはな。
きっと本郷は俺の事は同じ敵に立ち向かう、一人の仲間だと思っているだろう。
勿論、俺だってそうだ。色々あったが俺も本郷の事は仲間だと思っている。
だから、俺は行く事が出来たんだ。
あすかを抱きかかえた本郷を見て……俺は身を引く覚悟が出来た。
しかし、それとこれとは別の話だ。
あの時、あすかを手に入れた本郷に対して俺が抱いた、劣等感や敗北感が入り混じった僅かな感情。
発散しようのない思いは俺の中で燻り続け、行き場を失っていたが今は違う。
本郷ともう一度闘えば、決着をつける事が出来れば……終われるかもしれない。
俺が本郷に対して少しでも抱いていた無様な感情をどうにか出来るかもしれない。
そう考えれば何故だか俺の気は晴れてきた。
いや、それだけじゃない。
俺はきっと本郷が決着をつけようと言って来た事に対しても少なからず嬉しかったに違いない。
何故なら決着をつけたがっていたのは俺だけではなく、本郷も願っていたのだから。
勝手に決着をつけたいと独りよがりに思っていたのでは哀れすぎる。
そうでなかった事に俺は僅かに喜びを噛み締めた。

やがて、腰に巻いたベルトの風車を廻し、俺は仮面を被る。
最早身体に慣れ親しみ過ぎた強化スーツに、両の拳に嵌められた強化グローブ。
それはバッタの強靭な跳躍力を俺に与え、岩をも砕く力さえも齎す。
リジェクションによる弊害は厄介だ。出来るものならばあの苦しみは味わいたくない。
だが、それでも俺はこれを……これにならなければならない。
ショッカー共が名づけたコードネーム、通称“ホッパー”と呼ばれる怪人に。

姿を変え終えた俺はゆっくりと本郷を見やる。
本郷も既に準備は万全のようだ。
何故だか俺の姿が変わり終えたのを確認してから風車を廻し、俺と同じように仮面を被る。
俺と本郷は同じ怪人、ホッパーの兄弟機ともいえる関係。
戦闘準備へのプロセスが同じ事になんら可笑しい事はないだろう。
そうだ。全く同じ……筈だったのに違う事があった。

「変身!」

仮面を被る時、本郷は確かにそう言った。
聞き間違いじゃない。確かに「変身」と、聞き慣れない単語を口にした。
いや、思い出せば以前にも聞いた事はある。
俺が以前出会った相手の何人かも、そしてハナもそう叫んでいた。
自分の姿を変える時に決まって必ず。
自分を鼓舞するためなのか? それとも相手を威嚇する事を狙っているのか?
ふと湧いた疑問を浮かべながら俺は本郷がホッパーへ姿を変えるのを見届ける。
本郷の言葉を借りれば「変身」が完了し、俺と色違いの男が目の前に立つ。
何故本郷が突然「変身」という言葉を使うようになったかわからない。
だが、そんな事はもうどうでもいい。
今はあの頃のように……俺は本郷とやり合いたいという気持ちが強かった。
勿論、殺すつもりなど毛頭ない。
只、悔いがないように精一杯……俺は確かめるだけだ。

――俺と本郷のどちらが上か。

俺はその答えを確かめるために動いた。
同時に本郷も動き、俺の拳に合わせるかのように拳を握り締め――

やがて激突した。


本郷の拳と俺の拳が打ち合う。
次に本郷が行った蹴りに俺は右腕を立てて、受け止める。
相も変わらず勢いが充分に乗った本郷のハイキック。
しかし、何故だかあまり衝撃は感じない。
本郷の蹴りだけでなく、なんだか自分の感覚もどこかぼやけた様に感じるのは気のせいだろうか。
自分がまるで雲の上に立っているかのような、言い様のない違和感が俺の思考にこびりつく。
そんな事を一瞬思うが、直ぐにそれらを振り切るかのように足を振り上げる。
一撃だけじゃない。二撃、三撃と連続した足蹴り。
身を引くことで一撃目は本郷に避けられたが、二撃目は受け止められ、三撃目は鳩尾に入った。
一発、一発が重い本郷に較べれば俺はどちらかというと手数で勝負するタイプ。
このくらいの芸当はやってみせる事が出来る。
やがて本郷は数歩、後ずさるが俺と同様にあまり痛みは感じていないようだ。
まあ、見たところ俺のように驚いている様子はないが。
再び湧き上がる疑問を思考の片隅に追いやり、俺は構えた。

「おおおおおおッ!」

俺に向かって打ち出される鋼鉄の弾丸もとい本郷の拳。
小細工も何もない。
只、真っ正直に俺に向かって一直線の軌道を描きながら迫ってくる。
まるで本郷の性格を現すように真っ直ぐと……呆れる程に真正面から。
あの時と変わらない。俺がショッカーの命令で本郷を狙った時と変わり映えがない拳。
決して軟弱ではなく、力強い拳が段々と大きくなり、俺を促す。
そうだ。黙って俺の身体に拳が叩き込まれるのを見届けるわけにいかない。
たとえ自分とはまた違った強さを持つ本郷の拳に感慨を覚えたとしても……。
俺は本郷の拳に応えるように拳をぶつけた。

生み出される衝撃を逃がすために、一時距離を取るために俺と本郷は後ろへ飛びのく。
ほぼ同時に俺達は砂浜に降り立ち、互いを見る。
両方とも特に負傷したところはない。
このままでは埒があかない……そう感じ、俺は腰を落とした。
見れば本郷も俺と同じように腰を落とし、構えている。
全く、こういう所は気が合うとは不思議なもんだな。
そんな事を思いながら思わず苦笑し、本郷もまた苦笑いを見せているように俺には見えた。
勿論、仮面が邪魔をして実際のところはわからないが……何故だがそんな気がした。
理由を訊かれてもそんな事知るかと言うしかないがな。

やがて、俺は助走を行って本郷との距離を詰め、本郷も走りその距離は更に縮まっていく。
俺が持ちうる中で最も有効である技。
バッタの力を、類まれな跳躍力を存分に活用できる技。
充分な助走をつけ、勢いを乗せた飛び蹴りを本郷に叩き込むために俺は地を駆ける。
そして跳ねるように地を蹴り飛ばし、宙へ身体を任せる。
脇目で本郷も同じように跳んでいるのが見え、どこまでもタイミングが合いすぎた事実に笑い、俺は宙で一回転を行った。
これを終えれば後は足を突き出すのみ……慎重さを忘れずに俺は力を込める。
そんな時だ。
またしても聞き慣れない言葉が俺の耳に響いた。
今度こそ今まで聞き覚えのない言葉が本郷の口から吐き出された。

「ライダアアアアアアアアアアアァァァァッ――」

ライダーだと?
なぜそんな単語をこの場で叫ぶ。
俺達に与えられた名前はホッパー……それに従う義理もないがかといってライダーという言葉は俺達には当てはまらないだろう。
いや、確かに俺達はバイクを使うからライダーといえばそうかもしれない。
だが、今まで俺が知る限りでは本郷がこんな風に叫んだ事がないのも確かな事。
解決しようのない疑問を抱く俺をよそに本郷の身体もまた回転する。
俺も動きは止めずに、飛び蹴りの体勢を取った。
前へ飛び掛かりながら右足を突き出す。
黙っている筈もない。本郷も俺の蹴りに合わせて来るだろう。
こんな事をしている暇ではない事もわかる。ああ、わかっているさ。
段々と意識は戻り始めた。
俺は一刻も早くハナと共に仲間達との合流地点に急ぐ必要があるという事は。

けどな……このくらいは見逃して欲しいと思う気持ちもある。
道理はわからない。折角巡って来た機会を無駄にしたくない。
男が一度、どんなに短くても一度惚れた女。
そんな女に選ばれた男に対して……ハッキリと白黒をつけたいと思う感情はあっても可笑しくない。
たとえそれが見苦しいものに見えても……俺自身がどうしても決着をつけたければやってもいい筈だ。
決して口には出さない。
口に出してはみっともない……只、沈黙を守りながら俺は身を任せる。
俺は自分自身の中で渦巻く感情を込めるかのように前を見据えた。
映るのは俺の仲間、本郷の成れの果てであるホッパー。
そして……これから俺とどちらが上になるか、下になるかを決めあう存在。
今この時だけは本郷を一人の“障害”として見立て、俺は迫る。
咆哮をあげて跳びかかる俺に対し、本郷もまた同じように吼えた。
但し、俺とは違ってある言葉を口に出してだが……そう。またしても本郷が一度も口にしていない言葉が。

「キイイイイイイイイイイイイイイック!!」

掛け声のつもりなのか?
以前やりあった時にはそんな事は口走っていなかった筈だが……。
疑問をよそに宙で俺と本郷の蹴りが互いにぶつかる。
歯を喰いしばり、腹の底から声を上げて俺は本郷に競り勝とうと前方へ身体を傾ける。
負けたくはない。
そうひたすらに思いながら俺は本郷と力を均衡させ――

やがて同時に吹っ飛ばされ、後方へ尻餅をつく形となった。


やれやれ、結局今回も引き分けか……と俺は腰を上げながら口を開く。
いや、実際のところは俺が押し負けていたかもしれない。
最後の最後で俺の力が本郷の力に耐え切れなくなった感じがした……。
まあ、実際のところはわからないが。
気を取り直して、平然と振舞いながら俺は再び口を開いた。
あの掛け声はなんだ?
あんな事を言っていたらわざわざ相手にこっちの動きを教えているようなものだろ?
一体どういう意味があるというんだ?
仮面を脱ぎ捨て、俺は本郷に疑問を投げかける。
俺の言葉を受け、本郷もまた仮面を脱いで……何故か笑っていた。

「お前にもわかる時が来るさ……きっとな」

いま一つ意味が良くわからない本郷の言葉。
そんな曖昧な言い回しで意味が通じると思っているのか?
いや、思っていないのだろう。
その証拠に本郷の顔にはどこか俺を少しだけ馬鹿にしたような笑みが見えるような気がする。
俺の思い込みかも知れないが……兎に角、本郷は俺に何かを隠している。
そんな確証を何故か俺は持つ事が出来た。

そして、そこで俺の意識は薄れ始めた。
叙々にぼんやりとする本郷の顔や身体。
何故だか自分の身体も碌に動かせず、段々と本郷が遠のいていく。
ふと、俺は消えかかって行く意識の中で思わず眼を疑った。
小さくなった本郷の傍に……あいつが確かに見えたから。
俺が恋焦がれた女……あすか、そう。緑川あすかが本郷に寄りそうに居た。
特に考えつく間もなく俺は何かを言おうとする。何を言おうとするかも考えずに……只、何かを言わないといけない気がしたからだ。
どうしようもなく、嫌な予感がした……何かが俺の不安を煽ったから。
結局俺は何も言う間もなく、完全に意識を失った。

「頼む、一文字……」

本郷が最後に言った言葉をおぼろげに聞きながら。

◇  ◆  ◇

「ふぁあー……」

既に一文字が気絶してから数時間は経っている。
いつ自分の身に危険が及ぶかわからないこの状況で注意を怠るのは愚かな事だろう。
だが、あまりにも時間が経過し、周囲への警戒と一文字を見守る事以外に今のハナには特にやる事はない。
そのため、自分でも軽率な行動だとは思ってもつい、ハナは小さな欠伸を洩らす。
本当に小さな欠伸だが、ハナの両眼から僅かに涙が零れた。
直ぐに腕を使い、小さな雫をハナは拭こうと視線を少し落とした。

「嬉しいねぇ、俺のためにこんな可愛い娘が泣いてくれるとは」
「……は?」
「……あーすまん。忘れてくれ」

一文字が長い夢から戻り、直ぐに軽口を叩くがそれは冷たく流された。
当然、一文字が眼を覚ました事についてハナは喜んでいる。
だが、その喜びを表現する事を忘れるほどに一文字の言葉の意味がわからなかったのだろう。
心底、一文字の思考を疑うような目つきでハナは彼を眺め、一文字は急にいたたまれなく感じ始めた。
一言でいえば……ばつが悪い状況。そう言えばわかりやすいだろう。
だが、特にショックも受けていないような様子で一文字は口を開き、立ち上がる。

「さて、長い間時間取ってもらったみたいで……悪かったな。
直ぐにでもあいつらと合流しにいくとするか?」
「あ、うん。早くヒビキさん達と合流しないとね」

デイバックを一人分、いや二人分担ぎ一文字がハナを先導するように歩を進める。
一文字なりにハナに対して恩義を感じているのだろう。
何も言わずにハナの荷物を持っていく一文字にハナは少し驚いたような顔を見せるが、やがて彼の意外に大きな背中を見つめる。
携帯の画面からすれば合流地点と然程距離は離れていない。
わざわざ変身して移動する事もないため、ハナが一文字に追いつくのは容易な事。
直ぐに一文字の数メートル後ろへついて、ハナは彼の後を辿る様に歩き始めた。

(なんだ、只のキザっぽい奴かと思ってたけど……そんなわけじゃなさそうね)

一文字に対しての印象を僅かに変えながら。


二人分のデイバックの重さなど気にはならない。
改造手術を受けた身にとっては所詮軽い荷物でしかない。
それこそ一つでも二つでも特に違いはない程に。
己の身にとって軽すぎるそれらを背負いながら一文字は黙々と歩く。

(あのトゲトゲ野朗は気になるが……一旦保留だな。今は体勢を整える事が先だ)

自分を打ち負かした男。
一文字が知る由もないその男の名は牙王。
言動や行動から危険人物である事は間違いないが、牙王の実力は本物なのもまた事実。
無理して仕留める必要もない。
ああいうタイプは後先考えずに闘い続け、やがて疲弊し……終わる。
闘った時間は僅かだが、一文字はそう推測し、仲間達との合流を優先した。
何より自分は今、ハナと同行している。
女性であるハナを危険に晒さない為にも今の自分の行動は正しいと一文字は胸を張って言えた。
そのため、一文字の歩みには迷いなどなく、距離を稼いでいる。
只、一つの事を除いてだが……。

(だが……さっきのあれはなんだったんだろうな。あの可笑しな夢は……夢みたいなもんは……)

ありのままの自分で本郷と激突したおぼろげな記憶。
現実の出来事ではないのは確か。
疑問がつきない夢の事を心の奥にしまって一文字は歩き出す。
静かに一歩ずつ。

状態表


一文字隼人@仮面ライダーTHE FIRST】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:E-4 北東部】
[時間軸]:FIRST終了後。
[状態]:全身に強い衝撃、リジェクションによる負荷と苦しみ、
[装備]:特殊マスク
[道具]:基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出
1:頑張れよ、本郷。
2:出来る限り、戦闘は避け状況を把握する。
3:後ほど本郷、及びあすかとの合流。
4:俺や本郷と同じ名前……偽者か、それとも?
5:余裕があれば首輪を回収に行く。
6:ハナに興味。風間、ハナと行動する。
7:エリアD-5でヒビキたちと合流する
[備考]
※死神博士の事を自分を改造した老紳士だと思っています。
※FIRST終了後の参戦のため、風見志郎の存在を知りません。
※変身解除の原因が、自身のリジェクション(改造手術による後遺症)によるものだと考えています。
※首輪について:
 金属製のフレームに吸音用の穴と紅いダイオードが一つ。詳細不明。
 さほど重くなく、表面にはスマートブレインのロゴがプリントされている。 
 無理に外そうとしたり禁止エリアに入ると起動、装着者は灰になる。
※自分が戦った高笑いの男(志村)は戦いに乗っている、また策謀を巡らせている可能性を考えています。
※夢の内容はおぼろげに覚えています。

【ハナ@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:E-4 北東部】
[時間軸]:劇場版・千姫と入れ替わっている時
[状態]:疲労ある程度回復、悲しみと強い決意、
[装備]:冥府の斧@仮面ライダーアギト、カードデッキ(ナイト)
[道具]:支給品一式、洗濯ばさみ、紙でっぽう、戦国時代の衣装、ミニカー7台
【思考・状況】
基本行動方針:脱出する
1:一文字と行動。後ほどヒビキたちと合流。
2:仲間を探して一緒に脱出する
3:イマジンに対する自分の感情が理解出来ない
4:牙王、影山瞬、死神博士、ゴルゴス、仮面ライダーグレイブ(志村の名前は知りません)に気をつける
5:モモタロスの分まで戦う
6:本郷猛は敵? 味方?



080:出たぞ!恐怖の北崎さん 投下順 082:東條悟のお料理教室
080:出たぞ!恐怖の北崎さん 時系列順 082:東條悟のお料理教室
059:全てを喰らう牙 一文字隼人(リメイク) 089:それぞれの思考
059:全てを喰らう牙 ハナ 089:それぞれの思考
|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|
  
- (T: - /Y: - )

投下順に読む

時系列順に読む

死亡者リスト

支給品一覧

その他




リンク





更新履歴