龍哭(後編)

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龍哭(後編)

ぴくり、と閉じていた眼を開き、辺りを見回すダグバ。粉塵爆発の痛みはまだ癒えないが、これもじきに回復するだろう。
大分寝てしまったのかもう辺りは暗くなっていて、工場内は不気味な静けさに覆われていた。人どころか、ネズミ一匹いないこの島にはもうなれた物だが。
しかし……どうにも解せないところがある。辺りには何もいない、近くで戦闘が起こった気配もない……だというのに、ダグバの意識は揺り起こされた。
ダグバが感じたのは、強い力と灼熱。脳裏をこのヴィジョンが過ぎった瞬間、目が覚めてしまったのだ。
が、実際はご覧のとおり何も起きず、いつまでも夜の闇が纏わりつくままだ。灼熱など何処にもない、あるのは冷たすぎる暗がりのみ。

(勘違いかな……)
そう考え、再び眠ろうと横になった。ふと、何気なく視線を工場の外に向けた瞬間、一瞬昼間のような光が迸った。

「……あ……っ!」
その輝きの中、ダグバははっきりと目撃した。本当なら、遠すぎて視認も不可能なはずのものを。

天高く昇っていく、巨大な銀色の龍の姿を。

【1日目 夕方】
【現在地:B-5 工場内】


【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ】
[時間軸]:47話、クウガアメイジングマイティに勝利後。
[状態]:脇腹に刺し傷、額にヒビ(出血止まり済み)、胸部に蹴りによるダメージ、右肩に清めの音によるダメージ、全身に軽度のダメージ、2時間変身不可(グレイブ、グロンギ体)
[装備]:グレイブバックル
[道具]:基本支給品×3 ラウズカード(スペードA~9、ハートQ)、サバイブ『疾風』
【思考・状況】
基本行動方針:究極の闇を齎す。
1: 究極の闇を齎す。
2:強くなったクウガ、龍騎、響鬼、ライア(サソード)、ガドルと再戦 。
3:『仮面ライダー』と思われる一文字隼人、風見志郎、城戸真司と戦う。
4: 自分に楯突いた志村には容赦しない。
5:牙王にはちょっと失望。
6:リントの道具の力に興味。
※自身の戦闘能力に制限がかかっていることを何となく把握。
※志村が人間でない事を知りました。
※ハートのKが無くなっている事に気付き、志村が奪ったと思っています。
※工場内には首輪の部品、様々なチラシやら何やらが散乱しています。


「道を開く……だと? ハッ、笑わせるな。」
嘲笑とも取れる乃木の言葉だが、その声に明らかな怒りが含まれていた。怪我人一人が戦ってどうにかなる程度なら、そもそも悩んだりする必要はない。

「私は、正直あなたを行かせたくありません……ですが……」
「えっと……北條さん、だっけ……ありがとう。」

自分を含め、この場の全員がより多く助かる手段は、それしかない……北條は、そこから口にすることは出来なかった。
ただ、北條は知らない。カードデッキが、変身する者を選ばない道具、つまり彼でも、変身して戦うことが出来ることを。
その事実を、死神や乃木はおろかこちらを狙う牙王たちも含め、このエリアにいる全員が知っている――影山はコブラとの一軒ですぐに頭から吹き飛んでいたが――のは、皮肉というほかない。
知っていれば間違いなくその役をかって出る程度には、正義感を持ち合わせているだけに、北條は何も出来ない自分に歯噛みする事しか出来なかった。

「城戸よ、馬鹿も休み休み……」
「博士……俺にちょっと……考えがあるんです、お願いします。やらせて下さい……っ!」

死神の言葉を遮り、強い意志で真司は訴えた。今この間も傷が体を蝕み、命を押し潰そうとしているのにその目はまっすぐ死神を見据えていた。
真司の目に、うっすらと涙が浮かぶ。その涙を見て、死神はふとかつて真司が言った言葉を思い出した。

――――こんな闘い…俺が必ず止めてやる!!

初めて出会って話した時も、真司はこの戦い、特に人を殺すことに関しては否定的だった。その真司が、敵を前にして道を開くと言い放ったのだ。
相手は本気でこちらを殺しにかかってくる、そして相手を殺さずに説得するのも不可能といっていい。そんなことは真司にもわかっているはずだ……その上で流した、この涙の意味は。

(……人を殺す決心が出来た、か。)

再び、二人の視線が交差する。真司の目はまだ死んでいないどころか、覚悟を決めた所為か強い輝きを見せていた。

まるで、幾度もショッカーと相対した、本郷猛と一文字隼人のように。

「牙王は強いが……やるからにはしくじるな。」
「……はい!」

威勢のいい返事と共に、皆を守るようにしてデッキを構えた。対する牙王は、一刻もはやく馳走にありつきたいらしくうずうずしている。
おもむろにデイパックへと手を突っ込み、渡されたカードデッキをガドルへ放り投げた。

「何のつもりだ?」
「決まってんだろ、食うんだよ。」

帰ってきたのは、いつも通りの短い返事だった。ガドルは今一度真司の姿を確認し、戦うに値する者かどうか見極める。
手負い、しかも明らかな致命傷。だが、それを一切表情に出さず仲間を守ろうと立ちはだかった。
その目に二つ、燦燦と輝いている光は、まるで幾多の同胞を葬ってきたリント戦士クウガのようだ。

(なるほど、これは戦う意義があるようだ。)

同じようにデッキを構えるガドルを見て、牙王は満足げな表情を浮かべた。そして、右手で持ったガオウベルトを装着し、懐からマスターパスを取り出す。

「「変身。」」

―― Gaoh form ――

天高く掲げたパスを落とし、バックル部分で弾けた粒子が刺々しい鎧と、巨大な顎の形をした電仮面を召還する。少し遅れて、ガドルがデッキを召還したベルトへ滑り込ませた。
電仮面は変形してすべてを噛み砕く牙へ変貌を遂げ、鏡像の中からいくつもの影が擬似ライダーの装甲となった。

仮面ライダーガオウとオルタナティブゼロ、参加者の中でもだいぶ高い位置にいる二人の闘士。

一瞬、真司の目に二人の姿が霞んで写った。

(……っ)
二人から発せられるプレッシャーに倒れこみそうになるが、無理やり足で支える。拳を握って、まだ体が動くことを確認した。
後ろには、守ると決めた仲間たちがいる。絶対に倒れてなるものか、と自分に言い聞かせデッキを突き出した。
ガオウの装甲に反射した像からベルトが装着され、静止。
ゆっくりとデッキを持つ手を引いていき、代わりに右腕を左へと引き伸ばす。丁度、仮面ライダー1号と同じ構えだ。

「変、身……!」

デッキをベルトに装填し、一歩一歩しっかりと歩んでいく。

右足を踏み出すと――――右側から鏡像が重なり、

左足を進ませると――――左側から鏡像が色づき、

そしてもう一歩歩いて、そこで一度立ち止まった。その瞬間、上から重なった鏡像が現実の物に変換され、赤い龍を従える騎士が姿を現す。


「……っ、しゃあ……!」
―― SWORD VENT ――

男女の声が同じ電子音声を発し、それぞれの武器を手に取る。ガオウの腰に備えられた四つのパーツが宙に飛び、連結しのこぎり刃の剣を形作った。
龍騎が走り出して、まずオルタナティブゼロに斬りかかった。スラッシュダガーに防がれこれ以上通らないと悟ると、すぐさま振り返りガオウガッシャーの斬激を防ぐ。
のこぎり刃越しにスラッシュダガーの棘が写った。体制を低くし攻撃を避けると、頭上で二人の武器が衝突して火花を散らす。

その隙に両腕で拳を作り、目いっぱい左右へと突き出した。敵が吹き飛ぶ姿を視界の端に捕らえながら、デッキからもう一枚カードを引き抜き読み込ませる。

―― GUARD VENT ――

龍の腕がついた盾が両肩に一対づつ装着され、今度はガオウへと飛び掛る。ドラグセイバーが沈む太陽に反射し、一層赤く煌いた。

「は、博士……城戸のやつ……」
「ああ、先の戦闘よりも明らかに動きのキレが増しておる。」

ゆっくりと離れつつある影山と、死神博士までもが感嘆の声を上げた。声に出さないものの、残りの二人も驚いた表情を見せた。
今の真司の腹部には文字通り風穴が開いている。血も大量に流し、立っているだけで体中に、それこそ死ぬほどの激痛が走っているはずだ。
だというのに、怪我を負う前よりも戦闘の質が上がっているというのはどういうことなのか。

(そういえば、奴の戦闘は無駄な動きが多かったな。)

死神が見た病院での真司の戦いぶりは、お世辞にも強いとは言い難いものだった。一度しか見ていないが、あそこまで酷いといやでも覚えてしまう。
無意味なオーバーアクションが目立ち、攻撃も頭に血が上った直線的なものしかなかった。故に、あの場ではろくな行動も出来ず一撃で沈んだのだ。

「……もしかしたら、血が抜けた所為で幾分冷静になっているのかも知れぬ。」
「下らん、そんな都合のいいことが起こるものか。」

乃木がばっさりとその仮説を切り捨てた。そう、そんな都合のいいことは起こらない……そんなことは死神にもわかっている。
だが事実として、龍騎の戦いぶりは格段に上達している。少なくとも、二人の実力者と戦いながら一歩も引かぬ程度には。

(……考えるだけ無駄か……)


―― ADVENT ――

バイザーのカードが燃えるのと同時に、サイコローグが飛び出し龍騎にタックルを決める。続けてもう一枚、カードをベントインして走り出した。

―― ACCELE VENT ――

走っていたオルタナティブゼロの姿が掻き消えたのを見て、また目が眩んだのかと感じる龍騎。しかし、直後に届いた背後からの攻撃が違うと知らせていた。

「ちくしょ……ゴホッ!」
マスクのスリットから赤い血が漏れ、喉が焼け付くような熱を持つ。どうやら今ので傷口が開いたらしい。
ドラグセイバーでオルタナティブを牽制しつつ、ローキックでサイコローグを蹴り飛ばす。と、次の瞬間胸に鈍く、思い衝撃が迸った。

「ガ……ァ……」
「後ろもちゃんと見ねえと……死ぬぜ?」

胸元から伸びる錆色の刃を見て、影山の叫ぶ声を聞いて、ようやく真司は理解した。

「城戸おおおおお!!」

自分の胸が、貫かれている事を。


「あぁ?」
ガオウがぐるりと首を曲げ、影山たちの方を見る。いつの間にか遠くへ逃げている、だがまだ攻撃の届かぬ距離ではない。
龍騎からガオウガッシャーを引き抜き、邪魔なその体を蹴り飛ばす。物理法則に逆らわず転がる赤い鎧は、血飛沫を撒き散らしながら転がっていった。
ガドルはオルタナティブの仮面の下で一部始終を見守ること以外、しようともしなかった。彼は自分のゲゲルで一般人に攻撃を仕掛けないルールを設けた。
それと同様、彼の目の前で一般人が危機に晒され様とも全く関わらない。助ける義理もないのだ、自分のみ程度守れないようでは興味すらわかない、というのが本音だった。

「チッ、見つかったか」

ガオウの仮面がニィ、と歪むのを見て死神が苦い顔をするが、影山の所為で見つかってしまった今ではもう遅い。ガオウガッシャーを突きつけ、マスターパスを翳す。

―― Full Char……――
―― ADVENT ――

ベルトの電子音が別の電子音声に阻まれる。続けざまに襲い掛かるのは、ガオウもよく見覚えのある龍……に似た、無双龍ドラグレッダーだ。

「んなっ!?」
「GAAAAAAAAOOOOOOOOOO!!!」

ギリギリまで死神たちに注意が入っていた事と現れた場所が近かった事とが重なって、あっという間に巨大な顎がガオウの体を挟む。
直線に進んだその巨体が保養所内へと突っ込む。口に咥えたガオウで壁や柱を砕きながら、中でぐるぐると縦横無尽に暴れ周った。
数秒の後、天井を突き破って飛び出したドラグレッダーが、今度はオルタナティブゼロを狙って襲い掛かってきた。だが黙って捕まる訳がなく、怪物から逃れる手段を講じる。

―― FINAL VENT ――

再び現れたサイコローグがその身を歪ませ、バイクとなってオルタナティブの目の前に走ってくる。すぐさま乗り込みアクセルを吹かして、荒野を駆け出した。
ミラーモンスターが現実世界で長くいられないのはガドルも理解している、なればそのタイムリミットまで逃げ切ればいいだけの事だ。

(その鉄の馬ならばそう簡単に……)

直後、サイコローダーが炎に包まれた。

ドラグレッダーの吐いた火が、オルタナティブを捕らえたのだ。熱でもがき苦しんでいるうちに捕らえ、上空からある場所へと叩き落す。
ガドルは熱を持った体が、緩やかで心地よい温かさに支配されるのを感じた。半身を持ち上げると触覚から滴る水滴が湯船に落ち、波紋が広がって……水滴?

(これは……風呂……)

間違いない、数時間前自分が使った風呂だ。落下の際の衝撃が殆どなかったのも、自分たちが天井を破壊したのと落下した場所が水だったからか。
いったい何を考えてこんなところへ……と考える間もなく、新たな電子音声が鳴り響く。

―― FINAL VENT ――
「ハァァァァ……」

声のほうを向くと、赤い戦士の周囲を龍が旋回し、地を蹴って飛ぶ姿が目に入った。その戦士は、今しがたガオウが貫き捨てた龍騎だ。

(死んだと思い油断したか……)

この距離では逃げても直撃は避けられない――――ならば、耐え切って見せるまで!

「ッダァァァァァ!!」

雄たけびと共に、灼熱の炎を纏った蹴りがオルタナティブへと迫る。対するオルタナティブは両手を胸の前で構え、力を込めた。
金属が触れ合うような音が鳴り響き、直後にガドルは装甲の上からわずかだがキックがめり込むのを感じた。受け止めたことでだいぶ衝撃は抑えたものの、それでも耐え切れず吹き飛ぶ。
宙を舞うオルタナティブは浴槽の壁を容赦なく砕き、その奥まで転がり込む。鎧に触れたコードから、ほんの少しの光が光が煌く。


その瞬間、さながら稲妻が落ちたような閃光が走った。

「ガァァァッアッァァァァァァッァッッ……」

水は電気を通す、それはライダーの装甲の上からでも同じである。真司の狙い通り、いやそれ以上の威力だった。
ガドルの絶叫が轟き、がっくりと首を垂れた。その黒い体は、ピクリとも動かないままいつまでも電撃を受け続ける。


「穴が開いた、全員走れ!」
死神の号令に影山、乃木と走り出し、全力でその場から離脱する。北條は振り返って、真司の姿をもう一度確認した。
腹部だけでなく胸にも開けられた穴からは、止め処なく血が溢れている。もう十分と持たないことは遠目でもよくわかる。
言い知れぬ無常感が押し寄せて、思わず拳を握り締めた。その様子に気づいた乃木が、早く来いと呼びかけてくる。

(ここでいかなければ、彼の行動が無駄になる……)

一般市民を救えなかった事に心が引き裂かれそうになるが、グッとこらえて、北條は次第に歩みを早めていった。


「全員……行った、な。」
がっくりと膝を突き、龍騎が浴場の床に倒れこみそうになる。必死に瓦礫で手を支えると、その瓦礫の山を砕く蹴りが飛んできた。

「くっ、さっきのは利いたぜ……」
いわずもがな、ガオウであった。

「お前、まだ生きて……」
「それはこっちのセリフだ、何でまだ生きてやがる。」

言いながらガオウガッシャーを構えるガオウに、真司は浅倉のような印象を持った。どこまでも貪欲で、自分のことしか考えていないところなどそっくりだ。
ここで倒さねば、きっともっと多くの犠牲者が出る……死神にもしくじるな、と言われたのだ。何が何でも、ここで倒す。

「……っ、し!」

ベルトから一枚のカードを引き抜き、ガオウに見えるよう裏返した。なぜあの怪人がこのカードを持っていたのかはわからないが、今は自分の手にあるという事実がたまらなく心強かった。
炎を纏った黄金色の翼が、浴槽を、保養所を、大地をその名の通り烈火で包み込む。余りの熱に思わずガオウも顔を庇う。

「オイオイ、何だこりゃあ……?」

ガオウの呟きをよそに、龍騎のドラグバイザーに幾重にも像が重なって弾けた。篭手はその手から消え失せ、変わりに龍の頭部を模した銃が握られていた。

下顎を開き、そのカードを差し込んだ。読み上げるのは、「自分が生き残る」ためでなく、「誰かを生き残らせる」決意を乗せた叫び!


―― SURVIVE ――


瞬間、龍騎の姿が砕け散り、殻を破るように新たな戦士が現れた。
胸部の装甲は真紅に染まり、肩から伸びる流れるような角がより鋭角的なフォルムを作り、全身からは大気を歪ませるほどの熱を放つ。
龍騎の仮面も大きく姿を変える。口元を汚していた血は一瞬で蒸発し、甲冑のようなバイザーは大きく後ろへと伸びていた。
額から新たな二本の触覚が伸びて、金色に輝く龍の紋章をさらに際立たせる。今ここにいるのは、鏡の世界で戦うライダーの、最強の一角。


――――仮面ライダー龍騎サバイブ。

「オ、オ……オオオオッ!!」

しかし牙王の顔に浮かぶのは恐れでも絶望でもなく、喜びの色。くたばりぞこないだと思っていた敵が自分に一撃を加え、さらにそこから新たな姿へと変わったのだ。
食いがいのありそうな敵に心震え、龍騎サバイブを見つめる。変身してから早五分少々……短期決着しか出来ないのが勿体無いが、その分全ての力持って楽しませてもらおう。

「行くぜ……全部喰ってやる。」

言うが早いかガオウは瓦礫の中からマスターパスを拾い上げ、その手に持った牙で襲い掛かる。対する龍騎サバイブは特に動じる様子もなく、冷静にカードを引き抜いた。

―― SWORD VENT ――

エコーがかかった電子音声とともに、ドラグバイザーツバイから剣先が飛び出して、ガオウガッシャーを受け止めた。
攻撃が通らないと悟り、ガオウが横なぎに一閃。しかし、龍騎サバイブはほんの少し後ろへ飛んだだけでその攻撃を回避し、体勢を立て直しドラグブレードで切りかかる。

「んなっ!?」
予想していなかった反撃に、対応が遅れた。切っ先が電仮面の先をわずかに削ぎ落とされ、熱で蒸発されるのを見てしまう。
舌打ちを一つ零しながら、仰け反ったままでキックを浴びせる。焼け付くようなエネルギーが龍騎サバイブの体を吹き飛ばし、建物の外へと転がり出た。

「ガ……」
龍騎の仮面の下で、真司の口からまた血が吹き出た。瞬時に蒸発するため傍目には何もないように見えるが、その体は限界をとっくに通り越して、死の淵でギリギリ立ち止まっている状態だ。
だけどこの身を止めるわけには行かない。これから先起こるかもしれない危機を防ぐために、龍騎サバイブはまた立ち上がり、戦い続ける。

―― STRANGE VENT ――

ベントインしたカードが別の絵柄に変わり、再び読み込まれる。耳につく電子音声は、ここに来る前友の愛用していた幻惑のカード。

―― TRICK VENT ――

龍騎サバイブから切り開くように影が二つ、三つと広がり、五人になったところでガオウが保養所内から現れる。
急に敵の数が増えたことに驚き目を白黒させるが、すぐ「全員倒せばいい」と思いつき、ガオウガッシャーを構えた。

「ゴチャゴチャしてんのは嫌いなんだよ……!」

飛び込んだ勢いで一人目の龍騎を蹴り飛ばし、二人目へとぶつけた。戸惑っている隙に三人目の仮面に拳を叩き込み、バラバラに砕いた。
「ハズレか……」
言いながらガオウガッシャーを構え、四人目の龍騎に突きつけながら走った。が、今度はカードを引き抜く音が聞こえて、続いて耳障りなエコー。

―― GUARD VENT ――

ドラグレッダーがその身を進化させ、烈火龍ドラグランザーとなって出現。炎を纏って回転するその巨体に、迫っていたガオウガッシャーも弾かれた。
だが、そんなの知ったことではない。のこぎり刃で表面を抉り、巨体の隙間に見える紅のデッキを貫いた。砕け散る姿はあれど手ごたえはない、またしてもハズレだ。
すぐに飛び退き、振り返った先にいる標的へ走り出す。蹴り飛ばした瓦礫が二人の龍騎に触れる中、もう一枚のカードが読みこまれた。

―― SHOOT VENT ――

向かってくるその姿へ狙いを定め、引き金を引く。それに合わせるようにして、龍騎サバイブの背後から巨大な火球が飛び出した。
しかし、ガオウは右に飛んでその攻撃を避ける。まさかと思い二度三度と引き金を引くが、そのたびに器用に避けられてしまう。

「邪魔なんだよ……」
―― Full Charge ――

火球を切り落とし、ゆっくりとマスターパスをかざす。今度は何者にも阻まれることなく、技が発動する。
のこぎり刃が回転して、さながらチェーンソーのごとく振動し射出された。まっすぐ飛んだガオウガッシゃーは一瞬で龍騎サバイブを粉微塵に砕いた。

―― ADVE……――
「させねぇよ。」

さっきのお返しとばかりにバイザーを破壊し、四人目の龍騎は断末魔すら残さず真っ二つになった。だが、どいつにも手応えはない……となると本物は最後の一人か。

「どこだ……あ?」

見回して探すと、本物はすぐに見つかった。瓦礫の影から足の先が見えるが、そこから先は隠れていて見えない。
瓦礫を蹴り飛ばし全身が見えるようにすると――――龍騎サバイブは、うつぶせに倒れていた。罠かと思ったが、その周辺に広がっている赤い水溜りが真実を物語っていた。

「くたばったか……つまらん。」

その身に蓄積された傷が臨界点を越したのだろう、いつ起こってもおかしくないことだ。しかしガオウにとっては、まったく持って面白くなかった。
何度目になるかわからない舌打ちをし、めんどくさそうに踵を返す。さっきの死神達を追うかどうか考え、やめた。それよりももっと強い奴に会うほうが早いだろう。

「……さっさと全員も喰いてぇなぁ。」


「……させ……るか……」

くぐもった様な声に振り向くと、龍騎サバイブが立っていた。瓦礫を支えに立ち上がる弱弱しい姿だが、それでも立てたことに驚いた。

「お前はくたばったフリをするのが趣味なのか? いい加減しつこいぜ。」

挑発には答えず、デッキから最後のカードを引き抜いた。一番強い技の出現を予期してガオウが身構えるが、その程度では防げないと気づき走り出した。

―― FINAL VENT ――

龍騎サバイブが飛び上がり、ドラグランザーに飛び乗ったかと思うとその長い身を折り畳み、一台の巨大なバイクとなって迫ってきた。
サイコローダーと似たようなものか……と思った瞬間、火球がガオウの少し先にある大地を燃やす。ギリギリ直前で踏みとどまり、ドラグランザーを睨み付ける。
真正面の退路を断たれてしまい、咄嗟に右へ飛ぼうとするが叶わなかった。同じように降り注いだ火球がガオウの前後左右を囲まれたからだ。

(さっきより火の手が早い……偽者と本物の違いってところか。)

電仮面の下、牙王の口元が自然の綻ぶ。逃がさせる気がないながら、炎は一度も牙王本体を狙わなかった――――つまり、全力同士の一騎打ちを挑んできたのだ。
そのつもりなら、こちらも全力の技で応戦する。回転する刃の輝きの中、この一瞬だけは牙王の頭からダグバのことが消え去っていた。

ただただ全力の闘争を愉しみ、喰らい尽くしたい。ただ、それだけ。

ドラグランザーの前輪にガオウガッシャーを突きつけ、マスターパスを放り投げた。

―― Full Charge ――

回転刃の勢いが増し、壮絶な火花を巻き上げる。震える装甲から、その威力に耐えられず白い煙が立ち昇っていく。

「ハハッ、楽しいぜ……これでこそ食いがいがあるってもんだ。」

視界が白に染まっていく中牙王が最後に見たのは、砕け散るガオウガッシャーと、咆哮を上げるドラグランザーの姿だった。


変身の解けた真司は、瓦礫にもたれかかる様にして座り込んだ。そのとき少し強く倒れてしまい、傷に響くかなとも思ったが、いまさら響いた所でもうどうにもならないことに気づく。
短い息が口から漏れ、その度に命が磨り減っていくのを感じる。身体に断たれた二つの穴から流れ出る血が、見る見るうちに血だまりを作っていった。
目に痛いほどの夕日が今はとても美しいものに感じられた。そして思うのは、命を賭して逃がした仲間のこと。

(博士、影山、北条さん……えーっと、乃木、さん。皆、生き抜いてくれよ……)

砕け散ったデッキからサバイブのカードが捲れ、ちろちろと燃えていた炎に飲み込まれた。手を伸ばそうとして、真司はもう体の自由が利かないことを知る。

「風間の奴、うまく逃げられたかな……響鬼さん、一文字達と会えたかな……手塚の奴、今も運命を変えようとしてるのかな……」

一通り知り合いの心配をしたら、ふわっと体が軽くなるのを感じた。どうやら、もうそろそろ終わりの時間らしい。

人を守るために戦った、もう何も悔いはない……

(……あぁ、忘れてた。)

閉じかけた瞳の中、真司はもっとも大切なことを思い出した。届かないと知っていながら、これだけは言っておかないといけない気がした。

(……蓮……お前との約束、やぶっちまった……ごめん。)

すぅ、と息を吸い目を閉じる。耳の奥に、構わないと声が響いたような気がした。




「………………………………………………………………ッ、ァ………………………………――――――――――――――」




彼が最後に呟いたのは友の名か、仲間への激動か、はたまたスマートブレインへ向けての恨みの言葉か。
その答えは、彼に付き従った龍だけが知っていた。


「あれは……城戸の……」

最初に気づいたのは、一番前を進んでいた死神博士だった。
ドラグレッダーがここにいるという事は、あの場での戦闘は終了したのだろう。しかし、真司は――――

「……!」

思わず影山が木の幹を殴り、その音がどこまでも反響していく。声に出さないものの、北條も唇を噛み必死にこらえている。

「諸君、ここで立ち止まっていては彼が浮かばれない。一刻も早く大学へ向かいこの首輪を外すことが、彼に出来る唯一の手向けとなろう。」

両手を広げて語る乃木だが、内心ではそんなこと微塵たりとも思っていなかった。最初から、あの二人を始末できて助かったという程度にしか感じていない。

「……ですね、まさかあなたの口からそんな言葉が聞けるとは、思っていませんでしたが。」
「あ、ああ。」

……とはいえ、今の言葉もこの二人を再び動かすくらいにはちょうどよかったらしい。満足げな表情を浮かべると、乃木は一枚のカードを取り出した。
それをドラグレッダーに掲げると、一瞬眩い輝きが森を覆い、それが静まる頃にはドラグレッダーの姿が掻き消えていた。

「何をした?」
「今の龍と契約させてもらった。これで、真司とやらの力も使えるようになるはずだ。」

死神の問いに短く答えた乃木は、ズンズンと先へ進んでいく。その背中を見て死神は、

(食えん男だ。)

と愚痴を零した。


【1日目 夕方】
【現在地:B-3 道路】

【共通参考】
1:自分達が別々の世界から連れてこられていることを把握しました。
2:今から大学へ向かい、その後研究所へ向かうつもりです(その後余裕があったら放送局も?)
3:ガドルが死んだと思っています。

【死神博士@仮面ライダー(初代)】
【時間軸】:一号に勝利後。
【状態】:擦り傷程度の傷多数、 二時間変身不可(イカデビル)
【装備】:鞭
【道具】:基本支給品一式、デスイマジンの鎌@仮面ライダー電王、ハイパーゼクター
【思考・状況】
基本行動方針:この殺し合いをショッカーの実験場と化す。
1:大学(研究室)を探索。現状を把握する。
2:集団を結成し、スマートブレインに対抗する。
3:影山のような役立たずはいずれ切り捨てる。
4:首輪を外す方法を研究する。施設の候補は研究所か大学。首輪のサンプルが欲しい。
5:未知のライダーシステムおよびハイパーゼクターの技術を可能な限り把握する。
6:乃木に対して不信感。刃向かうようなら始末する。
※一文字隼人(R)の事を一文字隼人(O)だとは信じていません。
※流れ星は一戦闘に六発まで使用可、威力はバイクがあれば割と余裕に回避できる程度。
 尚、キック殺しは問題なく使えます。
※変身解除の原因が、何らかの抑止力からではないかと推測しています。
※風間と城戸の所持品、カブト世界、 龍騎世界について把握しました。
※ハイパーゼクターはジョウント移動及び飛行が不可能になっています。マニュアルはありません。
【考察まとめ】
1.首輪の100%解析は不可だが、解除することは可能。
2.首輪を外せるのは罠で、タイミングが重要。
3.時空を超越して逃げても、追跡される。
4.会場に時の列車はない。あるとしてもスマートブレインの手の中。
5.ガオウから聞いた、デンライナーの持ち主は干渉を避けるために既に死んでいる可能性が高い。
6.ハイパーゼクターはカブトムシ型ゼクターで変身するライダーの強化アイテム。
7. この島では2ヶ月ほど前になんらかの異変が起きた。


【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
[時間軸]:43話・サソードに勝利後(カッシスワーム・グラディウス)
[状態]:全身に中程度の火傷、疲労、二時間変身不可(カッシス、王蛇)
[装備]:カードデッキ(王蛇+ドラグレッダー)
[道具]: 携帯電話、その他基本支給品×3(乃木、イブキ、結花)、ゼクトマイザー、トランシーバーC
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームの早期決着及びスマートブレイン打倒
1:首輪解除のため、北條透と仲間の諸君をもう少し泳がせる。
2:主催者側に対して嫌悪感。
3:ZECTの諸君に関しては、接触した次第早めに始末をつける。
4:死神達を利用する。
【備考】
※ライア・ガイのデッキが健在の為、王蛇のデッキには未契約のカードが2枚存在します。
※変身にかけられた時間制限をほぼ正確に把握しました。
※ZECTライダー資格者に関しての認識は「(TV版)ライダーの外見・名称」「(TV版)資格者の外見」を知っている程度です。
※ドラグレッダーと契約しました。ユナイトベントは発動しません。


【北條透@仮面ライダーアギト】
[時間軸]:最終話
[状態]:精神的に疲労。 現状に関する若干の恐怖。 主催に対する多大な不安。 真司に対する後悔の念。
[装備]:なし。
[道具]:携帯電話、地図、マグライト、研究所のファイル、首輪の設計図。
【思考・状況】
基本行動方針:無事に帰還し、スマートブレインを摘発する。
1:スマートブレインの危険性を懸念。
2:乃木をうまくだまくらかし、救出を待つ。
3:工場に向かって実験道具の手がかりを探す。
4:長田結花を保護すべき民間人と認識。
5:友好的な参加者と合流、敵対的な参加者を警戒。
【備考】
※首輪の外見についてはほぼ正確に把握しました。ただし、肌に触れている部分を除きます。
※研究所の設備は基礎的な科学知識さえあれば扱える程度にマニュアル化されているようです。
 ただし、あくまで分析結果が自動で出るだけで所見はついてきません。
※ファイルにまとめられた実験資料には、ネズミの灰化実験に
 青いバラとケージに取り付けられた装置が関わっているという結論のみが明記されていました。
※ファイルの内容の真偽は未確認ですが、北條はとりあえず真実であるという前提で行動しています。
※首輪の設計図は一部分を除き、ほぼ全ての構造が載っています。また、走り書き程度にメモも残されています。


【影山瞬@仮面ライダーカブト】
【時間軸:33話・天道司令官就任後】
【状態】:全身に若干の疲労。。顔面に斜めの傷。背中に軽い裂傷。 ザビーを失った悲しみ。
【装備】:ザビーブレス
【道具】:ラウズカード(◆J)
【思考・状況】
基本行動方針:とりあえず死神博士についていく
1:ザビーを返してくれよぉ……
2:乃木に恐怖。
※風間と城戸の所持品、龍騎世界について把握しました。

【支給品説明】





  • ウルフビールス


ウルフビールス。

秘密結社ショッカーが開発した、人間を狼男の改造人間へと変えてしまう悪魔のビールスである。
狼男となったものは自分の意思のままに暴れまわり、唯一黄金狼男であるゾル大佐が持つ、特殊な笛の音色によって制御される。

「はァ、はァ、はァ……」

背負っていた東條を乱暴に投げ捨てると、獣人――――狼男はその場に倒れこんだ。体中を引き裂かれるような痛みが駆け巡り、変身を解かざるを得なかった。
ザワザワと全身の体毛が引っ込み、徐々にその顔が人間の物へと戻っていく……しかし、完全に解け切る前に彼はその意識を失ってしまう。

彼――――三田村晴彦は改造人間であるが故に、リジェクションから逃れることは出来ないのだから。

異世界の、同じ名を持つ組織が作り上げた技術。その二つが触れ合ってしまったら、一体何が起こるのか。

【1日目 夕方】
【現在地:C-4 荒野】


【三田村晴彦@仮面ライダー THE FIRST】
[時間軸]:原作での死亡直前から
[状態]:全身に中度の疲労、全身に強い痛み、不可解な衝動(リジェクション)への疑問、
    北崎に対する強い恐怖 、リジェクション、気絶中、二時間変身不可(コブラ、実験狼男)
[装備]:特殊マスク、鞭
[道具]:飲食物(二人分)
【思考・状況】
基本行動方針:彼女を救うために勝者となる。
1:なんなんだこれは?
2:当面は東條に従って行動する。
3:北崎とはできるだけ離れたい。
4:リジェクションへの不安。できるだけ早く原因を突き止めたい。
5:いざとなれば迷わない。
6:桐矢、海堂に僅かな罪悪感。
7:自身が改造人間(コブラ)であることは東條に黙っておく。
【備考】
※変身制限がある事を把握しました(正確な時間等は不明)
※リジェクションの間隔は次の書き手さんに任せます。(現状は頻繁ではない)
※ウルフビールスに感染したことにより、実験狼男に変身が可能になりました。ウルフビールスを媒介できるかは後続の書き手さんに任せます。


【東條悟@仮面ライダー龍騎】
[時間軸]:44話終了後
[状態]:中程度のダメージ、気絶中、 二時間変身不可(タイガ)
[装備]:カードデッキ(タイガ・若干ひび割れ)
[道具]:基本支給品×2(飲食物抜き)、首輪(芝浦、金居) 、田所包丁@仮面ライダーカブト
[思考・状況]
基本行動方針:全員殺して勝ち残り、名実共に英雄となる
1:『ある程度の力を持つ参加者を一人でも多く間引く』
2:できれば最後の仕上げは先生(香川)にしたい
3:三田村はとりあえず生かしておく。殺すタイミングは今後の動向次第。
5:殺した奴の首輪をコレクションするのも面白い。積極的に外す 。
6:木場(名前は知らない)に自分が英雄であることを知らしめる為、自らの手で闘って殺す。
※三田村が改造人間(コブラ)であることを知りません。


ガドルは、生きていた。

ドラゴンライダーキックを受けながら、大量の電気を受けながら、まだ生きていた。
その意識はいまだ戻る気配がなく、もうすぐ日が落ち三度目の放送が始まる。そこで呼ばれる牙王の名を聞いて、いったい彼はどう思うだろうか。

――――ばちり。

ガドルの腕に、短い電流が走った。これが、彼を生きながらえさせた原因でもある。
どこかの世界の何時かの時間、ガドルはダグバに対効するため大量の電気をその身に受け、新たな力を得た。
クウガと似ていて、それよりはるかに強力なその姿――――誰かはそれを、『電撃体』とも呼んだ。
もしかしたら、それと同じように電気を吸収したのかもしれない。だが本当のところは、誰にも分からなかった。

――――ばちり。

【1日目 夕方】
【現在地:C-3 保養所男湯跡地】


【ゴ・ガドル・バ@仮面ライダークウガ】
[時間軸]:ゴ・ジャーザ・ギのゲゲルを開始後
[状態]:全身打撲、疲労中、右目と左腕に違和感、右足部装甲破損、帯電、、気絶、二時間変身不可(グロンギ体、オルタナゼロ)
[装備]:首輪探知携帯、カードデッキ(オルタナティブゼロ)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:強き者と戦い、強くなる。
1:リントの戦士を倒す。
2:再びあの二人と戦う。
3:桜井侑斗と決着をつける。
4:戦闘を繰り返し、強くなる。
5:最終的にダグバを倒す。
6:クウガの異変に僅かの恐怖。何れ再戦する
備考
※ガドルは自分にルールを課しているため、抵抗しないただのリントには攻撃しません。
※大量の電気を浴びました。びりびりです。
※よつば療養所はほぼ完全に倒壊しました。


鏡の向こう側、虚像の世界の中から、声が聞こえる。龍の哭く声が。
自分の半身がいなくなったような虚無感、自分の肉親がいなくなったようないい知れぬ虚無感。

本来ミラーモンスターはそのような感情を抱かない。自らが命を得るため、人間の命を奪い続けるだけの存在だ。
だが自分がこのように感情を持ったのは――――やはり、あのお人よしの主の所為だろうか。もしそうだとしたら、まったく余計なことをしてくれたものだ。
――――だが今は、それが逆に心地よかった。
今は別の主がそばにいるが、それでも失ってしまった何かを埋めることは出来ない。失ったものはもう、二度と戻らない遠くへといってしまったのだ。
だから、せめてそこに届くよう、龍は哭き続けた。

まるで、主に対する弔いの鐘のように。

【 牙王@仮面ライダー電王  死亡 】
【 城戸真司@仮面ライダー龍騎  死亡 】

【 残り30人 】

※C-3エリア 保養所跡地に以下のものが放置されています。
 ウルフビールスの笛@仮面ライダー、ウルフビールスの小瓶(空)@仮面ライダー、GS-03・デストロイヤー@仮面ライダーアギト、
 オロナミンC×2(ぬるめ)@仮面ライダー剣、マスターパス@仮面ライダー電王、YAMAHA TMAX@現実、支給品一式×3

※カードデッキ(龍騎)+サバイブ烈火@仮面ライダー龍騎、ガオウベルト&ガオウガッシャー@仮面ライダー電王は戦闘で破壊、炎上しました。

※保養所前に城戸真司の遺体と牙王の遺体(砂状態)が放置されています。また首輪は両方についています。

106:龍哭(中編) 投下順 107:香川教授の事件簿
時系列順 108:男二人、虫二匹――――はぐれ虫
城戸真司 ---
影山瞬 000:後の作品
死神博士 000:後の作品
東條悟 115:『いつか』が終わる日
三田村晴彦 115:『いつか』が終わる日
ン・ダグバ・ゼバ 112:闇は――動き出す――
乃木怜治 000:後の作品
北條透 000:後の作品
牙王 ---
ゴ・ガドル・バ 118:目覚めのカリスマ

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