Traffics(終編)

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Traffics(終編)


「オオォッ!」

 ドラゴンオルフェノクは左右の音撃棒を受け止めて腕に装着した巨大な爪──ドラゴンホーンを繰り出し、デルタはそれをダッキングでかわす。
 同時に出した足がぶつかり合い、両者一瞬バランスを崩す。
 そこにゼロノスが斬りかかり、ドラゴンオルフェノクは転がって回避する。
 ゼロノスの横に並び、音撃棒を構えるデルタ。
 さすがにミスマッチな組み合わせだと思うが、やはり使い慣れた武器の方がいい。
 二人で左右から挟みこむようにドラゴンオルフェノクに迫る。
 ドラゴンオルフェノクはその圧倒的なパワーで両者の攻撃をいなし、抑え込み、返す。
 デルタとゼロノスはつかず離れずの距離を保ちながら辛抱強く攻め続ける。
 戦いながら、ヒビキは違和感を感じていた。
 デルタの力は強力だ。鬼に変身した時と変わらないほどの、あるいはそれ以上の力を発揮できる。
 その力をもっと振るってみたい。その力で何かを破壊したい。
 人を守るために戦うという鬼の信念に反する欲求が湧き上がる。
 長年にわたって修行を続け、精神面においても卓越したヒビキでなければ戦いに快感さえ感じるようにさえなるかもしれない。
 これは危険だ。気が抜けない。
 だが、そうかと言って自分の内面に集中してしまうと――

「ぐあっ!」
「ヒビキさん!? 」

 ドラゴンオルフェノクに打ち倒され、ゼロノスが駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか!? さっきから動きが少々緩慢なように見受けますが」

 戦いながら闘争心を抑える事ほど難しい事はない。
 デルタギアの毒――デモンズスレートはヒビキの心を蝕みつつあった。
 しかしデルタは立ち上がり、ゼロノスに手を上げて応える。

「大丈夫です。鍛えてますから」

 音撃棒を握りしめる。鬼としての自分の力の象徴。
 自分は人を守る鬼である事をこれほど強く意識できる物はない。
 今こそ鍛錬の成果を発揮する時だ。
 自分は絶対屈しない。
 ドラゴンオルフェノクにも、自分にも。

「ハアァッ!」

 気合を入れ直し、ゼロノスと共にドラゴンオルフェノクへ向かっていく。
 音撃棒とゼロガッシャーをことごとく防御するドラゴンオルフェノク。反撃も鋭く、なかなか有効打が与えられない。

(落ち着け、焦る必要なんてないんだ……)

 頭の中がチリチリするような感覚。戦いの快感と欲求を必死に押さえ込みながら戦うデルタ。
 歌舞鬼に受けたキズと時折喰らってしまう攻撃で意識がかき乱されるが歯を食いしばって耐える。
 こういう時こそ平常心を保たねばならない。いつもやっているように。
 そして、ようやく待っていた時が来た。

── Rider Jump ──
── Rider Slash ──

 デルタとゼロノスの頭上を飛び越えるホースオルフェノク。下半身が馬に変わり、剣と盾を持っている。
 サソードもいつの間にかドラゴンオルフェノクの側面に移動している。
 さらにホースオルフェノクより高くジャンプしているパンチホッパー。腰のホッパーゼクターの脚を下ろす。

―― Rider Punch ――

「ハッ!」

 剣を突き出すホースオルフェノク。それはかわされ、爪で反撃されたが盾で防いだ。
 ホースオルフェノクが突っ込んだ勢いのままドラゴンオルフェノクの脇を駆け抜けると、今度はパンチホッパーの拳が迫っていた。
 横にジャンプし、これも避けられる。ライダーパンチは地面に命中し、アスファルトを粉々に粉砕した。
 さらにサソードが離れた位置からサソードヤイバーを振り下ろす。

「でやああっ!」

 剣から光の刃が飛ぶ。
 飛来するライダースラッシュもかろうじて紙一重でかわされた。
 剣閃はそのまま木に命中、縦に真っ二つに切断された。
 切れ味でいうならオーガストラッシュと比較しても遜色ないだろう。
 集結する五人――サソード・パンチホッパー・デルタ・ゼロノス・ホースオルフェノク。

「ようやく面白くなってきたじゃない。少し見直したよ」

 それでもドラゴンオルフェノクにはまだ余裕がある。

「もう時間は少ないけど、そのわずかな時間でも君達全員全滅させる自信はあるよ」

 そう言って竜人態へ変化する。

「! クロックアップ!」

── Clock up ──
── Clock up ──

 即座に腰のスイッチを操作するサソードとパンチホッパー。
 刹那、ドラゴンオルフェノクとサソードとパンチホッパーの姿がかき消えた。

「木場さん、ヒビキさん、準備を!」

 ゼロノスは指示を飛ばしながらゼロガッシャーをボウガンモードに変形させ、ゼロノスベルトのスイッチを押した。

―― Full Charge ――

「よっしゃ!」

 それを受けて説明書にあった大技の準備に取りかかる。
 デルタムーバーを手に取り、ミッションメモリーを挿入する。

―― Ready ――

 ジャキン、と銃身が伸びたデルタムーバーを口元へ運ぶ。

「チェック!」

―― Exceed Charge ――

 音声入力ってなんだか装甲声刃みたいだ、と思った。

◇ ◆ ◇

 この状態で普通に戦ったのは初めてだった。
 アクセルフォームでさえ自分には及ばなかった。
 首輪の制限のせいもあるだろうが、サソードとパンチホッパーは自分と競り合えるほどのスピードで動いている。
 今もパンチやキック、剣が次々に迫ってくる。
 だが、大半はドラゴンオルフェノクの体まで到達しない。まともに当てた数で言えば自分の方が多い。
 結局の所、彼らはただ自分と同じ土俵に上ったに過ぎない。それだけでは最強の存在である自分を凌駕するには至らない。
 それでも、何度も打ち倒されながら何度も向かってくる二人。
 そうでなければ面白くない。簡単に壊れてはつまらない。

── Clock over ──
── Clock over ──

 やがて三人とも平常の速さに戻る。
 サソードもパンチホッパーも疲労を隠せない。この調子ならば十分全滅──
 そう思いながら他の三人を見ると、うち二人──デルタとゼロノスがそろって武器をこっちへ向けた。

「!」

 デルタムーバーから青い光が放たれる。
 それを横へ飛んでかわすと今度はゼロノスのグランドストライク。
 身をひねるが、左肩をわずかにかすった。
 更にグランドストライクと同じタイミングで飛び出したホースオルフェノクに後ろ足で空中へ蹴り上げられる。

── Rider Jump ──

 吹き飛ぶドラゴンオルフェノクに先回りするように飛び上がるパンチホッパー。先程と同じようにホッパーゼクターの脚を下げる。

―― Rider Punch ――

「ウォォォッ!」
「くっ!」

 ドラゴンオルフェノクとパンチホッパーの拳がぶつかり合う。
 手に痛覚を覚え、反動で二人とも反対の方向へ吹き飛んでいく。

―― Rider Slash ――

 自分が飛んでいる方向から音声。サソードが光るサソードヤイバーを振りかざしていた。

「おりゃあああっ!」

 もう刃が届く距離。振り下ろされるサソードヤイバー。
 とっさに魔人態に変化、両腕のドラゴンホーンで受けるが左の角ごとそれらが切断された。
 そのまま地上に落下するドラゴンオルフェノク。

「タァァーッ!」

 最後に、デルタのルシファーズハンマー。

「ぐあああ!?」

 立ち上がろうとした所でポインターなしとはいえ胸にもろに受けてしまい、ドラゴンオルフェノクは吹っ飛んだ。

◇ ◆ ◇

「やった!」

 デルタのキックがドラゴンオルフェノクに炸裂したのを見て歓声を上げるサソード。

「ウグゥッ……!」

 うめきながら立ち上がるドラゴンオルフェノク。わずかによろめく。

「ざまぁ見やがれ……!」

 右手首を押さえながら吐き捨てるパンチホッパー。

「よし、次で――」

 ゼロノスがゼロガッシャーに挿入していたカードを再びベルトにセットしようとした瞬間、ゼロノスとホースオルフェノクの変身が解けた。

「うっ?」

 時間の事を忘れていた。
 動揺する二人にドラゴンオルフェノクが光弾を数発、発射した。

「危ない!」

―― Put on ――

 サソードは香川の前に立ち、脱ぎ捨てた装甲を再び装着して光弾から守った。
 木場はパンチホッパーとデルタが飛びつき、地面に押し倒されて難を逃れた。
 ドラゴンオルフェノクが撃った光弾はサソードらの手前のアスファルトにも着弾し、辺りを煙が覆った。
 視界が開けたときにはもうドラゴンオルフェノクの姿はなかった。手塚が乗ってきたバイクも消えている。

「……逃げられたか」

 起き上がり、変身を解くデルタとパンチホッパー。

「惜しかったのですがね……」

 メガネをかけ直し、つぶやく香川。

「…………」

 ドラゴンオルフェノクがいた場所を見つめたままのサソード。
 香川はサソードの肩に手を置いた。

「桜井くん、よく頑張りました。ヤツをあそこまで追い詰めることができたのです。これは誇りに思っていい」
「ですが香川さん……」
「大丈夫です。この次に会った時こそ、我々が勝つ時です。今はまず手塚さんを……」
「……はい」

 頷くサソード。そして変身が解除された。

「香川さん」

 きびすを返した香川を呼び止める侑斗。手を差し出し、

「ゼロノスベルトを。もう時間はたったはずです」
「桜井くん……」
「もし何か来ても、俺がみんなを守りますから」

 強い光が宿った瞳。その眩しさに思わず目をそらし、ゼロノスベルトを差し出す。
 受け取った侑斗の手を握る。

「強くなりましたね……桜井くん」
「……へへ」

 照れくさそうにはにかむ侑斗。
 二人はしばらく握手を続けていた。

(少し離れた間に、一回り成長したようだ)

 何があったかは知らないが、まるで自分の生徒の成長を見守っているようで嬉しい気分になる。
 手塚の死を乗り越えた事もあるのだろう。
 彼の死は無駄にしない。絶対に。
 侑斗と一緒に仲間たちの元へ歩き出す。

(それに引き換え、彼は……)

 へたりこんだまま、まだ立ち上がれないでいる京介を見て香川は嘆息した。
 手塚が殺された事に全員が奮起したというのに彼だけはこの体たらくだ。
 さっきもゼロノスに変身して戦う事をあからさまに嫌がっていた。これでは戦力にならない。
 侑斗とは顔は似ているくせに、中身は月とすっぽん。
 ヒビキには悪いが、はっきり言って足手まといだ。
 侑斗らの性格上、彼を捨てていくなどしないだろうからこれは不安材料だ。
 木場に関しては一見信用してもよさそうにも思えるが、まだ油断は出来ない。
 いずれにせよ、今後は考える事がたくさんある。
 侑斗が人々を救うために、犠牲を出す事もいとわず、自分は立ち回らねばならない。



【桜井侑斗@仮面ライダー電王】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
【時間軸】:最終回直後
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。 サソードに変身不可(2時間)
【装備】:神経断裂弾(1発)、ゼロノスベルト、サソードヤイバー&ゼクター
【道具】:基本支給品×2、ゼロノスカード3枚(内1枚赤カード)、ラウズカード三枚(ダイヤK・ブランク二枚)
     ショッカー戦闘員スーツ×2@仮面ライダー、ディスクアニマル(ニビイロヘビ)、戦国時代のディスクアニマル(イワベニシシ)
     煤けた首輪、双眼鏡、コーヒーセット、デジタル一眼レフ(CFカード)、望遠レンズ
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:もう誰も死なせず、無事に生還する。
2:香川に木場の事を説明する。
3:ガドル、風のエル(名前は知らない)、北崎を倒す。
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:真魚(名前は知らない)は本当にナオミなのか知りたい。
6:可能性は低いが良太郎や愛理を探す。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※首輪の損傷具合は不明です。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※あの少女(真魚)は帽子の男(澤田)がいるから安心?
※サソードゼクターに適格者として認められました。
※澤田=ダークカブト=カイザ=スパイダーオルフェノクである事を把握しました。


【香川英行@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:日中】
【現在地:E-6・道路】
【時間軸】:東條悟に殺害される直前
【状態】:深い後悔、強い決意。全身に中程度のダメージ、中程度の疲労。 ゼロノスに変身不可(2時間)
【装備】:なし
【道具】:リュックサック、保存食2日分、ペットボトル500ml(水入り)、懐中電灯、軍手(使用中)、医療品(消毒薬、包帯、ガーゼなど少量)、観光マップ、弾丸(発砲済み)
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いの阻止
1:東條は必ず自分が止める。
2:木場についてちゃんと話を聞きたい。
3:ガドル(名前は知らない)、北崎を警戒。
4:五代雄介に一条薫の死を伝える。
5:侑斗を生存させるため、盾となるべく変身アイテム、盾となる参加者を引き入れる。
6:桐矢京介が足手まといなのはどうしたものか。
【備考】
※変身制限に気づきました。大体の間隔なども把握しています。
※剣世界の事についておおまかな知識を得ましたが、仮面ライダーやBOARDの事など金居が伏せた部分があります。
※木場からオルフェノク・スマートブレイン社についての情報を得ました。
※死者の蘇生に対する制限について、オルフェノク化させる事で蘇生が可能なのではと思いはじめました。
※ショッピングセンター・動物園あたりの川に香川の支給品が流されました。川のどこかにあるかもしれません。
※第2回放送を聞き損ねていますが、脱落者・新しい禁止エリアは把握しました。
※3ヶ月ほど前にスマートブレインによってホテルの従業員と宿泊客の強制退去が行われたと推測しています。
※ホテルの宿泊客管理ソフトのIDとパスワードを記憶してしまいました。忘れる事ができません。
※観光マップは南北C~H、東西1~6の範囲まで載っています。道路や駅、観光地とホテルの位置がわかります。
※E-6動物園付近の丘で崩れた家を、林の中で青いバラを発見しました。


◇ ◆ ◇

「手塚さん……」

 木場は手塚の遺体を前にしゃがみこんでいた。

「俺がライダーシステムの事をちゃんと教えていれば……」

 おかしいとは思ったのだ。なぜキャストオフしないのだろうと。
 戦っている最中ゆえ気づくのが遅かったとはいえ、どうしても悔いが残る。
 思わず涙がこぼれる。
 仮面ライダーになると誓ったのに、彼をみすみす死なせてしまった。
 と、肩に感触。
 振り返ると、葦原が自分の肩に手を置いていた。

「…………」

 彼は何も言わず、ただ黙って木場の目を見ていた。
 それだけで、彼も自分と同じ気持ちなのだと感じた。
 そして、他の全員が一様に悲しそうな目で手塚を見ていたのに気づく。
 全員がそうなのだ。

「…………」

 木場は袖で涙をぬぐい、手塚の顔に視線を戻した。
 いつまでも悲しんでばかりはいられない。
 もう手塚のような死者を出さないためにも、自分は強くならなければいけないのだ。

「手塚さん……俺は必ずここにいるみんなを守って、ここから脱出します」

 手塚に決意を誓い、隣にしゃがんだ葦原と頷き合った。



【葦原涼@仮面ライダーアギト】
【1日目 午後】
【現在地:E-6・道路】
[時間軸]:第27話死亡後
[状態]:全身に中程度の負傷、中程度の疲労、腕部に小程度の裂傷、胸に軽度の裂傷、変身の後遺症、仇を討てなかった自分への苛立ち。ギルス・パンチホッパーに変身不可(2時間)
[装備]:フルフェイスのヘルメット、カブトエクステンダー@仮面ライダーカブト、ホッパーゼクターのベルト
[道具]:基本支給品×2
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには加担しない。脱出方法を探る。
1:立花を殺した白い怪物(風のエル)、あすかを殺した白いライダー(ファム)、未確認生命体4号(クウガ)、北崎に怒り。必ず探し出して倒す。
2:立花藤兵衛の最後の言葉どおり、風見の面倒を見る?
3:黒いライダー(カイザ)を探してみる。
4:五代雄介の話を聞き、異なる時間軸から連れて来られた可能性を知る。
5:白い怪物(ダグバ、ジョーカー)を倒す。
6:木場が間違いを犯した場合全力で止める。
7:デルタギアを誰か、はっきりとこの殺し合いに反抗する者に託す。(今の所木場が有力)
【備考】
※五代の話を聞き、時間軸のずれを知りました(あくまで五代の仮説としての認識です)。
※剣崎一真の死、ダグバの存在、ジョーカーの存在などの情報を五代から得ました。
※カブトエクステンダーはキャストオフできないため武装のほとんどを使えません。
 今の所、『カブトの資格者』のみがキャストオフできます。
※澤田=カイザ=スパイダーオルフェノクである事を把握しました。


【木場勇治@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
【時間軸】:39話・巧捜索前
【状態】:全身に中程度以上の打撲。後悔と悲しみ。大程度の疲労、背中等に軽い火傷。ホースオルフェノク・ファイズ・サイガに変身不可(2時間)。
【装備】:ファイズギア、サイガギア、トンファーエッジ
【道具】:基本支給品×1、Lサイズの写真(香川の発砲シーン)
【思考・状況】
基本行動方針:海堂の遺志を継ぎ、仮面ライダーとしてみんなを守るために戦う。
1:香川とちゃんと話をする。
2:葦原に憧れに近いものがある。
3:死神博士、ゴルゴス、牙王、風のエル(名前は知らない)、東條、北崎を警戒。影山はできれば助けたい。
4:事情を知らない者の前ではできるだけオルフェノク化を使いたくない。
【備考】
※香川から東條との確執を知り、侑斗から電王世界のおおまかな知識を得ました。(赤カードの影響で東條の情報だけが残っています。)
 また、第一回放送の内容も二人から知りました。
※赤カードの影響で自分が香川の記憶を失った事を把握しました。
※自分を信じるが、自分さえも信じられなくなったらその時は…?
※カイザが澤田である事は知りません。


◇ ◆ ◇

「京介、大丈夫か?」

 ヒビキが京介の手を取るが、まだ立ち上がれない。

「す、すいません。俺……」
「まあ、しょうがないけどな」

 言って、ヒビキは疲れた表情で目の辺りを押さえる。

「大丈夫ですか? ヒビキさん」
「うん、少し疲れてるけど大丈夫」

 そう言っているが、これほど疲れた表情のヒビキは見た事がない。
 デルタギアのデモンズスレートにまだ抵抗しているという事には気づかなかった。
 少々不安になり、他の仲間達を見る。
 そして木場を見た時に視線が止まった。
 さっき手塚が倒れた直後、彼も北崎と同じような灰色の怪物に変身した。
 京介は木場がオルフェノクであることを聞いていなかったのだ。
 そんな人物が仲間で大丈夫だろうか。
 北崎に恐怖を植えつけられた京介は彼に対しても恐怖を抱きつつあった。



【日高仁志(響鬼)@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
[時間軸]:最終回前
[状態]:顔面に傷、胸に切り傷、腹部に中度の火傷と刺し傷、強い決意、精神への疲労大。響鬼・デルタに変身不可(2時間)。
[装備]:変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼、劣化音撃棒×2、音撃増幅剣・装甲声刃@仮面ライダー響鬼、デルタギア
[道具]:基本支給品一式(元の服を含む)、野点篭(きびだんご1箱つき)
    釘数本、不明支給品×1(確認済)
【思考・状況】
基本行動方針:出来るだけ多くの仲間を守って脱出
1:青いバラの事を別行動中の仲間に知らせる。
2:葦原にあすかの事を聞く。
3:頭の変な感じ(デルタ変身の後遺症)を抑える。
4:歌舞鬼が気にかかる。
5:ダグバと北崎は放置できない。
6:もっと仲間を増やす。
7:新たな仲間を信頼。
8:志村は信頼することを前提に行動する。
9:一文字・志村とは病院で合流する。
【備考】
※E-6の林の中で青いバラを見つけました。
※デルタギアのデモンズスレートは今の所は何とか抵抗していますが……?


【桐矢京介@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:E-6・道路】
[時間軸]36話、あきらに声を掛けた帰り
[状態]:走り回った事による中程度の疲労、バイク転倒による擦り傷や打ち身、僅かな人間不信、激しい動揺
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(食料紛失)、ラウズカード(スペードの10、クラブの10)
【思考・状況】
基本行動方針:生き残る
1:響鬼達に守ってもらう。
2:激しい恐怖(特にダグバ、ゾルダ、ドラゴンオルフェノクに対して)
3:木場にわずかな恐怖。
【備考】
※自分を助けてくれた男性(水城)の生存の可能性は低いと予想。
※食料は移動中に紛失しました。


※このグループについて
○情報交換は香川・ヒビキ間、侑斗・葦原・木場・京介間でのみなされています。
○さしあたっては手塚の遺体を埋葬する事を考えています。
○手塚は自分の支給品を持っています。


◇ ◆ ◇

「は~っ」

 ごろん、と地面に寝転がった歌舞鬼は大きく息を吐き出した。
 変身していたとはいえ、バイクを抱えて逃げてきたのだ。疲労は小さくない。

「にしても、アイツも海堂や北崎の同類だったとはなぁ……」

 澤田の事を思い出す。かなりの手練れだ。
 ヒビキとの勝負を邪魔した事は許せないが、簡単に倒せる相手ではなさそうだ。
 ヤツとヒビキをさしあたっての標的としよう。
 だがヒビキは京介らと合流した。彼らと行動を共にするに違いない。
 そうなると少々狙いにくくなる。

「……ま、そん時考えりゃいいだろ」

 とりえず少し休もう。あとはそれからでいい。



【歌舞鬼@劇場版仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:D-6 南西部】
[時間軸]:響鬼との一騎打ちに破れヒトツミに食われた後
[状態]:中程度の疲労、肩に裂傷、歌舞鬼・インペラーに変身不可(2時間)
[装備]:変身音叉・音角、音撃棒・烈翠
[道具]:基本支給品×4(ペットボトル1本捨て)、不明支給品×1(風のエル・歌舞鬼確認済)、歌舞鬼専用地図
    音撃三角・烈節@響鬼、GK―06ユニコーン@アギト、ルール説明の紙芝居、インペラーのカードデッキ@龍騎、KAWASAKI ZZR250
【思考・状況】
基本行動方針:優勝し、元の世界に戻って魔化魍と闘う。そして最後は……
1:ヒビキに勝つ。
2:澤田(名前は知らない)にヒビキとの対決を邪魔した礼をする。
3:北崎はいつか倒す。
4:桐矢達が挫折したら自分が引導を渡す。
【備考】
※カードデッキの使い方は大体覚えました。
※G-6エリアに放置されていた基本支給品+不明支給品×1を回収しました。


◇ ◆ ◇

「まだかな……」

 瓦礫に腰かけ、真魚はそわそわしていた。
 澤田が出て行ってからだいぶ経つ。
 さっきから大きな音が何度か鳴り響いていて、だいぶ不安になってきていた。
 何度様子を見に行こうと立ち上がりかけただろう。
 だが澤田から動くなと言われたし、拳銃を使わねばならないかも知れないと思うととても恐い。
 結局は動けない。

「澤田くん……」

 彼は大丈夫だろうか。
 ケガとかしていないか。

「真魚ちゃん」
「えっ?」

 声に思わず顔を上げると、そこに澤田がいた。
 息を切らせて、疲れた表情をしている。
 ふぅ、とため息をつきながら座り込んだ。

「だ、大丈夫?」
「うん。たいした事ないよ」

 見た所、ケガなどはないらしい。

「戦ったの?」
「まあね。ちょっと大変だったけど」
「相手は?」

 もしや、誰か殺したのではないだろうかと思わず不安になった。

「逃げたよ。でもまだ近くにいるかもしれない」

 少し安心した。が、まだ油断できないという事だ。

「それで、どうするの?」
「しばらくここにいよう。そのうち誰もいなくなると思う。俺、少し休むから」

 そう言うと澤田は真魚の膝に頭を乗せて寝そべった。

「ち、ちょっと澤田くん」
「何かあったら起こしてよ」

 慌てる真魚の頭から帽子を取り、自分の顔にかぶせる澤田。
 どうも、このまま眠るつもりらしい。

「真魚ちゃん。俺、もう鹿は見るのもイヤだ」
「え?」

 意味のわからない事を言ったと思ったら、やがて寝息が聞こえてきた。

「…………」

 トイレに行きたくなったらどうしよう、などと考えながら真魚は規則的に上下する澤田の胸を見ていた。



【澤田亜希@仮面ライダー555】
【一日目 午後】
【現在地 E-6 家の廃墟】
[時間軸]:34話・真理再生前
[状態]:睡眠中。大程度の疲労。体の各部に打撲。カイザ・スパイダーオルフェノクに変身不能(2時間)。
[装備]:カイザギア(全装備付属)、ライダーベルト+ダークカブトゼクター
[道具]:基本支給品、通話発信可能な携帯電話、不明支給品×3(本人確認済み)
    ディスクアニマル(アカネタカ)、iPod(動画再生機能付き)ファイズアクセル
[思考・状況]
基本行動方針:参加者を皆殺しにして自分が完全なオルフェノクであることを証明する。
1:風谷真魚を守る。あくまで、最後に自分の手で殺すために。
2:他の参加者を殺す。
3:なるべくオルフェノク態で戦う事を避ける。そのために一つでも多く変身装備が欲しい。
4:リスクを避けるべく、人の多い場所には近づかない。
5:放送局へ向かう
[備考]
※ダークカブトに資格者として認められました。ベルトはカブトのものを流用しています。
※能力制限等のルールについて、あらかじめ大まかに知らされています。
※澤田の携帯電話は特別仕様のため、通話の発信機能が生きています。
 現在の所、通話可能な相手は主催者(村上社長・スマートレディ)のみです。
※鹿が嫌いに?


【風谷真魚@仮面ライダーアギト】
【一日目 午後】
【現在地 E-6 家の廃墟】
[時間軸]:31話・サイコキネシス発現後
[状態]:健康。動揺。強い自己嫌悪。
[装備]:コルトパイソンA@クウガ(装弾数5/6、マグナム用神経断裂弾)
[道具]:基本支給品一式x2(真魚・天道)
    ライダーパス、首輪(天道)
    特殊効果弾セット(マグナム用神経断裂弾54、ライフル用神経断裂弾20、
    ランチャー用非殺傷ゴム弾5、ランチャー用催涙弾5、ランチャー用発煙弾5、ランチャー用対バリケード弾5) 、澤田のキャップ帽
[思考・状況]
1:澤田についていく。離れたくない。
2:人殺しをした自分が憎い。
3:自分の能力と支給品の銃を嫌悪。
4:能力の事を澤田に知られたくない。
5:澤田と一緒なら、元の世界に戻れる…?
6:自分をナオミと呼んだ青年にもう一度会って謝りたい。
[備考]
※制限もしくは心理的な理由で超能力が不完全にしか発揮できません。
 現状では、サイコメトリーで読めるのは断片的なイメージだけです。
※以下のように事実を誤解しています。
サイコメトリーで見えた灰色のモンスターの正体は天道=カブト。
灰色の怪物(海堂)と赤い怪物(モグラ)は殺し合いに乗っている。
青いライダー(ガタック・ライダーフォーム)に変身して自分を守ったのは澤田。
加賀美(名前は知らない)は自分がサイコキネシスで殺した。
自分をナオミと呼んだ男(侑斗)と黒い異型(デネブ)は親友。
※決心が付いたら澤田の帽子に触れてイメージを見てみる。
※青いバラに触れた女性が灰化するビジョンを見ました。


◇ ◆ ◇

「ハァ、ハァ……」

 奪ったバイクを走らせ、適当に道路から離れた所で北崎はバイクごと倒れこんだ。
 全身キズだらけで服も血に汚れている。

「ハァ、ハァ、ちょっと遊びが過ぎたかな……」

 最後の数分間を思い出す。
 自分が負ったダメージは、ほとんどがその時のライダー達の必殺技のラッシュによるものだ。
 誤算だったのが、紫とグレイのライダーが竜人態のスピードについて来れた事だ。
 それさえなければこれほどのダメージを受ける事はなかったはずだ。
 だが、言い換えればそれにさえ気をつければ十分なはずだ。
 この次こそは自分の方が強いという事を思い知らせてやろう。
 自分が逃げたという事実に怒りを覚えながらも、相手が手強くなっている事に歓喜してもいた。
 相手が強いほど叩き潰し甲斐がある。

「うふふふ……」

 そう考えると思わず笑いが出た。
 それまではほんの一時の優越感を与えてやろう。結局、最後に勝ち残るのは自分だけなのだ。
 ようやく本気を振るえる相手が出て来た。楽しみが増えたと思えばいい。
 あの近くに自分が乗っていたバイクを置いてきてしまったが、それはしょうがない。
 お楽しみの時間に向けて、それまではしばし休憩の時間だ。



【北崎@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:D-7 南西部・道路付近】
[時間軸]:不明。少なくとも死亡後では無い。
[状態]:全身に中程度以上の疲労とダメージ。ドラゴンオルフェノク・オーガ・シザースに変身不可(2時間)。
[装備]:オーガギア、シザースのデッキ
[道具]:竜巻、ディパック(三田村、基本支給品×1)
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しんだ上での優勝。
1:侑斗達とは今度は本気で戦う。クロックアップだけは警戒する。
2:三田村のような人間をまた探して手下にするのも面白いかも。
3:五代雄介、「仮面ライダー」なる者に興味。
4:ゾル大佐、橘朔也と会ったら今度はきっちり決着をつけ、揺ぎ無い勝利を手にする。
5:「仮面ライダー」への変身ツールを集めたい。
6:木場勇治はどうせだから自分で倒したい。歌舞鬼はいつか倒す。
7:海堂はカブキが殺したと考えているが、あまり興味はない。
※変身回数、時間の制限に気づきましたが詳細な事は知りません。
※E-6、侑斗らがいる地点から少し南の路上に凱火を放置しています。


◇ ◆ ◇

 一つに交わった道は再び分岐し、新たな道を作り出す。
 その異なる道がどこへ向かっているのか、あるいは途中で終わっているのか。
 その道を行く者達はそれを知らず、ただ進む事しか許されない。



109:Traffics(後編) 投下順 110:tears memory
時系列順 110:tears memory
桜井侑斗 111:憎悪の声は歓喜する(前編)
葦原涼
木場勇治
桐矢京介
日高仁志
香川英行
澤田亜希 114:龍は更なる力を手に入れる
風谷真魚 114:龍は更なる力を手に入れる
歌舞鬼 116:鬼飛蝗 二輪走
北崎 114:龍は更なる力を手に入れる
手塚海之 ---

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