人か?野獣か?密林にいた凄い奴!

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人か?野獣か?密林にいた凄い奴!


走る!走る!!走る!!!
跳ぶ!跳ぶ!!跳ぶ!!!

赤と緑のまだら模様の腰蓑に何かの顔を模したようなベルト。
ただそれだけを身につけ森林地帯を疾走する彼こそ6番目の仮面ライダー、山本大介ことアマゾンその人である!
辺りを警戒しつつ素早く、五感を研ぎ澄ませつつ素早く、アマゾンは今森林を所狭しと駆け抜ける。
多少休めそうな木の根本を見つけるとようやく彼は体を休めるためその場にうずくまった。
突然音がなった大きな袋は驚いてすぐ捨てた。そして未だ残る本来は自分にないもの…
首に嵌められた銀の物体に手を触れる。首に嵌められたその姿は囚人かあるいはペットといった所か。
気が付いてから何度外そうと思った事か。しかし…

―これはキケンだ―

本能が、アマゾンの勘がその行為を止めていた。
触れていると寒気を感じたので首輪の事は忘れ考える事にする。
これからどうすればいいのか、ここはどこなのか?
1時間ほど前にも同じ考えをし、結局は自分がいる森林地帯の地形を身体で覚える事にしたのだ。
だがそれもすぐに終わる。少し走ればすぐに開けたような場所に出てくる。森林地帯はさほど広くはなかった。
わかった事と言えば湖の場所ややたら硬い道や鉄と木を組み合わせた道が森林地帯を横切っている事。
唯一救いがあるとすれば傷の手当てに使える薬草をいくつか見つける事が出来た事だが…
結局は何も進んでなどいないのだ。アマゾンの考える先に答えは見つからない。
長老バゴーの言うとおり東京にきて、そしてこれだ。
これからどうすれば?何をすれば?それらは全て自分で決めなければならない事はアマゾンでもわかる、が。
少し疲れた身体を休め、それから考えよう…ただの問題の先延ばしではあったがアマゾンには今はこれが精一杯の判断だった。

突然の足音に思わず飛びのく、音は自分が休んでいた木のすぐ近くからした。
ここまで近づかせた自分の迂闊さを呪いつつ相手を威嚇する。
相手は戸惑った様子を見せつつも隙は見せていない。
「ちょ、ちょい待ち!俺はやり合うつもりはないぜ」
男だった。毛皮で覆われたような服は見るからに…暖かそうだった。


          *   *   *


どういった巡り合わせなんだろうねぇ…

響鬼とやりあって、やられて。あげくヒトツミに食われて。
終わったと思ったら訳の分からん広間だ。
ちょっと辺りを見れば響鬼や威吹鬼もいやがって思わず近くにあった岩の影に隠れたわけだが…岩?
「貴様、何をしておる」
「い、岩が喋った!?あー、いやわるかったな。ていうか岩かと思ったぜ?少しはダイエットしたらどうだ?」
「貴様、このワシを愚弄するか!ワシの名は…」
赤い岩が喋り終わる前に灯りが無くなり突然男が空間に現れた。
だがどこか立体感がない。どういうカラクリなんだろうかこれは。
男はまるで気にする事なく淡々と告げた。殺し合い、と。
そして勝ち残れば何でも一つ願い事が叶う。訳の分からない単語ばかりだったがその二つだけは理解できた。

          *   *   *

眠らされて、気が付いて。で、音が鳴ってるわけだが、このパカパカする箱。
「はあい皆さん、注目してくださーい」
突然の声に辺りを見渡すが誰もいない、どうもこの箱から声が出ているようだ
「これどうなってんだぁ?さっきの男といい、こんなカラクリ見たことねぇ。音式神にもねぇぞこんなの。おい!どうなんだよ、おい!」
と、いじってる間にも箱の中はどんどん動いていて、最後には中の小人の女が灰になった。
「すげぇもんだな。他の場所の状況を映してるってところか?」

映された映像よりもその技術事態に感心している歌舞鬼であったが最後の説明だけは聞き逃さなかった。
「みなさんも、自分のお喉に手を当ててみてください。そこにはまっている首輪は、お姉さんの言うことに従ってくれない困ったちゃんを、
  こうやってお仕置きするように出来ています。しっかり覚えておいてね」
ハッとして首に嵌められた首輪の存在にようやく気づく。思わず唾を飲み込み、喉仏が首輪と触れた。
「みなさんもこんなことになっちゃわないように、くれぐれもルールは守って殺し合ってください。お姉さんからのお願いでした」
「…ラジャー」


「殺し合ってください、か」
言い聞かせるように呟きつつデイパックを漁る。
地図に銀色の硬い物が二つ。液体の入った透明な少し柔らかい物。
いずれも見たことも聞いたこともない物ばかりだったが一つだけ見知った物があり歌舞鬼は驚いた。
「ハッ、これは嫌味のつもりかねぇ?」
それは一見するとただの派手な三節棍だが組み合わせると音撃武器に、そして歌舞鬼が鬼達と村人を仲違いさせる策略の為に用いた西鬼の武器。烈節であった。
しばらく眺めた後、烈節をデイパックに仕舞い歌舞鬼はぶらぶらと歩き出す。
「願い事、願い事、願い事…」
魔化魍に成り切れなかった自分はどうするべきか。再び鬼として人を護るか?いっそ願い事で完全な魔化魍とでもなろうか?
鬼となるならただ利用するだけ利用して、自分だけ助かればいい。そんな大人をも護らなければならない。
魔化魍になればいずれは何もしらない子供を殺めてしまう事もあるだろう。
歌舞鬼にはどちらも御免被りたい。
ならば自分にとっての願い事はなんなのか?歌舞鬼には決められない。
決断しない事は逃げなのかもしれない。歌舞鬼は心と同じく逃げるように、隠れるように森林地帯へと足を踏み入れた。

森林地帯は遠目でみた限り、というより地図で確認した限りだと1町ほどの大きさだろうか。
入っちゃい行けない秘密のえりあ、つまりは進入禁止。入ればこの首輪が起動して灰となってしまうことだろう。
入らなければ問題はない、放送毎に進入禁止の場所は説明されるのでそれを聞き逃さなければいいだけなのだ。
歌舞鬼さん専用地図♪と書かれた地図を片手に歌舞鬼は森林地帯を探索していた。
「わざわざ俺に合わせて地図を作ってくれてるあたり…有り難いというか不気味という、か?」
気配を感じて目線を地図から目の前に向けると牙を光らせた『獣』がこちらを睨んでいた。
一瞬迷ったが歌舞鬼は戦わず、話し合う事にした。自分から見知らぬ相手に仕掛けるほど歌舞鬼は無謀ではない。
「ちょ、ちょい待ち!俺はやり合うつもりはないぜ」
獣と一瞬錯覚するほどの迫力を持つ男だった。独特の腰蓑くらいしか身に着けてないその身体は…見るからに寒そうだった。

「なぁ、まずは話し合おう!そうだ、名前!自己紹介だ!コミュニケーションには名前が欠かせん!
 俺の名前は歌舞鬼!人を護る事が仕事の『鬼』だ!」
鬼という言葉に反応するか、歌舞鬼はとりあえずそれが見たかったのだが獣男は相変わらずこちらを睨んでいる。
「あー、な、なぁ?名前教えてくれよ?こんな訳の分からない所で始めて会った者同士なんだ。名前くらいは知っておきたいぜ?」
歌舞鬼が一歩進めば獣男は一歩後ろへ。歌舞鬼が一歩下がれば獣男はそのまま。
必死に会話を交わそうとする歌舞鬼の気持ちをよそに両者の距離は少しずつ開き始めていた。
しかし獣男と会話をしようと努力していくうちに歌舞鬼には一つの疑問が浮かびつつあった。

こいつもしかして、言葉がわからない…?

反応に変化が無いのだ。あるいは理解できるのかもしれないがそれよりも警戒心が勝っているというか…
こういう時はまずは警戒心を解くことから始めなければならない。もっとも、その為に会話を試みたのだが。
歌舞鬼は気を取り直し何か使えるものは無いかと懐を漁る。村の報酬代わりの小さな紫芋が残っていた。
紫芋を取り出すと獣男の目線は明らかに紫芋を見つめていた。
―使える…っ!―
歌舞鬼は紫芋を交渉の材料にする事にした。
「ほら、こっち来たらこれやるからよ!いや、来なくていい、こっちから行く!だから逃げるなよ?」
芋を突き出しながら徐々ににじり寄るその姿はかなり滑稽であったが当の本人は本気なのだから笑えない。
一歩、また一歩。ゆっくりと、あくまで獣男の注意を紫芋に向けさせたまま、近づく。
もはや歌舞鬼と獣男の距離は無いに等しかった。

          *   *   *

「よく食うなぁ、お前」
懐にあった村の報酬の紫芋は全て獣男の胃袋に納められていた。
全てを食べ終わると獣男は歌舞鬼とまた距離を取った。が、座り込んだところを見ると逃げ出す気はないようだった。
「まぁ、落ち着いた所でだな…名前教えてくれるか?なーまーえ」
「…アマゾン」
「あまぞん?また変てこな名前だな。まっ、俺も人の事は言えんが」
獣男、いやアマゾンは言葉の意味がわかったのか睨みつつも答えを返してくれた。
言葉がわからない、というのは事実だがどうやら話せないだけでこちらの意思等は通じる様だ。
会話を繰り返していけば自然と言葉を覚えていくだろう、歌舞鬼はなんとなくそう思った。

数分の沈黙を破るように歌舞鬼はアマゾンに自分の考えを伝える事にした。
「なぁ、アマゾンよぉ。とりあえずしばらく一緒にいねぇか?」
はっきりいって邪魔にしかならないだろう、だがそれでも歌舞鬼はそう言わずにはいられなかった。
見た目は立派な大人のくせに中身は動物、見方を変えればアマゾンは大きい赤子だ。
放っておけないと感じたのは子供好きの性格からなのか鬼としての使命感から来ているのかは歌舞鬼にもわからなかった。
こちらの意思は通じてるはずだが答えないアマゾンを見て歌舞鬼は決断する。
「よし決まり!アマゾン、俺と一緒にこい!嫌だと言うなら俺が勝手について行く!いいな!」
「…アウ?」
「アウじゃねぇ、こういう時はラジャーって言うんだ。あー、まぁ、ともかく動くぞ。
 と、その前に聞きたい事があるんだがアマゾンよぉ。お前のコレはどこにあるんだ?」
自分のデイパックを指差しつつアマゾンに尋ねる。周りを見渡したがデイパックらしき物はどこにもない。
「…ウウ!」
しばらく頭を捻っていたが意思が通じたのかアマゾンが先導する様に動き出す。
とりあえずはアマゾンについていきアマゾンのデイパックを回収しよう。無いよりはマシだ。
歌舞鬼は森林を苦ともせず進むアマゾンを見失わないよう歩みを進めた。

歌舞鬼の心は未だ鬼と魔化魍の間で揺れ動いてはいたがアマゾンという護るべきものの存在のおかげで迷いをしばし忘れることができた。
アマゾンは歌舞鬼と行動を共にする事を決めた。決めたのは歌舞鬼でありアマゾンは結局自分で決断していなかったが。

歌舞鬼は知らない。アマゾンが『鬼』となる事ができ、護られる側では無く護る側だという事を。
アマゾンは知らない。歌舞鬼が『鬼』を捨て、本来護るべき人達に、仲間達に刃を向けたことを。


状態表

【山本大介@仮面ライダーアマゾン】 【1日目 現時刻:深夜】
【現在地:E-7 湖の近く】
[時間軸]:アマゾン本編1話終了後
[状態]:健康。胃袋に少し満足感
[装備]:ギギの腕輪、コンドラー
[道具]:治療用の植物
[思考・状況]
1:カブキと行動を共にする。
2:カブキを自分のデイパックを捨てた場所(D-9エリア)まで案内する。
[備考]
※1:事前の説明を理解しておらず何故この状況に陥ったのかわかっていません。
※2:言葉は人と会話をしていけば自然と覚えます。
※3:コンドラーはナイフやロープ代わりになります。
※4:ギギの腕輪を奪われるとアマゾンは死にます。

【歌舞鬼@劇場版仮面ライダー響鬼】 【1日目 現時刻:深夜】
【現在地:E-7 湖の近く】
[時間軸]:響鬼との一騎打ちに破れヒトツミに食われた後
[状態]:健康
[装備]:変身音叉・音角、音撃棒・烈翠
[道具]:基本支給品、歌舞鬼専用地図、音撃三角・烈節@響鬼
[思考・状況]
1:アマゾンと行動を共にする
2:アマゾンを護る
3:響鬼に会ったらその時は…
[備考]
※1:歌舞鬼専用地図はアルファベットの部分が歌舞鬼にもわかるよう当て字の漢字が使われているだけです

[その他共通事項]
アマゾン=山本大介である事を知りません
アマゾンのデイパックはD-9エリアに放置されています

002:『Chosen Soldier』 投下順に読む 004:闇の中で唯一光る
002:『Chosen Soldier』 時系列順に読む 004:闇の中で唯一光る
歌舞鬼 024:桃の木坂分岐点
山本大介 024:桃の木坂分岐点

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