吼える

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吼える


「ここ、か?」
地図を確認してみると恐らくここが大学、なのだろうか。
どこにでもある普通の大学、そういった印象だった。
(普通、なんだよな…)
「どうしたんですか?本郷さん」
大学前で立ち尽くす本郷に城戸が不思議そうに問いかける。
「いや、なんでもないです。進みましょう、何かわかるかもしれない」
罠がないとも限らない。本郷と城戸は警戒しながら大学構内へと足を踏み入れた。

中に入ってみると驚きを通り越して不気味ですらある。それほどまでに普通の大学なのだ。
まるでどこかに実在する大学をそのままこの空間に放り込んだ、そんな感じだ。
(罠もない、監視カメラのようなものは恐らくどこか気づけない所にでもあるのだろうけれど…)
大学構内を城戸と共に探索しつつ本郷は考える。何故ここまでするのか、と。
ただ殺し合いをさせるだけというのならこんな広い土地も、わざわざ隠れ家や拠点に使えそうな大学もいらないはずだ。
この大学だけではない。研究所や工場等は知識や技術を持つものならこの首輪を解除できそうな施設だし、
病院では治療が、ショッピングセンターでは食物等が恐らく手に入るだろう。
どれもこれも殺し合いにはむしろ邪魔な施設と言えるはずだ。
これらはまるでこのゲームの長期化、或いは…
ゲームを抜け出そうとするイレギュラーを敢えて出させようとしてるようにも感じられる。
そんな得の無いような事をするのだろうか、これだけの技術や金を持つものが。
仮にだが、ショッカーが裏で手を引いているとしても疑問が残る。
自分や一文字、風見を始末したいだけなら以前と同じように改造人間を送りつけるだけでいいだろう。
それとも自分達以外のものも始末したい為にこのような…いや、これもおかしい。
共通の敵を持つ者達を一同に集める事などしないだろう、団結されたら厄介なだけだ。
個別に始末していくほうが単純で効率的なはずだ。
考えても考えても、結論は出そうにない。あまりにも情報が少なすぎる。
ここは一つ、他の人の考えを聞いてみるべきだろう。
「城戸さん、君は奴らの狙いは…何なんだと思う?」
物取りのように棚の中を物色していた城戸は作業を一時中断して座り込むと少しうーんと唸ってから、答えた。
「最初は、また神崎が何か始めたのかと思ってたんだけど、違う気がする」
「神崎…ミラーワールドで君達を戦わせた張本人だね?」
本郷も作業を中断し城戸の話に集中する。
「ああ。神崎ならその気になればこれだけの人数集めることもできると思う。
 でも…多分神崎はこれには関わってない、そんな気がするんだ」
「どうしてそう思うんだい?」
「まず一つに、神埼は優衣ちゃんを助けようと一人で今までやってきてた。
 それを急にこんな訳の分からない会社に手伝わせるとは思えない」
城戸の言うとおりだ。
話を聞いた限り神崎という男には狂ってはいるが信念は曲げない、そんな印象を持っていた。
そんな男が突然赤の他人の力を借りるとは考えづらい。
「次に、見間違いかと思ってたけど違ったんだよな…」
携帯の名簿画面を開きつつ城戸は複雑な表情を浮かべた。
「名簿にある手塚や芝浦って、死んだはずなんだよ」
「死んだ?」
城戸の予想外の言葉に本郷は思わず声を大きくなった。
「あぁ、他にも死んだはずの名前がこの名簿には載ってる…
 神崎ならわざわざ脱落した人間を復活させたりはしない、と思うんだ」
他人の空似かもしれないけど、城戸が最後にそう呟いたような気がしたが城戸は構わず続ける。
「最後に一つ、神崎が自分で説明してなかったんだ。
 あいつ結構外に出てきてライダーの勧誘やらバトルの催促やらで細かい事を自分でやってたんだよ。
 まぁ、全部一人でやってたんだから当然ではあるんだけど…
 そんな神崎が大事なゲームの説明を他人に任せるのは考えづらいと思った」
「ふむ。つまり城戸さんは少なくとも神埼は絡んでおらず、スマートブレインが単独でやっている、と?
 俺もその考えに異論は無いけど、それにしてはおかしくないかな?
 この大学や病院は明らかに殺し合いには無用だとは思わない?」
城戸はまた腕を組んでうーんと唸っている。城戸も何か変だとは思っているようだ。
「俺考えるの苦手だからなぁ。多分このゲームを盛り上げる為とか、そんな理由じゃないかな」
「盛り上げる…そうか、そう考えるのが一番自然なのかも…しれないな」
城戸の言葉を聞いた瞬間、本郷の身体に何かが駆け巡ったような気がした。
これから行われるかもしれない戦いも
生きようと懸命に足掻き、治療する様も
脱出しようと結託する様も
全て見世物なら。
開始早々殺され、灰となった二人の姿も見世物とされたのだろうか?
性根の腐った連中はその映像を見ながら談笑でもしていたのだろうか。
ふと気づけば、自分でも驚くような怒りが本郷の心の奥底から沸いてきた。ショッカーに対する怒りや憎しみとは、違う。
もっと別の、個人を通り越した、種として許せない、許してはいけない、そんな怒りが湧いてきた。
「うぉぉぉっ!」
と、突然城戸が声を上げて立ち上がった。
「ど、どうした城戸さん?」
「自分で言っててむかついてきた!俺達の、人の生き死にを見世物にするなんて!
 見世物のためだけに殺し合いをさせるなんて、絶対に許せない!」
城戸もやはり怒りを覚えていたのだ、それも燃え盛る炎のような強い怒りを。
揺ぎ無い正義の心を持っている城戸を少し嬉しく思いつつ本郷は提案した。
「城戸さん、ちょっと屋上に行こう」
「え、屋上?いいのかよ、探索は…」
「探索は後でもできる。それよりお互い、ガス抜きが必要だ」
ガス抜きという言葉にピンとこない城戸を尻目に本郷は屋上へと向かった。
イマイチ把握できてない城戸も訳が分からないまま本郷について行った。
屋上に出てみると吹き抜ける風が心地よい。
「なぁ、本郷さん、屋上になんかに来て何しようってのさ」
「奴らに、宣言する為さ」
「宣言?」
「奴らに、今この時も監視しているだろう奴らに。宣言してやるんだ、城戸君」
ようやく本郷の意図を解した城戸は強く頷くと一度深呼吸をし、夜空を見上げ、吼えた。

「村上!お前らの馬鹿げたゲームなんかに、俺は絶対に乗らないからな!
 俺だけじゃない!本郷さんもだし、他にも同じ気持ちのやつはいるはずだ!
 皆で必ず生きて、こんなゲームを抜け出す!覚悟しておけよ!」

思わず耳を覆いたくなるほどの大声で城戸は夜空に宣言する。
恐らく今現在も監視しているだろうスマートブレインに向けて。

「そうだ、こんな殺し合いに、俺は乗らない!一文字や、風見。それに城戸さんや、他の人たちもいる!
 皆で必ず生きて、ここを抜け出す!」

城戸と同じように本郷も夜空へと吼える。夜空は何も答えず、月と星の光だけが二人を照らしていた。
少しの間夜空を見上げていた二人だが不意に本郷が告げた。
「ふぅ…気分転換になった所で、そろそろ動くとしようか」
手荷物をまとめ屋上を抜けようとする本郷を城戸が慌てて制す。
「ちょ、ちょっと待てよ!探索はどうするんだよ?まだこの大学構内すらまともにしてないのに」
「盛り上げる為、という目的ならもしかしたらこの構内に何か使える道具はあるかもしれない、それは魅力的だが…」
屋上から辺りを見渡す。影が多く、仮に誰かいたとしてもすぐには気づけそうにはなかった。
「今の大声で誰かがこちらに来るかもしれない」
あ…、と城戸もその可能性に気づいたようだ。
「大声、出さなきゃよかったかな」
「いや、俺が提案した事だし城戸さんが悪く思う必要はないよ。
 それにお互い鬱憤が溜まってたし必要な行為だったと思う。そういう事にしよう」
二人は屋上を抜け出し大学構内を進みつつ会話を進める。
「とりあえず人が集まりそうな所を探して、戦いがあれば止める、俺はそう考えてるんだけど」
「俺だってそうだ!ここでジッとしてるよりかは全然いい!絶対誰も、誰も死なせない!」
城戸の決意に本郷も力強く頷き、二人は大学を抜け、夜闇の道路と向き合う。
地図を広げとりあえずの行き先とルートを確認する。
「とりあえず人が集まりそうな所というと…」
「やっぱり病院とかショッピングセンターとか、そういう所に集まってるんじゃ?」
「東に進んでも工場、研究所か…。うん、やっぱり南下するのが無難かな」
とりあえずは南下し、市街地を目指す。燃えるような怒りを、強い決意を胸に二人は闇の中を進む。

二人の燃える決意は闇をも照らす様に、明るく、強い。


状態表

【本郷猛@仮面ライダーTHE-NEXT】
【1日目 現時刻:深夜】
【現在地:B-3 大学近く道路】
[時間軸]:THE-NEXT終盤(ショッカー基地壊滅後)
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ナイトのデッキ
[思考・状況]
1:城戸真司と共に行動する。
2:戦いを止める。絶対に。
3:スマートブレインに対する強い怒り。

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:深夜】
【現在地:B-3 大学近く道路】
[時間軸]:劇場版終盤(レイドラグーンへの特攻直前)
[状態]:健康
[装備]:龍騎のデッキ
[道具]:基本支給品、デルタギア
[思考・状況]
1:本郷と共に行動する。
2:戦いを止める。 絶対に。
3:スマートブレインに対する強い怒り。

[その他共通事項]
人が集まりやすそうな市街地エリアを目指して南下中


017:白い悪意 投下順 019:想いを鉄の意志に変えて
015:蠢く甲蟲 時系列順 020:ダブルライダーVSカブトムシ男!!
000:『Chosen Soldier』 本郷猛(R) 026:切り札の在処は
000:『Chosen Soldier』 城戸真司 026:切り札の在処は
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