393 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [書いてみる] 投稿日: 2006/02/17(金) 03:27:56.58 ID:5JcXvvlT0
魔法の呪文を唱えよう
私は強くて美しい
さあもう一度
私は強くて美しい…
魔法の呪文を唱えよう
私は強くて美しい
さあもう一度
私は強くて美しい…
394 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [書いてみる] 投稿日: 2006/02/17(金) 03:29:52.14 ID:5JcXvvlT0
それが終わったら何時もの準備。
マスカラを多めに。シャドウはナチュラルで。チークの入れすぎもケバイから却下。
そもそもチークは好きじゃないし。リップは赤とピンクの中間。ちょっと赤に近い奴
。この世界じゃあ、ナチュラルメイクなんてものは無い。溢れんばかりの色香だけが
明日を作ってくれる。それでも清純さが売りの一つになって来ている今の風潮も悪く
ない。私みたいなのでも十分通じるから。ちょっと厚めの唇が引き立つ位にして化粧
は終わり。そんな私のもう一つの武器は、どんなに寒い夜でもストッキングを履かな
いこと。客にうち腿を触らせてその気にさせる。勿論誰も彼もって訳じゃない。金を
渋らなそうな奴だ。こっちが渋っていたら客は他の娘を探しに行ってしまう。早くて
そこまで高くない。その方が良い。最近のカップ麺と似ている。ただ、私の味はあそ
こまで酷くない。お客だってみんな喜んで払っているのだからそれは確かだ。
それが終わったら何時もの準備。
マスカラを多めに。シャドウはナチュラルで。チークの入れすぎもケバイから却下。
そもそもチークは好きじゃないし。リップは赤とピンクの中間。ちょっと赤に近い奴
。この世界じゃあ、ナチュラルメイクなんてものは無い。溢れんばかりの色香だけが
明日を作ってくれる。それでも清純さが売りの一つになって来ている今の風潮も悪く
ない。私みたいなのでも十分通じるから。ちょっと厚めの唇が引き立つ位にして化粧
は終わり。そんな私のもう一つの武器は、どんなに寒い夜でもストッキングを履かな
いこと。客にうち腿を触らせてその気にさせる。勿論誰も彼もって訳じゃない。金を
渋らなそうな奴だ。こっちが渋っていたら客は他の娘を探しに行ってしまう。早くて
そこまで高くない。その方が良い。最近のカップ麺と似ている。ただ、私の味はあそ
こまで酷くない。お客だってみんな喜んで払っているのだからそれは確かだ。
395 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [書いてみる] 投稿日: 2006/02/17(金) 03:32:11.03 ID:5JcXvvlT0
私がこの仕事についたのは、新法の基準審査で丙種がついたから。審査を行うまでは、
誰もが甲種だと疑わなかった。周りの娘と比べて、控えめに言っても目立つこの容姿。
長くてモデルみたいな脚と、胸を際だたせるのに一役買っている綺麗なくびれ。知能テ
ストの結果もアベレージを優に超えていた。そんな私の評価を下げた最大のポイントは、
私の体の内にあった。妊娠できない。子供を生むのがある意味で最も重要な私達にとっ
て、致命的とまでいえる欠点。
でもそれだけじゃない。私の下腹部には大きな痣がある。ちょうど右腿の付け根から、
へその辺りに斜めに広がって伸び上がっている。下腹部全体が痣で隠れている感じ。す
ぐ消えるかと思っていたのに、結局今も消えてない。これの性で私は三回出戻りを喰らっ
ている。子供が産めないのは知らされていたから、完全にソレだけを目的に引き取られ
たのに。誰もがこの痣を見ると離れていく。だから今でもするときは服を着たまま。引
き取り手の男たちは皆、地味で暗い奴ばかりだった。女の体をまだ知らなかったのだろ
う、期待ばかり膨らませて現実を見ない奴。どうやら私には荷が重かったみたいだ。一
人なんか痣を見た途端に小さな悲鳴を上げていた。
私がこの仕事についたのは、新法の基準審査で丙種がついたから。審査を行うまでは、
誰もが甲種だと疑わなかった。周りの娘と比べて、控えめに言っても目立つこの容姿。
長くてモデルみたいな脚と、胸を際だたせるのに一役買っている綺麗なくびれ。知能テ
ストの結果もアベレージを優に超えていた。そんな私の評価を下げた最大のポイントは、
私の体の内にあった。妊娠できない。子供を生むのがある意味で最も重要な私達にとっ
て、致命的とまでいえる欠点。
でもそれだけじゃない。私の下腹部には大きな痣がある。ちょうど右腿の付け根から、
へその辺りに斜めに広がって伸び上がっている。下腹部全体が痣で隠れている感じ。す
ぐ消えるかと思っていたのに、結局今も消えてない。これの性で私は三回出戻りを喰らっ
ている。子供が産めないのは知らされていたから、完全にソレだけを目的に引き取られ
たのに。誰もがこの痣を見ると離れていく。だから今でもするときは服を着たまま。引
き取り手の男たちは皆、地味で暗い奴ばかりだった。女の体をまだ知らなかったのだろ
う、期待ばかり膨らませて現実を見ない奴。どうやら私には荷が重かったみたいだ。一
人なんか痣を見た途端に小さな悲鳴を上げていた。
396 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [書いてみる] 投稿日: 2006/02/17(金) 03:35:56.97 ID:5JcXvvlT0
私には普通の生活を送るのに十分な知性と肉体がある。ただ私の面倒を見る奴がいない
だけだ。男の頃の記憶もまるで無いから頼れる人はいない。丙種の私にできることは、
自分で生きるか、刑務所みたいな病院で糞ったれな人生を送るかだ。
他にも仕事は在った。けど私が選んだのは、ホテル街で男を捕まえることだった。全
てを奪われて与えられた女というラベルなのに、私のラベルは貼る前からボロボロだっ
た。それでもこの仕事をしている限り、男は私を女として扱ってくれる。私がこの職を
選んだ理由なんてその位だった。
私が仕事をするのはM市。東京の外れにある町だ。最近は治安が悪い事で有名になって
いるけど、今のところそんな感じはしないし、互いのテリトリーを犯さなければ実に平和
なものだ。駅をはさんでホテル外とメインストリートが分かれているので私はもっぱら
メインストリートに立っている。ホテル外よりもこっちの方が、客がつきやすい。やば
そうな客なら、ホテルに行く前に逃げちゃえばいいしね。
私には普通の生活を送るのに十分な知性と肉体がある。ただ私の面倒を見る奴がいない
だけだ。男の頃の記憶もまるで無いから頼れる人はいない。丙種の私にできることは、
自分で生きるか、刑務所みたいな病院で糞ったれな人生を送るかだ。
他にも仕事は在った。けど私が選んだのは、ホテル街で男を捕まえることだった。全
てを奪われて与えられた女というラベルなのに、私のラベルは貼る前からボロボロだっ
た。それでもこの仕事をしている限り、男は私を女として扱ってくれる。私がこの職を
選んだ理由なんてその位だった。
私が仕事をするのはM市。東京の外れにある町だ。最近は治安が悪い事で有名になって
いるけど、今のところそんな感じはしないし、互いのテリトリーを犯さなければ実に平和
なものだ。駅をはさんでホテル外とメインストリートが分かれているので私はもっぱら
メインストリートに立っている。ホテル外よりもこっちの方が、客がつきやすい。やば
そうな客なら、ホテルに行く前に逃げちゃえばいいしね。
398 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [書いてみる] 投稿日: 2006/02/17(金) 03:40:17.16 ID:5JcXvvlT0
私には普通の生活を送るのに十分な知性と肉体がある。ただ私の面倒を見る奴がいない
だけだ。男の頃の記憶もまるで無いから頼れる人はいない。丙種の私にできることは、
自分で生きるか、刑務所みたいな病院で糞ったれな人生を送るかだ。
他にも仕事は在った。けど私が選んだのは、ホテル街で男を捕まえることだった。全
てを奪われて与えられた女というラベルなのに、私のラベルは貼る前からボロボロだっ
た。それでもこの仕事をしている限り、男は私を女として扱ってくれる。私がこの職を
選んだ理由なんてその位だった。
私が仕事をするのはM市。東京の外れにある町だ。最近は治安が悪い事で有名になって
いるけど、今のところそんな感じはしないし、互いのテリトリーを犯さなければ実に平和
なものだ。駅をはさんでホテル外とメインストリートが分かれているので私はもっぱら
メインストリートに立っている。ホテル外よりもこっちの方が、客がつきやすい。やば
そうな客なら、ホテルに行く前に逃げちゃえばいいしね。
私が丙種を受けてから一年が経っていた。半年は助成金が出た。後半年はこの仕事で
食べて言った。幸運なことに、住まいだけは与えてくれた。単純に古い官舎をあてがわ
れただけなのだけど、正直助かった。新薬被験者への偏見はまだあるし、そんな奴が一
人で生活すると言ったら大抵の奴は、訳ありの客だと思うに決まってる。受け入れ先を
探したところで見つかるわけが無い。
そんなわけで、体一つで生活するのにも慣れてきた。客の良し悪しもわかるようにな
った。若い奴らは回数をこなそうとするくせに金を渋るから、おっさん相手が多かった。
おっさんは好きだからイヤじゃない。勿論この話はおっさんとの恋愛じゃないよ。もっ
と若くて、素敵な彼との話。彼との出会いは当然夜。私がいつも通り立ってるとこから
話は始まる…
私には普通の生活を送るのに十分な知性と肉体がある。ただ私の面倒を見る奴がいない
だけだ。男の頃の記憶もまるで無いから頼れる人はいない。丙種の私にできることは、
自分で生きるか、刑務所みたいな病院で糞ったれな人生を送るかだ。
他にも仕事は在った。けど私が選んだのは、ホテル街で男を捕まえることだった。全
てを奪われて与えられた女というラベルなのに、私のラベルは貼る前からボロボロだっ
た。それでもこの仕事をしている限り、男は私を女として扱ってくれる。私がこの職を
選んだ理由なんてその位だった。
私が仕事をするのはM市。東京の外れにある町だ。最近は治安が悪い事で有名になって
いるけど、今のところそんな感じはしないし、互いのテリトリーを犯さなければ実に平和
なものだ。駅をはさんでホテル外とメインストリートが分かれているので私はもっぱら
メインストリートに立っている。ホテル外よりもこっちの方が、客がつきやすい。やば
そうな客なら、ホテルに行く前に逃げちゃえばいいしね。
私が丙種を受けてから一年が経っていた。半年は助成金が出た。後半年はこの仕事で
食べて言った。幸運なことに、住まいだけは与えてくれた。単純に古い官舎をあてがわ
れただけなのだけど、正直助かった。新薬被験者への偏見はまだあるし、そんな奴が一
人で生活すると言ったら大抵の奴は、訳ありの客だと思うに決まってる。受け入れ先を
探したところで見つかるわけが無い。
そんなわけで、体一つで生活するのにも慣れてきた。客の良し悪しもわかるようにな
った。若い奴らは回数をこなそうとするくせに金を渋るから、おっさん相手が多かった。
おっさんは好きだからイヤじゃない。勿論この話はおっさんとの恋愛じゃないよ。もっ
と若くて、素敵な彼との話。彼との出会いは当然夜。私がいつも通り立ってるとこから
話は始まる…
399 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [書いてみる] 投稿日: 2006/02/17(金) 03:40:46.96 ID:5JcXvvlT0
「頭痛い…」起きた時から体調は最悪だった。前日の相手が何回も求めるから、結局
くたくたになるまで付き合わされて、私は家に帰るなり眠り込んでしまった。メイクを落
とす気力も、ベッドに入る気力も無くし、その場に倒れこんでいた。申請書類の予定金
額にはいくらかたらないから、それでも町に立たなきゃならない。病院はイヤ。それだ
けで街にたっていた。当然ながら、私みたいな逸れ者に仲間がいるわけも無く、倒れた
ら即アウト。病院に搬送されてそのまま軟禁されちゃう。そんなこと考えて青くなって
いる女を買う奇特な奴はいるわけも無く、その日はお茶っ引きになるのかとなかば諦め
ていた。そんな風に諦めると、脚から力が抜けていって、文字通り糸が切れた人形のよ
うに倒れこんでしまった。日ごろの不義理の賜物で、助けてくれる奴は独りもいない。
「ああ、病院行ったら何しようかな。」そう思っていたとき彼が上から見下ろしていた。
「一晩いくらで付き合う?」そんな事言われても相手できるわけ無いのに。「四でどう
?」すぐさまそう応えてしまった。「あんたの部屋で良い?」いいわけないけど、もう
限界な私は返事もままならず、結局彼に家まで運んでもらっていた。
憶えているのは暑い体、冷却シートのつめたい感触、時折、優しく口に含ませてくれ
たスポーツドリンク。私が目を覚ましたのは丸一日立ってからだった。ぼんやり横を見
ると彼がカップ麺を啜っていた。「そのSIO味、楽しみにしてたのに…」彼が誰だかわか
らないけどまず不満を漏らした。大事な食料、それもお気に入りのSIOを取られて大人し
くできるほど生活は潤ってない。すると、彼は台所に行き、小さな鍋を火にかけ始めた。
何やら良い匂い。「何?」警戒と興味を隠せないまま、私は思わず聞いた。「鍋焼きう
どんだから、ちょっと待てて」そういってまたSIOをずるずる啜る男。そして空腹な女。
「一口…」そんな訴えをがん無視してくれちゃってまた一言「風邪、うつるからヤダ。」。
あまりにも事態が飲み込めない私に見かねたのだろう。彼はスープまできっちり飲んでか
ら説明を始めた。(あたしのSIO…)あんまり頭に入んなかったけど、要は家まで連れ
てって介抱してくれたということだった。普段なら三つ指突いて感謝の意を込め、彼に
「体でお礼よっ!」とか半分マジな冗談をかますところだけど、回ってない頭にSIOを奪
われショックな私は、彼の作ったうどんを食い荒らしそのまままた寝てしまったのだった。
「頭痛い…」起きた時から体調は最悪だった。前日の相手が何回も求めるから、結局
くたくたになるまで付き合わされて、私は家に帰るなり眠り込んでしまった。メイクを落
とす気力も、ベッドに入る気力も無くし、その場に倒れこんでいた。申請書類の予定金
額にはいくらかたらないから、それでも町に立たなきゃならない。病院はイヤ。それだ
けで街にたっていた。当然ながら、私みたいな逸れ者に仲間がいるわけも無く、倒れた
ら即アウト。病院に搬送されてそのまま軟禁されちゃう。そんなこと考えて青くなって
いる女を買う奇特な奴はいるわけも無く、その日はお茶っ引きになるのかとなかば諦め
ていた。そんな風に諦めると、脚から力が抜けていって、文字通り糸が切れた人形のよ
うに倒れこんでしまった。日ごろの不義理の賜物で、助けてくれる奴は独りもいない。
「ああ、病院行ったら何しようかな。」そう思っていたとき彼が上から見下ろしていた。
「一晩いくらで付き合う?」そんな事言われても相手できるわけ無いのに。「四でどう
?」すぐさまそう応えてしまった。「あんたの部屋で良い?」いいわけないけど、もう
限界な私は返事もままならず、結局彼に家まで運んでもらっていた。
憶えているのは暑い体、冷却シートのつめたい感触、時折、優しく口に含ませてくれ
たスポーツドリンク。私が目を覚ましたのは丸一日立ってからだった。ぼんやり横を見
ると彼がカップ麺を啜っていた。「そのSIO味、楽しみにしてたのに…」彼が誰だかわか
らないけどまず不満を漏らした。大事な食料、それもお気に入りのSIOを取られて大人し
くできるほど生活は潤ってない。すると、彼は台所に行き、小さな鍋を火にかけ始めた。
何やら良い匂い。「何?」警戒と興味を隠せないまま、私は思わず聞いた。「鍋焼きう
どんだから、ちょっと待てて」そういってまたSIOをずるずる啜る男。そして空腹な女。
「一口…」そんな訴えをがん無視してくれちゃってまた一言「風邪、うつるからヤダ。」。
あまりにも事態が飲み込めない私に見かねたのだろう。彼はスープまできっちり飲んでか
ら説明を始めた。(あたしのSIO…)あんまり頭に入んなかったけど、要は家まで連れ
てって介抱してくれたということだった。普段なら三つ指突いて感謝の意を込め、彼に
「体でお礼よっ!」とか半分マジな冗談をかますところだけど、回ってない頭にSIOを奪
われショックな私は、彼の作ったうどんを食い荒らしそのまままた寝てしまったのだった。