「祐希【1】」(2006/01/15 (日) 18:01:34) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<h2>祐希(1)</h2>
<p align="right">委員長氏</p>
<p>
今日も、祐希は固めの椅子に腰を下ろし、ピアノの鍵盤に指を走らせていた。<br>
ショパンの幻想即興曲……祐希はそれがお気に入りだったが、兄の尚希はそうは思っていなかった。<br>
「祐希ぃ、お前には、リストみたいな曲が言いって言っ――」<br>
「リストは女ぽくってヤダ。」<br>
直希の言葉を遮って、ピアノを続けながら祐希は言った。<br>
「兄貴に逆らうのかよ。」<br>
祐希の背後で、直希が棚に目を通しながら言った。<br>
その棚は、楽譜用の棚で、祐希の大好きなショパンはもちろん、<br>
ベートーヴェンだとかなんかの楽譜が所狭しと並んでいた。<br>
直希は、そこから、一冊本を抜き出して、ピアノに楽譜を置いた。<br>
「おい、止めろよ!」<br>
ショパンが途切れて沈黙が一瞬続くが、祐希は直希の目を見た瞬間、<br>
「弾けば良いんだろ、弾けば……。」と目を逸らして、開かれたページの曲……"愛の夢"を弾き始めた。<br>
やっぱり、こいつ、俺に惚れてるwww。<br>
直希は直感して、口をにやけさせるが、ピアノに夢中になっている祐希は気付いていないようだった。</p>
<p>
曲の終盤にもなると、直希は祐希にちょっかいをかけ出すが、<br>
曲を途中で止めるのが嫌な祐希には、手出しできなく、「止めろ」と口で言うしかない。<br>
3回目が終ると、さすがに祐希は耐え切れなくて、<br>
「止めろよ! バカ兄! どっかいけ!」といい始める。<br>
直希は、ふと、祐希の初めてのコンクールのときを思い出した。<br>
あの時、祐希に会った人……それも、本当の性別を知っている人達は決まって、<br>
「この子は、女の子だったかしら?」と名簿を捲って、祐希の女の子っぽさに驚いていたものだ。<br>
祐希は気付いていないようだったが、直希はそれを見て、<br>
「見かけ女っぽいんだから、言葉遣いとかも女っぽくすれば良いのに……」と、思ったのを覚えていた。</p>
<p>「なんとか、言えよ! ばか!」<br>
直希が気付くと、目の前には、本当に僅か目を潤わせている祐希の姿があった。<br>
近くに居ると、叩かれそうだったので、直希は一歩足を引いて、言葉を返した。<br>
「え? いや、あんまり、可愛いから。」<br>
直希はくすくす笑ったが、祐希にとってはただ事じゃない。<br>
何も言わずに祐希は部屋を出て行った。ドアを閉める音が以上に大きく感じられた。<br>
直希は溜息を付いて、さっきまで祐希が座っていた椅子に腰を下ろし、鍵盤に指を置いた。<br>
そして、すでに頭に入っている曲をすらすらと弾き始めた。<br>
実は、祐希のために作った曲だったりするが、本人には伝えていない。</p>
<p>
10分くらいの曲を2回弾き終えた頃、祐希が部屋のドアを開けたのが分かった。<br>
直希は曲をピタリと止め、祐希を方へ向きを変えた。<br>
「お、俺が弾くんだからどけろよ。」<br>
すかさず祐希が言った。直希はどけてやろうと、腰を浮かせようとしたが、<br>
ある案が頭をよぎったので、腰を落ち着かせた。<br>
「う~ん。じゃあさ、この部屋で、俺と2人っきりな時はさ、もうちょっと言葉を可愛くさ、してくれない・」<br>
こんな事を言うのは、今まで以上に祐希が惚れているという自身があったからだ。<br>
出てった時よりも汗に濡れていて、少し息が上がっている。<br>
「なっ、何言ってんだよ! どけろよ!」<br>
さすがに理性はあるらしく、肩をど突いて来たが、余計に汗ばんでいるようだった。</p>
<p> 直希はくすくすと笑って、祐希に顔を近づけた。<br>
「俺のコト……好きなんでしょ……?」<br>
さすがに、言うのは躊躇いがあった。告白するのは、絶対の自信があっても途惑ってしまうものだ。<br>
少しだけ間が空いて、祐希が口を開いた。<br>
「ん、んなわけねーだろ! ばか!」<br>
祐希は直希を突き放したが、それが本音とは思いがたいものだった。<br>
直希は、祐希を抱き寄せて、もう一度繰り返した。<br>
やはり、祐希は反論したが、もはや言葉に感情がなく、素直になれていないだけだった。</p>
<p> 直希には、祐希のドキドキが伝わっていた。<br>
直希は祐希を少し離して、すかさぐ口を合わせた。<br>
祐希は初め、抵抗するようだったが、直希を慣れたキスに少しずつ堕ちていった。<br>
そのうち、それに少しの快楽も持つようになり、「んっ……あ……」と声を漏らすようになった。<br>
「ん? 感じてんの?」<br>
直希がくすくす笑って言った。<br>
「ち、ちげーよ!んなわけ――!」<br>
言葉の途中で直希が口を塞いだ。<br>
そして、祐希はまた喘ぎだす。やっぱ感じてんじゃん、と直希は思いながら、口を離した。<br>
「じゃあ、なんで声出すの? 勝手に出ちゃうの?」<br>
直希は自分が意地悪だと自覚しながらも、問いかけた。<br>
「そ……それは……。」<br>
祐希がそんなことを答えるはずがない。頬を真っ赤に染めて目を逸らしてしまった。</p>
<p> 直希は独特の笑いをしながら、祐希を抱き締めた。<br>
「いいんだよ。やっぱ俺……そのままの祐希が好きだから……。」<br>
直希の位置からは、祐希の顔は見えないが、より赤くなっているのは容易に想像がつく。<br>
髪を撫でて、もう一度、祐希と向かい合う形になった。<br>
少し動きを止めてから、ふいを突くように、祐希の体を動かした。<br>
祐希の膝が折れて、直希の膝の上に座るような形になった。<br>
「ちょっ、やめろって!」<br>
やっぱり、祐希は抵抗するが、いいじゃん、と笑ってごまかすと、少し素直になったような気がした。<br>
「手挙げて?」<br>
祐希は戸惑いを隠せない様子だったが、「ほら、早く。」と直希が急かすと、両手を挙げた。<br>
直希は祐希のシャツをゆっくり脱がせた。祐希の白い肌があらわになる。<br>
「綺麗だね……。祐希の体。」<br>
実際、祐希の体は、傷一つなく女の子のようで、だからといって、白すぎなくて……。<br>
「なっ、何言ってんだよ。」<br>
また、祐希は顔を赤らめているようだったが、抵抗が治まっているということは、<br>
後は直希のもんだということだった。</p>
<h2>祐希(1)</h2>
<p align="right">委員長氏</p>
<p>
今日も、祐希は固めの椅子に腰を下ろし、ピアノの鍵盤に指を走らせていた。<br>
ショパンの幻想即興曲……祐希はそれがお気に入りだったが、兄の尚希はそうは思っていなかった。<br>
「祐希ぃ、お前には、リストみたいな曲が言いって言っ――」<br>
「リストは女ぽくってヤダ。」<br>
直希の言葉を遮って、ピアノを続けながら祐希は言った。<br>
「兄貴に逆らうのかよ。」<br>
祐希の背後で、直希が棚に目を通しながら言った。<br>
その棚は、楽譜用の棚で、祐希の大好きなショパンはもちろん、<br>
ベートーヴェンだとかなんかの楽譜が所狭しと並んでいた。<br>
直希は、そこから、一冊本を抜き出して、ピアノに楽譜を置いた。<br>
「おい、止めろよ!」<br>
ショパンが途切れて沈黙が一瞬続くが、祐希は直希の目を見た瞬間、<br>
「弾けば良いんだろ、弾けば……。」と目を逸らして、開かれたページの曲……"愛の夢"を弾き始めた。<br>
やっぱり、こいつ、俺に惚れてるwww。<br>
直希は直感して、口をにやけさせるが、ピアノに夢中になっている祐希は気付いていないようだった。</p>
<br>
<p>
曲の終盤にもなると、直希は祐希にちょっかいをかけ出すが、<br>
曲を途中で止めるのが嫌な祐希には、手出しできなく、「止めろ」と口で言うしかない。<br>
3回目が終ると、さすがに祐希は耐え切れなくて、<br>
「止めろよ! バカ兄! どっかいけ!」といい始める。<br>
直希は、ふと、祐希の初めてのコンクールのときを思い出した。<br>
あの時、祐希に会った人……それも、本当の性別を知っている人達は決まって、<br>
「この子は、女の子だったかしら?」と名簿を捲って、祐希の女の子っぽさに驚いていたものだ。<br>
祐希は気付いていないようだったが、直希はそれを見て、<br>
「見かけ女っぽいんだから、言葉遣いとかも女っぽくすれば良いのに……」と、思ったのを覚えていた。</p>
<br>
<p>「なんとか、言えよ! ばか!」<br>
直希が気付くと、目の前には、本当に僅か目を潤わせている祐希の姿があった。<br>
近くに居ると、叩かれそうだったので、直希は一歩足を引いて、言葉を返した。<br>
「え? いや、あんまり、可愛いから。」<br>
直希はくすくす笑ったが、祐希にとってはただ事じゃない。<br>
何も言わずに祐希は部屋を出て行った。ドアを閉める音が以上に大きく感じられた。<br>
直希は溜息を付いて、さっきまで祐希が座っていた椅子に腰を下ろし、鍵盤に指を置いた。<br>
そして、すでに頭に入っている曲をすらすらと弾き始めた。<br>
実は、祐希のために作った曲だったりするが、本人には伝えていない。</p>
<br>
<p>
10分くらいの曲を2回弾き終えた頃、祐希が部屋のドアを開けたのが分かった。<br>
直希は曲をピタリと止め、祐希を方へ向きを変えた。<br>
「お、俺が弾くんだからどけろよ。」<br>
すかさず祐希が言った。直希はどけてやろうと、腰を浮かせようとしたが、<br>
ある案が頭をよぎったので、腰を落ち着かせた。<br>
「う~ん。じゃあさ、この部屋で、俺と2人っきりな時はさ、もうちょっと言葉を可愛くさ、してくれない・」<br>
こんな事を言うのは、今まで以上に祐希が惚れているという自身があったからだ。<br>
出てった時よりも汗に濡れていて、少し息が上がっている。<br>
「なっ、何言ってんだよ! どけろよ!」<br>
さすがに理性はあるらしく、肩をど突いて来たが、余計に汗ばんでいるようだった。</p>
<br>
<p> 直希はくすくすと笑って、祐希に顔を近づけた。<br>
「俺のコト……好きなんでしょ……?」<br>
さすがに、言うのは躊躇いがあった。告白するのは、絶対の自信があっても途惑ってしまうものだ。<br>
少しだけ間が空いて、祐希が口を開いた。<br>
「ん、んなわけねーだろ! ばか!」<br>
祐希は直希を突き放したが、それが本音とは思いがたいものだった。<br>
直希は、祐希を抱き寄せて、もう一度繰り返した。<br>
やはり、祐希は反論したが、もはや言葉に感情がなく、素直になれていないだけだった。</p>
<br>
<p> 直希には、祐希のドキドキが伝わっていた。<br>
直希は祐希を少し離して、すかさぐ口を合わせた。<br>
祐希は初め、抵抗するようだったが、直希を慣れたキスに少しずつ堕ちていった。<br>
そのうち、それに少しの快楽も持つようになり、「んっ……あ……」と声を漏らすようになった。<br>
「ん? 感じてんの?」<br>
直希がくすくす笑って言った。<br>
「ち、ちげーよ!んなわけ――!」<br>
言葉の途中で直希が口を塞いだ。<br>
そして、祐希はまた喘ぎだす。やっぱ感じてんじゃん、と直希は思いながら、口を離した。<br>
「じゃあ、なんで声出すの? 勝手に出ちゃうの?」<br>
直希は自分が意地悪だと自覚しながらも、問いかけた。<br>
「そ……それは……。」<br>
祐希がそんなことを答えるはずがない。頬を真っ赤に染めて目を逸らしてしまった。</p>
<br>
<p> 直希は独特の笑いをしながら、祐希を抱き締めた。<br>
「いいんだよ。やっぱ俺……そのままの祐希が好きだから……。」<br>
直希の位置からは、祐希の顔は見えないが、より赤くなっているのは容易に想像がつく。<br>
髪を撫でて、もう一度、祐希と向かい合う形になった。<br>
少し動きを止めてから、ふいを突くように、祐希の体を動かした。<br>
祐希の膝が折れて、直希の膝の上に座るような形になった。<br>
「ちょっ、やめろって!」<br>
やっぱり、祐希は抵抗するが、いいじゃん、と笑ってごまかすと、少し素直になったような気がした。<br>
「手挙げて?」<br>
祐希は戸惑いを隠せない様子だったが、「ほら、早く。」と直希が急かすと、両手を挙げた。<br>
直希は祐希のシャツをゆっくり脱がせた。祐希の白い肌があらわになる。<br>
「綺麗だね……。祐希の体。」<br>
実際、祐希の体は、傷一つなく女の子のようで、だからといって、白すぎなくて……。<br>
「なっ、何言ってんだよ。」<br>
また、祐希は顔を赤らめているようだったが、抵抗が治まっているということは、<br>
後は直希のもんだということだった。</p>
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: