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あきと【4】」(2006/01/19 (木) 09:52:39) の最新版変更点

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「あっくん」と呼ばれるのは久しぶりだった。 1年ほど前から、兄は「あっくん」と呼ぶことも、 夜あきとと一緒に寝ることもなくなった。 あきとは、子ども扱いを卒業したことが嬉しい反面、それがひどく淋しかった。 だから、もっと呼んで欲しくて、あきとは次々に瞼や頬めがけて、 キスをしたり鼻を擦りつけたり舐めたりしてみた。 「あ、…あき、あっくん…!」 あきとの唇が触れるたびに、りくは息を詰まらせ、 いやいやをするように首を振る。 あきとよりも少し長めの髪がはらはらと額や耳にかかり、 真っ赤に染まった耳が綺麗だったので、ぱくっと唇で噛んでみた。 「ひぁっ!?な…なに?…や、め」 「もっと呼んでっ」 「…え…?」 ずっと胸に溜まっていた淋しさをぶつけるように、 あきとはりくの耳にむしゃぶりつく。 「あっくんって、言って」 「あっ…あっくん」 口に含んだ耳たぶを、舌でなぞる。 「もっと」 「っは…あっ…あっくん」 っぴちゃ…ちゅっ…と、湿った音がやけに大きく部屋に響いて、 家の前を走り回る子どもたちの喚声をかき消していく。 「もっと」 「…あ、ぅ…あっくん」 あきとは耳から離れ、りくの胸に顔をうずめる。 頬をすりつけるようにグリグリと顔を動かす。 「ふふふふふ」 「あ、あっくん…くすぐったいっ…」 りくの胸はすべすべしていて、温かくて、気持ちが良かった。 「うふふ」 胸に頭を乗せたままりくの方を向くと、目が合った。 相変わらず瞳がゆらゆらと揺らめいている。 「りくにぃ、大好き」 暗がりに慣れて広がったりくの瞳孔が、キュッと縮まる。 そして、また徐々に広がり黒目いっぱいに溢れそうなその瞳に、 あきとは、そのまま吸い込まれてしまいそうな気がした。 りくの唇がスローモーションのようにゆっくり動く。 「あっくん、大好き」 あきとはその言葉を聞き終える前にりくに抱きついた。

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