「チョコ妖精【６】」(2006/01/22 (日) 12:16:05) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<h2>チョコ妖精（６）</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>人生オワタ！<br>
オレは天井に荒縄を括りつけていた。<br>
「青年。逃げるでない。そんなことをされては、我の『研修』が終わらぬ」<br>
「じゃあ冥途の土産に聞いておこうかな。『研修』って何？」<br>
「ふむ。要は、一人前になるために必要な訓練である。我の場合、延べ50年誰かを幸福から遠ざけておかねばならぬ」<br>
「ふうん？ そうするとどうなるの？」<br>
「悪魔にもコミュニティがあってな。そこから一人前として認めてもらえるのだ。すると、他の寄生先を斡旋してもらえたりするわけだ。別にそうしなくとも死にはしないが、我はそうすることにした」<br>
「で、オレに白羽の矢が立った、と」<br>
「然様である。ここで青年、御主に死に逃げられるようなことがあれば、我はまた次の宿主探しをせねばならん。はっきり言って、面倒である」<br>
自分勝手なヤツめ。いや、悪魔だしそれでいいのか？<br>
「まあ、生かさず殺さずの心構えで行くから、覚悟せよ」<br>
「……イヤだ」<br>
さて、準備万端。吊るか。ごめん、オカン。<br>
ぎしっ…… 縄が軋む。だんだん脳への血流量が減ってきてる。意識が朦朧としてくるから、わかる。あ、だんだん苦しくなってきた。息してないからね。そりゃね。<br>
でも、これも意識が途絶えるまで。そうしたら何もかもわからなくなるのさ。ほら、今聞こえたブチって音も聞こえなくなる…… ブチっ？<br>
「青年。未だ未熟であるとはいえ、我は悪魔ぞ？ 嘗めてもらっては困る」<br>
縄、切られたらしい。オレは死ぬこともできないのか？<br>
「そーだよ、おにーさん。ぼくと一緒にずっと暮らそうねぇ♪」<br>
断る。</p>
<p>
死ぬことも諦め、仕方がないので茶を淹れる。実家から送られてきた静岡茶は、なかなかいい香りで心を癒す。<br>
人はソレを、焼け石に水、という。あはははは。<br>
「ところで、悪魔？ オレとそこの妖精との関係は、ほっとくのか？」<br>
「然様。対象が人間である以上、妖精に手出しはできぬ。なにより、我が恩人であるところの彼に手出しをするつもりは毛頭ない」<br>
悪魔にも義理くらいあるわ、と胸を張ってみせる。あ、コレはコレで可愛いかも。つれない顔をしてるからか、時々見せる表情がなかなか萌え…… いや、なんでもないぜ？<br>
「おにーさん、おにーさん。お茶請けがきましたよー」<br>
手を振る妖精。なんか通常の３倍幸せそうだ。あ、ソレを見る悪魔も得意気だ。<br>
「はいはい。ほら、こっち来い」<br>
膝の上に呼んでやる。重みと、暖かさと、甘い香りがオレを誘う。……あ、なんかもうコレでもいいかも。<br>
３人で茶を啜る。チョコ妖精に口付けしつつティータイム。なんかおかしい気がするが、しかしこの部屋ではコレがデフォルトになっていくのか。<br>
まぁ、コレはコレで幸せな気もするし…… ……<br>
おい。オレは今何を思った？</p>
<h2>チョコ妖精（６）</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>人生オワタ！<br>
オレは天井に荒縄を括りつけていた。<br>
「青年。逃げるでない。そんなことをされては、我の『研修』が終わらぬ」<br>
「じゃあ冥途の土産に聞いておこうかな。『研修』って何？」<br>
「ふむ。要は、一人前になるために必要な訓練である。我の場合、延べ50年誰かを幸福から遠ざけておかねばならぬ」<br>
「ふうん？ そうするとどうなるの？」<br>
「悪魔にもコミュニティがあってな。そこから一人前として認めてもらえるのだ。すると、他の寄生先を斡旋してもらえたりするわけだ。別にそうしなくとも死にはしないが、我はそうすることにした」<br>
「で、オレに白羽の矢が立った、と」<br>
「然様である。ここで青年、御主に死に逃げられるようなことがあれば、我はまた次の宿主探しをせねばならん。はっきり言って、面倒である」<br>
自分勝手なヤツめ。いや、悪魔だしそれでいいのか？<br>
「まあ、生かさず殺さずの心構えで行くから、覚悟せよ」<br>
「……イヤだ」<br>
さて、準備万端。吊るか。ごめん、オカン。<br>
ぎしっ…… 縄が軋む。だんだん脳への血流量が減ってきてる。意識が朦朧としてくるから、わかる。あ、だんだん苦しくなってきた。息してないからね。そりゃね。<br>
でも、これも意識が途絶えるまで。そうしたら何もかもわからなくなるのさ。ほら、今聞こえたブチって音も聞こえなくなる…… ブチっ？<br>
「青年。未だ未熟であるとはいえ、我は悪魔ぞ？ 嘗めてもらっては困る」<br>
縄、切られたらしい。オレは死ぬこともできないのか？<br>
「そーだよ、おにーさん。ぼくと一緒にずっと暮らそうねぇ♪」<br>
断る。</p>
<br>
<p>
死ぬことも諦め、仕方がないので茶を淹れる。実家から送られてきた静岡茶は、なかなかいい香りで心を癒す。<br>
人はソレを、焼け石に水、という。あはははは。<br>
「ところで、悪魔？ オレとそこの妖精との関係は、ほっとくのか？」<br>
「然様。対象が人間である以上、妖精に手出しはできぬ。なにより、我が恩人であるところの彼に手出しをするつもりは毛頭ない」<br>
悪魔にも義理くらいあるわ、と胸を張ってみせる。あ、コレはコレで可愛いかも。つれない顔をしてるからか、時々見せる表情がなかなか萌え…… いや、なんでもないぜ？<br>
「おにーさん、おにーさん。お茶請けがきましたよー」<br>
手を振る妖精。なんか通常の３倍幸せそうだ。あ、ソレを見る悪魔も得意気だ。<br>
「はいはい。ほら、こっち来い」<br>
膝の上に呼んでやる。重みと、暖かさと、甘い香りがオレを誘う。……あ、なんかもうコレでもいいかも。<br>
３人で茶を啜る。チョコ妖精に口付けしつつティータイム。なんかおかしい気がするが、しかしこの部屋ではコレがデフォルトになっていくのか。<br>
まぁ、コレはコレで幸せな気もするし…… ……<br>
おい。オレは今何を思った？</p>
表示オプション
横に並べて表示：
変化行の前後のみ表示：
