「貴之と貴司【1】」(2006/01/23 (月) 00:32:25) の最新版変更点
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<h2>貴之と貴司(1)</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>
その年の春、就職した兄さんは初任給で家族を食事に招待してくれた。<br>
初めて食べる本格的な中華に僕は緊張しっぱなし。<br>
「貴司、うまいか?」<br>
「う、うん」<br>
10こも年が違うと、スーツを着た兄さんはとても大人に見えて、なんだか<br>
ちょっと誇らしい気持ちになる。<br>
「貴之、おまえ始めての給料でこんなに使って大丈夫か?」<br>
お父さんがちょっと心配そうに聞いる。<br>
よく考えたら、ここって高そう。僕ら家族だけで1部屋を使ってるし。<br>
「大丈夫だって、まぁ、毎月はむりだけどさ」<br>
お父さんも、お母さんもとってもうれしそう。もちろん僕だってうれしい。<br>
「貴司は、焼肉のほうがよかったかもな」<br>
ちょっとだけほんと言うと味がわからないくらい緊張してるし、焼肉のほうも惹かれる。<br>
でも、兄さんがご馳走してくれるんだもの、おいしくないわけ無いよ。<br>
「おいしいよ」<br>
「俺も人のこといえないけど、こういうのもとかもちょっと<br>
慣れとかないとだしな。焼肉はまた今度な。」<br>
「でも、外の夜景きれいだし」<br>
僕は手を止めて窓の外に広がる景色を見た。窓の外に広がる夜景が、<br>
春なのにクリスマスツリーみたいっておもちゃっう。発想が単純かも。<br>
「だろ?友達にここがすっごくいいって聞いたからさ、絶対ここにしよって<br>
決めてたんだ」<br>
さっと顔が熱くなるのが自分でもわかる。<br>
ねぇ、兄さん、友達ってあの女の人?</p>
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