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<h2>貴之と貴司(1)</h2> <p align="right">著者不詳</p> <p> その年の春、就職した兄さんは初任給で家族を食事に招待してくれた。<br> 初めて食べる本格的な中華に僕は緊張しっぱなし。<br> 「貴司、うまいか?」<br> 「う、うん」<br> 10こも年が違うと、スーツを着た兄さんはとても大人に見えて、なんだか<br> ちょっと誇らしい気持ちになる。<br> 「貴之、おまえ始めての給料でこんなに使って大丈夫か?」<br> お父さんがちょっと心配そうに聞いる。<br> よく考えたら、ここって高そう。僕ら家族だけで1部屋を使ってるし。<br> 「大丈夫だって、まぁ、毎月はむりだけどさ」<br> お父さんも、お母さんもとってもうれしそう。もちろん僕だってうれしい。<br> 「貴司は、焼肉のほうがよかったかもな」<br> ちょっとだけほんと言うと味がわからないくらい緊張してるし、焼肉のほうも惹かれる。<br> でも、兄さんがご馳走してくれるんだもの、おいしくないわけ無いよ。<br> 「おいしいよ」<br> 「俺も人のこといえないけど、こういうのもとかもちょっと<br> 慣れとかないとだしな。焼肉はまた今度な。」<br> 「でも、外の夜景きれいだし」<br> 僕は手を止めて窓の外に広がる景色を見た。窓の外に広がる夜景が、<br> 春なのにクリスマスツリーみたいっておもちゃっう。発想が単純かも。<br> 「だろ?友達にここがすっごくいいって聞いたからさ、絶対ここにしよって<br> 決めてたんだ」<br> さっと顔が熱くなるのが自分でもわかる。<br> ねぇ、兄さん、友達ってあの女の人?</p>

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