「貴之と貴司【8】」(2006/01/23 (月) 00:41:45) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
<h2>貴之と貴司(9)</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>
貴司の声が弱々しく響く。俺ってば、励ましに来たはずなのに泣かせてどうすんだか。<br>
貴司は自虐的に泣く。自分の不満のためではなく、不満をもてあます自分を<br>
悲しんでなく。見ていると、俺はつらくなってくる。<br>
なのに、そんな貴司をみてると、なんていうか、こう、ギュってしたくなる。<br>
俺ってば、鬼畜かもしんない。ごめんな。<br>
しかし、これは由々しき問題だ。家を出るという理由が「俺の理性が決壊し<br>
そうだから」なんて、その対象を目の前にしてどう説明したものか。<br>
神の味噌汁・・・あー、しょうもな。俺も相当てんぱってる。<br>
「本当にまだ何にも考えてないんだ。」<br>
言いながら俺は自分の狡さに呆れる。<br>
貴司だってこんなの信じはしないだろうに。<br>
俺はいつだってお前のことを考えてるつもりなのに、気が付くと傷つけてる。<br>
「そう、なの?」<br>
貴司が顔を上げる。ここぞとばかり俺は言い募る。<br>
「ああ、第一、就職したばっかりだし、敷金とか払えるわけないだろう」<br>
ナイスな言い訳に、やれやれと思う。<br>
「兄さん、ずっと一緒に家にいて?ね。」<br>
貴司の上目遣いに抗する力なんて、俺にはない。顔がしまりなく緩みそうに<br>
なるのを必死の思いで引き締める。<br>
人間に尻尾がなくてよかったと思う瞬間だ。もしあったら俺の尻尾はバッサバッサ振りまくりだ。</p>
<h2>貴之と貴司(8)</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>
貴司の声が弱々しく響く。俺ってば、励ましに来たはずなのに泣かせてどうすんだか。<br>
貴司は自虐的に泣く。自分の不満のためではなく、不満をもてあます自分を<br>
悲しんでなく。見ていると、俺はつらくなってくる。<br>
なのに、そんな貴司をみてると、なんていうか、こう、ギュってしたくなる。<br>
俺ってば、鬼畜かもしんない。ごめんな。<br>
しかし、これは由々しき問題だ。家を出るという理由が「俺の理性が決壊し<br>
そうだから」なんて、その対象を目の前にしてどう説明したものか。<br>
神の味噌汁・・・あー、しょうもな。俺も相当てんぱってる。<br>
「本当にまだ何にも考えてないんだ。」<br>
言いながら俺は自分の狡さに呆れる。<br>
貴司だってこんなの信じはしないだろうに。<br>
俺はいつだってお前のことを考えてるつもりなのに、気が付くと傷つけてる。<br>
「そう、なの?」<br>
貴司が顔を上げる。ここぞとばかり俺は言い募る。<br>
「ああ、第一、就職したばっかりだし、敷金とか払えるわけないだろう」<br>
ナイスな言い訳に、やれやれと思う。<br>
「兄さん、ずっと一緒に家にいて?ね。」<br>
貴司の上目遣いに抗する力なんて、俺にはない。顔がしまりなく緩みそうに<br>
なるのを必死の思いで引き締める。<br>
人間に尻尾がなくてよかったと思う瞬間だ。もしあったら俺の尻尾はバッサバッサ振りまくりだ。</p>
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: