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「チョコ妖精【11】」(2006/01/31 (火) 17:37:03) の最新版変更点
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部屋に帰ると「へんなの」が増えてた。
あー、なんだソレ。またちまいのが増えたなオイ。
「どこからソレ連れてきた」
「えっとぉ……橋の下?」
それは一月くらい前。突然俺は「チョコの妖精」と同居することになった。
全身チョコ風味のそいつ・少年/外見年齢12歳/実年齢約200歳は、カワイイ顔をして案外淫乱……いや、違う。そうじゃなくてだな。ともかく、オレの生活を阻害し放題阻害した。
食事は余分に作らされるし、こんなのが部屋にいるなんて、知られるわけにも行かない。毎日戦々恐々だ。
で、それが「増えた」。
仮にも人間の外見をしてるソレを「捨てて来い」と言えるほど、オレは道徳心を捨ててない。仕方無しに話を進める。
「で、今度は何なんだ?」
「…『悪魔』だってさ」
あくま。悪魔ですか。ああそうですか。まあそういうこともあるかもね。妖精もいるし。あはは。はぁ……。
「然り。我は『悪魔』である。役目は『幸福退散』、能力は『関係の切断』、対象は『人間』である」
……。
さて、やっぱり病院に行ってこようかな。疲れがたまってるのかもしれない。
「逃げるでない、青年」
「いやだ。オレはそろそろ精神科に行ってくる」
よし、ハッキリ言ってやったぞっ! しかし、そんな達成感に満悦してもいられないらしい。左側から抗議の声が上がる。
「ちょっとぉ! おにーさん、なんでそんなこと言うのぉ!? まさかあの、ぼくとの『熱い一日』を忘れたとでもっ!?」
「いや、あれも多分幻覚妄想の類で、オレの脳神経が作り出した幻影だからさ」
っていうか、あの時間帯、記憶おぼろげなんだけど。
「おにーさん、独我論の類は他人に語った瞬間に偽になるんだよ? だから、その主張は無駄無駄無駄ー。拒否します」
なんだそれ。
「それにぃ、ほら、小さい子を困らせちゃいけないでしょお?」
「小さい子って、どうせまた外見年齢と実年齢が一致してないんだろ? 今度は悪魔だからな。世界と同年齢だったりするんだろ?」
しかし、悪魔少年はちょっと困ったように首を振る。
「青年。肩書きだけで物を判別しようとするでない。我は、いわば『生まれたて』である」
「…『生まれたて』?」
「然様。この世に在ることを許されて、然程時間がたっておらん。まだ赤子のようなものよ。 …といっても、御主ら人間とは尺度が異なるだろうがな」
はぁ、そうですか。
「で、実年齢、おいくつ?」
80とかか。
「生まれて、8年である」
やっつかよ。小学生じゃないか。まさかそこまでとは……
「実に3日前に、実体、すなわちこの体を獲得したばかりである。然るに、これが最初の仕事というわけだ」
よろしくたのむぞ、と握手を求められる。
「ああ、よろしくな」
つい握手を返すあたり、オレも律儀なものだ。 ……ん?握手?「よろしくな」?
相手 は 悪魔 だぞ ?
好奇心は猫を殺す。イタズラ心は悪魔を殺す。
休日。厄介な連中を抱え込んだせいで終日カーテン閉めっぱなしの怪しい部屋と化したマイルームの、狭い浴場から俺を呼ぶ声がする。
「おにーさーん」
どうした妖精。また良くないことをしたのか。 …いや、ここで相手をしてやらないと、もっと良くないことをするからな。あいつは。
「見て見てー」
「見て見てー、って…」
うわこれはすごいもはや絶句。
「っ… ぅぁ… 兄様っ……!? 見る、な……っ…」
羞恥に耳まで真っ赤にするのは、ウチの悪魔。しかも女装!
それもロリ系のふりふり服!! ……これは完全に妖精の趣味だな、うん。
綺麗な長めの黒髪も相俟って、なかなかにイイ感じだ。髪飾りとのコントラストもばっちりだ。
細めのコルセットや長手袋が悪魔の華奢なラインを強調している。
レースやリボン飾りは最低限ながらもしっかりと施され、可愛らしく、且つくどくない。かなりセンスのいい服を、センスよく合わせてるんだな。コレは。
長さギリギリなミニスカートも、俺はよく知らんが、ふわっと広がるように何か施されてるらしい。しかも下着がチラチラして、エロい。
……うむ。
「妖精」
「なぁに、おにーさん?」
「よくやった」
ほんとにな。流石にコレばかりは感動した。グレイト!
「うふふ。誉められちゃったぁ♪ よかったねぇ、悪魔くん? おにーさんが気に入ったってさ?」
「……っ!!? 兄 様っ…!? なにを…っ」
「いや、あまりに似合ってるんでな。悪魔。いつもの黒尽くめベルトだらけ血飛沫ペイント十字架模様より、そっちのほうがいいぞ?」
そういわれて、しばらく動きを止めてから、かくかくふるふる微妙な動きをする悪魔。ますます真っ赤になって。なにがあった?
……もしや妖精、貴様何かまた吹き込んだだろ!?
「なんのことかなぁ? ぼく、よくわからないよ?」 にっこり。
……。あくまでシラを切りとおすつもりか。
「…じゃ、善は急げ、お買い物行こうか、悪魔くん? 今度はどんなのにしようかなぁ… うふふ」
おぉ、邪悪なオーラが妖精から。悪魔、お前負けてるぞ。
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