「悠【１】」(2006/01/14 (土) 13:48:05) の最新版変更点
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<h2>悠（１）</h2>
<p align="right">著者不明</p>
<p>
「ほら、悠！洗ってやるから早く上がってこっち来いって」<br>
「い、いいよ…僕、ひとりで洗うから…」<br>
「駄目だっての。ちゃんと悠洗ってやるように母さんに頼まれたんだから…お前が早くしないと俺が風呂上がれないっ」</p>
<p>ガオレンジャー見れなかったらお前の所為だからな。<br>
そう僕を責め立てる一樹お兄ちゃんの声が、バスルームの白い天井に木霊する。</p>
<p>
お風呂は嫌いだ、面倒だから。泡の感触が何だか気持ち悪いから好きじゃない。<br>
それでも、お兄ちゃんと一緒なら。少しでもお兄ちゃんに構って貰えるなら……そう、思っていたのに。</p>
<p>お兄ちゃんにとって、僕って邪魔な存在なのかなあ。<br>
悠の白い頬に一雫の涙が伝う。薔薇の香りが漂う浴槽に、小さな波紋が生まれた。</p>
<p>「悠……？」<br>
「……っく、…ぅ」<br>
「どうした？何いきなり泣いてんだよ…？」<br>
「な、ないて…な、んか」<br>
<br>
溢れる滴が、悠の反論を制止した。<br>
ぴちゃ。ぴちょん、ほんの小さな筈のその音はこの狭い空間に伝わるには十分で、悠は追って来る一樹の視線に脅えうつ向いた。<br>
桃色の湯船に自身の顔が映る。<br>
視界が揺れていて良く見えないが、それが堪らなく情けないものであるという事は嫌でも分かる。<br>
への字に曲がった唇は震え、大きな双眸は涙の泉で溢れそうだ。<br>
<br>
お兄ちゃんの、一番嫌いな僕の顔。<br>
きらわれる。</p>
<h2>悠（１）</h2>
<p align="right">著者不明</p>
<p>
「ほら、悠！洗ってやるから早く上がってこっち来いって」<br>
<br>
「い、いいよ…僕、ひとりで洗うから…」<br>
「駄目だっての。ちゃんと悠洗ってやるように母さんに頼まれたんだから…お前が早くしないと俺が風呂上がれないっ」</p>
<p>ガオレンジャー見れなかったらお前の所為だからな。<br>
そう僕を責め立てる一樹お兄ちゃんの声が、バスルームの白い天井に木霊する。<br>
<br>
お風呂は嫌いだ、面倒だから。泡の感触が何だか気持ち悪いから好きじゃない。<br>
<br>
それでも、お兄ちゃんと一緒なら。少しでもお兄ちゃんに構って貰えるなら……そう、思っていたのに。<br>
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お兄ちゃんにとって、僕って邪魔な存在なのかなあ。<br>
悠の白い頬に一雫の涙が伝う。薔薇の香りが漂う浴槽に、小さな波紋が生まれた。</p>
<p>「悠……？」<br>
「……っく、…ぅ」<br>
「どうした？何いきなり泣いてんだよ…？」<br>
「な、ないて…な、んか」<br>
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溢れる滴が、悠の反論を制止した。<br>
ぴちゃ。ぴちょん、ほんの小さな筈のその音はこの狭い空間に伝わるには十分で、悠は追って来る一樹の視線に脅えうつ向いた。<br>
桃色の湯船に自身の顔が映る。<br>
視界が揺れていて良く見えないが、それが堪らなく情けないものであるという事は嫌でも分かる。<br>
への字に曲がった唇は震え、大きな双眸は涙の泉で溢れそうだ。<br>
<br>
お兄ちゃんの、一番嫌いな僕の顔。<br>
きらわれる。</p>
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