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著者不詳
「おにーさん、ちゅー」 「あ、ああ。ちゅー」 ちゅー。膝の上の妖精と、言われるがままの俺と、それを眺める複雑そうな悪魔と。 なんなんだろう。なんだか、気づかないうちにいろんなものがオカしくなっていってる気がする。 ああ、でも、これでいいのかなぁ。幸せ?だし。 「あ、そうだおにーさん。しってる?」 「何を?」妖精の頭を撫でてやりながら 「チョコ食べるとね、脳のなかで恋したときと同じ物質が分泌されるんだって」 「ふうん? じゃあ何か? オレはお前に恋しちゃうとでも?」腕の中に抱きしめながら。 「そうだよ」 うふふ、と笑う妖精。無邪気で可愛らしい。オレは、やっぱりどうかしてしまったんだろうか。この一月で。 いや、そうだ。この状況は、良くない、んだ。多分。おかしいんだ。多分。
「おにーさん? あんまりぼくとラヴってると、悪魔くんがのけ者になっちゃうよ?」 ああ、そうだったな。妖精から視線をはずし、悪魔のほうを見やる。……なんか、頬を赤らめていらっしゃるのですが。 「おい。なに恥ずかしそうにしてんだ」 「なっ… 何。青年と妖精殿が仲睦まじくしているのを見て、ちょっと羨望を……」 目をそらす悪魔。羨ましかったらしい。 ってか、オレは青年で、コイツは妖精「殿」かよ。敬称つきかよ。 「でもさ、悪魔。いいの? オレ、このままヘタすると、妖精と『幸せ』になっちゃうよ? オレが『幸せ』になると、お前都合悪いんじゃないの?」 「っ…… それは……」 「あ、でもおまえ、妖精に不利益は出したくないんだったよな? コイツはオレに思いっきりなついちゃってるんだけど、そこんとこどうするの?」 揺さぶりを掛けてみた。この状況は、きっとどこか不健全なんだ。社会に参加できないとか、そういうことで。 なにか、変化をさせないといけない。 ……さて、悪魔は、どう出るのか。 「……妖精殿が、幸せなら、それで……」 ……任務放棄しやがったコノヤロウ。人の期待を裏切ってくれやがって。流石は悪魔ということか。
「うふふ。おにーさん。微妙な三角関係の出来上がりだね♪」 なんだそりゃ? 「えっとぉ、 悪魔くん→不幸にしたい→おにーさん、おにーさん→見捨てられない→悪魔くん、 ぼく→助けた→悪魔くん、悪魔くん→絶対服従→ぼく、 で、 ぼく→スキ→おにーさん、おにーさん→スキ→ぼく。ねー?」 ところどころおかしい。「絶対服従」とか、物々しすぎるだろ。 「絶対服従は絶対服従だよ。ね?悪魔くん?」 「はっ、はぃ……」 なんで耳まで真っ赤にしてんだ悪魔。コイツに何しやがった妖精。
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