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著者不詳
「ねえ、ゆーちゃん」 「んー?」 『図解・シールド工法』とかいう本を寝そべって読んでいたきーちゃんが、突然僕を呼んだ。ときたま「あはは」と笑い声を上げてたが、笑える本なんだろうか。 「チューしよっか」 「あ、ちょっと待って」 僕は開いていた算数のドリルを閉じて向き直った。 「ん、いいよ」 「じゃ早速」 四つんばいで這ってきたきーちゃんが、僕の唇にチューをする。 僕はゆっくりと自分から唇を押し付けていった。 口が少し開けると、唇の粘膜同士がぬるぬるとこすれあうくらい。 「ん…んちゅ…」 きーちゃんのベロが、僕の口の中ににゅるりと滑り込んでくる。 きーちゃんがさっき飲んでた、オレンジジュースの味がかすかにした。 僕は唇できーちゃんのベロを挟み、チュウチュウと吸い上げる。 きーちゃんはちゅぽんとベロを引き抜いて、今度は口の周りをチロチロとベロの先でなぞるように舐めてきた。 きーちゃんは小さい頃からチューが好きな子だった。 はじめてチューしたのがいつなのか思い出せないくらい前から、僕らはしょっちゅうチューをしてきた。 男の子同士でチューするのはヘン、って知ってからはちょっと恥ずかしくなったけれど。 それでも、きーちゃんがお構いなしにチューしてくるのを拒むことはしなかった。 だって、きーちゃんとのチューはすっごく気持ちよかったから。 今では、僕も余計なことは気にせず、きーちゃんとチューするのが当たり前になっていた。
いつの間にか、僕が床の上に仰向けになり、その上にきーちゃんがのしかかる体勢になっていた。 きーちゃんは身体が小さいからたいして重くない。 ボクの顔の上で、きーちゃんは口を開けてベロを突き出した。 ベロに沿って、きーちゃんの唾がつつーっと降りてくる。 僕もベロを伸ばして舌先をくっつけると、唾はそのまま僕の舌の上を流れて、口の中へと注ぎ込んできた。 それをじっくり味わってから、ごくりと飲み込む。 そしてまた、僕ときーちゃんはベロとベロを絡めあった。 「はふぅっ、んふ、んっ」 「くふっ…ん、ちゅっ…」 きーちゃんのベロは、僕の歯茎や上あご、ほっぺたの裏などを休みなくぺろぺろしてくる。 目を閉じると、きーちゃんの唇と舌の感触がよりはっきりと感じられた。 もう15分くらいチューしてる。どれだけチューしてもやめたくならない。これが愛しいってことなのかな。 一度目を開けたら、きーちゃんと目線が合った。 きーちゃんの目は、相手を見ているようで、相手の心の奥にある何かを見ているような目をしている。 僕の中には何がある?今はきっと、きーちゃんがいると思うよ……。 「……ぷはぁ」 さすがに疲れて、どちらからともなく唇を離すと、僕らの口の間に唾の橋がかかった。 「うん、満足満足」 そう言って、きーちゃんは手で唇をぬぐう。 「ねえ、きーちゃん」 「なーに?」 「きーちゃんは僕が好きなの?それとも単にチューが好きなだけなの?」 僕の問いに、きーちゃんは即答した。 「ボクはゆーちゃんとのチューが大好き。それじゃ、だめ?」 あの不思議な瞳で僕を見つめ返してくる。 「それで、いいか」 僕はもう一度だけ、きーちゃんに軽くチューをした。
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