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著者不明
「何だよ、怖いのか? 兄貴如きが、怖いのかよ?」 「そっ、そんなことない!」 そう挑発すれば、弟はカッとしたのか、すぐさまそう返してきた。 尊敬できない兄に怯えている自分が許せないのだろう、その耳が赤く染まっていた。 「へぇ……怖くないんだ?」 弟との距離を詰めていく。 一歩一歩、そのたびに、弟の表情に含まれる怯えが強くなるのが分かった。 目の前まで来たとき、弟はそのつんとした唇を僅かにふるわせ、俺を見上げていた。 じっとこちらを見つめるその様は、行き場を無くした獲物のようで、俺の加虐心をそそる。 軽くその細い肩を叩くと、弟はいとも簡単に後ろへ倒れ込んだ。 そこには俺のベッドがある。 くしゃくしゃにまるまった布団の上へ倒れ込んだ弟は、怯える小動物の目をしていた……。
「兄貴……」 弟の口からこぼれた言葉は、珍しく弱々しく、よけいに俺の感情を高ぶらせる。 まだ発育途上の弟は、ほっそりとした体をベッドに投げ出して、じっと俺の動向を探っている。 まるで期待しているようにも見えるその無防備さに、俺は思わず唾を飲んだ。 肩に手を掛け体重を載せると、その重さと痛みに弟の表情が歪む。 痛いよ……とか細い声が聞こえた気がしたが、俺はそれが聞こえなかったふりをして、もう片方の肩もベッドに押しつけた。 完全にベッドに縫いつけられた弟は、驚きの眼差しで俺を見ている。 無駄に生意気で知識の豊富なこいつは、俺のやろうとしていることに気づいているのかも知れなかった。 けれど、それが現実と結びつかずに脳内でオーバーヒートを起こしているのだろう。 それならば好都合だと、俺は弟の足の間に自分の足を割り込ませ、そこを無理矢理に開いてやった。 「……! な、やめろよ兄貴!」 自分の取らされた体制に、弟は声を荒げた。 無理矢理に開脚された両足は、閉じようとして力を込めてくるが、 さすがに小学生に力負けする俺でもない。 逆に、開ける限界まで、その足を開いてやった。 「どうしたんだよ。兄貴如きに勝てないのか?」 そう言ってやると、弟は悔しそうにその顔を歪めた。
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