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著者不詳
その年の春、就職した兄さんは初任給で家族を食事に招待してくれた。 初めて食べる本格的な中華に僕は緊張しっぱなし。 「貴司、うまいか?」 「う、うん」 10こも年が違うと、スーツを着た兄さんはとても大人に見えて、なんだか ちょっと誇らしい気持ちになる。 「貴之、おまえ始めての給料でこんなに使って大丈夫か?」 お父さんがちょっと心配そうに聞いる。 よく考えたら、ここって高そう。僕ら家族だけで1部屋を使ってるし。 「大丈夫だって、まぁ、毎月はむりだけどさ」 お父さんも、お母さんもとってもうれしそう。もちろん僕だってうれしい。 「貴司は、焼肉のほうがよかったかもな」 ちょっとだけほんと言うと味がわからないくらい緊張してるし、焼肉のほうも惹かれる。 でも、兄さんがご馳走してくれるんだもの、おいしくないわけ無いよ。 「おいしいよ」 「俺も人のこといえないけど、こういうのもとかもちょっと 慣れとかないとだしな。焼肉はまた今度な。」 「でも、外の夜景きれいだし」 僕は手を止めて窓の外に広がる景色を見た。窓の外に広がる夜景が、 春なのにクリスマスツリーみたいっておもちゃっう。発想が単純かも。 「だろ?友達にここがすっごくいいって聞いたからさ、絶対ここにしよって 決めてたんだ」 さっと顔が熱くなるのが自分でもわかる。 ねぇ、兄さん、友達ってあの女の人?
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