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著者不詳
もう僕はためらっている場合じゃなかった。行動あるのみ! 兄さんの手を引っ張る。前屈みになった兄さんはキョトンとしてる。 僕はギュッと目を閉じ、次の瞬間兄さんにキスしていた。 マンガとかテレビで見るみたいに激しいのなんて、恥ずかしくってむり。 それでも僕は兄さんの唇を強く感じた。 唇を離すとき、ちょっと舌で兄さんの唇をなめてみる。さっき飲んでいた ワインの味かな。ちょっぴり甘い香りに頭がぼーっとなりそう。 「ご、ごめんなさい」 とてもドキドキしてたけど、なんだちょっとだけ落ち着いてきて、兄さんの びっくりしている顔をみたら、とっても悪いことをした気持ちになってき ちゃった。 「なんで謝る」 はっとさせられるような、静かな落ち着いた声が僕に振り下ろされ、体を 切られるようなキュッとした痛みがどからか体中に拡がる。 この声は兄さんが怒っている証拠だ。どうしよう。
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