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著者不詳
「ああ、そうできるように考えてみる」 兄さんはそういうと、ちょっとぎこちなく僕をハグしてくれた。 ポンポンと叩かれる背中がとってもここちいい。 こうなると、僕は全部がどうでもいいなって思っちゃう。 兄さんは意志が強い人だし、本当に出て行くなら僕がお願いしてもむだってことくらい わかっているつもり。それでもやっぱり僕はごねてしまう。そしてそれを恥じるんだ。 「親父とお袋が心配するし、そろそろもどろっか」 体越しに伝わる兄さんの声はいつもよりちょっと低く響いてきて、いっそう僕を気持ち よくさせてくれる。 「はい。」 本当はもう少しこうしていたいって思ったけど、これ以上兄さんを困らせたら嫌われ ちゃいそうだし、素直に返事をすることにした。 ごめんね、兄さん。いつもいつも心配かけてばっかりで。 僕は感謝の気持ちがいっぱいいっぱい溢れてきて、自然に言葉が出た。 「兄さん、大好きです」 自分のじゃないみたいに聞こえる声。 兄さんはびっくりしたような顔をしている。 なんだかとっても恥ずかしい。ほっぺたが熱い。
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