「ダメ…僕……男の子だよぉ……あ…んっ…」のまとめ

祐希【1】

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祐希(1)

委員長氏

 今日も、祐希は固めの椅子に腰を下ろし、ピアノの鍵盤に指を走らせていた。
ショパンの幻想即興曲……祐希はそれがお気に入りだったが、兄の尚希はそうは思っていなかった。
「祐希ぃ、お前には、リストみたいな曲が言いって言っ――」
「リストは女ぽくってヤダ。」
 直希の言葉を遮って、ピアノを続けながら祐希は言った。
「兄貴に逆らうのかよ。」
 祐希の背後で、直希が棚に目を通しながら言った。
その棚は、楽譜用の棚で、祐希の大好きなショパンはもちろん、
ベートーヴェンだとかなんかの楽譜が所狭しと並んでいた。
直希は、そこから、一冊本を抜き出して、ピアノに楽譜を置いた。
「おい、止めろよ!」
 ショパンが途切れて沈黙が一瞬続くが、祐希は直希の目を見た瞬間、
「弾けば良いんだろ、弾けば……。」と目を逸らして、開かれたページの曲……"愛の夢"を弾き始めた。
 やっぱり、こいつ、俺に惚れてるwww。
直希は直感して、口をにやけさせるが、ピアノに夢中になっている祐希は気付いていないようだった。


 曲の終盤にもなると、直希は祐希にちょっかいをかけ出すが、
曲を途中で止めるのが嫌な祐希には、手出しできなく、「止めろ」と口で言うしかない。
 3回目が終ると、さすがに祐希は耐え切れなくて、
「止めろよ! バカ兄! どっかいけ!」といい始める。
直希は、ふと、祐希の初めてのコンクールのときを思い出した。
あの時、祐希に会った人……それも、本当の性別を知っている人達は決まって、
「この子は、女の子だったかしら?」と名簿を捲って、祐希の女の子っぽさに驚いていたものだ。
祐希は気付いていないようだったが、直希はそれを見て、
「見かけ女っぽいんだから、言葉遣いとかも女っぽくすれば良いのに……」と、思ったのを覚えていた。


「なんとか、言えよ! ばか!」
 直希が気付くと、目の前には、本当に僅か目を潤わせている祐希の姿があった。
近くに居ると、叩かれそうだったので、直希は一歩足を引いて、言葉を返した。
「え? いや、あんまり、可愛いから。」
 直希はくすくす笑ったが、祐希にとってはただ事じゃない。
何も言わずに祐希は部屋を出て行った。ドアを閉める音が以上に大きく感じられた。
 直希は溜息を付いて、さっきまで祐希が座っていた椅子に腰を下ろし、鍵盤に指を置いた。
そして、すでに頭に入っている曲をすらすらと弾き始めた。
実は、祐希のために作った曲だったりするが、本人には伝えていない。


 10分くらいの曲を2回弾き終えた頃、祐希が部屋のドアを開けたのが分かった。
直希は曲をピタリと止め、祐希を方へ向きを変えた。
「お、俺が弾くんだからどけろよ。」
 すかさず祐希が言った。直希はどけてやろうと、腰を浮かせようとしたが、
ある案が頭をよぎったので、腰を落ち着かせた。
「う~ん。じゃあさ、この部屋で、俺と2人っきりな時はさ、もうちょっと言葉を可愛くさ、してくれない・」
 こんな事を言うのは、今まで以上に祐希が惚れているという自身があったからだ。
出てった時よりも汗に濡れていて、少し息が上がっている。
「なっ、何言ってんだよ! どけろよ!」
 さすがに理性はあるらしく、肩をど突いて来たが、余計に汗ばんでいるようだった。


 直希はくすくすと笑って、祐希に顔を近づけた。
「俺のコト……好きなんでしょ……?」
 さすがに、言うのは躊躇いがあった。告白するのは、絶対の自信があっても途惑ってしまうものだ。
少しだけ間が空いて、祐希が口を開いた。
「ん、んなわけねーだろ! ばか!」
 祐希は直希を突き放したが、それが本音とは思いがたいものだった。
直希は、祐希を抱き寄せて、もう一度繰り返した。
やはり、祐希は反論したが、もはや言葉に感情がなく、素直になれていないだけだった。


 直希には、祐希のドキドキが伝わっていた。
直希は祐希を少し離して、すかさぐ口を合わせた。
祐希は初め、抵抗するようだったが、直希を慣れたキスに少しずつ堕ちていった。
そのうち、それに少しの快楽も持つようになり、「んっ……あ……」と声を漏らすようになった。
「ん? 感じてんの?」
 直希がくすくす笑って言った。
「ち、ちげーよ!んなわけ――!」
 言葉の途中で直希が口を塞いだ。
そして、祐希はまた喘ぎだす。やっぱ感じてんじゃん、と直希は思いながら、口を離した。
「じゃあ、なんで声出すの? 勝手に出ちゃうの?」
 直希は自分が意地悪だと自覚しながらも、問いかけた。
「そ……それは……。」
 祐希がそんなことを答えるはずがない。頬を真っ赤に染めて目を逸らしてしまった。


 直希は独特の笑いをしながら、祐希を抱き締めた。
「いいんだよ。やっぱ俺……そのままの祐希が好きだから……。」
 直希の位置からは、祐希の顔は見えないが、より赤くなっているのは容易に想像がつく。
髪を撫でて、もう一度、祐希と向かい合う形になった。
少し動きを止めてから、ふいを突くように、祐希の体を動かした。
祐希の膝が折れて、直希の膝の上に座るような形になった。
「ちょっ、やめろって!」
 やっぱり、祐希は抵抗するが、いいじゃん、と笑ってごまかすと、少し素直になったような気がした。
「手挙げて?」
 祐希は戸惑いを隠せない様子だったが、「ほら、早く。」と直希が急かすと、両手を挙げた。
直希は祐希のシャツをゆっくり脱がせた。祐希の白い肌があらわになる。
「綺麗だね……。祐希の体。」
 実際、祐希の体は、傷一つなく女の子のようで、だからといって、白すぎなくて……。
「なっ、何言ってんだよ。」
 また、祐希は顔を赤らめているようだったが、抵抗が治まっているということは、
後は直希のもんだということだった。

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