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「弘さぁ、お姉さんと仲いいほう?」
「おねぇ?結構仲いいほうだと思うけどなぁ」
部活も終わると、夏が近いとはえもう辺りはどちらかといえば
夜と言えるくらい夕方の気配が無くなっている。
僕の右側を歩く智はなんだかいつもと違っていて、疲れているように見えた。
「智とお兄さんは?」
「・・・・・」
智の返事はなかった。そればかりか、急に歩みが遅くなる。
「どうしたの?」
振り返った僕の視線が彼の不安げな視線と交した。
「喧嘩でもした?」
「う、うーん・・」
なんだろういつもの智らしさがなく、歯切れが悪い。

入学式の日に智をみたとき、酷く儚げに見え、「イジメのターゲットにならなきゃ
いいけど」なんて余計な心配をしたんだけど。
でも付き合ってみると、僕たちと同じ歳とは思えないヘンな落ち着きと筋の通った
強さが感じられ、僕も含め沢山の奴が魅了されてった。
「なんかあったの?」
「・・・う~ん」
今までに見たことの無い智の煮え切らない態度に引っかかるものを感じ、
本気で話を聞いてみようかと思った。
「寄り道してこっか。」
ちょっと目を見開いて僕を見返してくる。
「うん、・・・ありがとう」
軽く微笑んで答える智に僕は顔が火照るのが判った。
『なに照れてんだ。。智は男だぞー』心の中で絶叫しつつ、ピシピシと軽く右手で
自分の頬を叩いた。
「蚊にさされたかな?ちょっとチクッとして・・・」
「大丈夫?」
智が手を伸ばして、僕の頬に触れた。心拍数が一気に上がる。
「大丈夫、大丈夫」
僕は気付かれまいとしてくるりと向きを変えて歩き始める。
「運動公園いってみようっか、小遣いもらったばっかりだから、ジュースおごるよ」
「・・・うん、ありがとう。弘って優しいね」
あぁ、なんてむずむずするっ!

「ほい、コーラ」
「ごちそうさま」
コーラを手渡しつつ智のとなりに座った。
「で?」
「う、うーん」
どうにも話しにくいことのようだけで、僕は智が話し始めるまで待ってみることにした。
近くの道を走る車の音を打ち負かすようなカエルたちの大合唱が聞こえてくる。
僕のジンジャエールがあらかた無くなっても、智のコーラは蓋さえ開けられてない。
智は足にひじを付きコカコーラの蓋をもってブラブラさせ、時折小さなため息を漏らしていた。
こんな時どういってあげたら智の負担を減らして上げられるのか、
僕にはまださっぱりわかりそうもない。
とはいっても、智の悩みは深そうで、僕はどうにかしてあげたいという気持ちでいっぱいだった。
言いにくいコトであることは僕でも十分にわかっているし、なにか言いやすい雰囲気になればと
思ったりする。いっそのことおねぇとのコトを暴露するしかないかと思い始めた頃、智が口を開いた。
「誰にも言わないでね。」
智の表情は見えないけど、視界の隅に写る耳は真っ赤だった。
「うん」
僕は黙って返事をする。
「・・・僕さ、にぃのことが、大好きなんだ」
「うん」
キョトンとする僕に、意図が伝わらないと思ったのか、智は重ねて言った。
「弘だから言うんだけど、兄弟としてじゃない好きなんだ。にぃも分かってくれてる、と思う」
「そ、そうなんだ。。」
僕は間抜けな返事を返すことしかできなかった。