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ボク馬鹿だ・・・なに考えてたんだろ・・・・・
ほんと・・・なんであんな事言っちゃったんだろ
昨日まではクラスの皆といつもどおりに会話してたのに
じゃれあったり、ふざけて走り回ったり、宿題を見せ合ったりしてたのに・・・

思考はぐるぐると同じところで回転し、一向に纏まる気配をみせない。
登校してきてから何処か皆の様子がおかしいとは思っていた。
ジロジロと遠巻きにボクを眺める友達を見て胸騒ぎがしたのは確かだ。
だけどそんな筈がないと何度も考えなおした。そんなわけない・・・
だってアノ事をユウちゃんが・・・だってユウちゃんは・・・・・


皆がニヤニヤと笑ってる。ねっとりとしたクラス中の好奇の視線を浴び、ボクは机にじっと座り俯く。
黒板の前ではダイちゃんとケン君が、ドアの近くでトオル君達が、
其々昨日のボクの真似とおぼしきセリフを大袈裟な口調で演じている。
ユウちゃんは・・・まだ学校に来ていないみたいだった。どうして?ユウちゃんどうして・・・・・・
恥ずかしい、死んでしまいたい。顔が火のついたように熱を出している
ボクに届くギリギリの声量で口々に噂するクラスメート達。きっとわざと聞こえるように言っているんだろう。
あ、今ボクの名前が聞こえた気がする。いやだ、お願いもうやめて。
耳を閉じたい。眼も心も閉ざして何処か別の場所へ逃げてだしてしまいたい。
どこまで噂は広がってるんだろう。クラス中?学年?・・・・学校全体?お兄ちゃんにも知られてしまうかもしれない。
頭は真っ白になり胸がどす黒い不安で塗りつぶされていた。

朝のHRの前に、友達(ボクがそう思ってただけかもしれない・・・)のトオル君がボクの前にきて言った一言。
その一言でボクはこの異変のイキサツの全てを悟った。

「ボク、ユウチャンガスキカモシンナーイ」
馬鹿でかい声で言ったそのセリフで皆がどっと笑う。
トオル君はさらに続ける。
「キストカシチャ・・・ダメカナーー?」
またどかっと教室の空気が湧いた。
男の子も女の子も皆ボクを心底軽蔑しきったような眼で見下していた。
あちらこちらから「きめえええ!」という絶叫とも悲鳴ともつかぬ声と、絶え間ない笑い声が聞こえる。
もう、判った。全部判った。死にたい。

ユウちゃん・・・ユウちゃん・・・どうして・・・・・?

昨日、ユウちゃんのうちに行った。
ふたりっきりの居間で普通に会話してフィーバー2やってドカポンやって・・・
同じコタツに入って身を寄せ合って遊んだ。ジュースを飲んだ。ポテチ食べた。
ユウちゃんはしきりにボクの顔を見て、ただ楽しくて笑った。
ボクもときどきユウちゃんの顔を覗き込んで意味も無く笑った。いつも通りの楽しい時間。ボクが一番大好きな時間。
「おらあっ!捕まえたー!」
ゲームにも飽きた頃ユウちゃんがボクを後ろから両腕で抱えて持ち上げた。
ボクは小柄だからいつも簡単に持ち上げられてしまう。
「もーやめてよお」内心嬉しかったけど一応怒ってみる。
「うっせーな、ちっちゃすぎるんだよお前。あーーあったけー」
ユウちゃんがほっぺをボクの頭に押付けて意地悪そうに笑った。いっつもこんな風に馬鹿にするんだ。
悔しかったから必死で抵抗してユウちゃんのバランスを崩してやった。
ふたりで絨毯が敷かれた床に崩れ込む。どすんと音がした。
痛かったけどボクらはふたりで顔を見合わせて笑った。
ふっとボクらの顔の距離が20cmとないことに気付く。目の前におっきくユウちゃんの顔があった。
かっこいいな・・・いつもみとれていた。整った顔立ち、栗色の髪、くりっとした眼は今まっすぐボクに向けられている。
気付くと随分長い間無言で僕らは見詰め合っていた。
沈黙を破るようにユウちゃんが呟く。
「ナルキって綺麗な顔してんだな・・・白くって・・・。」
すっとユウちゃんの手がボクの前髪に触れた。
心臓は爆発するくらいドキドキしていたけど心はふしぎなほど落ち着いていた。
「きすとかしちゃ・・・ダメかな・・・・?」
すっと本心が喉を通って外に零れた。ユウちゃんはピクリとも動かずこちらを静かにみつめている。
自分で自分の言葉に驚いた。・・・でも止まらなかった。
「ボク、ユウちゃんのことすきかもしれない・・・・・」