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もういいや。この妖精さんも流れる涙も、全てを受け入れることにした。
「で、キミは何ができるのかな?」
「あ、やっと受け入れてくれたんですね? 嬉しいです。僕ができることは『チョコレート』です」
「……それは動詞でも、動作を示す名詞でもない。『チョコレートが作れる』ってことでいいのか?」
「いいえ。ぼくは『チョコレート』なんです」
「……はぁ?」
「だから、『チョコレート』なんですってば! ああもう、なんでわかんないかな……」
ちょっとイラだったように可愛い声を荒げて、考え込んで、
「もう! アタマよりもカラダのほうがよくわかりますよね? おにーさん、ぼくを食べてください」
なんでベッドに腰掛けてそんなことを言うのか。
少年よ。オレはまだ壁の向こうに行きたくもないし、「そういう」新しい嗜好も開発したくない。

「うふふ。おにーさんのえっちー」
結局、オレはこの1時間くらいの間で、3回の涙を流すことになった。
少年曰く、彼の体はどこをとってもチョコレートの味がするので、適当に舐めてみろ、ということだった。
だったらそうと言え。ったく。
言われてみれば、彼の髪も目も「おいしそう」なチョコの色をしている。ふむ、なるほどな。
「じゃ、ちょっといいか?」
確認するや否や、はいどうぞとでも言うように手を伸ばしてきた。
手の甲のところをちょっと舐めてみる。あ、甘い。
「ね、おいしいでしょ? これで、ぼくがただの人間じゃないってコトも、確認してもらえたと思います」
確かに。市販のチョコよりはずっとおいしい。しかも甘い香りの体臭までついてるらしい。さすがは妖精。
「しかし、少年。おまえがいることで、俺の腹はふくれるのか?」
「いいえ? 別に? あ、ぼくの給料は『三食昼寝つき』で手を打ってくださいね?」
帰れ。即刻帰れ。