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ちらっと紫火を見つつ、七科は箸に手を伸ばした。
椀を取り、焼き魚を摘むと、飯を掻き込む。
米と魚の身を噛み、十二分にその味を堪能すると、名残惜しそうにそれを飲み込んだ。
「うん。旨いな!」
「ありがとうございます」
紫火が頭を下げる。
「……流石にこの味までは、狐の化け細工じゃできんわな」
七科の言葉に、顔を上げようとした紫火がぴたっと停止する。
「気付いていらっしゃったんですね…」
「まぁな。こんな人里離れたとこに民家があるはずがない。顔、上げな。俺を化かして何するつもりだい」
その真相を問われ、ゆっくりと紫火は顔を上げる。
七科に向けられた表情は、とても儚くて、今にも消えてしまいそうで、紫火が何か悪さをするのだと思い込んでいた七科は呆気に取られた。
「僕を抱いては、くださらないでしょうか」
「抱く…ってのか。そりゃまた面白いことを言うな」
「本気です!今すぐにとは言いません…でも、でも夜明けまでにはっ!」
深刻な紫火の口から上げれた声が部屋に木霊する。
必死に訴えかけられた当の本人は、少しばかり頭を掻いて、口を開いた。
「一宿一飯の恩ていうしな。男を抱く趣味はねぇが、まぁいいさ」
「ほ、本当ですか!?」
「本当本当。これ食ったらすぐにでも」
「え…それはちょっと…」