※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

鏡の前で何度も全身をチェック。…うん、おかしいところはない。そう解ってはいるのだけれど、何となく安心できずにまだ鏡の前を離れられずに居る。
にっと笑う。鏡の中の僕も、にっと笑う。
むっと眉根を寄せる。鏡の中の僕も、むっと眉根を寄せる。
……それから、兄様のように、腕を組んでみた。鏡の中の僕も、兄様のように腕を組んでいる。
「こんな時くらい気を利かせて、兄様を映してくれればいいのに……」
なんて出来もしない事を呟いて、目を閉じる。
…兄様。大好きな兄様。本当の弟のように僕を大切にしてくれる兄様。
そんな関係で充分だった筈なのに、欲張りな僕の心は、最近そんな関係が苦しいと叫んでる。
「ごめんなさい、兄様。僕は、もう立派な弟では居られないかもしれません――」
鏡の中の自分越しに、きっとまだ屋敷で眠っているだろう兄様の姿を見る。

僕は仕立屋の息子。貴族の兄様とは、生まれも育ちも何もかも違いすぎる、平民の子。
(……ただ一つ、同じなのは)
唇を噛む。唯一の共通点が、今となっては痛い位にもどかしい。
高望みする自分を抑えて、家を飛び出した。
今はそれでも構わない。僕を必要としてくれるのなら、どこへでも駆けつける。
兄様と一緒に居たい。それが僕、ルーク=ウェルマーのたった一つの願い――