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AとK

著者不詳

それは夏休みの終わりが3日後に迫ってた時の出来事だった。
中学校生活にウンザリ気味だった俺は、その日もまた不規則な生活をしていた。
なんて事はないいつも通りの日常。
母親はいつものように仕事へ出、家には自分ひとり。
犬と戯れながら午後を過ごしていた。

その日の夜の事、母親が新聞を片手に

親:『A(自分)!K君ってあのK君よね??』
俺:『K?幼馴染じゃん、何あわててんの?』
親:『(暫く無言だったが)・・・交通事故で亡くなったみたいよ・・・』

暫く絶句。
俺は『・・あ、そうなんだ。。』と、答えるのが精一杯だった。
冷静を装うとしたが、体は震えたまま。
Kとは同じ中学に通っていて、家庭の事情で彼は荒れていたんだが
いつも、壊れたバケツのように何かを必死に埋めようとしている姿がその時脳裏に蘇った。

心がものすごい不安に駆られたが、母親と話を続けることなく自室に戻り、
暫く考え込んだが、ベットに入る事にした。
明かりは全て消し、横になっていたが良く眠れない。
漠然とだが部屋の雰囲気が気持ち悪るい事に気づいた。

その時だった。


ベランダにかけてたカーテンの隙間に、何か光るものがある。
恐る恐る首を上げて目を向けて見た。

『・・・うわっ・・・何んだあの濃オレンジ色の光は・・・』
それは点を結ぶと三角形になるように、3つの炎が揺らめいていた。
その時俺は悟った・・

『・・・K、お前か・・・』
俺は急に恐ろしさと僅かな寂しさで凍りつき
そしてすぐ布団を頭まで必死に被って震えていた。

気が付くと朝になっていた。
外は曇り、ずっと続いていたやな気持ちを紛らわそうと、その日はやけに
人の多い場所へでかけに行った。

家に帰ってくると、飼ってた犬が草むらに居るのが見えた。
その時は家族の誰かが散歩に連れてこうとしてるんだと思い、特に不思議には思わなかった。
でも、おかしい。
どこかで繋ぎとめてるわけじゃないし、周りには誰も居ない。

玄関で親に聞いてみた


俺『犬の散歩にいくの?』
親『あー、そうね、でも夕食が終わってからにしようかと思ってたけど?』
俺『ん?え、だってもう外に出してんじゃん?』
親『え?、朝の散歩の時しか連れてってないわよ?』

じゃあ、何で外に居るんだと思った俺は、犬のところへ駆け寄った。
『おーい、何でここにいんだ?チェーンはずれちゃったのか?』
そう声をかけてチェーンの先端に目を移したときだった・・・
『・・・嘘だろ・・・』

その先端は散歩に連れて行くときにだけ、環に組み替えるタイプのチェーンだったのだが
まるでついさっきまで誰かがチェーンを握っていたかのようになっていたのだった。

正直怖かったが、小屋につなぎなおし家に戻った。
夕方になり、少し風が強くなって木々がざわめいていた。

夕食を済ませ、親は散歩にでかけ、俺は風呂に入る事にした。
昨日からずっと誰かに見られてるような気がしてならない。
まぁ、漠然としつつもKだと思っていたが・・・。

その日の夜、カーテンは全て閉め、眠った。
早朝4時ごろ、ベットの脇をKがはいていたナイロンぽいウエアのこすれる音がして目が覚めた。
その日はもう起きる事にした。
蛍光灯だけ付けて、マンガでも読もうかとベランダの前の机に座って読んでたとき
いきなり目の前のベランダの窓が音を立てた。


『・・!?』 もう怖くて声も動く事も出来なかった。
暫く鳴っていたのだが、どうも不規則に叩いてるような音だった。

気が付いたときはもう音は止まり、あまりの出来事に親の部屋に逃げ込んでしまった。
母親は寝てたが、起こす訳にも行かずただ近くに寄り添って座った。
暫くして落ち着き、母親も起き

親『ん・・・、A、おはよう・・ん、何してるの?』
俺『あ、うん、ちょっとね、寒かったから』
なんて適当な事をいって、1階へ降りた。
だが、母親は感づいていたようで、朝食を作りはじめ、食事をした。

明日は、始業式。
幼馴染と顔をあわせ、学校内特に学年内ではKの事でもちきりだった。
全校集会では校長が、重い口調でKが事故死したことをみなに伝えた。
仲間内でバイクで遊んでいたらしいが、公道にでてしまい横から衝突し即死したようだった。

俺以外にも小学校来の幼馴染がいて、そいつらの方がよく遊んでいたので
俺よりもショックがでかかった様子だった。
そいつがKの告別式で弔辞をして、もうボロボロに泣き崩れてた様子がすごく印象に残った。

Kの死後以来、自分のところだけではなく知り合いの間にもKは現われたらしく、
一人は、玄関にあいつが立ってただとか、階段を駆け上がるKの足音を聞いたとか
色々変な現象が起こってたようだった。

俺は大分もう落ち着いていたが、まだ少しやな雰囲気が残っていた。
その日の夜。


ベットで急に目が覚め、『・・・ああ、またKか。 もういい加減帰ったらどうだ』と呟いた。
ベットで目を開けて横になっていた状態だったが、天井の壁の裏からなんか音が聞こえる。
自分の部屋は2階で、天井裏に部屋もないし階もないのだが、
次の瞬間何か『ゴォォォーーーー』と風が吸い込まれるような音がした。
徐々に大きくなり、そして『ギィー、ガタガタン』と木製の門か大きなドアが閉じるような音がした。
連日のような事なので、もう特に驚く事もなく事実を受け入れていた。

しかし、この日以来もうKの雰囲気は何も感じなくなった。
後日友達と話していたら丁度前日の午後にKの火葬が執り行われていたと知った。

Kとの思い出は悪いものばかりではないし、アイツはアイツなりに悩んで色々さまよっていたのだと思う。
そりゃ、Kは自分が死んだ事を受け入れる以前に理解する事ができなかっただろうし。
アイツと学校サボって2ケツしながら遊んだ日のことを思い出しながら、ふとそうなんだろうなと思った。
Kなりの別れの挨拶だったのかもしれない。