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チョコ妖精(10)

著者不詳

おやつを食べて一息ついたそのタイミングで、妖精がなにか耐えかねたように切り出した。
「おにーさん、暖房、つよくない?」
そうか? 設定温度は23度。冬の暖房ってこんなもんだと思うんだが。
「この室温、ぼくにとっては、かなり高温なんだよ。だから、おねがい。下げて?」
「断る。寒いのはキライだ。そんなに寒いのが好きなら、ひとりで外に行って来い」
「おにーさんのイジワル! …えっとぉ、ぼく、暖房に当たってばっかりいるとね、脂が浮いちゃうんだよ」
・・・。
「は? 脂?」
なんで?
訝しげにするオレに、さっきまで食べてたチョコのパッケージを突きつける妖精。何? 読めって?

「高温でやわらかくなったチョコレートは冷えて固まると白くなることがあります(ファットブルームといいます)。これはチョコレートの中の油脂分であり、召し上がっても身体に差し障りはありませんが、風味は劣ります」

ふうん? ファットブルームねぇ?
「わかった? おにーさん。ファットブルームがおきちゃうんだよ」
冗談だろ? そこまでおまえはチョコと一緒なのか。
「そうなったらもうタイヘンでね? ベトつき肌&乾燥肌のわがまま肌になっちゃってもうヒドイんだから」
そんなこと力説されてもな……
「だーかーらぁ、暖房は切るー」ぷちっ
っあー! バカ! このバカ!


……。…………。寒い。
「寒い、ね、おにーさん……」
オマエも寒いのかよ。思いっきり震えてんじゃん。
「ねぇ、寒いから、ぎゅってして?」
「ファットブルームは?」
「お口で溶けて手で溶けない」
……。M&M'sか?
「わかったよ。ほら、こっち来い」
わーい、とパタパタ駆け寄ってくるチョコ妖精。幸せそうな面しやがって。
さて、妖精ごときじゃ寒いのはどうにもならん。布団でもかぶるか。
あ、今日は見かけないと思ったら、こんなとこに隠れてたのか。悪魔。まぁいいや。
こらバカ!妖精! 布団に入ったからってはしゃぐんじゃない! っこら、ソコは……! やめ……