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「いやぁ、危ないトコだったねぇ、リュオ。」
「…ジグ…お前、オレに切り刻まれたいのか?」
ジグ、と呼ばれたのは魔術師風の、銀髪の少年。
だが、その髪の色も然る事ながら、むしろその頭上に生えた…同色のイヌ科の耳が特徴的だった。
背後に見える尾も見ると、恐らく狐の其れと思われる。
リュオの言葉に少しだけ不満げに見開かれた紅い眼は、その銀髪と白い肌に良く映えていた。
「へ?なんでさー。助けてあげたじゃんー…」
「あの場でお前、オレが回避しなくても撃つ心算だっただろう!」
責め立てる様なリュオの怒鳴り声。
ぎくり。
少しだけ、ジグの顔に焦りの色がにじんだ。
耳と尾が少しだけ、垂れているのがよく解る。

「そ、そんなことあるわけないじゃない、か。あはは、はは…」
今一要領を得ない表情をするジグに、リュオはさらに責め立てる様に一瞥して、落ちつく様に息を吐く。
すると、黒い鎧と兜の様なモノと剣の様なモノが彼の体の中へと消えて行く。
その下から現れたのは…黒い髪と、そして、頭上には同色の…矢張り、イヌ科の耳。
やっぱり在る尻尾を見ると、犬…というより、狼、だろう。
鎧が無くなるとと、かなり軽装な服装から見える肌は、よく焼けていて精悍に見える。
とは言え、やはりその顔つきは幼い物だが。
ジグの方を睨む鋭い金色の目は、すこしおっかない。

「次やったらお前もゴブリン共の様に切り刻んでやるからな…」
吐き捨てる様に言って、くるりと背を向け去って行った。
勿論、ジグもその後を追いかけていく。
それを振り払うように早足になるリュオ。
追いつくように走るジグ。
流石に長くは続かなく、追いつくと、その右手を掴みべったりとくっつきながら猫撫で声…もとい、狐撫で声なんか上げていた。
「も~…助かったんだから、いいじゃない。俺に助けられて、嬉しいくせに可愛いなぁ、リュオは。」
なんて、さきほどの焦った様子はどこへやら、笑いながら横を歩く。
…当然、リュオは振り払う、かと思われた、が。
その日に焼けた顔を真っ赤にして少しだけその尾を垂れさせて歩く速度を上げただけ、の様だ。
まんざら、嫌でもないのだろうか。
ジグが置いてけぼりになりかけるが、その隣に歩調を合わせて付いていく。
やっぱり、ベッタリとしたまんま。

──少し傾きかけた日が、空に見えた。