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<<艦長日誌 宇宙暦53819.2 探査目標の地球型惑星に到着。
 船体バリア形成に必要なシルディオンの天然鉱脈が存在する可能性があり、降下して調査することにした>>

 ごつごつした岩ばかりの惑星の上で、銀河艦隊士官の服に身を包んだ二人の少年が、岩壁に開いた洞窟の前に立っている。
「ベテルバーグ艦長、どうやらこの洞窟の奥にシルディオン鉱石が集中しているようです」
 色白の少年が探査装置(スキャナー)の表示を見て言った。
「わかった、ベータくん」
 艦長と呼ばれたもう一人の活発そうな少年がうなづく。
「でも、艦長って呼ぶなって言ってるだろ?リュカでいいよ。どうせ二人だけなんだし」
 彼らの乗るC級深宇宙探査艦「エンノイア」は、重要度や危険度の高くない探検に使われる小型の宇宙船で、クルーはリュカとベータだけだった。
「ですが、艦隊の規律が……」
「んもー、固いなぁ。もっとやわらかーくやわらかーく」
 リュカはベータのほっぺたをつまんでグニグニと引っ張った。
「にゃにするんでひゅか」
「うーん、ボディは機械とは思えないくらい柔らかいのにな」
 艦隊ではアンドロイド兵が採用されている。ベータもそのうちの一体だった。ちなみに正式名称はDT0928-βという。
 人間の士官の中には、アンドロイドを物扱いする者もいるが、リュカはそうではなかった。
 外見年齢が近いこともあって、ベータを友人のように思っている。
「OKかな?ベータくん」
「……わかりました、リュカさん」
「よし、じゃあこの中に潜ってみるか。レアもののテトリオン鉱石の鉱床が見つかったら大手柄だ」
 意気揚々と洞窟に入っていくリュカの後を、ベータはやれやれといった様子で付いて行った。

「わあ、これはすごいな」
 最深部まで到着すると、そこには広大な地底湖が広がっていた。
 水は不思議なエメラルド色に光っている。シルディオンが溶け出している証拠だ。
「このあたりの岩は全部シルディオン鉱石のようです」
「純度を調べてくれる?鉱床の広がり具合と埋蔵量の見積もりも」
「わかりました」
 ベータはスキャナーとデータリンクし、演算を始めた。
「それにしてもきれいだな。バーチャルデッキのデータに保存しておこうか……ん?」
 急に水面が波打ち始める。
「なんだ?うわっ!」
 いきなり蛇のようなにょろにょろした物が多数飛び出してきた。
 リュカは慌ててブラスターガンを構える。
 やがて、湖の底から醜いヒキガエルのような巨大な化け物がのっそりと姿を現した。
 蛇に見えたのは、化け物の身体中から生えている触手のようだ。
「知的生物には見えないな」
「たしかにグロテスクですが、かといって危険な生物とは限りませんよ」
「いや、ボクには分かる……こいつはヤバい」
 化け物の4つの瞳は、明らかに獲物を狙う目をしている。リュカの本能がそう感じていた。