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<<システム・オールグリーン、DT0928-βリブート完了>>
「はっ」
 ベータがセーフモードから復帰する。
「……艦長?艦長っ!?」
「ん……あぅ……はぅっ」
 ベータの視覚センサーに飛び込んできたのは、化け物に捕らえられ辱めを受けているリュカの姿だった。
「今助けます!」
<<原則1項適用。身体制御リミッターオフ>>
 目覚めたベータに気がついた化け物が、ぎろりとベータを睨み触手を飛ばしてきた。
「こんなもの……っ!」
 ベータは両手で触手をつかみ引きちぎる。
 普段は負荷のことを考えて押さえられていたパワーが、人命救助のために最大限発揮されていた。
「はあああっ!」
 湖岸から一気に化け物の本体へと飛びかかり、渾身の一撃を食らわせようとする。
「ギイイイイッ!」
 あと少しで拳が届くというところで、化け物がバリアを発生させる。
 障壁に阻まれ、反発力で岸まで吹っ飛ばされるが、今度はうまく受身を取り、すぐに体勢を立て直す。

「これは厄介ですね。近づけても攻撃できないとは」
 ベータは、いまだ触手にぐるぐる巻きにされているリュカの様子をちらりと見た。
 少しうっとおしいときもあるけど、それでもベータにとって、銀河艦隊長官や製作者などよりずっと大切な人間だ。
 たとえ自分が犠牲になっても助け出せ。そう自らのプログラムが命令していた。
 もう少しがんばってください……!
 そのとき、リュカの唇がわずかに動いているのに気がついた。
(ブラスター…周波数を…1960に…水面を……)
 確かにそう言っている。
 その意味に気がついたベータは、迷わずブラスターを抜き、周波数を設定して湖面を撃った。
 ブラスターの照射を受けた湖面が明るく輝き、光の床のようになった。
「ギアアアアアッ!?」
 半身を水に沈めた状態だった化け物の身体が、水面に沿って引き裂かれる。
 リュカの指示した周波数は、シルディオンを励起させる数値。
 水中に溶けたシルディオンが反応し、湖面すべてを使ったバリアフィールドが発生したのだった。
 化け物の身体がぐらりと揺らぐ。ドボン、とバリアが溶けた湖面にリュカの身体が落ちた。
 ベータはすぐさま地底湖に飛び込んだ。

「大丈夫ですか?艦長」
「うー、げほっげほっ」
 ベータに助け出されたリュカは、湖岸で介抱されていた。いまや化け物はベータに止めをさされ完全に絶命していた。
「ひどい目に会いましたね。かわいそうに」
「まったくだよ。ヘンな汁を身体の中に注がれるしさぁ」
「汁?ちょっと失礼。アーンしてください」
 ベータが指をリュカの口の中に入れた。しばらくしてベータが眉をしかめる。
「まずいですね。極小の寄生体が粘膜にくっついてます」
「えええっ」
「あの生物の幼生か何かでしょうか……船に戻れば除去できますが」
 この洞窟の奥から船に戻るのは時間がかかる。だが、寄生体の身体への影響がいつ出るのか分からない。
「仕方ありません、何とか私がここでナノマシンを合成してみます。
 私の有機ユニットを汚染から防ぐための免疫ナノマシンを改良すれば、応急処置になるでしょう」
「お願い」