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<<航星日誌 宇宙暦53908.4 植民惑星からの救難信号を受信した>>

「動力炉のパーツがない?」
 小型宇宙艦の少年艦長リュカは、惑星ショタヨルのオペレーターに尋ねた。
『はい、地球本星に…呼びかけて…るのですが、物資が届くま…保つかどうか……』
 通信機からの声は雑音が混じっていてうまく聞き取れない。
「ベータくん、この船の予備パーツのリスト出して」
「こちらです」
 少年型アンドロイドの副長ベータがデータパッドを差し出す。
「亜空間制御プラグはまだ余ってるな……よし、お分けしましょう」
『本当で…か!ありがとうござ…ます!』
 リュカはショタヨル星の座標を聞き、通信を切った。
「変ですね。その座標の星に入植した記録はないのですが」
 ベータが首をかしげる。
「たまに記録漏れがあるんだ。そういう星は気づかれるまで地球からの支援が届かない。
 動力炉が暴走したら大変だ。最短コースで向かおう」
 リュカはコース変更をコンピュータに指示しながら言った。
 このとき、彼らは自分たちが恐ろしい罠にかかるとは、星屑ほども思っていなかったのである。

 目的地への到着をコンピュータが告げた。
「植民基地が一つだけ。人数もそう多くないようですね」
 ベータが惑星をスキャンする。
「着陸ビーコンが出ています。降りますか?」
「ああ、降下シークエンス開始」
 誘導に従って着陸すると、迎えに来たのはみな思春期前後の男の子だった。
「ようこそショタヨルへ。僕がここのリーダーのイヴァンです」
 そう自己紹介したのも、12歳くらいの少年である。
「リーダーって、大人の人は?」
「いません。いや、いなくなった」
 イヴァンの話によると、近くの恒星からの特殊な放射線を浴びて、植民者達はことごとく死に絶えてしまったのだという。
 しかし、Y染色体を持つ男子ならば、大人になるまでは生きていられるのだそうだ。
「短期間の滞在なら被害はありません。それに、遺伝子工学でこの問題も解決しつつあります」
「ですが、その前に動力炉が壊れてしまっては元も子もなかった」
「持ってきていただいた亜空間制御プラグは早速取り付けます」
「あなたたちは基地で休んでいてください。ささやかながらお礼のパーティーも用意しています」
 少年たちが口々に言う。
「じゃ、お言葉に甘えるか」
「リュカさんは先に行っていてください。私はこの放射線症の話を聞いてみたい」
「わかった」

 基地のホールで開かれたパーティーに出席していたのも、やはり少年たちばかりだった。
 リュカはきょろきょろと姿を現さないベータを探しながら、もてなしの料理を食べ歩く。
「ベータくん遅いな。興味を持ったらとことん調べる癖があるからなぁ……」
「どうですか?ベテルバーグさん。ショタヨル産の野菜の味は」
 イヴァンが話しかけてくる。
「ええ、おいしいですよ。この赤いのはなんです?食べると身体が熱くなるような気がするんですが」
「ふふ……食べたね?」
「ふきゃっ」
 イヴァンがいきなりリュカの頬をなでた。普通に触られただけなのに、やけにくすぐったい。
「一種の媚薬なんだよ。ほら、もう抑えられなくなって来るよ」
「あ、ああ」
 リュカは足の力が抜けて、床に座り込んだ。チンチンはすでにビンビンになっている。
「楽しもう……ここで永遠に」